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原作クラッシャー

げんさくくらっしゃー

「原作クラッシャー」とは、原作から派生作品を作る際、内容を大きく改変する行為、またはそれをする人物や団体。「原作ブレイカー」「原作クラッシュ」とも称される。
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概要編集

漫画アニメ化したり、映画化したりといったメディアミックスは昔から盛んであり、その中で原作の内容が改変されることは良くあり、むしろ改変される事が常識ですらあった。

これは、様々な要因があるが原作はあくまで「原作」であり、小説・漫画・映画・アニメは違う媒体であると言う認識が根底にある。媒体が違えば作り方、展開の仕方が違うのでガワが同じで内容が違う事は良くあった。

例を上げれば、小説だとサラッと書いているが実写化するにはコストがかかる。映画であれば原作通りだと上映時間が長くなりすぎたり、空気感としてイマイチになる。漫画の連載にアニメの展開が追い付いてしまう……など理由は多数。

また、見方によっては原作と違う展開にする事で発表媒体ごとの独自性を出せる上、視聴する側からも原作とは違う展開であれば、原作を履修していても、未知の展開となり新鮮な驚きを得られる事もある。

しかし、原作に準拠した作品を作ってほしい人からすれば歓迎できない行為であり、ときに「原作レイプ」と罵られることもある。

特に原作で一番の見せ場や盛り上がるシーンが削除されたり、改編で台無しにされる。改変によって違うキャラ付けをされる。安易な恋愛路線を無理矢理に突っ込まれたなど。

中には、人気芸能人を起用するために原作を改編する場合もあり、近年ではSNSなどで炎上し、槍玉に上がり易い。


ただし、「原作レイプ」が否定一辺倒の言葉であるのに対し、「原作クラッシャー」は文脈によっては褒め言葉として使われることもある。


  • 原作通りに作るなら原作があれば十分という考えの下、原作者サイド、もしくはファンが、作り手の作家性の反映を歓迎する場合。
  • メディアミックスの制約上、改変せざるを得なかった、そしてその改変が歓迎された場合。
  • むしろ原作を尊重するからこそ改変される場合。
  • 原作とはあえて違う展開をパラレルワールドとして描く場合。
  • 古典作品を現代向けに翻案する場合。
  • そもそもからして原作の出来と評判があまりにもよろしくない、要は『駄作』『クソ作品』と評される作品を大幅に改編し、それが多くの人から高評価を受けた場合。

など、いわば「大胆な再構築」と言える。要は受け入れられるか、そうでないかである。


ファンによる二次創作パロディ同人では頻繁に行われていることであり、それらはむしろ原作とのギャップを楽しむものになっている。

pixivでは投稿者が自分の作品に自嘲してタグ付け・コメントしている場合もある。


中には自社作品内で原作クラッシャーをしている例(Aと言う作品に対してのパロディ作品A’を自社で制作)も存在するが、こちらに関してはイレギュラーと言う事で一例には含まれない。

(例:タツノコプロブシロードCygamesなど)


ただし、原作レイプと言う字面が良く無いため、表向けの言葉として「原作クラッシャー」を悪い意味で使用する例も多く、上記の様な文脈や話の流れは良く見て置く必要があり、軽々に使うとトラブルを起こす可能性もある事には留意しておきたい。

また、近年では原作準拠である事を求める人も多くなったので、アニメ作品などで原作クラッシャーは少なくなっている傾向にある。


原作クラッシャーの例編集

ここでは賛否両論を巻き起こしながらも、原作クラッシャーとしてオタクから認知されている方々を列挙する。


人物編集

  • 會川昇脚本家
    • 人気脚本家だが、原作を大きく改変することで賛否両論。アニメ『鋼の錬金術師』1作目は原作のストックがあまりなかったこともあり、ほぼオリジナル展開となって物議を醸したが、ハガレンブームの一翼を担った。




