概要
2003年にエニックスとスクウェアが合併して誕生した企業で『ドラゴンクエストシリーズ』や『ファイナルファンタジーシリーズ』などロールプレイングゲーム制作を得意とする。その他にも多数のジャンルゲームを製作している。
現在の本社は東京都新宿区新宿イーストサイドスクウェア内に存在する。
2006年3月は、タイトーを完全子会社化している(当時の法人格はスクウェア・エニックスグループ内へ組込まれる際に消滅しており、その後も再編があり、2010年以降は3代目法人となっている)。2008年10月には、スクウェア・エニックスは持株会社体制へ移行し、分社化。以後のスクウェア・エニックスは分社化した事業会社の方である。
先に「スクウェア」の名が付く上にロゴも旧スクウェアのものと同じ配色であり、旧スクウェア側の社長が合併会社初代社長へ就任したため、スクウェアがエニックスを吸収合併したように見えるが、創業が古いエニックスを存続会社としてスクウェアを吸収合併し、(旧)スクウェア・エニックスを設立しており、現在のスクウェア・エニックスホールディングスは旧エニックスの法人格を引き継いでいる。
合併会社新社名を検討するに当たり、会社ブランディング観点から、「今後買収等があっても社名変更は実施しない」「新社名を起こすのはリセット印象が掛かって問題」、ということで安直に2社社名連結という方針となったという。ということで「エニックス・スクウェア」と「スクウェア・エニックス」の2案となったが、和英共に語感の良さがあったことや、英語圏でのスクウェア知名度を考慮して、「スクウェア・エニックス」に最終的に決定したとのことである(出典)。
映画失敗で窮地へ陥ったスクウェアを救済することで、ドラゴンクエストの有無に左右されやすいエニックス状態を改善しタイトル充実をさせることで収益が安定するとエニックスが考えた…とされているが、真相は異なっていたようである。
当時のスクウェア社長でそのまま合併法人初代社長となった和田洋一が退任後に講演で述べたところでは、合併話が持ち上がった時点でスクウェアの財務状態は改善していたという。これは旧スクウェアが窮地に陥っていた際、SCE(現・SIE)から救済を受けていたのと、和田が徹底的に旧スクウェア財務状況を洗い出していたためである。ちなみに窮地へ陥っていた段階で結構無茶苦茶な状態であったらしい。
そうこうしている内に、当時のエニックス社長で合併法人では副社長となった本多圭司と話を持つ機会があり、意気投合して何度か話し合っている内に合併話が持ち上がったのであるという。そのことは和田には眼中へなく、エニックスを改めて調べたところ、当時のスクウェアにはなかった自前の海外ルート(下記)やモバイルへの取組みがあり、そのシナジーが期待出来たからのようである。
※意外なことであるが、合併前のスクウェアにはEAとの合弁の海外事業はあったが、海外展開はその合弁かハード会社へ委託する形であったので、自前の海外ルートがなかったのである。なお、その合弁事業会社は後の合弁解消に当たって事実上スクエニが引取っており、後の北米法人の前身となった。
グループ企業に、タイトー、TOKYO RPG Factoryなど。
両社の動向を追っていないユーザーには勘違いされ易いが、当初トゥームレイダー等のローカライズを手掛けていたのはエニックスなので要注意。しかし2008年にそのリリース元のアイドスを買収し、アイドスのIPはスクエニの所有となっていた。しかし2022年にクリスタルダイナミクスとアイドス・インタラクティブ等と保有IPをスウェーデンのエンブレーサーグループへ売却する決定が行われ、2022年8月に手続きが完了し、アイドス系譜のIP(トゥームレイダー、DeusEx他)はスクエニグループを離れた。
スマホアプリについては多数の会社が関わりここに書き切れない程リリースされている。
合併後の問題点
社風の違い
ファイナルファンタジーのスクウェアとドラゴンクエストのエニックスによる日本が誇る2国産RPGメーカーの2大巨塔による合併は当時ゲーム業界に衝撃を与え、任天堂に次ぐ国内2位のゲームメーカーとなったスクウェア・エニックス。
しかし、元々が神奈川ゲーム開発エリート集団スクウェアと元が出版社でゲーム開発ノウハウは持たず、企画だけに留めていたエニックスとでは元の社風が全く異なる。つまり、スクウェア開発力とエニックス企画力は対等で両翼な関係でなければならず、どちらかが傾くとあっという間に経営不振やファンへ不信感を抱かれる危険性が高まるという負の側面を持ち合わせている。
