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シャア・アズナブル

しゃああずなぶる

TVアニメ『機動戦士ガンダム』およびその関連作品の登場人物。一部外伝では主人公も務める。宇宙世紀を舞台としたガンダム作品に於けるキーマンの一人である。
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「見せてもらおうか、連邦軍のモビルスーツの性能とやらを」


プロフィール

異名赤い彗星
本名キャスバル・レム・ダイクン (Casval Rem Deikun)
別名エドワウ・マス (Edwow Mass)、クワトロ・バジーナ(Quattro Vageena)
生年不明(機動戦士ガンダム)、U.C.0059(機動戦士ガンダム THE ORIGIN)
出身地サイド3
身長175cm(機動戦士ガンダム)→180cm(Zガンダム以降)
階級少佐(初登場時)→大佐(復帰後)→大尉(Zガンダム)→総帥(機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
CV池田秀一田中真弓機動戦士ガンダムTHEORIGINの少年時代)、小西克幸(ガンダムさん)、関俊彦(『ガンダムビルドファイターズバトローグ』に登場した疑似人格AI)
イメージカラー
瞳の色
髪の色金髪

概要

機動戦士ガンダム』の登場人物。

モビルスーツパイロット・指揮官そして宇宙移民者独立運動の指導者として、類い希な能力を発揮した人物。アムロ・レイと並ぶ「ガンダムシリーズ」の最重要人物である。


名前の由来はフランスのシャンソン歌手、シャルル・アズナブール(1924〜2018)から。

人物像

軍人・パイロットとしては極めて有能な人物として描かれている。一年戦争の頃からカリスマ性が高く、彼の部下は歳下年上問わず忠実に従っている。一方、復讐を成し遂げるためにはたとえ親友のガルマ・ザビであってもを始末するのも厭わない冷徹な一面も見られる。


狡猾な性格で、ガルマの死後は左遷を免れようとするためにガルマの恋人イセリナに協力した上で、MSを使えない理由をドレンに伝えさせた。

しかし、そんな彼も実の妹アルテイシアとの接触、ザビ家に対する復讐心、ララァとの関わりで深く掘り下げられることで、いつしか人間味溢れる悪役になっていった。


続編の『機動戦士Ζガンダム』ではクワトロ・バジーナと名乗って味方キャラで登場し、主人公カミーユを部下としている。この時のシャアは部下に殴られても怒らないなど極めて大人な対応を見せることが多く、怒ることも少なかったが、人間関係や父親ジオン・ズム・ダイクンの名を継ぐ重責に対する苦悩や逃避といった内面的な弱さや人間的な不甲斐なさを垣間見せている。詳しくは項を参照。


『逆襲のシャア』ではアクシズ落としを決行し、地球寒冷化を目論む。スウィート・ウォーターの難民の支持を得るために電車に乗って親しみをアピールしたり、兵士達の士気を向上させるために演説を行い、多方面での人心を掌握しようと、総帥としての実力を遺憾なく発揮。さらには、つい先ほど自分達の本拠地がある地球へ隕石を落とした逆賊であるシャアに対して、金塊さえ貰えればアクシズを譲渡してしまうという甘い思考を持った連邦政府を上手く利用するなど、ロンデニオン・コロニー内の裏取引にも直接姿を現している。

ひょんなことから自分を助けたクェス・パラヤを自軍に勧誘し、宇宙に生身で出ようとする彼女を叱りつけるなど大人として彼女を御する場面も見られた。ニュータイプ研究所所属だったナナイ・ミゲルを引き入れたり、シャアが逆襲を志した強化人間の一端ともなったローレン・ナカモトをシャア個人の理念のために引き入れる事を許容するなどをしている(ナナイ当人には強化人間を『作る』技術が無いため)。

ギュネイ・ガスに対しては様々な経緯から軍に引き入れシャアの当初の理念である

『宇宙世紀を生きる新人類であるニュータイプに誰でもなれる』事を期待されて作られた実験的な強化人間。(久織ちまきの漫画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア BEYOND THE TIME』より)事を証明するため、シャア個人としてはクェスよりもギュネイに対して期待と優しさを掛けていた。カミーユ・ビダンのようなニュータイプの再来となる事をシャア個人から強く期待されていた。