  • 押井守(アニメ・映画監督
    • アニメ・実写問わずクセが強く、押井守個人の思想を色濃く反映した物も多い。中にはTV局からアニメの納品受け取りを拒否された事もある。(時間が無く放映されたが。)彼が監督した作品や良くも悪くも、『押井風』になってしまう事もあり、日本での評価は割れる傾向にある一方で、海外からの評価は非常に高い。(本人はその現状は不服らしいが。)近年では押井風にされて認知・メディア展開された作品に対し、原作ファンが原作に寄せた映像作品を見たいと言う意見もチラホラ出てくる。(攻殻機動隊など。)特に『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』は原作の高橋留美子を怒らせたと言う噂が流れた程で独自のファンを獲得し、カルト映画になっている。※なお、高橋留美子曰く、別に怒ってはおらず『私の作品じゃ無くて、押井さんの作品ですね。』と言っており、「押井さんの傑作で、お客さんとして非常に楽しめました。」とも語っているため押井監督との不仲説は否定している。一方で押井監督からは(高橋先生が)「人間性の違いですね」と言ってそのまま帰ってしまったとか、「原作者は『オンリーユー』は好きだが『2』は今でも一番嫌い。」と言っているので、押井監督から見た原作者の様子とは食い違いが見られる。


  • 園子温映画監督
    • 海外の映画祭を騒がせる鬼才。『ヒミズ』のクランクイン直前に東日本大震災が起きたことで、内容を大幅に改変した。『リアル鬼ごっこ』は原作を読んでいないと公言したうえで純然たる園世界を展開、第19回ファンタジア国際映画祭で3冠を達成した。

  • 出崎統(アニメ監督)
    • テレビアニメ黎明期のカリスマ。独自の演出観で作品を再構築しヒット作を連発した。東京ムービー/Aプロでは若くして宮崎駿らよりも早く大監督枠にあり、(宮崎にとっての)リアルムスカ大佐的存在。いっぽうで1980年代のアニメブームの時期に東京ムービーの方針で渡米していたことが響いたといわれ、帰国後の作品についてはあまり評価が良くない傾向にある。

  • 中島哲也(映像監督)
    • CMクリエイターらしい過剰演出で、何を撮っても濃い世界観になる。

  • 藤崎竜漫画家
    • 中国の古典文学である『封神演義』を少年漫画に改変し、ギャグ要素も入れ込んだ結果、一番のヒット作に。(ただし、元にした安能版自体がそもそも原作クラッシャーでもある。)





  • ワタナベシンイチ(アニメ監督)
    • 通称ナベシン。自分がアニメに乱入し、声も当てる。原作つきでもお構いなし。現実でもアニメと同じ格好をしている。手がけた作品の評価もオリジナル含めて高い物が多い。

制作会社編集

  • ディズニー
    • 古今東西のおとぎ話を原作に名作アニメーションを作り出すが、内容は大きく改変されている。世間的な認知がディズニー版の内容で上書きされることも多い。例を出せば人魚姫を元にした「リトルマーメイド」などは典型。


  • 東映アニメーション(旧東映動画)
    • ジブリの二人の古巣。子供向け化するために原作を改変することがしばしばあったほか、原作のストックが尽きた際に引き伸ばすのを大変得意にしていた。原作レイパーとして批判もされたが、一方で長期シリーズ化のノウハウについては今も東映アニメーションを超えるところは無いとも言われる。

  • シャフト
    • 『月詠 −MOON PHASE−』以降、新房昭之の影響下に置かれ、観る者を撹乱する実験的演出の宝庫と化す。また月詠の前にもアニメ元請けをやっていたことはすっかり忘れられており、シャフト自体も原作改変されているといえる。原作者を呼んで一緒に原作破壊をするという方法を行うため原作者との関係は良好であることが多い。

  • スタジオジブリ
    • 児童文学や漫画を原作に名作アニメーションを作り出すが、宮崎駿高畑勲という二人の天才のためのスタジオであり、作家性がとても強い。そのため、『耳をすませば』や『火垂るの墓』などのように原作の改編著しい作品でも二人のメッセージ性を含めて「ジブリワールド」と認識される。「魔女の宅急便」など、原作者からも比較的好意的に受け取られる物の、『風立ちぬ』の様に堀越二郎と言う実在の人物を使いながら、堀辰雄など別人の要素を色濃くを混ぜ込んだりする事には批判もある。(一応、遺族には承諾済みではあるが。)


関連タグ編集

原作 / 原作レイプ / 翻案

メディアミックス / スピンオフ

パラレルワールド / パロディ

クラッシャー

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