あらゆる武器がこれを操る者の身体の外延を成すとするなら、激烈な化学反応によって毎秒800mを超える速度を獲得した弾丸とは、速度と慣性質量の合成エネルギーと化して他者へ打ち込まれる意志に他ならない。
その意味で、断固たる意志の表象たる鉄拳を発射し、これをロケットパンチと呼称したかのロボットアニメは直喩的表現において、正に正鵠を射ていたと言っても過言ではない。
(ミニパト第一話より)
概要
ロボットの腕部をロケット(あるいはそれに類する装置)で推進させ、質量弾として撃ち出す武器。
由来・初出
実はロケットパンチを使うロボットの元祖は漫画版『ジャイアントロボ』第二部に登場したGR2の「強力プレス手」である。
しかし、やはり有名なのは、その武器の命名を担い、絶大な認知度を誇る『マジンガーZ』の代表的な武器としての「ロケットパンチ」だろう。
主題歌「マジンガーZ」では、あの水木一郎アニキが高らかに「飛ばせ鉄拳!ロケットパンチ」と歌い(ブレストファイヤーよりも先に出る)、単刀直入かつ明快な名前は日本全国のお茶の間に瞬く間に伝わったのだろう。
マッハ2で飛び、半径2㎞圏内なら自由自在に操作可能。
発射した後は指先から小型ロケットが逆噴射して腕に再装着されるが、この描写は省略されてしまうことも多かった。マジンガーZにはフィンガーミサイルが地味に装備されていて(使用回数はわずかだが)、ミサイルと逆噴射という矛盾した構造が詰まっている。
初登場は第2話と早かったが、ガラダK7を転倒させるに留まり、決まり手は光子力ビームやルストハリケーンに譲る形となっている。
ちなみに永井豪の自伝漫画「激マン!」によると、マジンガーZのロケットパンチの元ネタとなったのは「デビルマン」のシレーヌ戦とのことである。
他にも永井豪の発言として「ボクシングを観ていて『リーチが長い方が有利なら、いっその事腕を飛ばしたらどうか』と思ったことから」「疲労困憊な状態で『こんな時に手が切り離されて戸棚からお菓子を持ってこれたなら』と思ったことから」思いついたというモノもある。
ポピー(バンダイ)から発売された超合金ではアニメや特撮本編ではロケットパンチを使用しないロボでもロケットパンチを発射するような仕掛けがあった。
主なバリエーション
- アイアンカッター
- 前腕部に仕込まれたカッターを展開させて放つロケットパンチ。実は作中、これで切り裂けなかった(仕留め切れなかった)ものは存在しない。
- 劇場版「マジンガーZ/INFINITY」では、カッターのみを展開して斬りつけるという使い方も披露されている。
- 大車輪ロケットパンチ
- 腕を振り回して勢いをつけて放つロケットパンチ。威力は遠心力と回転を伴った結果、3倍にまで跳ね上がった。アニメ後半期で登場し、ブレストファイヤーと並ぶ必殺技となった。
- スクランダー装備時は腕を横に回すか、或いは、翼を後方に折り畳んで使用する。『INFINITY』ではそれに加え胸の放熱板も可動して腕の回転域を確保している。
- 強化型ロケットパンチ
- ブレストファイヤーが撃てないほど限界が来ていたマジンガーZに装備された一度きりの特殊武装。
- 真マジンガーZEROでは強力ロケットパンチや超力ロケットパンチとも呼称される。
- スーパーロボット大戦では不遇な武装だったが漫画で使用した際は地獄大元帥を撃破した。
- アトミックパンチ
- グレートマジンガーが使用する回転しながら飛んで行くロケットパンチ。
- ドリルプレッシャーパンチ
- ターボスマッシャーパンチ
- マジンカイザーが使用する高速回転するロケットパンチ。ドリルプレッシャーパンチとは異なり、始めから刃物が出ているが強化版に当たるものはない。
- トルネードクラッシャーパンチ
- マジンカイザーSKLの使用するロケットパンチ。ターボスマッシャーパンチと機能は変わらないが、攻撃よりも武器回収など応用で使うことが多い。「戻って来るまでがまだるっこしいんだよな」
- ビッグバンパンチ
- ゴッドスクランダーを装着した状態から変形し、機体そのものを黄金に輝くゼウス神の右腕へと変化させ、巨大なロケットパンチとして突撃するというもはやロケットパンチとして分類していいのか迷う程の攻撃。
- ロケットパンチ100連発
- K.K.「能ある鷹はパンチを隠す!」→Dr.ヘル&視聴者「馬鹿か!」
- ビッグバンパンチをも上回るトンデモな攻撃。文字通りですらなく、「100」などという数字にはどう見ても収まりきらない膨大な数のロケットパンチを操り、一斉攻撃を行わせる。これらのロケットパンチは合体して、一つの超巨大ロケットパンチにすることも可能。
- 超光子力ロケットパンチ
- 劇場版マジンガーZ/INFINITYに登場。
- 56億7千万%というとんでもない出力の光子力を収束、一時的に巨大化したマジンガーZから放たれる、光り輝く巨大なロケットパンチ。終焉の魔神が進化の過程で切り捨てた元祖ロケットパンチの正当かつ究極の発展形。
- ロボットガールズZに登場するZちゃんのロケットパンチは、手袋が飛ぶ。
ロケットパンチの別呼称
作品によって様々な呼称(ブーストナックル、ブロウクンマグナム、等々)やバリエーション(アトミックパンチ→回転、アイアンカッター・ドリルプレッシャーパンチ→刃物を追加、等)があるが、カテゴリの総称として「ロケットパンチ」で通用するケースが殆どである。
派生兵器
純粋なロケットパンチに分類される物にも有線式のものが見られるが、
ここでは有線式ありきの戦術を持つ物や遠隔パンチ、ズームパンチ系の兵器を記載する。
呼称 | 登場作品 |
---|---|
有線サイコミュ | 機動戦士ガンダム 他 |
有線クローアーム | 機動戦士ガンダム0083 他 |
ディスタントクラッシャー | 機動武闘伝Gガンダム |
ワイヤードフィスト | 機動戦艦ナデシコ |
チェーンナックル | 超電磁マシーンボルテスV、真ゲッターロボ対ネオゲッターロボ |
ワイヤーフックパンチ | 轟轟戦隊ボウケンジャー |
チェーンパンチ / ロケットチェーンパンチ | 電人ザボーガー |
ロケットアーム | GS美神 |
無限拳 | 創聖のアクエリオン |
バレットアーム | 鉄のラインバレル |
エルボーロケット(吹替版ではロケットパンチ) | パシフィック・リム |
アームパンチ | 装甲騎兵ボトムズ |
ロケットパンチが登場する作品
ロボットアニメ
ゲーム
スーパーロボット大戦 | FF5 | メタルマックス | サガシリーズ |
クロノトリガー | ロックマン | スーパーマリオRPG | ツインビー |
とらいあんぐるハート | すれちがいシューティング | リモートコントロールダンディ | ギガンティックドライブ |
Fate/GrandOrder | MGSV | ファミコンジャンプ |
その他作品・キャラクター
関連イラスト
関連項目
アトリ(ATRI):自身の必殺技としてロケットパンチと言っているが、勢いのあるパンチをするもので例に挙げられないものの、この名称を使っていたからかアニメ第4話のエンドカードでロケットパンチの元祖マジンガーZと描かれた。