ネオ・ジオン内部でのみシャアがロリコンだという噂が流布されていた。その噂の発端はシャアと関係を持ったNT研の女性職員が、シャアが寝言でかつての恋人である少女ララァ・スンの名前を呟いたのを聞いたからである。

この噂はかなり広がっているらしく、小説ベルトーチカ・チルドレンではネオ・ジオン兵はみなシャアがロリコンだと思っているらしいことをレズンが語っている。また、徳間書店刊行の小説逆襲のシャアではナナイがシャアがロリコンであると思っていることを愚痴っている。シャアに嫉妬している部下のギュネイもこの噂を使って、シャアを慕う少女クェス・パラヤの関心を自分に向かせようとした。しかしクェスにしてみれば『宇宙世紀を生きる新人類であるニュータイプに誰でもなれる』と言う理念をシャアから聞かされており、ある程度ギュネイの裏事情を知っていたので、シャアに守って貰っておきながら、そんな噂で自分の気を惹こうとしているのは低俗であり逆効果だったのは言うまでもない。


独裁政権の指導者としても、軍人としても抜群の能力を持ちながら、『機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編』では「オールドタイプは殲滅するのだ」と言ったり、過激なレイシストの部分も垣間見られ、複雑なキャラクター性を有する人物である。

シャアはパイロットの仕事を好んでいるが、カイ・シデンからはその名前を継いで政治家になることを期待されたり、死ぬ間際のブレックス・フォーラからも同様の頼みを言われ、逆襲のシャアで実際にダイクンの後継者として動くに当たりその重責から愛人ナナイの前で彼女にだけ甘えてみせたりなど、宇宙移民独立運動の指導者である父ジオン・ダイクンの息子としての重圧は彼を次第に縛り付けていった。

長く続くシリーズ物のキャラクターとして、単純に「かっこいい大人のキャラクター」とは決して言えない人物なのだが、そのことが彼を魅力ある人物にしているのかもしれない。


ちなみに一人称は「私」が基本だが、ガルマとの会話では「俺」を使っている。


MSパイロットとして

【初代ガンダムでは】


実力差でアムロのガンダムをザクⅡで翻弄し、圧倒。ガルマが戦死した影響で左遷されてからはしばらくアムロと交戦がなかった。ジャブロー攻略戦でズゴックでの戦闘ではアムロのガンダム似腕を破損されるなど、パイロットとして成長したアムロに手傷を負わされるようになった。ゲルググに乗り換えたあたりではほぼ互角の戦闘を繰り広げられ、マグネットコーティングを装着したガンダムの初戦では、エルメスに乗ったララァの援護でなんとか撃墜を免れる程に追い込まれた。しかし、次の戦闘ではまた互角になっているあたり、やはりこの男強い。最終的にジオングの頭部がコクピットだったという奇策で、ガンダムと相討ちにまで追い込んだ。


【Zガンダムでは】


実戦に不慣れなカミーユを序盤からサポートしつつ、MS戦の指揮官をしていた。木星帰りの男ことパプテマス・シロッコと相見えた時には彼が発するプレッシャーで、メガ・バズーカ・ランチャーを外してしまったものの、ドゴス・ギアを狙撃した際にはカタパルト部分に直撃させている。

終盤では旧式であった百式で新型のキュベレイジ・Oと対等にやりあっているのはシャアの技量が高い証拠でもあるだろう。



【逆襲のシャアでは】


アムロの乗るリ・ガズィに対しファンネルを使わないという手加減までして彼を圧倒しそのまま撤退させ、ギュネイ・ガスヤクト・ドーガを回収し、無事5thルナから離脱している。この時シャアが与えたダメージの影響で、リ・ガズィは出撃出来ないほどに損傷しており、修理が間に合わず直後の戦闘でケーラ・スゥは仕方なくジェガンに乗って出撃している。アムロがνガンダムに乗り換えてからは一騎打ちで挑み激戦を繰り広げた。最後にはMSで初めての肉弾戦に突入しビーム・サーベルでサザビーの左腕を切断され、頭部に何発もパンチを食らいモニターに不具合が生じる不利な状況に陥るも、アクシズの地表表面でナナイ・ミゲルの思惟に気をやるまで粘り続けた。


