概要
概要
外見が「かわいい娘または美しい娘」に見える男性を表す言葉。(ここで言う娘とは若い女性という意味である。)
ラブコメ要素のある作品の女装キャラがアダルトゲーム界隈で変化したものである。今では、女性向け、一般作品、BL、ショタなどにも多く広がっている。
今わかっている最も古い「男の娘」の記述は、1975年7月号の『りぼん』で取り挙げられた『男の娘なの』という投稿漫画のタイトルであるという証言が画像付きで投稿されている。言葉の普及自体ははぴねす!(2005年)の準ちゃんが登場したあとである。また、R18の学園恋愛ゲームの女装キャラ自体はブリジット以前から登場している。よく元祖と言われているストップ!!ひばりくん!も今で言うラブコメ漫画である。
女装キャラとの違い
女装キャラとの違い
女装キャラからの派生であるが、男の娘は女性に見えることに焦点を絞ったことで、女装が必須ではなくなった(もちろん、外見が娘に見える必要はある)。ただ、必須でなくなったとはいえ、女装していることが多い。これは女装が女性らしさのある程度の保証になっているから。
男の娘と女装男子をあえて分けて言うときは、女装男子の方が割合見た目男性ぽい。
メス男子も同様に男の娘と分けて言うときはメス男子の方が割合見た目男性ぽい。
創作されたものについて
創作されたものについて
創作されたものにおいて、娘に見える男性キャラなら男の娘として愛でていい。性格や恋愛対象、実年齢さらには女装の有無などは好みの差なので、好きなタイプを愛でればいい。娘に見える男性キャラでさえあれば男の娘として愛でていい。「娘に見える」という前提の上でもし他に条件があるとすれば「周りから女性のように扱われている」ぐらいである。
※「娘と同様にかわいい」ではなく「"かわいい娘または美しい娘"に見える」である。また「幼い」ではなく「若い」である。
ジャンル成り立ちとその周辺
ジャンル成り立ちとその周辺
最も古い「男の娘」の記述が載っていた『りぼん』が発行された1975年というと、男性向けラブコメの元祖とよく言われるうる星やつら(1978年〜)が連載開始される前である。
漫画家きたがわ翔先生によるとその頃の少女漫画はアイビーオトメちっく漫画の時代で、テンプレ化がいちじるしかったらしい。そしてその中には、女っぽい兄、男っぽい妹というのあったようだ。
1980年代にはニューハーフブームがあり、その影響を受けてこち亀のマリアなどの女装キャラたちが生まれた。
1990年と1991年には『FOR DESIRE 女装コミック・アンソロジー』(全2巻)というアンソロジー本が出版されていて女装コラムが載っている。
男性向けラブコメは90年代に男性キャラを減らしている(特にライバルの男性キャラ)。最終的にその影響は主人公にまで及んだ。それにより、男性のいないラブコメとして女性向けジャンルだった百合が男性に流行るということが起こる。また、ラブ要素が少なめのものとして、少女中心の日常系も流行った。(これらのことにより、処女はお姉さまに恋してるのような百合っぽい男の娘作品などが生まれる下地を作っている。)
1995年にセーラームーンのフィッシュ・アイ、ふしぎ遊戯の柳宿がアニメで登場したのを皮切りに逮捕しちゃうぞの葵双葉、るろうに剣心の本条鎌足、こち亀のマリアなど仲間や敵キャラではあるが美人で女性に見える女装が基本のキャラが立て続けに次々とTVアニメで登場する。そういう流れの中で女装が増える。カードキャプターさくらの秋月奈久留のなど
またラブひななどエロゲ要素を取り入れたラブコメ漫画や漫画家がキャラデザしたゲーム、エロゲからのメディアミックスなども起こっている。
そんな中かわいい女装キャラ又は美しい女装キャラが2000年になる少し前から増えていた。
エロゲの女装キャラは2000年には登場し、その後、毎年なにかしら登場している。
2005年におとボクが発売され宮小路瑞穂が人気になる。その年の7月にはアダルトゲームの女装キャラだけを集めた紹介本が発売される。
