概要
パロディ(parody)……「もじる」という意味(和英辞典より)。
現代では「一般にある特定の概念や作品などを下地にし、それらの戯画化、揶揄、価値観の逆転による狙い等を含む創作表現」を指す。
pixivの投稿作においては、風刺や滑稽さを伴う表現ではなくとも、画風や構図の下地に別の作品があることを示す意味でこの用語が使われることが多い。
パロディは戯画化・風刺・揶揄などの意図をもって行われるものとして成立してきた経緯がある。こののため、諸外国(欧米)において、パロディ作品に社会的意義を設けるため、そのために満たすべき要件を法律で制定している国もある。
日本国内においてはこのようなパロディに一定の市民権を与える動きはいまだ見られていないため、作者に許可を取らないまま他作品をパロディ作品にして公に公開する行為は、著作権の観点上、いい目で見られる事は少なく、特に、商業誌で他作品のパロディ化を行う事はなかなか難しくなっている。
著作権に対する意識や志向が高まってきた今では、パロディ元から訴えられ公訴沙汰に発展する等のトラブルが起きることもある。
用語の解釈
パロディは文学や音楽、映画を含めたすべての芸術媒体に存在する。替え歌や本歌取りもパロディの一形態である。文化活動もまたパロディの素材となる。軽い冗談半分のパロディは、しばしば口語でスプーフ(spoof)と呼ばれる。
文芸批評家のリンダ・ハッチオンは、「パロディとは先行作品に対する批評的な相違を伴った模倣であり、常にパロディ化されたテキストという犠牲を払うものではない」と述べている。別の批評家サイモン・デンティスは、パロディを「他の文化的生産物や活動に対する、相対的な反論の引喩となる模倣作品を生産する、あらゆる文化的活動」として定義している。
(斜字部:Wikipedia「パロディ」2013年3月14日版より引用)
このように本来はいわゆる「二次創作」の類として用いられていた言葉であり、pixivではその意味に立ち返って用いられることも多い。
二次創作とパロディ
漫画やアニメの同人においては、二次創作にあたる用語としてパロディが使われてきた。
この文脈では、昔ながらの物語絵のような作品もパロディと混同されうるが、実際は、もじりや異化効果のある作品を呼ぶことが多いと思われる。
pixivで最も多い「パロディ」の用例は、二次創作のジャンルとしてのダブルパロディである。それ以外には、原作沿いのギャグをギャグパロと呼んだり、設定を変えるなどの翻案を広くパロディと呼んだりする例が混在している。
「現パロ(現代パロディ)」のように世界観を丸ごと改変してしまうような二次創作ジャンルを、一般的な「パロディ」が持つ意味との齟齬から、「パラレル」と呼ぶ向きもあるが、こちらは「二次創作」のタグを併記する必要が出てくるため、タグの簡潔さを求める傾向のある投稿者などは使用しないことが多い。
パロディであれ、パラレルであれ、どちらも作品傾向を完全に示唆できるものではないことに留意したい。
盗作(パクリ)との線引き
非常に難しい問題であるが、ニコニコ大百科の掲示板にて的確な一言が書き込まれていたので引用する。
また、過去の事例として「フランク三浦」がとても参考になるので同じく取り上げる。
ニコニコ大百科
以下引用
24 : ななしのよっしん :2009/12/07(月) 00:34:41 ID: ztzXY8MGSe
ばれちゃ困るのがパクリで、ばれなきゃ困るのがパロディ
― パロディについて語るスレ#24より
引用終了
(太文字強調は引用者によるもの。)
これはあくまでパロった側の心がけに焦点をあてた線引であり、パロディだから怒られない、パクリだから怒られるとは限らず、逆もまた然りである。さらに言えば怒られて裁判になっても著作権侵害が認められるかも別の話である。
過去の事例「フランク三浦」
字面で明らかなように高級腕時計「フランクミュラー」のパロディ商品が訴えられた裁判であるが、
ネーミングからして明らかに「漢字で三浦ってww」とツッコミ待ち・ツッコミありきのネタであり、三浦側の認識としてはパロディである。
だがフランクミュラー側はそれを良しとせずパクリだと認識して訴訟を起こすに至った。第一審の判決は「三浦は一個数千円、ミュラーは一個数十万円、数十倍の価格差があり常識的に両者を混同することは考えにくい」として三浦側の主張を概ね認める内容でその後勝訴し、むしろ知名度が上がる事態となった。
なお、両者と線引きの難しい概念である「オマージュ」については「ばれると嬉しいのがオマージュ」と付け加える例もある。
関連イラスト
別名・表記ゆれ
パロ/パロディー parody パロディ要素あり パロ絵 パロディ漫画
※派生タグも「○○パロディ / ○○パロ」の表記揺れが多い。
類語
- 『オマージュ』『リスペクト』は、元ネタに影響を受けて、意図的にそれに似せた作品。
- 『セルフパロディ』は作者自身が自分の作品のパロディを書く事。
- 『ダブルパロディ』は、異なる2つの原作を掛け合わせたパロディのこと。「作品Aのキャラクターを、作品Bの絵柄で描く」、「作品Aの世界観や特殊設定の一部を、作品Bの世界に持ち込む」など。
似て非なる用語
- 『トレス』はパロディの類語ではなく、技法(なぞり書き)のこと。
- 『クロスオーバー』はAとBの共演。作品Aの登場人物が、Aの設定を保ったまま別の作品Bに登場すること。
- 『コラボ(コラボレーション)』は共演、合作、共同作業、利的協力などの意だが、pixivではパロディと同じ使われ方に近い。
- 『パラレル』は設定を改変した脚色。原作を二つ用意しなくても成立するため、クロスオーバーやダブルパロディとは異なる。
関連タグ
4パロ…原作が4コマ漫画の二次創作
コラボレーション…関連タグのまとめあり
カップやきそば現象 人違い 鬱フラグクラッシャー 原作クラッシャー
現代パラレル(現パロ) 転生パラレル(転生パロ) 学園パラレル(学パロ) ドラマパロ
パラレル…関連タグのまとめあり
その発想はなかった その発想はあった だいたいあってる だいたいあってない
公式が病気…公式でやっちゃった例。
ワクドナルド…名前パロディの代表格。同様の例として、このページやこのページの一部が該当する。
元ネタ別
名画オマージュ ジャケパロ 映画パロディ CMパロディ EDパロ テレビ欄パロ
立つ…「○○立ち」のまとめ
【個別の題材】(絵画の場合は「名画オマージュ」を参照)
※元ネタのイラストも含むがパロディも多め