経歴

出生・幼少期

シャアは、ジオン共和国創始者ジオン・ズム・ダイクンとその妻トア・ダイクンの子、キャスバル・レム・ダイクンとして生を受ける。後に実妹であるセイラ・マスこと本名「アルテイシア・ソム・ダイクン」も生まれ、穏やかに育ってゆく……かと思われたが、宇宙世紀0068年に父・ジオンは病死。


キャスバル・アルテイシア兄妹はザビ家により迫害され、地球へと逃れる。

兄妹は父の良き理解者であったジンバ・ラル(ランバ・ラルの父)の庇護のもと、南欧の名家・マス家へ養子として引き取られ、キャスバルは名をエドワウ・マス、妹アルテイシアはセイラ・マスと改める。

ジンバ・ラルは、ジオン・ズム・ダイクンはデギン・ソド・ザビ公王によって暗殺されたのだと、口癖のようにダイクン兄妹に説いていた。キャスバル→エドワウ(シャア)はその事もあってザビ家を激しく憎むことになった(デギンがジオンを暗殺したという事実は結局解明されることはなかったが)。


士官学校時代・一年戦争期

シャアは父を暗殺したザビ家への復讐を目的に、経歴を偽ってジオン軍士官学校へと入学。シャアはガルマ・ザビと出会い親交を結ぶが、その裏でシャアがザビ家への復讐心を燻らせていた事をガルマは知らなかった。

その後は士官学校で優秀な成績を修めて首席で卒業できる状況だったが、卒業直前の演習において上官に逆らったせいでガルマにそれを譲り次席で卒業。

卒業後はキシリア・ザビ揮下の教導機動大隊に入隊した。


その後、ジオン公国国防軍がドズル・ザビ麾下の宇宙攻撃軍とキシリア・ザビ麾下の突撃機動軍の2隊に分裂したことに伴い、宇宙攻撃軍に入隊。

この頃から、士官学校の学友から譲られた仮面を着用し始める。これは自らの正体を隠すための仮面であり、周囲には「火傷の傷を隠すため」と語ってはいたが、それが逆にミステリアスさを醸し出す結果を生み「実は仮面の下は美男子なんじゃないか?」という噂が立つ程に彼のトレードマークとなる。


機動戦士ガンダム THE ORIGINでは

こちらのシャアは宇宙世紀0059年にサイド3のダイクンが教授として籍を置き、デギンが学部長を務める大学の時計塔にて生まれたとされる。


母親の名前はアストライアとなっており、ダイクンの内縁の妻という扱いになっている。ザビ家が起こした内乱の際に、アストライアはダイクンの正室であるローゼルシアの嫉妬により、屋敷へと幽閉された。そこで彼女は幽閉生活の行く末を悲観して、キャスバル(シャア)とアルテイシア(セイラ)だけを地球へ逃した後、自分は幽閉状態が長く続いた為に衰弱死してしまった。

母アストライアの悲報を聞いたシャアは、父を殺し、自分たちを繰り返しつけ狙い、ついには母を報われぬ死へと導いた元凶であるザビ家を激しく憎んだことでシャアの復讐への道が始まった…というのがTHE ORIGINでの筋書きになっている。


兄妹を庇護したジンバ・ラルは、ジオン・ズム・ダイクンの死が下克上を狙ったザビ家の手による暗殺だと信じており、ダイクン兄妹にも繰り返しザビ家の非道を説いたが、セイラはジンバの熱狂をやや鬱陶しく感じていた。しかしシャアは父の死についてザビ家への疑念を深めていく。

その後、ジンバ・ラルは何者かが送った暗殺者の凶刃に倒れ、シャアとセイラも辛うじて生き延びる。


ちなみに、THE ORIGINでのダイクンの死因については、原作者の安彦良和自らが「暗殺ではなく、単純に死んだだけ(病死)」と明言していて、1stガンダムとは設定が異なっており(1stでの死因については、富野監督が小説『密会』にて、デギン・ザビによる暗殺と明言している)、ジンバ・ラルもザビ家憎しで根拠の無い陰謀論を振りかざしているだけにすぎなかったので、父の死についてのシャアのザビ家に対する疑念は結局のところ見当違いでしかない。