夏コミを挟んで10月にはぴねす!の渡良瀬準が登場し、その冬にダムが決壊したかように男の娘ブームが始まる。そのブームの中で急速に意味が固まって男の娘という言葉が広まっていった。ゆえにアダルトゲーム発で男性向けの言葉とされる。
また、渡良瀬準が登場する以前は人気の女装キャラ(年齢は関係ない)がいても男の娘という言い方はされていなかった。実際、男の娘の概念が まだ確立していなかった頃は女男やオカマ、ニューハーフと呼ぶしかなかったと思われる。これは、80年代頃ニューハーフが世間に広く知れ渡ったことで作品にオカマキャラが増え、そこから若く美しい女装キャラが選り分けされ男の娘に繋がっていくという経緯があるから。ジェンダーに悩む男の娘がいるのもこの流れ。こち亀の麻里愛や有栖川桜もその流れの中にいる。ただ、目的の手段としてや無理やりだったりで女装するキャラもいてジェンダー(性)に必ず悩むわけではない。
さらに、初期の男の娘ブームが始まったときはまだ、高校生はショタではなかったし、美少年は由来も傾向もショタと違うということでショタとは別ジャンルだった。とはいえ、女装キャラの派生として色々なタイプの男の娘が最初からいるので、高校生や成人済み、お姉さまキャラの男の娘だけではなく、ロリのような男の娘(ショタであり男の娘でもあるキャラ)もいた。ショタタイプがいることとショタ派生ではないことは両立する。
大事な事として、同時に成り立つことはあっても童顔と女顔は別もの。
歴史を語る上で知っておきたいキャラ(ほんの一部)など
歴史を語る上で知っておきたいキャラ(ほんの一部)など
絶対に知っておくべき2005年以降のキャラなど
- 『はぴねす!』の渡良瀬準(2005年10月21日)
- 『処女はお姉さまに恋してる』の宮小路瑞穂(2005年1月28日)
- 2005年に発売された女装して女子高に通うゲームの主人公。通ったのは遺言に従っただけ。別に心が女性ってわけではない。さらに攻略対象は全員女性だった。作品タイトルで「お姉さま」と書いて「ボク」と呼ぶことからわかるようにお姉さまキャラ扱い。男の娘にとって、自身の性自認や恋愛対象の性別はどちらでもいい。主人公の女装というのは、作品の中から男性を消す手法と考えることができる。
- 『ゆりね』の鷹森(2005年2月11日)
- 女装したショタ。ロリの派生としてのショタ。2005年(おとボク初回版発売の約二週間後)に発売された女装して女学園に通うゲームの主人公。上の二人とは明らかに年頃が体格が違う。ゆりねを出したゲームブランドCAGEは2000年からゲームに女装キャラを登場させ続けていた。
- 『バカとテストと召喚獣』の木下秀吉(2007年1月29日〜)
- よく女装をするけど学校の制服は男性向けのものを着ている。 つまり、男の娘ブームの初期とは違って女性物の制服の着用は必須ではなくなったということ。
- 男娘の子HEAVEN(2007年)
- 2007年に発売された女装ショタのアンソロ本。本のタイトルは「男の娘」の子供版のような書き方になっている。「男の娘」とは違い「男娘の子」はショタでしか使われてない。男の娘が広がった後に作られた言葉。
- ショタっ娘ヒロイン(2007年)
- 2007年に発売されたアダルトゲーム「ツイ☆てる」のキャラ紹介に使われた言葉。「男の娘」という言葉の作り方をまねて「ショタっ子」の「子」を「娘」にしたもの。「男の娘」とは違い「ショタっ娘」はショタ限定されている。
- 『steins;gate』の漆原るか(2009年10月15日)
- 「だが男だ」という短くも非常に明快な表現で有名になる。
- 『げんしけん 二代目』の波戸賢二郎(2010年12月号〜)
- 大学生の男の娘。特にロングヘアの女装姿は見た目、女子大生だった。
- 女装山脈シリーズ(2011年〜)
- 男の娘と男性妊娠をくっつけた有名作品。ヒロインの妊娠ENDの派生とも見える。
