「あ、あの…若狭留美です…小林先生より10歳もオバサンですけど…」
CV:平野文
概要
帝丹小学校教師で、コナンたちのクラス(1年B組)の副担任。37歳。
垂れ目と白縁の眼鏡が特徴の成人女性。
『新任教師の骸骨事件』にて初登場。自己紹介時にお辞儀をしようとして教卓に頭をぶつける、持った荷物を時間割表に引っかけて破いてしまうなど、この人を彷彿とさせるドジっぷりが多い。
一方で、演劇に使うため、迫力満点の虎の絵を描いたり、コナンたちに絶品のオムライスを振る舞うなど、手先は器用なようだ。
だが、どうやら秘密があるようで…?
疑惑
時折見せる「殺気」
「覚悟は出来ているか? 此の世を離れる… 覚悟だよ…」
これまでコナンら少年探偵団と共に何度か事件に遭遇しているが、その犯人に対し(コナンたちの見ていない所で)殺気に満ちた表情や暴力的な言動を見せており、犯人を身が竦むほどの恐怖に追い込んだこともある。
身体能力も高く、牧場での事件解決後では、安室から"とある物"を取り返すために、暗闇の中での不意を突いた奇襲とは言え、彼を気絶させることに成功している。
またこれらの際には眼鏡の右のレンズが光り、奥の右目がどうなっているのかがわからなくなる。
事件に遭遇させている?
『白い手の女』にて、コナンが見つけたコンビニのレシートからこの疑惑が浮上。
探偵団が留美宅を訪れたのは、その日に偶然汚れてしまった学芸会用の屏風を描き直すためであり、留美にとっては予期せぬ来客であったはずだった。
しかし上述のレシートには、同日朝に留美がコナンたちの分の食器を買い足していたことが示されていたのである。
このことからコナンは、隣人が事件を起こすことを察知した留美がワザと屏風を汚し、コナンたちが自宅を訪れて事件に遭遇するよう仕向けたのではと疑い始める。
留美の初登場回で起きた白骨遺体事件も同様で、既に遺体を発見していた留美がコナンたちを事件に関わらせた可能性も浮上している。
黒田・脇田との関係
『白い手の女』事件では、有名人である犯人を取り押さえた直後に報道陣に囲まれ、殺人犯を撃退したお手柄小学校教師としてニュースの記事に載る。
その記事に反応を見せたのが、警視庁捜査一課管理官・黒田兵衛と、米花いろは寿司の板前・脇田兼則であった。
そして探偵団を引率して訪れたキャンプ場で起きた事件(原作第93巻FILE.6「ティップオフ」~FILE.8「ブザービーター」。アニメ版では「燃えるテントの怪」)にて、黒田と対面。黒田が気づくほどの「恐ろしい形相」で彼を睨みつけた他、随所で牽制し合うかのようなやり取りを見せていた。
右目が見えていない?
上述のキャンプ場での事件の際、コナンと哀がこの可能性に気づいた。
自分の右側にいた歩美から名前を呼ばれ、キョロキョロと辺りを見回した後、左目でようやく歩美を視認した様子を見せたのである。
これを見たコナンは、ワザとだと思い始めていた留美のドジの数々が、実は右目が見えていない影響なのではと考えるようになる。
その正体は……?
ラム?
上記の「殺気」「ドジ」「右目が見えていない」「黒田や脇田が反応する」点から、黒の組織のナンバー2「ラム」の候補の一人になっている。
「片方の目が義眼」という特徴が一致するのもさることながら、名前を「Wakasa Rumi」とアルファベットに直すと「RUM(ラムの英語表記)」が発見できるためである。またアナグラムとしてとらえ「I WAS AKA RUM」と表現しAKAを「A.K.A=also known as」と解釈すると「I was also known as RUM≒私はRUMと呼ばれていた」とすることもできる。
また、声を担当する平野文氏は、高橋「留美」子氏作のサンデー作品『うる星やつら』のヒロイン・ラム役で知られている(群馬県で事件が発生した『山菜狩りとクローバー』では留美と山村ミサオ(担当声優は「ダーリン」こと諸星あたる役の古川登志夫氏)が登場した為、『うる星やつら』を意識したネタがいくつかある)。
『コナン』ではこれまで赤井秀一や安室透など、そのモデルとなったキャラクターの担当声優が原作者の意向で多くキャスティングされていることを考えれば、今回の平野氏の起用にも何らかの意味がありそうだが……?(ただし浅香の説もあるため、あえてミスリードとして起用した可能性もある)
ちなみに『ガンダムシリーズ』においては『機動戦士ガンダムSEED』に登場するアンドリュー・バルトフェルド(沖矢昴役の置鮎氏が演じるキャラ)の愛人であるアイシャの声優(ただし、これはTVシリーズで演じていた本来の中の人が大人の事情で出られないために「スペシャルエディション 虚空の戦場」における代役に当たる)でもある。
なお、哀は「若狭先生のこと、好きだから」と言っており、少なくとも哀は彼女をラムだとは思っていないようだが、コナンからは気を許さないよう警告されている(そのためか麻酔銃の存在は教えていたのにもかかわらず推理ショーは控えていた)。
牧場での事件でバーボンでもある安室(おそらくラムの正体を知っている)と対面した際は、彼に意味深な視線を向けているが、一方の安室は留美のことを特段警戒する様子はなかった。
浅香?
