ピ、ピ、ピクシブを見るときはぁ 部屋を明るくしてはなれて見てね!
概要
作者は秋本治。
1976年から2016年まで40年にも及ぶ週刊連載で一度も休載せず、単独作者による連載漫画として「少年誌の最長連載記録」のギネス世界記録を持っている。連載40年目2016年9月に第200巻で完結(当時。後述)。
さすがにその間全く休息を取ったりしなかった訳ではないのだが、数週分の連載ストックを編集部に渡していた事で最後まで連載皆勤を崩す事はなかった。
この記録的な連載作品故に氏のライフワーク的にこの先も連載が続いていくと思われていたが、こち亀終了の発表は衝撃かつ話題となってニュースにもなった。
つまり最終回もって以降40年ぶりにこち亀が週刊少年ジャンプに存在しない事になったのである。
東京都葛飾区にある架空の派出所を舞台に、万年巡査長の問題児警官両津勘吉を中心とした地方公務員たちが大暴れして周囲の人物(主に上司の大原部長)に迷惑をかける下町コメディ漫画。
長期連載の宿命というべきか時代毎に絵のタッチも変化があり、初期の両津は劇画タッチに近い顔つきであった(そもそもは作者が劇画志望があった為だとも)。それ故かキャラクターの人物像にも大小問わず変化が見られる。
レギュラーキャラクターの変遷も顕著で、戸塚金次は初期のレギュラーといえるキャラクターだったが、後期では登場回数が激減した。
初期は男性キャラばかりだったが、時代の流れとともに、次第に女性のレギュラーが増え、女性優位ともとれる話が目立つようになった。
基本的に1話~数話で完結する読み切り形式のギャグ漫画であるが、時折トリビア的な話や作者の趣味が全面に押し出されたマニアックな話、最近の流行や時事問題を皮肉るような話、感動的な人情話や後味の悪いシリアスな話をすることもある(初期は「無茶苦茶な警察官・両津勘吉」の話であり、真っ当な「お巡りさん漫画」である)。第100巻以降はこの手の話の比率がかなり高いため、「こち亀が面白いのは第100巻まで」と否定的に捉えられることも。尚、実際に100巻までと言ってる人達が本当に100巻以前が面白いと思っているのかは不明。
なんと、あの同じ集英社の少女漫画雑誌「りぼん」に出張した事もあるすごい作品。
なお、トランプゲームの大富豪(大貧民)を扱った回は読者からの反応が凄かったらしく、なんと大富豪(大貧民)のローカルルールの違いが多様ゆえに指摘や抗議のお便りが凄かったらしい。(後日、両津が多様すぎるローカルルールがある事を理解した上でその件で言ってくるのは止めるようにと言う羽目にまでなった)
1970年代後半から2016年までの連載だった為、第1巻から第200巻を読むと(結構時間がかかるが)時代を感じる内容が多く含まれており、サザエさん時空と思いきや細かいところで舞台の時代背景の移り変わりは目に見えてわかるようになっている。
ジャンプのギャグマンガのお約束というべきか、メタフィクション的な発言や描写が多い。両津が作者に代わって話を描いたこともあった。
また、登場人物や企業、製品の名前にもじりやパロディが散見される。それ以外では大抵「山田」等ありふれた名前や便宜上の名前であることが多い。
コミックスの巻数が3桁を超えたのは1996年の第100巻で、それから20年後の2016年の第200巻で完結したわけであるが、実はこの時点で同じく長寿連載のゴルゴ13の巻数を上回っていたりする。
「山止たつひこ」表記の初期こち亀の初版本は今では重版に次ぐ重版のうちに削除されたエピソードがある事も含めてプレミア化している。
なお、終了の発表前の第190巻以降は通常のコミックスの厚さより厚めになっていたのだが、どうやら第200巻きっちりで完結する為に収録話数を増やしていたとみられる。
1976年頃のジャンプコミックスは、著名人のコメントが巻末に寄稿される形式だった。それはいつしか廃止されていたものの、こち亀だけはそのスタイルが残っていた。
なお、通常の連載は完結したがそのきっちり1年後である2017年9月に一時復活し、今後も不定期に顔出しがあると見られている。
2021年10月4日に読み切り番外編を集めた第201巻が発売される。
ナンバリングされた単行本自体は全201巻だが、この他に増刊号や他誌へ出張した際の作品を収録した「下町奮戦記」「999巻」、連載終了後に奉納された絵馬のミニチュアと描き下ろし漫画等を収録した「∞巻」、小説版や周年記念書籍など多岐にわたる。
正式名称が長いため、タグとしては『こち亀』のほうが一般的。
ジャンプ黄金期前、黄金期の真っ只中、衰退期、衰退期後のジャンプを駆け抜けた作品であった。
ちなみに後述のせんだみつお版実写映画「こち亀」は封印作品入りされている。
最終回は本誌掲載とコミックスとでは異なる結末の形式をとっており、最終回が掲載された号は記念すべき第1話もフルカラー復刻で再掲載、珍しく重版された。
他にも特別増刊号にはコミックスにはない日暮熟睡男が大活躍する特別ストーリーが収録。
最終回から一年後の特別読み切りに週刊少年ジャンプ50周年記念の読み切りとして年一回の特別企画がある。
2020年は東京オリンピックがコロナで延期したために、翌年読み切り掲載された。都合とはいえ日暮はオリンピック延期を予測していたのだろうか?