- 『Fate/Apocrypha』のアストルフォ(2011年6月25日〜)
- ピンク髪で声も大久保瑠美という可愛さがてんこ盛りであり、どう考えても女の子にしか見えない。だが男である(本人の希望によりプロフィール欄には性別は???と記載されている媒体もある)。余談だが、宝具名も「触れれば転倒!」(トラップ・オブ・アルガリア)。後述のtrapとは関係ないと思いたい。
他
2005年以前の知ってた方がいいとされるキャラ
- 『ストップ!!ひばりくん!』の大空ひばり(1981年)
- 男の娘というジャンルが確立した後、振り返ってみて男の娘の条件に当てはまるということで、男の娘の元祖と言われるようになったキャラ。アニメ化もしていて当時はかなり人気のあるキャラだった。のちの女装キャラに影響を与えたとされる。男の娘の先駆け。
- 『セーラームーン』のフィッシュ・アイ(1995年に登場)
- 当時、女児や大人のお友達から物凄くとても人気だったセーラームーンに出てきたキャラ。かなりの衝撃を与えた。男の娘と2000年以前の関連を語るなら言及不可避と言っていいキャラ。
- 『ふしぎ遊戯』の柳宿(1992年)(アニメは1995年)
- 当時、セーラームーンかふしぎ遊戯かと言われたぐらい人気の作品のキャラ。お姉さんキャラ。
- 『ゆう君ちゃん』のゆう(2001年~)
- ニコニコ動画初期に人気を博した自主制作アニメ。
- 『ギルティギアXX』のブリジット(2002年5月〜)
- 格ゲーのキャラ。「女装少年」というジャンルではなく「ブリジット」というジャンルだったレベルで、めちゃめちゃ人気だった。ブリジット登場(2002年5月)前後に登場した女装キャラと比べて圧倒的だったので、当時の女装キャラは、ブリジット以外ほぼほぼ覚えられていない。ブリジットしか知らない人もかなりいる。ブリジットに続くような格ゲーキャラもでてこなかった。それ故、女装キャラ男の娘キャラを引っ張って行く存在だったかというと微妙だったりする。ただ、海外に女装キャラの設定のまま送り出せて人気が出たキャラである。そのため、海外で男の娘系の話題になると真っ先にでてくる。あと、衰退しかけてたショタアンソロが衰退回避のために女装に大々的に乗っかるきっかけとなったキャラ。開発においては、女の子として最初開発されていたが、ギリギリのところで性別を男の子に変更されたキャラである。
- 『Trans' 〜僕とあたしの境界線〜』のユウ太など(2002年4月4日)
- 『ツインズラプソディ ~替玉恋愛狂想曲~』の宮咲紅葉(2000年)
- 『純愛GirL』の加護のあ(2001年)
- 『おかえりっ!~~夕凪色の恋物語』の嵐山 時夫(2001年)
- 『あぃまぃみぃ!ストロベリー・エッグ』の天和ひびき(2001年)
- 『プリンセス・プリンセス』の河野亨、四方谷裕史郎、豊実琴(2002年1月号〜)
- うる星やつらの潮渡渚
- 逮捕しちゃうぞの葵双葉(1986年)
- バーコードファイターの有栖川桜(1992年)
- 巨乳家族、新巨乳家族の宗氏はるか(1997年)
- 少女少年シリーズの主人公たち(1998)
他
※他の男の娘(実在人物やVチューバーなども含む)に対しては、男の娘一覧を参照。
女体化と男の娘
女体化と男の娘
実は、一時的な女体化などはありである。もちろん、話の大半で女体化しているというのであれば、それは別ジャンルとなる。
男の娘ブームのきっかけである渡良瀬準はファンディスクで性転換するか選べる。
とはいえ、BLにおいても女体化OKの人とNGの人がいるように、男の娘でもOKの人とNGの人がいる。ショタだと基本NG
弊害
弊害
この読み方が浸透しすぎた結果、本来の読み方である「おとこのむすめ」を「おとこのこ」と誤読してしまう事態が発生した。
たとえばこの例文を見てほしい
「私の両親を殺した男の娘」
この文章を見た際に「殺人犯の娘」なのか「サイコキラーの少年」なのかが非常にわかりにくい文章となっている。
