概要
横山光輝の漫画『ジャイアントロボ』をリメイクしたアニメ作品。映像コンテンツ配信サイト「Sg-TV」で2007年1月19日から7月6日まで配信。10月4日からTOKYOMXでテレビ放送された。
「世紀末という大きな時代の節目にジャイアントロボを代表とする巨大ロボットが活躍する原点回帰的なアニメを見たい」という原作者の横山氏の一言から始まった企画で、原作漫画や実写版、『地球が静止する日』と一切のかかわりは無い。
先に原作版に忠実なパイロット版が制作されたがさらなる検討が続き「現代的な要素と壮大な世界観の必要性」を課題とし、国連機関「UNISON」と謎の機甲テロ組織「GRO」によるグレートゲームに巻き込まれてながら成長してゆく草間大作の物語となった。また、終盤はシリーズ構成の小中千昭が大ファンのクトゥルフ神話を題材としたストーリーとなった。
ストーリー
世紀末。世界各地に謎の巨大ロボットが出現し、古代遺跡を破壊するテロが勃発していた。
与那国島のダイビングショップでアルバイトをしている草間大作は、謎の少女ヴィーに導かれ、古代遺跡の中にいた巨大ロボット、ジャイアントロボの専任操縦者となり、世界の覇権をかけたロボット同士の戦いに巻き込まれる事になってしまった。
登場人物
与那国島でダイビングショップのアルバイトをしていた18歳の少年。詳細は不明だが父親を海で亡くしており、その影響で自らを束縛するようになった母から逃げるようにして与那国島にやってきた。海中で見た謎の少女ヴィーのイメージに導かれるようにしてGR1の遺跡へたどり着き、GR1と契約し、覚悟も定まらぬままに世界や地球や宇宙を巻き込んだ壮大な戦いへ赴いて行く。半ズボンは履いてくれないが水着でその名残が見受けられる。
- アレックス・マッケンジー(CV:朴璐美)
国連機関UNISONに所属する調査隊隊長。与那国島の海底遺跡を発掘する際に独自で事前調査へ乗り出し大作と出合う。その後起動したGR1やGROとの戦いへ巻き込まれていく大作を名目上保護し、かつ自陣営へ引き込むために奔走する。当初こそ大作をGRを手中に収めるためのカードとして見做していたが、彼の生い立ちや人なりを知るにつれ同情的になってゆく。一応軍人なのだが、研究職からのスライドなのか諜報や暗殺については脇の甘い場面が散見される。
恐らく特撮版の「南十郎」がモチーフであり、OVA版の銀鈴や不死身の村雨健二に該当するポジションかと思われる。
謎の機甲テロ組織GROに匿われている悲しい目をした12歳ほどの少女。赤い目と異様なほど白い肌と脱色した毛髪が特徴なことから、先天的アルビノであると思われ、普段は車椅子で移動し歩くときは杖をつくが、生育環境のせいか泳ぐことは得意。擦れるような声で話し、度々大作の前に現れてはその指針を示す。その正体は古代人の残した情報媒体「エメラルド・タブレット」からGROによって塩基配列を再現して生み出されたデザイナーベビーであり実年齢は五歳。ヴィーはオリジナルでディーはクローン。GRシリーズと接続することでその解析に役立てられたが、己の出自から内心厭世的になっており、終盤その精神をGR0に利用されるも、大作の声はしっかりと届いていた。エピローグでは立ち直ったのか与那国島で水着姿を見せてくれる。
いやもう単純にかわいい。
自衛官。UNISONの一員。三国志かあっちのジャイアントロボに出てきても違和感のない横山光輝顔だが、このテイストは大作の他に彼一人のみ。
研究員。純粋な科学者ではあるようだが、アメリカネバダのUNISON本所ほど科学へ陶酔している様子ではない。
UNISONの一員で、諜報から銃撃戦、ヘリの操縦までなんでもござれ。目的のためなら手段を選ばない性格で、同僚のマッケンジーからは疎まれている。実は一時期敵組織のGROに所属しており、スパイがバレそうになって逃げた過去があり、彼の頭部にはGRと接続するためのインプラントが埋め込まれている丸坊主でダーティなオッサン。何の負担もなくGRと契約した大作へは鬱屈した思いを抱えつつも戦闘ではアドバイスを欠かさない。終盤は念願叶ってGR4を操り、因縁浅からぬホッジスと対決する。
