“不死(アンデッド)”アンディ “不運(アンラック)”出雲風子
この物語はこの二人が
最高の死を見つけるお話
概要
漫画家・戸塚慶文の作品。既刊23巻。
週刊少年ジャンプの2019年9号に読切『アンデッド+アンラック』が掲載。2020年8号より『アンデッドアンラック』のタイトルで連載が開始された。
何をやっても死なない不死のアンディと触れた者に不運を与える風子が出会い、二人で数々の困難を乗り越えていく爽快ダークファンタジー。
公式ではピカレスクなヒーロー作品ともされている。
話数表記(ナンバリング)は「No.00■」のシンプルな表示。
本筋は熱いバトル及び風子とアンディの関係性の変化を描くなどの王道を抑えつつ、少年漫画的にギリギリに思われる過激さと随所に緻密な伏線が散りばめられた精巧さを併せ持つ。
公式および読者間での略称はアンデラ。
david producutionの手によってテレビアニメ化され、毎日放送ほかにて放送されたことがある。詳しくは『アニデラ』を参照のこと。
あらすじ
愛した両親を抱きしめた瞬間に「不運」の能力が発動し、両親含む数百人を飛行機事故で殺してしまった過去を持つ風子。そのトラウマから10年間ずっと他者と関わりを持たない生活をするようになり、推し漫画が完結した日に遂に自殺を決意。
そのまま電車に轢かれて死のうとしたところ、大胆不敵な不死の男アンディと出会い、風子の運命は大きく変わることとなる。
「死」や「運」といった事象を否定する「否定能力者」である二人は、同じく否定能力者のみで構成された組織・ユニオンへと加入し、理(ルール)を司る怪物・UMAの討伐など、黙示録(アポカリプス)の提示する課題(クエスト)を仲間たちと共にこなしていくことになる。
死、病気、性別、腐敗、銀河、四季といった、世界に当然のものとして存在する事象は全て課題失敗の罰(ペナルティ)として神が追加したものであり、否定者たちの能力発現やUMAによる人的被害も、神が起こした悲劇である。
アンディと風子、そしてユニオンのメンバーたちは、世界の不条理を生み出す神に立ち向かい、人類の勝利を目指して戦っていくことになる。
登場キャラクター
主人公
年齢:18歳
否定の能力:不運
ニット帽を被った童顔の少女。前述の過去から人と関りを避けていたが、根は明るい性格。
女の子らしいオシャレや恋に憧れを持っており、それが生きる理由となっている。
年齢:???歳(少なくとも100年以上生きている。)
否定の能力:不死
ほとんど常に半裸・全裸の悪者顔で不死の男。粗暴でがさつだがサッパリとした性格であり、人によってはそこに惹かれる。
自称・100年以上生きているだけあって人生経験は豊富であり、美容師?や傭兵だった時期がある。
風子の不運で殺してもらうために、彼女と行動を共にしている。
額のカードを抜くことで別人格が出現する。
その他のキャラクターはアンデッドアンラックの登場キャラクター一覧を参照。
用語
一見すると現代社会を舞台にした異能バトル系のようだが、「星」や「曜日」の概念が存在しないなど、不可思議な点が目立つ。
それはアポカリプスの提示する課題(クエスト)と、それにまつわる罰(ペナルティ)に理由があった。
この世の理を否定する存在。
一定の条件を満たすことで他者に対して発動する他対象発動型、自分自身に対して常に発動し続ける強制発動型などの種類がある。前者は風子の「不運」、後者はアンディの「不死」が該当する。
その能力はどれも常識から外れているが、否定者自身の能力の解釈によって力が進化することもある。
UMAとは【未確認動物:Unidentified Mysterious Animal】の略称。
本作では世界の理(ルール)そのものを司り、またそれを強いる存在として登場する人外。姿形は様々でバケモノ然とした形態をしている。
UMAが追加されると、そのUMAの司る事象が存在する世界に改変され、逆にUMAが倒されればその事象は消滅する。
対未確認現象統制組織、通称“ユニオン”。UMAや特殊な能力を持った者達を監視・調査している。かつてアンディは10年間この組織に幽閉され実験台となっていた。
組織の中には否定者10人で構成されたチームがある。
手下も含め構成員は翻訳機を兼ねた赤いネクタイを着用している。
特殊な能力を帯びた道具(アイテム)。世界の各所に混在して埋没しているオーパーツであるらしく、棒状の武器や義手義足状のモノなど形状は様々である。