特に旧エニックス側の人間が経営権を持ち始めると、『聖剣伝説3』『ディシディアファイナルファンタジー』など旧スクウェアタイトルが外注としで開発されるようになる。これらを開発しているうちはまだ良かった。だが、コロナ禍に入り、社員のチェックが現場任せと化するとスクエニ評判は地の底へと叩き落とされるようになる。
タイトル乱立
主にスマホゲームを外部へ過剰発注したのもあり、それ以来スクエニでは炎上、売上不振、アプリがサービス開始から1年前後で早期終了を迎えるタイトルが相次いでおり、ユーザーからは散々な暴言が後を絶たない。
一方、「ブレイブリーデフォルト」や「オクトパストラベラー」を開発したチームや『NieR』を開発したチームは順調なのであるが(ただしこれらをメインで開発したのは外部の企業である)、裏を返せばそのチームが衰退すれば会社自体が危機へ陥る事を意味しており、1つのゲームへ偏ってしまえば以前起きた出来事の二の舞となってしまう。
今現在、スクエニ状況は決して芳しくなく、下手をすると以前両社が発売した大型タイトルに振り回されている部分があり、新規IPの育成が難しく過去作リメイクやリマスターゲームが多いのが現状である。
以下は特に悪評を招いた事案を紹介。
- 事案1:『バランワンダーワールド』
- バランワンダーランドは『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』を生み出した中裕司氏と大島直人氏のタッグによるアクションゲームなのだが、20年前のゲームかと言われるほど評価は芳しくなく、ゲーム発売後に中氏はスクエニに対し裁判を起こし泥沼化した挙句、中氏の逮捕という衝撃的な展開で幕が下りた。
- 事案2:『Marvel's Avengers』
- 事案3:『チョコボGP』
- システムは某レースゲームに似ているが独自システムとかもあり問題はそこではなく、ストーリーモードは酷評でオンライン対戦はシーズンごとにリセットされたりと不満が多く、何より課金を意識しているオンラインがメインに置かれているため、据置きゲームなのにスマホゲームみたいな感じとなっている。余談であるが、開発は「ストリートファイターEX」「テトリスグランドマスターズ」を開発したアリカが担当。何故、レースノウハウがない所へ制作依頼をしたのか疑問としか言わざるを得ない。
- 事案4:『ゲートオブナイトメア』
- 事案5:『魔法科高校の劣等生 ロストメモリーズ』
- 魔法科高校の劣等生アプリゲームでリリースまでに長い時間が掛かったがサービス開始されてからは批判が多くストーリーは端折られており、ゲームシステムや操作性の悪さ、中にはエラーでタイトルに戻されたという人や、訳が分からないエラーメッセージが出るようになった人もおり、そしてメンテやアプデの度にカクついたりフリーズしたりして手抜き運営といわれる有様。
- 事案6:『聖剣伝説EchoesOfMama』
- 事案7:『FORSPOKEN(フォースポークン)』
- 事案8『バビロンズフォール』
- フルプライスで売っておきながら、まさかのオンライン専用且つ1年程度でサービス終了というスマホゲー並みの見切りの早さ。パッケージ版は最早鳥避けとしかならないゴミと化してしまい、DL版に至っては…。目立ったバグやエラーがなかったのが唯一のまともな点。
- 事案9『ダイの大冒険インフィニティストラッシュ』
サービスが終了したり、中にはDLCやアプデを繰返したりして改善している部分もあるが、発売当初よりは遊べるという意見が大半を占めている。
信用回復のために
2023年3月に新社長として桐生隆司氏が就任した。
桐生社長は外注の比率高くなった反動でユーザーに売上不振やユーザーから満足出来ないタイトルが相次いでいることへ対して、自社タイトル内製化を推し進めると共にまずは吉田直樹がプロデューサーを務める『ファイナルファンタジーXVI』を成功に収める事が優先だと語った。
6月に発売された『FF16』は世界500万本を売り上げたものの、爆発的なヒットしたとはいえず(この年ゲーム・オブ・ザ・イヤー候補からも外されている)。3ヶ月後、『ダイの大冒険インフィニティストラッシュ』はアニメ化段階から企画が進めていたのもので、既にアニメ放送が終了し、開発期間4年も要したにもかかわらず何度も作り直したかのような未完成状態で売出され、ファンから反感を買ってしまった。それを示すかのように『ファイナルファンタジー7リバース』予約本数は前作リメイクよりも伸び悩んでいる。スマホ事業も大不振であり2024年3月までに約30タイトルがサービス終了へ追込まれている。