現在(2024年)は、コンビニエンスストアで販売されるリミックス誌にて本作の新作を出し続けている。ほんの数ページゆえに202巻目刊行は大分先の予定www
長期連載の秘訣
原作者の秋本氏がミーハーなところがあり、かつては仕事場にテレビを複数台置いて様々な情報をキャッチしていた事で漫画のネタになりそうなものをチェックしていた事、自身が速筆であり分業体制で優秀なアシスタントを抱えていた事から掲載分の原稿を常に余裕をもってストックしていた事で休載する事なく取材する時間を確保できていた背景もある(実際に取材はこと細かく、いつからこの建物があるとか、どう変わったのかまで徹底的に調査していたらしい)。
長期連載ゆえに世相風俗がかなり変化しており、現在読むと信じられない出来事も生々しく描かれている。例えば、コンビニエンスストアや年中無休のスーパーマーケット等が普及していない頃の年末年始は、特に独身者は買い置きをしてないと食う物に本当に難儀するというエピソードである。家電や自動車といった小物にも、時代を感じることができる。
一方で、過去にネタ程度で描かれたことや何気ない発言が、後年になって的中していることも多々あり、それらは予言扱いされ、現在でもSNSで度々話題となる。
メディアミックス
アニメ
ぎゃろっぷ制作でアニメ化され、フジテレビ系列で1996年6月16日から2004年12月19日まで8年半と長きに渡って放送された。前番組は8年3ヶ月続いた『キテレツ大百科』(実はキテレツの方は元々1994年に完結予定で最終回も既に完成していたが、次番組がこち亀に決定するまで延長を繰り返されていた)。
あまり知られていないが、アニメ化された事は実はこれが初めてではない。1985年にジャンプのイベントで二本程短編アニメ作品としてタツノコプロが製作している他、1980年にはバンビーノより発売のLSIゲーム『レースンチェイス』のTVCMにて両津と大原部長がアニメで描かれて登場している。
原作連載開始から20年を経ての放送開始であるため、原作のストックも時勢が過ぎたものはアニメ化されず(または出来ず)、必ずしもすべての原作のエピソードがアニメ化された訳では無かった。
更に原作のエピソードが単体で忠実にアニメ化される事は稀であり、大半はオチや登場人物が変更されていたり原作の複数のエピソードを合体させたりしていた。
原作で言えば第141巻までがアニメ化された。
キャスティングに関して
両津役にラサール石井、麗子役に森尾由美を起用する等、本職の声優以外の芸能人も多数キャスティングされているのが特徴であり、その中には無名時代の八嶋智人や堺雅人等もいたが、これは舞台役者を中心にキャスティングしていたネルケプランニングの意向が大きい(八嶋は同社の立ち上げ時のメンバーの一人で、こち亀以外のネルケ関与アニメにもモブキャラ役として数本出演していた)。
放送初期は本職の声優をそれなりに起用していたが回が進むごとに薄れていき、一部では芸能人に交代されたケースも存在する(寺井役の茶風林→林家正蔵、小町役の岡本麻弥→三浦理恵子など。ただし、林家は以前より『タッチ』や『陽あたり良好!』などでレギュラーとして声優経験あり)。
しかし、TVSPはその限りではなくベテラン声優が多く起用される傾向にあった。
一方で木内秀信、竹内順子などこのアニメでデビューした声優も存在し、彼らや松野太紀(第58話まで)、前田剛、竹本英史、前述の八嶋智人(第42話まで)などはゲストキャラやモブキャラなどを頻繁に演じていた。
この他、
・大原大次郎…菱谷紘二→佐山陽規(第16話以降。菱谷の病気降板により)
・屯田五目須…江角英明→西村仁(第329話以降。江角の病気降板(交代後間もなく死去)により)
なども演者の都合や病気により変更になっていた。
劇中BGM及び主題歌
番組開始当初は米光亮が一人で劇中BGMを担当していたが、第13話から佐橋俊彦も加わり連名となる。
