来るべき近未来・・・ 人類は第三のエネルギー革命シズマドライブの発明によって
かつてない繁栄のときをむかえていた。
だが、その輝かしい平和の陰で激しくぶつかりあう二つの力があった。
世界征服を策謀する秘密結社、BF団 「我等がビッグファイアの為に!!」
かたや、彼らに対抗すべく世界各国より集められた正義のエキスパートたち国際警察機構!!
そしてその中に史上最強のロボットジャイアントロボを操縦する一人の少年の姿があった。
名を草間大作!!
「砕け!ジャイアント・ロボ!!」
概要
正式タイトルは「ジャイアント・ロボTHEANIMATION地球が静止する日」
本作はジャイアントロボのような何かである。こちらが有名になりすぎたせいで「ジャイアントロボ=地球が静止する日」、「BF団=十傑集」みたいな印象があるが、本作はジャイアントロボの派生作品の一つでしかない。
喩えるなら、東映版スパイダーマンしか見たことがない人が「スパイダーマン!? ああ知ってるぜ! マシーンベムをソードビッカーで秒殺するんだろ!?」と言うようなものである。
なお、「ジャイアントロボ」の略称である「Gロボ」という呼称は、大体この作品を指していると考えていい。
改めて解説すると、本作は1992年~1998年に製作されたOVA作品。
莫大な制作費を投じて製作された作品であり、その圧倒的な作画、名門ワルシャワ・フィルハーモニーの手による音楽の素晴らしさは、90年代のアニメ作品であるということを忘れそうになるレベルで圧倒的。
忘れがちだが声優も当時の第一線級を通り越して吹き替え界で当時も大活躍していたアテレコ黎明期の重鎮、今で言う大レジェンドを取り揃えている。言ってみればオタク向けのOVA作品に羽佐間道夫、野沢那智、そして中村正など、アニメにおける活躍本数自体は少なめな人選が多いのもそれを物語る。おかげで後にスーパーロボット大戦αに本作が参戦した際、羽佐間道夫にスパロボの出演歴を刻むこととなった。
しかし途中で資金難に陥り、完結させるまで実に6年の歳月を費やした。この間に監督の今川泰宏はGガンダムの監督も手掛けている。
なお主人公・草間大作を演じた声優の山口勝平も、あるラジオ番組で「7日間の話を7年かけて撮った」と笑いながら語っていた。第一話ではまだデビューして3年目の若手だった山口の演技力が、話が進むのに合わせてどんどん成長していく様は、正しく大作との二人三脚での成長と言える。ただし当初の演技は未熟に聞こえるのは大作が子供=子役と捉え、「未熟さを意図した芝居をして欲しい」というオーダーがあったことも大きい。実際リリース後、スパロボαで大作を再演した際、山口はちゃんと当初の子供としての拙さを意識した演技を披露している。
また、資金調達のため、本編とは比べるべくもないゆるい作画+本編流用の番外編作品「銀鈴シリーズ」が展開されていた。知らない人でもアルベルトの入浴シーンと「ワシの梅サワー!」という迷言で知られている作品。
本編は、国際警察機構と世界征服を企むBF団の戦いを描いた物語である。
本作は原作を破壊しないと死んじゃう病患者の今川泰宏が監督を務め、明らかに巨大ロボより強く見える人たちが登場してバトルする(※あまり知られていませんが、本作でも基本的にはロボットの方が強いです)という躁病的な展開になっている。
音楽は天野正道が作曲し、先の通り名門楽団が演奏したその荘厳なミュージックは高く評価され、後に交響組曲「GR」として編曲され、交響曲コンサートでも根強い人気を誇っている。
本作の最大の特徴は、ジャイアントロボを始めとする横山光輝作品のありとあらゆるキャラクターがバンバン登場するという点である。そのせいか、本作を見て横山作品に入ったファンが、原作漫画を見て「あっ、これジャイアントロボのキャラじゃん」などと言う現象が起こっている。誰なんだ、大塚署長の親記事をジャイアントロボにした奴は。
現在は、漫画版・小説版が書き下ろされたほか、外伝OVAも販売されている。
凝った作画と壮大なオーケストラBGMは当然ながら制作時間と予算を圧迫しており、当初は全26話相当のストーリーが展開されるはずであったが、予算と時間の兼ね合いから全7話に超圧縮(事実上の打ち切りと同義だが、完結はしている)されている。一応ラストを除いてリリースとしては打ち切り、とは思わせないくらいしっかり再構成されてはいる。この短縮劇は、発売初期に直撃したバブル崩壊による急激な経済の冷え込みも背景にあったことは想像に難くない。