- ゲイリー・H・オーツ(V:石塚運昇)
UNISONの司令官であり現役のアメリカ軍人。プロ意識が高く洞察力に優れ高圧的。日本からGR1を引き剥がすために世論をGR放棄論へ向けさせるべくあえて事態を放置して状況を悪化させるなど、抜け目のない策士。世界平和を口にするも本質的には自国の利益を優先させているため、最終的にスポンサーに利用される。
敵組織のGROの前線指揮官であり元グリーンベレーの紳士。退役後もかつての部下や同僚からは慕われており、人柄でGROの人材面を支える。安定運用できないGRシリーズに苛立ちを覚えつつも軍人としての本懐は成していく。薬漬けのGRオペレーターたちをモノのように呼び扱うが、難病を抱えた娘がおり、治療費を稼ぐためにGROと契約しているせいかどこか後ろめたさを隠し切れていない。終盤、大作と顔合わせを果たし、世界の展望、己の生きる意味やGRに関わる者の矜持を説いて自らGRのオペレーターとして出撃する。テキサス曰く「いい奴」。
GROの前線副官であり、各オペレーターの管理を任されている。ホッジスよりも使い捨てられるオペレーター側に心情が傾いており、ダコラーを出撃させる際はオペレーターの脳負担を懸念し反対したほど。しかし他方オペレーターを薬漬けにし軽々しく洗脳を口にするなど、人道的と言うよりマッドサイエンティスト寄りなのかもしれない。ホッジス亡き後は「南極にでも行ってみる?」と発言し続編を匂わせる素振りを見せたが結局物語からフェードアウトする。
- セレスティーヌ・ブニュエル(CV:百々麻子)
GROに所属するヴィーの侍女だが、その実卵子提供者であり生物学的には母親に該当する。組織側の方針なのかヴィーには必要以上のやりとりは行わないが、終盤で窮地に陥るGROから大作にヴィーの奪還と脱出を示唆し「母親としてやれる最後のことかも知れない」と漏らす。巨乳。
- マックス・チャップリン(CV:家弓家正)
BFNという国籍を持たない放送局のキャスター。飄々として軽妙な口調が特徴的で、どこの国や組織にも加担せず歯に衣着せない物言いで世界を様々に述べ伝えて行く。本編後のオマケ裏話コーナーも担当。「そんな自分に腹が立つ!」とか言って生身でロケット噴射して特攻するグラサンパイプの超人イケオジではないが、この配役になんの裏も無いはずが無く…
- マリア・ヴォイニッチ(CV:千葉紗子)
BFNの突撃レポーター。まるで物怖じも遠慮もせずにどこにでも首を突っ込んでいく性分で劇中様々な方面から煙たがられるが、その報道者精神は本物であり終盤情報統制を始めた大手メディアと自局に対してカメラマンと共に単独で立ち向かっていく。
与那国島のダイビングショップの社長。訛りはないがウチナーンチュらしい気長で大らかな大人で、朝から花酒を飲んで顔を赤くして大作に注意されるほど。家族は居ないのか一人で暮らしており、大作には「ずっとここに居る気は無いか?」と誘っている。最終回のエピローグで再は、酒癖が少し改善したようである。
組織
- 国連機関 UNISON
世界中の遺跡を発掘しGRの回収と運用実験を繰り返す秘密組織だが、その実態はアメリカ軍であり、世界中の同盟国基地はもちろん嘉手納基地や横須賀基地といった日本の駐日米軍施設にも出入りする。諜報機関としての側面も持っており、テキサスやディーといった敵側と繋がっていた人材も抱える。特撮版の「ユニコーン機関」がモチーフとされる。
- GRO
何者かの思惑によって世界中からかき集められた腕っこきの傭兵集団。元米軍関係者も多く資金も潤沢であり、ことGRの運用については実用段階にこぎ着け一歩先を進んでいる。しかし実働部隊はともかく研究員や上層部は謎に包まれており、世界的科学信奉主義の「ヘルメス主義者」という存在が裏で関わっているとされるが…
- BFN