海外において
海外において
海外においては「femboy」や「trap」「fake girl(偽娘)」といった言葉が男の娘とほぼ同じ意味で使われている。
femboyは読んで字のごとく「フェミニンボーイ(女性的な男性)」を意味するが、trapは、女の子と思ったら男だったよ畜生!これは罠だった!という意味で「トラップ(罠)」と名付けられた。trapに関しては、差別的意味が含まれるか?と英語圏で議論になっている。
また、トラップ自体は罠と言う意味としての一般的な言葉なので、トラップとついてるからと言って、男の娘モノとは限らない。
「tomgirl」も似たような用語として使用されている。元々「tomboy」という言葉が「男みたいな女」=「お転婆」の意味で使われていたが、その反対に「女みたいな男」と言うことで男の娘に当てられるようになった。
関連タグ
関連タグ
「男の娘」は移ろいやすいものであるため、公式設定が無く作者もタグ設定をしていない一枚絵などには複数のジャンルタグが付けられている事も多い。
なお、タグを付けるにあたっては、小林聡氏の商標『男の娘☆』(☆表記を含む)の文字列は避けた方がいいかもしれない。万が一タグを付けたとして作品が削除されるかは不明なので自己責任でお願いします。
男の娘☆について
男の娘☆について
- 男の娘☆8 (2010年03月20日)
上記イベントの主宰である小林聡氏は「男の娘☆」という文字列の商標登録をしている(2011年9月に認可済み)。以下の区分において「男の娘☆」(☆表記を含む)およびそれに類する表記(「男の娘」「オトコノコ」など)を用いることは不正競争防止法違反にあたると主張しているので注意してほしい。(しかし、コレの事を無視して、カタカナ表記を採用した同人ゲームや版権等が何作品か一応あるのだが、コレは本人に怒られないのか…?)
なお、商標権は世間一般での言葉の使用を制限するものではないので、商業目的以外でSNSなどで「男の娘☆」という言葉を使用するのは違法にはならない。(もしこれが違法なのだとしたらこの記事自体も違法記事になってしまう)
ちなみに、小林氏はこの言葉の生み親ではないとのことなので、由来については経緯の文を参照。商標は氏が登録した日付の2011年9月から10年後までは商標として存在する上に、10年後には商標登録の維持期間は終わるものの、小林氏或いは支援者によって商標の存在が継続される可能性は低くもないので、男の娘を楽しむためにも、商標法と不正競争防止法などの法律は絶対に守りましょう。(特許庁の商標の規定に基づく規定より抜粋)
- 同人誌及び商品の展示即売会の企画・運営又は開催、屋外広告物による広告、看板による広告、張り紙による広告、インターネットによる広告、街頭及び店頭における広告物の配布、郵便による広告物の配布
- ダンスに関するイベントの企画・運営又は開催、漫画キャラクターに扮そうすることを内容とするイベントの企画・運営又は開催、写真撮影会の企画・運営又は開催、セミナーの企画・運営又は開催、スポーツの興行の企画・運営又は開催、音響用又は映像用のスタジオの提供、写真の撮影
- 主に同人誌即売会やコスプレイベントの開催とその準備・宣伝が対象になっている。
BOOTHで自作の男の娘のグッズ販売をするなら上記にある法律違反に触れないように工夫をして販売しないと規約違反となるのでご注意ください。アカウント停止を要参照。
また、株式会社「未来少年」が、2010年4月27日付で「男の娘」の商標登録の出願を行っているが、こちらは2011年8月に拒絶の最終処分が確定している。しかし、商標の期限が切れた10年後は再度申請する可能性は少なからずあると思われる。しかし、その場合は最終処分が特許庁によって取り消しをされればの話になるが。
(参照:ITmediaNEWS)
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