主題歌に関してはTOKIO、所ジョージ、天童よしみ、嵐、テツandトモがオープニングやエンディングで担当した事がある他、村上ショージ、天童、嵐、TIM、三瓶、テツandトモは本人役でゲスト出演しており、2003年8月10日の放送には映画『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』の公開記念として北村総一朗、斎藤暁、小野武彦のスリーアミーゴスもゲスト出演している。
歴代監督及び番組の変貌
- やすみ哲夫(第1話~第12話)
初代監督。氏は元々低学年ウケするアニメを得意としていた為、前番組『キテレツ大百科』の内容を汲み同様の路線を目指した結果、アニメオリジナルキャラの純平と勝平や小町と奈緒子を登場させる、寺井のレギュラー化、本編終了後に両津が壊した物を紹介する「本日の被害」というコーナーを設けるなどしていた。
第12話までという短期間の担当だったが、これは当初より予定されていたもので途中降板した訳ではないようだ。
- 三沢伸(第13話~第71話)
二代目監督。約二年間担当した。
ここから原作の破天荒なエピソードが徐々に増え、絶妙なバランスでアニメ化していきアニメ版こち亀の大まかなフォーマットはここで完成する。
後の高松信司担当期に比べて原作にもある余りにぶっ飛んだエピソードは少ないが、その分原作の持つ下町人情漫画の部分を更に磨きをかけ、後の監督達よりは地味なオチも多いながら原作の良さをピックアップしていた。
- 高松信司(第72話~第313話)
三代目監督。約六年間担当した。
アニメ版こち亀のイメージを決定付けたと言っても過言ではない監督。
原作の破天荒なエピソードも積極的にアニメ化し、オチも壮大になるなど、あらゆる面でパワーアップしている。
一番長く監督していたが、末期になるとその勢いは衰えたと一部視聴者から言われた。
- 高本宣弘(第314話~最終話)
四代目監督。番組終了までの約10ヶ月間担当。
この時期になるとアニメオリジナルの話が増え、勢いも高松期の末期に引きずられるように落ちていった。また、両津が不遇な扱いを受ける事が増え、理不尽な目に遭う事が多くなったという声もあり、感動する回もほとんどなくなった。
そして原作のストックも尽きかけたところでアニメは終了。
その後はスペシャル番組として不定期放送となるが、2006年4月放送のSP21作目まで監督を務めた。
シリーズ初期から作画監督として参加し、TVSP第16作目で作画監督と兼任で監督を務めた。
作画監督としては、初期こそ大人しめの作画であったが三沢監督期中盤からはキャラクターの表情を大きく崩したり、悪巧みや怒りを表現する際の鋭い眼の描き方など特徴的な作画が目立つようになり高松監督期から更に顕著になる。
番組後期からは作画監督のみならず原画・絵コンテも纏めて担当する事が多くなり、TVSP16では監督・作画監督・原画・絵コンテを担当(元々映画版の監督を依頼されていたが流れたので代わりにTVSP16の監督に抜擢されたとの事)。
TVSP第22作から第27作の監督。
レギュラー放送終了後のTVSP第20作から絵コンテや演出として参加していた。
1985年版を製作したタツノコプロとは縁の深い人物。
制作環境の変遷
当初はセル画で制作されており、序盤のみ前番組同様完全にフィルムで制作されていたが、第7話(アニメにおける日暮初登場回)からそれをVTRにテレシネをした上でテレビ局に納品される方式になった為、オープニングやエンディング、本編で使われるテロップがフィルム焼き付けから電子テロップへと変わった他、モザイク処理やワイプなど演出の幅が増えた。
第122話にて試験的にデジタル制作を実施。第145話と第146話でも行われ、第149話からデジタル制作に完全移行した。(ただし、第149話の後に制作されたTVスペシャル8弾はセル画制作)