もう一人、留美の正体として疑われているのが、17年前の羽田浩司殺害事件の最重要容疑者とされている浅香である。
浅香といえば羽田と同時に殺害されたアマンダ・ヒューズのボディーガードだが、事件の犯人たちを完膚なきまでに叩きのめしている留美の強さを見れば、ボディーガードという経歴があっても不自然ではない。身体に複数の切り傷があるのもボディーガードだったからか。
また、「Wakasa Rumi」の最初の「W」と最後の「I」を外し「か」の子音の「K」を「C」に変更すると「Asaca Rum」という文字が出てくる。
この事から、コナンと赤井秀一の二人はボディーガードの浅香がラムと同一人物である事を示しているのではないかと推測していたが、後に誤りである事実が判明。
赤井と工藤優作二人によって、ある大物の苗字を意味している事が判明する。
なお、外した「W」の上下を反転させると「M」になる事から、むしろ「Rum, I'm Asaca.(ラムよ、私が浅香だ)」とラムを挑発する意味でこの名前を名乗っているのではないか、という意見も「留美=浅香説」を唱える読者の一部からは出ている。
烏丸?
組織のボスである烏丸連耶本人という説もある。
WAKASA RUMI という名前をWをひっくり返してMにするとIM KARASUMA(私は烏丸だ)となる。
「若さを留めて美しくある」という名前であり、ラム本人が若狭の名前を見た際に「トンチが利いてる」と発言している。
さらに灰原のセンサーに引っかかっているなど、まさかの烏丸本人である可能性も浮上した。
将棋の駒の謎
少年探偵団の皆と一緒にキャンプに行ったエピソードでは前述の殺気の他、ジーンズの尻ポケットに将棋の駒らしき膨らみが確認できる(コナンはこれを目視しており”何だ…?あれ…”と心中で勘ぐっている)。
『紅の修学旅行編』の最後では、APTX4869を飲まされた人物達のリストが表示されたノートPCを操作する場面で、机の上に将棋の駒らしきものを置いている。
『牧場に落ちた火種』では、閉鎖間際の牧場を訪れた際に巻き込まれた事件の最中、ポケットの底が破れて将棋の駒がなくなっていることに気付き、動揺する中、羽田浩司のことを思い出していた。
その将棋の駒を拾ったのは(別件で巻き込まれた風見裕也を救うべく「成り行き」を装いコナン達に帯同していた)安室で、元太は彼が落ちている将棋の駒を拾うのを見ていたため若狭も「安室が将棋の駒を持っている」ことを知る。
一方の安室は、その傷のついた将棋の駒が17年前に謎の死を遂げた羽田浩司の所持品の中で、事件の後ただ一つなくなっていたお守りとして持っていた角の駒なのではと考え、この駒を持っていた人物があの事件の犯人なのではと推測する。
終盤では安室から駒を取り戻すべく(安室は「ボクシングの心得」を始めとして「並みの警察官と遜色ない格闘術」を備えている。その実力は赤井秀一と対等に戦える程)簡単にノックアウトしている。
これらからも、羽田浩司との間にただならぬ関係があるのではないかと匂わせている。
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この先、名探偵コナンのネタバレ注意。
その正体はアマンダ・ヒューズのボディーガードだった浅香本人で、フルネームはレイチェル・浅香。
母親が日本人であることから日米ハーフの可能性が高い。
父親もかつてアマンダのボディーガードをしていたが、彼女を庇って凶弾に倒れ死亡。その現場に居合わせたレイチェルは自らが目撃した犯人について法廷で証言した後、証人保護プログラムで名前を変えて平穏に暮らすはずだったが、父親と同じボディーガードになりたいとアマンダに志願。母親が病死した事もあって、アマンダが身元保証人となり望み通りの教育を施し、20歳の頃には父親と遜色ない実力を身に付けて現場に出られるまでになった。
もっともアマンダにとってはボディーガードというよりも「年老いてからできた娘」のような存在であり、誇れるのは武器の扱いや格闘技だけだと嫁の貰い手などの将来を案じられていた。