ストリーミング配信を行うニュース放送局。「世界で唯一国籍を持たない」を銘打っており拠点を世界各地に分散させている。どんな局よりもいち早くGRに関する報道を行い、世界中の話題や世論をかっさらっていってる。反面、権力中枢部は謎に包まれており、目玉キャスターのマックスですら誰も直接会ったことはない。
GR
今作における機動兵器の名称。
5万年前、宇宙からやってきて超古代の地球を支配していた侵略軍「古き神々」を時空の彼方へと追放するため、古代人類(身長は現人類の二倍と予想される)が作ったもので、古き神々が再生を果たした地球を再び狙ってやってくる場合を想定し、8体のGRが残されていた。もし現代の人類によってGRが発見され、GR同士が戦いすべて破壊された場合、人類に裁きを下す9番目の機体であるGR0が復活する。
操縦するものは「契約者」と呼ばれ、ブレスレット型の操縦装置で音声によってGRを操作する。このブレスレットは契約者と完全に一体化しており通常時は体内に格納される。契約者はGRと契約した時点で遺伝子構造が書き換えられ、不死身の存在となる。しかしGRを操作している契約者の肉体はGRと感覚を共有するため、GRが破壊されれば契約者は死に至る。
各GRの頭部にはアバターと呼ばれる脳髄に該当する器官が存在し、ここを破壊されると脳を壊されたのと同じになり起動できなくなる。表面は暗い水色で、形状は何らかの胎児のように見える。アバターはある程度の自意識や感情があり、契約者がたとえアバウトな命令を下したとしても行動ができる。おなじみの「がんばれ、ロボ!」などのザックリとした指示で動くことへのアンサーであり、劇中も「具体的に指示をするより強い意志を込めた方がよく動く」と解説される。
GRO側のGRは契約せず無理やり動かした影響でブレスレットがなく、アイアンメイデンと呼ばれるカプセル型のコックピットに入り、頭部にインプラントされたターミナルを使ってGRとバイタルウェーブを共鳴させて操縦する(なおインプラントの都合上男女構わずスキンヘッドにしなければならない)。オペレーター(操縦者)は世界中からかき集められた腕っこきの傭兵で、平時と戦闘で性格が豹変する。任務中はダブリンやキエフなど出身地名で呼ばれる。当事者たちに言わせれば「GRで戦っているときのオペレーターは全能感で満たされる」と語っており、起動するだけで死の危険性すらある代物に金銭で契約する理由はこの辺にありそうだ。
世間には一般に「遺跡を破壊して回る謎のロボット」という認識が成されているが、こういった情報を伝播させているのには自社ヘリでいち早く現場に向かうBFNが大きな一因となっている。
別名「エドフの鉄神」
与那国島の海底遺跡に眠るピラミッドに安置されていた。
重力を操る力を秘めており、見た目よりも俊敏。自らの周辺を重力崩壊させて瞬間移動地味た跳躍も見せるが、この時周辺の重力子崩壊を起こすため放射線被害が出るとされる。これは、原作やOVAでもあった「ロボの動力は原子力」の名残と思われる。
中盤背中にダコラーをおんぶして取り込み、前腕を伸ばして射程距離を伸ばす。目の破壊光線などは原作から引き継いだが、現代生産のOVA版とは違うためかミサイルなどの飛翔兵器は持ち合わせていない。
外見は漫画版や特撮版のオーソドックスなジャイアントロボとOVA版のマッシブな体型の中間にある。
おなじみの突撃する三日月型アンテナが目立つ海戦型GR。大抵のGRシリーズが1回しか戦えない中2回戦えてる。原典通り海中のGRで航行形態を持つが、長距離移動の際は旧ソ連のタイフーン級を二艘横に繋げた形のカーゴに乗って運送される。
初戦では伝統の強力ブレス手が運用段階ではなかったが、二戦目ではオペレーターを超能力者のダブリンに切り替えサイ・コントロールシステムを使って運用にこぎ着け、GR1を追い詰めた。
こちらもおなじみ航空戦用のGR。原作よりもより細身でリアルロボット然としたディティールが追加されている。本来持っていたグラビトン兵器やレーザー光線の他、空対地ハープーンミサイルやレールガンなどの現代兵装で固めている。