2016年放送のTVスペシャル『THE FINAL 両津勘吉最後の日』はシリーズ唯一のハイビジョン制作となった。(JC140巻の巻末に掲載されたぎゃろっぷ代表取締役・若菜章夫氏のコメントでは2004年秋からハイビジョン化を予定しているとあるがレギュラー放送時代は最後までSD画質だった)
レギュラー放送終了後の展開
その後、不定期ながらTVスペシャルが2005年から2008年までに年2~3本ペースで製作され、フジテレビがゴールデンタイムのアニメ枠を廃止してからは「ドリーム9」に枠を移して放送された。
2016年9月18日には8年ぶりかつ原作連載40周年記念で製作された新作「THE FINAL 両津勘吉最後の日」を放送。
奇しくも原作最終回が掲載された翌日であり、アニメ版も同作をもって一応の完結とされた。
ただしその後も翌年の27時間テレビでは短編として復活しており、2018年にはNHKの「アニ×パラ」第4弾、「こち亀×ゴールボール」とのコラボとして放送され、ゲスト声優には元AKB48の篠田麻里子がゲスト出演した。なお、篠田氏は兄が『こち亀』のマンガも持っていて、アニメも一緒に見ていた事をインタビューで語っている。ちなみに篠田氏は以前にもドラマ版の『こち亀』にAKBのメンバーの本人役としてゲスト出演している。
2016年に完結した時点で制作話数は344話+テレビスペシャル27回に及んだ。
劇場版
レギュラー放送中の1999年12月23日には『こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE』、2003年12月20日に『こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE2 UFO襲来! トルネード大作戦!!』の合計二作品が劇場用新作として公開された。
その他アニメ版備考
『ちびまる子ちゃん』、『サザエさん』、『ONE PIECE』とゴールデンタイムで放送されていた時間帯のアニメの中では、唯一『逃走中』とのコラボが行われていない。そのためネット上では『こち亀』とのコラボもやって欲しいという声もある。ちなみに原作第172巻にて「逃げ切ったら100万円の巻」という『逃走中』を元にした話がある。
『ちびまる子ちゃん』、『サザエさん』、『ONE PIECE』、前作の『キテレツ』とゴールデンタイムで放送されたアニメでは『FNS歌謡祭』でアニソンで歌われたのに対し、『こち亀』は現在唯一アニソンで歌われていない。ただし、2021年の放送で森七菜が「スマイル」のカバーを披露している。
実写版
実写化は2度されており、せんだみつお版(東映映画)と当時SMAPの香取慎吾版がある(TBSドラマ+映画)。ちなみに香取は2000年10月1日放送のアニメスペシャルで慎吾ママとしてもゲスト出演している。
舞台版でもアニメ版の両津を演じたラサール石井が主演で、脚本・演出も1999年から担当している(ちなみにラサールはドラマ版でも、両津の父親の両津銀次を演じている)。
岸祐二、岩崎征実、小宮孝泰、齋藤彩夏、佐山陽規 三浦理恵子らがアニメ版と同じキャラクターを演じている他、坂本あきら、斉藤レイ、麻生かほ里、三橋加奈子(大阪公演のみ)、竹内順子(大阪公演のみ)が別役で出演している。
登場人物
詳細はこち亀の登場人物一覧
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ONEPIECE…同じ週刊少年ジャンプの連載作品。現在ではこち亀に次ぐ連載期間の長さかつ、2021年にはついに100巻に達した。週刊少年ジャンプに連載中で巻数三桁に突入したのはこち亀以来で、実はONEPIECEが連載開始したのはこち亀が1996年に100巻を迎えた翌年の1997年だったりする。