「そんな無粋な真似は出来ませんよ…」
CV:置鮎龍太郎
概要
東都大学大学院工学部博士課程に籍を置く27歳。喫煙者で左利き。
ハイネックの服装を好み、酒はバーボンを愛飲。好きな色は黒だが、同時に嫌いな色でもある。
関連本を全巻揃えていたほどのシャーロキアンで卓越した推理力を誇り、射撃の腕前も超一流。愛車はスバル360。
名前の由来は、『機動戦士ガンダム』に登場するシャア・アズナブルの本名であるキャスバル・レム・ダイクンから。
人物
江戸川コナンたちと出会う前は「木馬荘」というアパートに住んでおり、大家の息子からは毎朝水まきをする姿と消防車を引っかけて「赤い人」というあだ名を付けられていた。
この事件で木馬荘が全焼したため、解決後はコナンの計らいにより工藤邸に居候している。
(なお、アパートの名前も、ホワイトベースのジオン側の呼び方『木馬』からと思われる)
黒の組織と何らかの関わりがある雰囲気を醸し出しているらしく、灰原哀からは警戒されていた。実際、監視や盗聴などを通して隣家の彼女や阿笠博士の動向を探っている。『探偵たちの夜想曲』では、ベルモットが電話越しにバーボンを呼んだ際に世良真純(インカムで通話中)、安室透(携帯で通話中)と並んでインカムで通話をする彼が映し出されたことから、バーボン候補の1人にも挙がっていた。
しかし、『探偵たちの夜想曲』以前から殺人犯に人質にされた吉田歩美を咄嗟の機転で救ったり(『魚が消える一角岩』)、阿笠邸の様子から危機的状況を察知して助けに来たり(『緊急事態252』)するなど、結果的に哀を中心とした人々の身を守る行動が多い。
更に『赤く揺れる照準』では、黒の組織に敵意を抱いていると取れる言動もあり、どのような立場なのかは曖昧にされていた。
また常にハイネックなどの首元を隠すような衣装を着用しており、『工藤優作の未解決事件』の時には園子から「首に恥ずかしいタトゥーとか入れてて隠してるんじゃないか」と疑われていた。(直後に首を見せた状態のまま歯を磨いていた沖矢と出会い、タトゥーは無いことが確認された。なおこの際蘭からコナンの居場所を訊かれたが歯ブラシを口に咥えたまま喋らずにジェスチャーで示していた。)
バーボンの正体が発覚した『漆黒の特急』の件で密かにコナンたちを窮地から救ったことを機に、コナンから正式に味方であることが語られた(それ以前にも、コナンは哀に「あの人(=沖矢)は大丈夫だよ」と発言している)。
コナンと工藤有希子は彼の素性を知っている様子だが、正体の詳細については『緋色シリーズ』まで明かされなかった。
正体を示唆する描写はそれ以前にもいくつかのエピソードでなされていたが、原作に先駆けて決定打となったのは、終盤で重要な役回りを演じた第18作『異次元の狙撃手』にて映像作品ならではの仕掛けによるラストシーンである。
正体
「了解」
先述の描写が暗示していたように、殉職したとされていたFBI捜査官・赤井秀一本人である。
自らの死を偽装して姿を隠していたのは、「組織がキールこと水無怜奈に赤井を始末させようとしている」と推理したコナンから、秘密裏に忠告されたためである(怜奈本人も同様のアドバイスを受け、偽装工作に協力していた)。
偽装工作以降は米花町に移り住み、その後の経緯は先述の通りである。
顔はハロウィンの変装マスクのようになっており、声もチョーカー型変声機で変えており、ハイネックを着ているのもそれを隠すため。上述の歯磨き中に蘭に話かけられた際にジェスチャーで応答したのも、変声機を付けておらず話すと赤井の声になってしまうからである。
『漆黒の特急』での一件以降、赤井の死に疑問を抱くバーボンこと安室透からの追跡を知ったため、『緋色シリーズ』にてジョディやキャメルに久々に素顔で接触し上記の経緯を全て明かした。
偽装工作と潜伏生活の協力者であったコナンと優作・有希子、阿笠、そしてジェイムズ(赤井曰く「みだりに明かすと『作戦が露呈するリスク』もあり、本来はFBIの面々にも明かす予定は無かったが、キールからの連絡を受けた際、作戦を練ろうと仲間と連絡しようとしたのを止めるため、指紋が付かないようコーティングを施したままの指先でジェイムズに触れ、細工に気づかれたので成り行き上やむなく明かした」らしく、ジェイムズは「たまたま事実を知った形」となっている)と、怜奈は予てより真実を知っていた。安室も「沖矢=赤井」と推察しているものの、コナンの作戦によって1012話まで確信に至ることはなかった。また、理由は明かされていないが、実弟の羽田秀吉も兄が生きていることを把握しており、専用の携帯で連絡を取っている。
現在は何かと空きがちな工藤邸の代理管理人という体裁(≒居候となった「本来の住人」に代わる居候)となり、基本的に沖矢の姿で生活しているが、万一の時には変装を解き素の姿で相手と対峙する。
余談
「黒ずくめの謀略」の終盤ではキャメル救出のためにコナンを帯同して「朝釣りに来ていた親子連れ」を装っていたが、その際コナンから「お父さん」と呼ばれたため、通算3人目の「父親」となった(一人目は実父である優作、二人目は何度か共に行動した次元大介)で、ファンからは「コナン君も『六代目の円楽師匠』みたいになった(この場合、沖矢のポジは『永世名誉司会』に相当する)」などと妙に感慨深い反応をされていた。
いわゆる「変声時の声」としての置鮎氏は、ガンダムシリーズでは「機動戦士ガンダムSEED」に登場したアンドリュー・バルトフェルド役としても知られており、正体である赤井役の池田氏も(よく知られる赤い彗星以外にも)続編に登場したギルバート・デュランダルを演じた経験があるが、その経緯や括りを理由に置鮎氏をキャスティングしたかまでは謎である。『異次元の狙撃手』では同じく置鮎氏が演じている綾小路文麿と一人二役となった。
普段は目を細めているが、正体が明かされてからは片目を見開く場面が見られるようになった。
変装にカラーコンタクト等の利用は無く、緑の瞳を持つキャラは限られているため(本作のキャラクターは基本的に青い瞳)、赤井を強調する特徴として有効な描写となっている。
ちなみに、緑の瞳はアニメだけの設定で、原作では赤井も沖矢も青い瞳である(これはアニメだと同じく緑の瞳を持つ妹や母も同様)。
また時々変声機のスイッチを切って元の声で会話したり、コナンと同様、背後に赤井の姿がイメージとして浮かび上がったりすることがある。
一部の読者からは、元ネタとなったシャアのように「赤井が姿と名前を借りている『本物の』沖矢昴が存在しているのではないか?」という推測もされている。
糸目が特徴的な彼だが、劇場版第23作目『紺青の拳』に同じく糸目が特徴的なリシ・ラマナサンが登場しており、彼の中の人は後に赤井の少年時代を演じることになる。
多数盛り込まれたガンダム関連のネタから、劇場版や原作で正体が明かされる以前よりSNSやファンサイト等では「赤井が変装しているのでは?」と推測する声もあり、沖矢役の置鮎やコナン役の高山も「赤井さんかもしれない」と気付いていたとのこと(参照)。