そのため、後年没案となったストーリーを再構成したコミカライズも展開されている。
登場人物
国際警察機構
- 草間大作(CV:山口勝平)
- 銀鈴/ファルメール・フォン・フォーグラー(CV:島本須美)
- 黒旋風の鉄牛(CV:飯塚昭三)
- 智多星の呉用(CV:江原正士)
- 公孫勝・一清道人(CV:青野武)
- 青面獣の楊志(CV:小宮和枝)
- 鎮三山の黄信(CV:納谷六朗)
- 小李広の花栄(CV:大塚明夫)
- 静かなる中条(CV:家弓家正)
- 両頭蛇の解珍(CV:星野充昭)
- 双尾蠍の解宝(CV:関智一)
- 立地太蔵・阮少二(CV:大塚芳忠)
- 短命二郎・阮少五(CV:佐藤浩之)
- 活閻羅・阮少七(CV:千葉一伸)
- 打虎将の李忠(CV:笹岡繁蔵)
- 小覇王・周通(CV:緒方賢一)
- 不死身の村雨健二(CV:幹本雄之)
BF団
- 策士・諸葛亮孔明(CV:中村正)
- シュワルツ(CV:加藤精三)
- 混世魔王樊瑞(CV:石田太郎)
- 激動たるカワラザキ(CV:麦人)
- 衝撃のアルベルト(CV:秋元羊介)
- 眩惑のセルバンテス(CV:羽佐間道夫)
- 暮れなずむ幽鬼(CV:野沢那智)
- 命の鐘の十常寺(CV:大塚周夫)
- 白昼の残月(CV:中田浩二)
- マスク・ザ・レッド(CV:市川治)
- 素晴らしきヒィッツカラルド(CV:原康義)
- オロシャのイワン(CV:原康義)
- サニー・ザ・マジシャン(CV:白石冬美)
- 幻夜(CV:小川真司)
その他
- 草間博士(CV:矢島正明)
- フランケン・フォン・フォーグラー(CV:千葉耕市)
- シズマ・ド・モンタルバンⅢ世(CV:原田一夫)
補足
超人の活躍シーンばかりが取り沙汰されるが、実はこのアニメ、作画が猛烈にすごくなるのは、タイトルにもなっているジャイアントロボなどのメカが活躍するシーンである。
まともに活躍シーンが描かれるのはジャイアントロボくらいで、シーン自体も短めではあるものの、注目して見てみればその作画枚数、演出、そして魅せ方等はもはや尋常ではない。アニメーター業界を知る人間からすればその苦労を察して立ち眩みがするであろうレベル。
そもそも本作におけるロボットという存在は超人を遥かに超えた存在であり、かの十傑集すら一部の登場シーンではロボットを用いようとしている。
大怪球フォーグラー相手にロボが封じられた後に生身でも対処できるという発言や実際にどうにかできそうなシーンがある為、本気になればやり返せるのではという説もあるのだが、一方で実は十傑集や九大天王でも正面対決ではジャイアントロボには勝てない、という設定があるらしい……。(事実、上記のコミカライズ版でのロボの強さは圧倒的。本編の再構成でもあるので、後付けとはいえ公式設定である)
とはいえ、やはり本作で話題に上がり、大きな支持を受けやすいのは超人達の活躍シーンであるあ、こちらの作画もかなりイカレているとしかいいようがない。しかもその多くが一瞬の活躍シーンしか描かれないキャラクター達ばかりなのが驚きである。
にもかかわらず、敵味方を問わずこれだけ多くの視聴者に大きな印象を残していることは特筆に値するだろう。
先の通りスーパーロボット大戦シリーズでは初の横山作品からの参戦で「スーパーロボット大戦64」「スーパーロボット大戦α」に登場。
ただ、この作品の版権はいろいろなキャラクターを参戦させている関係上かなり複雑に絡んでいるらしく、横山光輝が存命時はなんとかなったが、現在で再参戦させるのは非常に困難だとされている。なおスパロボαDC版では市川治が生前収録していたらしいマスク・ザ・レッドの台詞が残っている。
副題のモチーフ
「地球が静止する日」というタイトルには「地球**の**静止する日」という元ネタがある。
これは1951年に公開されたアメリカ映画「The Day the Earth Stood Still」の邦題(日本では1952年公開)。後年、TV放映に際し「SF地球最後の日」と訳されたこともある。
とか言ってたら、2008年にリメイク作の邦題として「地球が静止する日」が使用されてしまった。
更に同年にはアサイラムによる便乗作品「The Day the Earth Stopped」の邦題に「地球が静止した日」が使用されている。