本作における全ての元凶。万物の頂点に君臨する超常の存在であり、世界に理(ルール)を追加し、否定者に能力を付与して人生を破滅させるなど、超越者としての力を欲しいままにしている。
最期の罰(ペナルティ)の果てに起こる出来事であり、円卓のボスであるジュイスと、不死者であるヴィクトルのみが、神との戦いを経て幾度もこれを経験している。
作品の特徴
作者・戸塚慶文はUMA(ユーマ)や陰謀論や宇宙の謎といった不確かなものが大好きで、本作『アンデッドアンラック』はその「不確か」が本当にある世界を描いているとのこと(因みに作者は自分達の世界にも、謎めいたモノはあると思っている)。《単行本2巻の表紙コメントより》
作中では、人間が本来抗うことが不可能な超常の存在が敵として描かれており、不確かな現実と向き合い、苦しみながらも挑み続ける群像劇を描くための趣向が多彩である。
例えば―
- 秀逸な伏線とそれを回収した上で読者を驚かせる展開が大盛りで、どんでん返しや番狂わせが非常に早い。また、作中の会話だけでなく吹き出し外の言葉などにも現状(ルール)の理解に対するヒントがある場合もあり、1話だけでも情報量が多い回もある。
- 作者の大好きな不可思議(オカルト)のオマージュが多く、顕著なのが異常存在を確保・収容・保護する架空の創作群【SCP】を題材にしたと思われる要素が多い(例:機密情報に「■■■」と黒く塗りつぶす演出)。そういった知識(ルール)を知った上で読むと楽しめる趣向が練られている。
- W主人公で描かれる本作の男性主人公・アンディは不死の男。自分の体を負傷しながら戦う都合上、自然と半裸・全裸になるため必然的に股間へ海苔が付く。更に戦闘が無い回でも股間への「■」が必ず1コマ以上登場する。作中だけでなく扉絵に登場させる事もあり、作者自身は〝まさかこんなにモザイクまみれの漫画を描くことになるとは思ってなかった〟との事。《単行本1巻の表紙コメントより》それもあってか、公式Twitterでは連載情報と共にモザイクの回答イラストも配信している。詳細は《Twitterの【アンデラ】》を参照。
- 否定者やUMAといった存在との能力バトルは超常的なモノだけでなく、現実世界にもある科学法則(ルール)なども盛り込まれている。そして能力発動に関する理屈(ルール)を推測しながら迫力あるバトルアクションが描かれている。
- 上記の戦闘(バトル)の他にラブコメも盛り込まれている。W主人公で描かれる本作の女性主人公・出雲風子は少女漫画のような恋に憧れる少女。主に彼女の精神的な成長と共に恋心が育まれる様が描かれる。
作品のテーマについて
本作は「神」という絶対的な存在に立ち向かう者たちの戦いが描かれており、作中には「不死と不運は運命を否定する」という言葉がある。
風子とアンディが「運」と「命」を否定する能力者であることを踏まえると、『アンデッドアンラック』というタイトルには「運命を否定する」という意味が込められていると考察できる。
作者の戸塚慶史は「つらい境遇の人も、みんな肯定したいという思いでこの作品を描いています」と語っている。
余談
本作は作者の大好きな【謎】が多く多彩である事もあって、今後の展開・作中の描写への考察要素が膨大である。小さなコマのさりげない描写が伏線であることも多く、何度も読み返すことで新たな伏線を発見し考察を楽しむ読者も多い。物語全体を読むことでようやく理解できる伏線もあるため、読者の考察を参考に本編を読み解く楽しみ方もある。
※その場合、それらは非公式な情報なので参考程度に留める事を推奨する。
ジャンプ本誌の巻末にある作者コメントにて、たまに本作の小ネタが書かれている。
例 2020年「週刊少年ジャンプ」27号で登場したぬいぐるみについて
A ヒロインが貰ったのは「コッペパンパンダ」で、女友達?が持っているのは「食パンパンダ」との事。
Twitter/Xでは
2020年2月より「アンデッドアンラック公式」として本作の連載・関連情報がTwitter配信されている。また、同時期にアンデラの公式英訳担当・David Evelyn氏のアカウントで連載・英訳関連情報がツイートされている。
初期のツイートでは「公式PVも公開中!」や「試し読みはコチラから!3話まで、100ページ以上を期間限定無料大公開中!」のツイートがされている。