これへ対し開発体制見直しを発表。「量より質」転換、ハード独占販売を止め、複数ハードによるマルチ戦略への転換が宣言された。その後1週間も満たないうちに「トワツガイ」・「ドラゴンクエストチャンピオンズ」・「ドラゴンクエストけしケシ!」の3タイトルサービス終了を発表。売上見込みがないタイトルが経営陣から「量」側と見做され容赦なく切捨てられた。
ファイナルファンタジーはPS5独占により不振。ドラクエは音楽担当・すぎやまこういち氏とキャラデザ担当・鳥山明逝去により、今後の方針は不透明な情勢となり、一部心なきユーザーからは「スクウェアとエニックスの合併は失敗であった」と嘆かれ体制見直し時にスクエニは221億円の特別損益を被っている。
このようにしてスクエニは合併20年目にして会社存亡の窮地へ立たされている。
大型タイトルへ振回されるのではなくしっかりとしたゲーム作りをし、それを起爆剤として新規ゲームを軌道へ乗せることこそがスクウェア・エニックスにとって必要な急務なのかもしれない。
主なゲーム作品
※合併前に制作・販売された作品は元会社のエニックスやスクウェアの記事を参照。
※こちらでは合併後にも引き継がれたシリーズ作品、もしくは新規ゲーム作品のみ記載。
合併当初は旧スクウェア系タイトルは自社開発、旧エニックス系タイトルは開発を外注していた(品質管理は自社でやっていた)が、徐々にその傾向は外れて行き、2000年代後半となると旧スクウェアでも外注するタイトルが現れ、逆に開発は完全に外注であったドラクエシリーズでもX・XI・ビルダーズ(第1作)のように内製タイトルも出て来ている。
引き継がれた作品
旧エニックスから継続
- ドラゴンクエストシリーズ:リメイク(PS2)版ドラゴンクエストⅤ以降。
- スターオーシャンシリーズ:Till the End of Time以降。
- いただきストリートシリーズ:Special以降。
- グランディアシリーズ:グランディアⅢ以降。
- ヴァルキリープロファイルシリーズ:ヴァルキリープロファイル2以降。
旧スクウェアから継続
- ファイナルファンタジーシリーズ:リメイク(GBA)版ファイナルファンタジーⅠ・Ⅱ以降。
- キングダムハーツシリーズ:キングダムハーツ2以降。
- フロントミッションシリーズ:ザ・ファースト以降。
- Sa・Gaシリーズ:ミンストレルソング以降。
- 半熟英雄シリーズ:半熟英雄対3D以降。
- 武蔵伝シリーズ:武蔵伝II以降。
- 聖剣伝説シリーズ:聖剣伝説4以降。
- チョコボの不思議なダンジョンシリーズ:時忘れの迷宮以降。
- パラサイト・イヴシリーズ:The3rdBirthday以降。
新規ゲーム
国内作品
- トライアングルストラテジー
- ラジアータストーリーズ
- ラストレムナント
- シグマハーモニクス
- ラストレムナント
- バランワンダーワールド
- VoiceofCards
- 春ゆきてレトロチカ
- いけにえと雪のセツナ
- バリアスデイライフ
- ハーヴェステラ
- クロストレジャーズ
- インフィニットアンディスカバリー
- バビロンズフォール
- 鬼ノ哭ク邦
- コード・エイジ コマンダーズ 〜継ぐ者 継がれる者〜
- ヘビーメタルサンダー
- ディオフィールドクロニクル
- クリスタルガーディアンズ
- メジャマジ・マーチ
- ロストウィンズ ウィンター オブ メロディアス
- くまなげ・バトル編 〜キイナの嫌いな青いホウセキ〜
- くまなげ・パズル編 〜ピイナの好きな赤いキャンディ〜
- ダンジョンエンカウンターズ
- プロジェクト・シルフィード
- 地球の歩き方DSシリーズ
海外作品
- 007 慰めの報酬
- コール オブ デューティ4
- トランスフォーマー ライズ オブ ザ ダーク スパーク
- ライフ イズ ストレンジ
- LEFT ALIVE
- LOST_SPHEAR
- Marvel's Avengers
- Marvel's Guardians of the Galaxy
- PowerWash Simulator
据置配信・ブラウザゲーム
- クリスタル・ディフェンダーズ
- みんなでスペランカーZ