右目については一過性黒内障であったことが明かされており、ストレスなどで一時的に見えなくなるもの(後述の狙撃では、右目でライフルのスコープを覗いている)であることが明かされている。
17年前のラムによるアマンダ襲撃においては危機を予測したアマンダの配慮で羽田浩司の部屋に避難させられ、それを知って引き返そうとしたところを羽田に強引に止められ、身を隠される。
このとき羽田から将棋の駒をお守りとして譲り受けるが、羽田もアマンダもラムの手により命を奪われてしまう。そして間が悪いタイミングで若い頃の黒田と接触し、彼を羽田殺人犯と誤解し彼と一戦交えた末に気絶させられ現場から離脱、直後に発生した衝突事故の混乱によりラムが追跡を断念したことで、恩人2人の命と引き換えに自分だけが生き延びてしまった。
以降、アマンダと羽田を殺害した犯人(ラムにたどり着いているか、黒田を犯人一味と誤解したままかは不明)への復讐を誓い行動しているが、同じく組織の手から逃れた後に戦う道を選んだ灰原やジョディとは決定的な違いがある。
それは「仲間を作らず1人で行動する」の他に「目的のためならば法律違反や他人の犠牲すら躊躇しない」という危うさである。
事実、自身が狙撃の的になっていることに気付くと無関係な小林を替え玉にした挙句、銃砲店に押し入ってライフルを奪い(負傷させるなどの犠牲者は出していない)、小林を誤射した際の弾道から狙撃手の居場所を逆算し撃ち返すという荒事を行っている。
素性を隠した状態で犯罪者を返り討ちにしていた件は正当防衛で済んだとしても、これらは完全に弁明の出来ない明確な法律違反(強盗、銃刀法違反など)である。
仮にも人を守るボディーガードの経歴で、現在の同僚である小林に加え、その近くにいた少年探偵団といった知人すらも(たとえ組織が誤射することや小林と探偵団たちを落命させずに敵を撃ち返せる計算をしていたとしても)囮とするこの「非道」と言える行為には、コナンも黒田も頭を抱えている。
一方で、その際にラムからは「小林らはあくまで仲間ではなく手駒ということか」だと判断されている事から、「彼女達を危険な目に遭わせたのは組織の目を欺く為」と解釈する事も出来る為、後にラムの配下と思われる黒の組織の構成員達が帝丹小学校周辺を嗅ぎまわっていた際も、先生や生徒を盾にされてしまう事で大騒ぎになる可能性を恐れ、迂闊に若狭へ手が出せない様子を見せていた(いずれにせよ、褒められた手段で無いのは確かだが……)。
また、黒の組織に居場所を特定させない為に複数の拠点を持っているらしく、組織側は幾つか突き止めているようだが、毎度捲かれている事実から実際は突き止めた数の数倍以上持っているのではないかと予測されている。
なお、ラムと遭遇する前か後かは不明だが、現在行方不明の赤井務武と遭遇したことがある。
黒の組織に目を付けられた現在も帝丹小学校で副担任を続けているのは、どうやら灰原哀に目を付けているからの様だが、何故帝丹小学校に来るまで全く接点が無いはずの彼女を気に掛けているのかについては不明。
若狭留美という名前について、作者・青山剛昌先生はスーパーダイジェストブックBLACK PLUS SDBの質問コーナーで「若狭留美先生の名前がどうしても「若さ」「留める」「美しさ」に見えるんですが、ベルモットの不老不死とは関係ないんでしょうか?」というファンからの質問に対して「あんた、すごいな(笑)」と回答している。しかし、彼女と過去に面識ある人物が彼女の容姿に疑問を持っている描写がなく、過去と現在の容姿を見ても普通に年を重ねているようだが…。
なお、本名の「レイチェル」は「子羊」を意味し、「子羊」は英語では「Lamb(羊肉)」と呼ばれている。
総じて現状では「悪人というわけでもないが、組織の人間とは別ベクトルでの危険人物」というキャラが定着している為か、ラム候補の中ではひとりだけ劇場版に一度も登場した事がない。