また「…風呂上がりに素っ裸で鏡に向かってポーズを取ると、アンディのコスプレになる事を発見しました。日本一気軽に主人公のコスプレができる(かもしれない)…」
のツイートもあって……幸い?ながら平成ではとにかくほぼ全裸でも明るかったり、ほぼ100%全裸で活躍する不真面目(コメディアン)の男達がいる。彼らを参考にすればアンディのコスプレになりそうだが…
※時と場とモラルを考えないと、組織(ユニオン)ではなくお巡りさんがやってきます
2020年2月には「この漫画のタイトル、どうやって略せばいいの?」とよく質問が届いていたようで、作者・戸塚慶文は「なんでもいいんですけどねー」派でした。後に『アンデッドアンラック略称どうすんべ問題』と議題にされ、一応の決着として「公式略称は【アンデラ】になります。繰り返します。略称は【アンデラ】です!」と作者が描いた1枚の絵(女主人公・風子が【アンデラ】の看板を持って記者会見されている画)付きでツイートされた。
同年3月には週刊少年ジャンプ2020年1号〜13号まで、無料公開のPRを(必然に海苔が付く全裸姿の)不死の男が不運の女を肩車するシュールなイラスト付きでツイート。
数日後には1巻の単行本作業で、作者・戸塚先生から「単行本のおまけが思い付かない…」とSOSがあり、続けて「#アンデラ #単行本おまけ募集」のハッシュタグを付けておまけ募集の受け付けが、中華服の青年と日本人の少女がおまけ(仮)・質問コーナーについて掛け合いする2コマの画付きでツイートされた。
とある作中のイベントをきっかけに1話に最低1回は登場するアンディの股間を規制する黒海苔の発見難易度が上がり、No.12の告知以降「ウォーリーを探せ」のノリでその話数ごとの海苔ポイントの正解発表が次号発売の直前に戸塚先生描き下ろしのラフイラストで行われるようになった。
この通り、公式アカウントによるおまけ要素が豪華であり、一連の描き下ろしイラストはほぼすべてが単行本のおまけページに掲載されている。
担当者が変わったのか、現在はトレンドに乗っかって広告を表示するという力業による宣伝がなされている(しかも、ほとんどは他誌の作品)。
一部は作品名をぼかしながらで画像も使われないが、ボイス付きのため流石に許可は取っているだろう。
しかし、前々からXに蔓延っていたHなアカウントと何ら大差ない宣伝方法で、一部のユーザーからは問題視されている。
単行本の【アンデラ】
単行本では上記の【TwitterでSOS】を参考にしてか、キャラクターのプロフィールや作中の補足が描き下ろしされている。
また、公式Twitterに投稿したイラストやモザイクの答え合わせイラストも収録されている。
その他
2020年4月。ジャンプで連載していた日本一慈しい鬼退治に称賛コメントをした奈須きのこ(TYPE-MOON)氏が、自身のサイトにて本作の(好評な)感想を配信した。
2020年。ニコニコ漫画とダ・ヴィンチ合同主催企画「次にくるマンガ大賞2020」にてノミネートされ、コミック部門大賞(1位)を受賞した。今後より一層の活躍が期待される。
関連サイト(外部リンク)
- 戸塚慶文 - Wikipedia
- 戸塚慶文(漫画家)の作品情報・クチコミ - マンバ
- 『アンデッドアンラック』戸塚慶文「つらい境遇の人も、みんな肯定したいという思いで描いています」【インタビュー】 - ダ・ヴィンチニュース
- 『アンデッドアンラック』|集英社『週刊少年ジャンプ』公式サイト
- アンデッドアンラック公式 - Twitter
- TVアニメ『アンデッドアンラック』公式サイト
- アニメ『アンデッドアンラック』公式 - Twitter
- アンデッドアンラック - ニコニコ大百科
- アンデッドアンラック - Wikipedia
▲アンデラ公式英訳担当アカウント
▲連載開始時期が同期であるマッシュル-MASHLE-と共にBOOSTキャンペーン特設サイトが設けられている。
▲声優の三石琴乃によるナレーション付きの4本のPVを閲覧可能。4本すべてを視聴すると…?
▲登場人物の人気投票企画特設サイト。
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読切版:アンデッド+アンラック
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