- フィギュアヘッズ
- パラノマサイト FILE23 本所七不思議
- ょすみん。
- MONSTER×DRAGON
- SINoALICE
- 戦国IXA
- パーティーキャッスル
- スクールオブラグナロク
- ゲシュタルト・オーディン
- ロードオブシリーズ
- FANTASY EARTH Zero
アプリゲーム
- ミリオンアーサーシリーズ
- グリムシリーズ
- オクトパストラベラー 大陸の覇者
- CHAOS RINGS
- 結合男子
- スクールガールストライカーズ
- メルファリアマーチ
- ポップアップストーリー
- プロジェクト東京ドールズ
- トワツガイ
- トゥインクルメロディーズ
リメイク・リマスター
※シリーズ作品は除く。
- アクトレイザー:アクトレイザー・ルネサンス
- クロノ・クロス:クロノ・クロス:ラジカル・ドリーマーズ エディション
- タクティクスオウガ:タクティクスオウガ運命の輪、タクティクスオウガリボーン
- ライブ・ア・ライブ:ライブアライブ
メディアミックス
プロデュース
2017年年末にディアステージと共同でバーチャルアイドルグループ「GEMSCOMPANY」を立上げる。バーチャルYouTuberとは異なり現実のアイドルと近い形をしており、次世代声優を募集するオーディションで初期メンバーは11人。
当初は制作会社等の情報は隠して活動していたが、2018年に『【スクエニ新PJ】齊藤Pのゲームではないナニカをお披露目する放送。』で、スクウェア・エニックスが発足したバーチャルアイドルグループであると発表され、グループ名とディアステージへ所属することが伝えられた。
関連動画
【スクエニの創りかた】合併20周年・ゲームクリエイター目線での振り返り
MCは安元洋貴、ゲストはスクウェア出身・時田貴司とエニックス出身。齊藤陽介
出版業
旧エニックス系(元々エニックスの本業は出版社)の漫画(ガンガン)・ゲーム関連書籍を主体とする。漫画系出版でのシェアは集英社、講談社、小学館、KADOKAWAと並んで5大漫画出版社ともいわれており、秋田書店よりシェアが高い。
何故か、自社ゲーム関連書籍出版には消極的で、寧ろ他社ゲーム関連書籍の方が充実している。理由はよく分かっていない(ゲーム事業部との確執説、ネタバレ防止のための口止め説などがある)。
ちなみに、エニックスが合併への道を歩むこととなる原因を作ったのも出版事業部であった。
合併前のお家騒動や、SNKに著作権侵害で刑事告訴されたこと(現在は和解済)も含め問題が多い。お家騒動時に独立したマッグガーデンを和解後に傘下に加えていたが、合併後の2005年に手放している。
【公認暴露】大手編集部から隠して別作家と同じストーリーを描かされていた。編集長へ問い合わせるも他人事な態度
ちなみに講談社とは反対に連載作家は生抜き作家率が非常に高く、ガンガンJOKER等では外部からの作家が殆どいない。更に他社で活躍する作品ではスクエニ出身も珍しくない。奇しくも2021年以降の講談社は出版部門版の同社のゲーム部門と同じ状態に陥っておりあちらは校閲の不備やゲーム部門と同じく、講談社編集部の外注路線や現場丸投げ路線でゲーム部門と同じく信用を落としていた。
コミックDAYSではその講談社と白泉社と共に採用活動もしている。
更に2021年にはSQEXノベルスを創刊。なろう・カクヨム・DAYノベルスなどからの採用も結構多い。
なお、デジキューブから発行されていた攻略ガイド「アルティマニア」はデジキューブ倒産後に絶版になったが、合併後はエニックスが持っていた出版部からスクウェア・エニックス名義で再刊されたものがある。
連載打切基準は徹底した単行本売上主義でアンケート至上主義とジャンプとは対照的。
ただし、アンケート内容は他社よりシビアになりやすい。
1巻の売上やWEB媒体などのアクセス数などで概ね打切基準は決まりやすい。
そのため、不人気による打ち切りでも最低2巻まで出す作品が多いのも特徴。
一方で他社と異なり人気作品でも無理な引延ばしをやらずに綺麗に完結して次作品を早く連載するケースも多い。
漫画雑誌・漫画アプリ
過去に発行していた漫画雑誌
関連タグ
表記揺れ:スクエニ スクウェアエニックス スクエアエニックス
似た様な問題を抱えているゲームメーカー:コナミ セガ カプコン バンダイナムコ コーエーテクモ
出版部門:ガンガン
出版関連:集英社 講談社 小学館 KADOKAWA 秋田書店