概要
作者は秋本治。
1976年から2016年まで40年にも及ぶ週刊連載で一度も休載せず、単独作者による連載漫画として「少年誌の最長連載記録」のギネス世界記録を持っている。連載40年目2016年9月に第200巻で完結。
さすがにその間全く休息を取ったりしなかった訳ではないのだが、数週分の連載ストックを編集部に渡していた事で最後まで連載皆勤を崩す事はなかった。
この記録的な連載作品の終了は衝撃かつ話題となってニュースにもなった。
東京都葛飾区にある架空の派出所を舞台に、万年巡査長の問題児警官両津勘吉を中心とした地方公務員たちが大暴れして周囲の人物(主に上司の大原部長)に迷惑をかける下町コメディ漫画。
フジテレビでアニメ化され、こちらも8年と長きに渡って放送された(制作:ぎゃろっぷ)。
以後は不定期アニメが放送される。
アニメ版のBGMを担当したのは、『ウルトラマンパワード』、『ウルトラマンガイア』、『ウルトラマンメビウス』、『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』など多くの特撮を担者した佐橋俊彦である。
実写化は二度されており、せんだみつお版(東映映画)と香取慎吾版がある(TBSドラマ+映画)。
舞台版でもアニメ版の両津を演じたラサール石井が主演で、脚本・演出も1999年から担当している。
岸祐二・岩崎征実・小宮孝泰・齋藤彩夏・佐山陽規らがアニメ版と同じキャラクターを演じている他、坂本あきら・斉藤レイ・麻生かほ里が別役で出演。また、声優の多くが『おじゃる丸』、『メダロット』、『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』でも共演している。
長期連載の宿命というべきか時代毎に絵のタッチも変化があり、初期の両津は劇画タッチに近い顔つきであった(そもそもは作者が劇画志望があった為だとも)。それ故かキャラクターの人物像にも大小問わず変化が見られる。
レギュラーキャラクターの変遷も顕著で、戸塚金次は初期のレギュラーといえるキャラクターだったが、後期では登場回数が激減した。
基本的に1話~数話で完結する読み切り形式のギャグ漫画であるが、時折トリビア的な話や作者の趣味が全面に押し出されたマニアックな話、最近の流行や時事問題を皮肉るような話、感動的な人情話や後味の悪いシリアスな話をすることもある(初期は「無茶苦茶な警察官・両津勘吉」の話であり、真っ当な「お巡りさん漫画」である)。100巻以降はこの手の話の比率がかなり高いため、前述の事例と合わせて「こち亀が面白いのは100巻まで」と否定的に捉えられることも。
1970年代後半から2016年までの連載だった為、1巻から200巻を読むと(結構時間がかかるが)時代を感じる内容が多く含まれており、サザエさん時空と思いきや細かいところで舞台の時代背景の移り変わりは目に見えてわかるようになっている。
メタフィクション的な発言や描写が多い。両津が作者に代わって話を描いたこともあった。
登場人物や企業、製品の名前にもじりやパロディが散見される。それ以外では大抵「山田」等ありふれた名前や便宜上の名前であることが多い。
コミックスの巻数が3桁を超えたのは1996年の100巻で、それから約20年後の2016年の200巻で完結したわけであるが、実はこの時点で同じく長寿連載のゴルゴ13の巻数を上回っていたりする。
「山止たつひこ」表記の初期こち亀の初版本は今では重版に次ぐ重版のうちに削除されたエピソードがある事も含めてプレミア化している。
なお、終了の発表前の190巻以降は通常のコミックスの厚さより厚めになっていたのだが、どうやら200巻きっちりで完結する為に収録話数を増やしていたとみられる。
ジャンプコミックスは1976年頃は著名人のコメントが巻末に寄稿される形式だったのだがいつしか廃止されていたものの、こち亀だけはそのスタイルが残っていた。
なお、通常の連載は完結したがそのきっちり1年後である2017年9月に一時復活し、今後も不定期に顔出しがあると見られている。
正式名称が長いため、タグとしては『こち亀』のほうが一般的。
ジャンプ黄金期前、黄金期の真っ只中、衰退期を駆け抜けた作品であった。
ちなみにせんだみつお版実写映画「こち亀」は事情故に封印作品入りされている。
最終回は本誌掲載とコミックスでとは異なる結末の形式をとっており、最終回が掲載された号は記念すべき第1話もフルカラー復刻で再掲載、珍しく重版された。
他に特別増刊号には、コミックスにはない日暮熟睡男が大活躍する特別ストーリーが、収録。
最終回から一年後の特別読み切りに、週刊少年ジャンプ50周年記念の読み切りとして年一回の特別企画
がある。次は2020年のオリンピックにちなんだ特別読み切りが予定されている…?
長期連載の秘訣
原作者の秋本氏がミーハーなところがあり、かつては仕事場にテレビを複数台置いて様々な情報をキャッチしていた事で漫画のネタになりそうなものをチェックしていた事、自身が速筆であり分業体制で優秀なアシスタントを抱えていた事から掲載分の原稿を常に余裕をもってストックしていた事で休載する事なく取材する時間を確保できていた背景もある。
また、長期連載ゆえに掲載当時はネタ程度だったのが後年では形を変えたり、ほぼそのままで実現・的中している例がチラホラある為、こち亀は予言書(というネタ)扱いされる事もある。
登場人物
公園前派出所
葛飾署
- 屯田五目須 (元:亀森鶴吉)
- 麻里愛
- 本田速人 - バイクのお巡りさん、バイクに乗ったら人格が変わるジキルとハイドみたいな準レギュラー
- ボルボ西郷 - アメリカ海兵隊出身のお巡りさん。その名前からしてゴルゴ13のパロディ。
- 左近寺竜之介 - 全日本柔道選手にしてゲームオタク。
- 磯鷲早矢
- 早乙女リカ
- 日暮熟睡男 - オリンピック同様4年間に一度しか登場しないという珍妙なキャラ。上述した通り両さんと火星に行ってきました?
- 戸塚金次 - 何と元はヤクザという男。背中にはモンモン、刺青がある。元は準レギュラー。
- 有栖川京華
- 風波峻
- 目太門比科忠
- 保可炉衣土
- 後流悟十三
本庁
大阪府警 通天閣署
超神田寿司
アメリカ軍
その他
他多数
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こち亀
大原部長オチ
こち亀パロ
週刊少年ジャンプ連載終了作品の一覧
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