移動の際はB-2に大型カーゴを積載した機体で運ばれる。あんなクソデカ巨体でさらにステルス機能を維持できるとか…
オペレーターのキエフはスキンヘッドで眼力の強い女性。戦闘中に音楽を楽しみ、航空自衛隊を前に指先レーザーを使って相手を玩ぶような狂気じみた素振りを見せる。
特撮版のカラミティ(にせジャイアントロボ)を彷彿とさせる、GR1の同型機。60年代ネバダ砂漠の地下核実験を契機に発見された機体であり、このGR騒動に米軍がいち早く適応できた要因。長らくGR解析の為に保管されていた機体だが、動けるGR1を手に入れたことで起動に成功する。
ディザスターのペットネームを与えられている。
基本的にGR1が持っている兵装と同等のものが備わっていると思われるが、手を変形させてドリルにすることが出来る。
終盤GR5と交戦した際は搭乗者のテキサスの闘志を呑んだ影響か怪しく目が赤く発光した。
アルゼンチン山中で発見されたGR。鉄人28号のモンスターめいたとんがり頭のシルエットが特徴的。
全身から突起物を隆起させる機能を持っている。契約を満了したホッジスがオペレーターとなり、テキサスの駆るGR4相手に最後の戦いに出撃する。
見せ場なく終わったGR。ネバダにGR4と一緒に安置されていた。回想映像では手から電撃の玉を浮遊させていた。設定画では緑色のため、横山光輝の初期作「みどりのまおう」がモチーフか?
見せ場なく終わったGR。中国、ロシアによって発掘されるも事を急いだせいか直後に暴走。角の形状からやはり「みどりのまおう」がモチーフか?
GROでは唯一ダコラーというペットネームで呼ばれる機体。原作では怪獣だったが今回は機械。人の形をしていないGRはオペレーターに脳に多大な負担を強いるとされ活用を忌避されてきた。光線などの飛び道具は持っていないが柔軟で怪力な触手で相手を拘束する事が出来る。起動中オペレーターは狂ったように全身を震わせているため負担は大きいようだ。
GRシリーズにカウントされているが、先述のようにGR1に取り込まれたことと下記GR0が起動したこととから鑑みて亜種に該当するのではないかと推察されている。
または、GR1と合体した際に上部球体パーツと機関砲2門を分離し、頭部も胴体に収納されている。この時点でGRとしての独立機能を失い、GR1のユニット扱いになったためにGR0が起動したとも考えられる。(漫画版ではユニット状態でオペレーションシステムが起動しているので微妙…)
全てのGRが人類の手によって破壊された際に、地上の人々を抹殺するために遣わされる神の使者。口にGR1が納まるほどの巨体で、状況に応じて変形する。戦闘以外でも周囲に放射線をまき散らし地球人類抹殺を企てる。
横長の形状や色やその設定からモチーフは言うまでもなくマーズのガイアー。六神体のように人の形はして居らず、マーズの頭部のみが浮いて出てくるが、ヘッズと呼ばれる小型の随伴機を大量に吐き出し波状攻撃を行う。
機動の際はヴィーの意志と肉体を取り込む。
…超能力やバベルの塔といった話が出てきたあたり、このアニメがOVA版とは別のアプローチでスターシステムを行おうとしたのではないかと類推できる。
余談
オープニング曲「Answer」のサビで「この手ー伸ばしてーいまー」のシーンでヒロインのヴィーが画面に手を伸ばしているのが印象的。
円盤に封入される応募券から、「爆裂造形フィギュア」が購入可能という謳い文句が散見されるが、実際に販売された形跡はない。そのため、公式ページで期間限定配布されたペーパークラフトが唯一の立体物ということになる。悲しい。
関連タグ
ラーゼフォン…勇者ライディーンと新世紀エヴァンゲリオンの影響を強く受けたロボットアニメ。古代遺跡テイストが強い作風も似ている。
生成文法…終盤で僅かに話題に上がる。奇しくも伊藤計劃が虐殺器官でメジャーデビューした当たりの年代であり、影響を受けた物と思われる。