解説
神聖ソラリス帝国には巨大な食糧生産および研究施設がある。
先進技術によって完全にオートメーション化されており、人間のスタッフ無しで稼働することが可能である。
該当シーン
ソラリスから脱出を測る最中、この施設に潜入したフェイとエリィ、シタンは途中で山積みになった缶詰を見かける。
腹が減っていたフェイとエリィはその缶詰を食べるが、シタンは「私は遠慮しておきます」といって口にしなかった。
その先の部屋ではさっき食べたその缶詰が、膨大な数のベルトコンベアに乗って次々と生産されていた。そして、ある扉の前でシタンは二人に告げる。
「あなた達は、あの食料を食べました。そのことをよく認識して、その扉を開けて下さい。」
彼らが扉の向こうで見たものは………………
そこにはベルトコンベアに乗せられ、プレス機で粉砕され、食品として加工されてゆく「人」の姿があった。
厳密には、それは「人」ではない。
遺伝子異常を起こし、変異体となった者。
研究施設で人体実験の末に廃棄された者。
ソラリスに拉致された地上人のなれの果ての姿。
地上では「ウェルス」と呼ばれていた化物である。
つまりフェイとエリィが食べたのは、『元は人間だったもの』だったのだ。その事実にエリィはその場で吐き、フェイは絶叫するのだった…
ウェルスを運ぶ部屋は音響がかなり凝った作りとなっており、ウェルスを落とす装置に近付くとおどろおどろしい音が響き、プレス機に近付くと一転して無機質なプレス音が鳴り響く…と見せかけて時折プレス音がウェルスの断末魔の悲鳴に差し変わる(中には人間の女性の悲鳴に近いものも…)、とプレイヤーの精神をこれでもかと抉ってくる。
元ネタ
本エピソードは殆ど映画『ソイレント・グリーン』そのもの。
だがゼノギアスでは、この後に衝撃の事実が待ち受けている…
詳細は当該記事を参照。
反応
作中でも屈指のトラウマシーンという事もあり、2021年3月11日のTwitterのハッシュタグ『#おまえらのゲームのトラウマ挙げてけ』で代表格の一つとして挙げられていた。
ドラゴンクエストシリーズやファイナルファンタジーシリーズ、ドラッグオンドラグーン/NieRシリーズと言ったスクウェア・エニックスの作品や、ポケットモンスターシリーズやモンスターハンターシリーズといったようなものも挙げられる中で、ピクシブ百科事典の注目記事となったのである。
真の解説
重大なネタバレが含まれているので注意
「ソイレントシステム」の真なる姿は、中盤以降に明らかとなる。
ソラリスへの反旗を翻す為、カレルレンによって施されていた対ソラリス認識改変用の遺伝子処置、通称「刻印(リミッター)」が、フェイ達の手によって大気中に散布されたナノマシンによって解除される。
しかしそれにより、一般住民が異形の者へと変化。「人」ではなく、本来の能力が開花された「ヒト」に変貌してしまう。
それは「神」……恒星間戦略統合兵器『デウス・システム』の生体部品としての存在にすぎない。
そもそも刻印はデウスの部品として組み込まれた時にデウスを乗っ取るようカレルレンが仕込んだものであり、いずれ刻印が解除されるのも想定の範囲内だった。
こうして人ならざる「ヒト」=「ウェルス」に変貌した人々は、体の構造が急激に変化してしまう為、それに耐え切れず寿命が非常に短かった。
そのため、変貌前の「人」の血肉を食らって寿命を少しでも伸ばそうとした。重症になった者は、軽症の者の血肉すら求めた。
ちなみにウェルスは言語を解し喋ることもできるが、全身から酷い痛みを感じている。その苦痛を少しでも和らげるため、理性をかなぐり捨てて捕食を行うのである。
こうした人々を隔離し、分子レベルで分解融合させ、より完璧な1個の生命体…「兵器」に作り変えるための施設。
それこそが、真の「ソイレントシステム」。
同時に、ガゼル法院の「M計画」の真相でもある。
前述のソイレントシステムと比べても比較にならないほどの、救いようの無い施設である。
さらに哀しい事実は、変異した人々が自ら救済を求めて、この施設に自ら集まってきたことである。
情報の出所は不明であり、誰が言い出したのでもなく、自然に広まっていった悪魔の噂である。
あるいは、変異した体に流れる血が、本能的にこの施設を求めていたのかもしれない。共食いと破滅しか待っていないことも知らず…。