この作品ではキャスバルがシャアを名乗った理由として「シャア・アズナブルという人物が元々別に存在していた」という説を取った。

本物のシャア・アズナブル」(CV.関俊彦)はテキサスコロニー管理者の息子でキャスバルと瞳の色以外は瓜二つの容貌をしていた。



キャスバルは「本物のシャア・アズナブル」と出会い彼と友人になった。自身の暗殺を狙っていたキシリアの動きを逆に利用してキャスバルは「本物のシャア」と入れ替わり、キシリアの部下が仕掛けたシャトル爆破事故で「本物のシャア」はエドワウ・マスとして命を落とした。キャスバルは以後シャア・アズナブルを名乗りジオン士官学校へ入学した。


その後ガルマ・ザビと友情を育みながら、農業ブロックでの隕石衝突事故(アニメ版では連邦のサラミス級戦艦とジオンの民間船による接触事故によりサラミス級が農業ブロックに衝突したという設定に変更)による反連邦活動を鎮圧するため、治安部隊がサイド3に投入される事を掴んだシャアはガルマを焚きつけ、連邦の治安部隊を攻撃することを決め、犠牲を出しながらも連邦を制圧することに成功している。このことは後に「暁の蜂起」と呼ばれ、劇場版第3弾のタイトルにもなった。

また、この時かつて同室だったムラタに、後のシャアのシンボルといえるマスクを受け取り、その後もずっと着用し続けている。

(アニメ版ではオリジナルキャラクターのリノ・フェルナンデスから受け取っている)


一年戦争期

宇宙世紀0079年、一年戦争が勃発。

シャアはドズル・ザビが率いる宇宙攻撃軍に中尉として所属し、モビルスーツのエースパイロットとして活躍。

ルウム戦役では赤いザクⅡを駆って5隻の戦艦を撃沈せしめる戦果を以って二階級特進を果たし、少佐へ昇進。以降はその功績と実力、高速機動を重んじた戦術、機体のいカラーリングから「赤い彗星」の異名で呼ばれるようになる。

その後、ドズルがルウム戦役で旗艦としていたムサイ級旗艦型軽巡洋艦ファルメルを受領。モビルスーツ中隊長の任に付き、乗機もその時々の最新機種が与えられ「通常の三倍の速度」の性能を引き出すと恐れられた。


同年9月、サイド7に連邦軍の新型MS搬入の情報を掴み、コロニーに潜入。ガンダムと交戦し、性能の劣るザクでガンダムを圧倒するが倒すには及ばず、以降はジオンのエースとしてホワイトベースを追跡。ガンダムのパイロットであるアムロ・レイと幾度となく刃を交える事になる。

この出来事は長きに渡るアムロとの因縁の始まりでもあった。


一方でザビ家への復讐も着々と進めており、その第一段階として士官学校以来の付き合いであったガルマ・ザビを謀殺。その後、ザビ家に忠誠を見せるためダロタ中尉とガルマの恋人イセリナに協力するが、結局ドズルの手によって、ガルマ戦死の責任を取らされ左遷させられる。ホワイトベースがベルファストに到着した頃にキシリア・ザビの手引きで前線に復帰。再び赤い機体を駆り、ホワイトベースを追跡し地球連邦軍総司令部ジャブローの所在を明らかにする戦果を上げる。

ジャブロー戦後もホワイトベース追跡の任務を続行し、宇宙へ上がるが、この頃からニュータイプとして覚醒したアムロに敗北を喫するようになり、更に左遷された際に出会った少女ララァ・スンとの死別が彼の心に深い傷を残す事になる。

ア・バオア・クーでの最終決戦においてはNT専用機であるジオングに搭乗しアムロと激戦を繰り広げるも相討ちとなり、互いに生身でフェンシングを行いその際に額に傷を受ける。妹セイラに復讐に生きることはやめてほしいと説得されるも、結局ザビ家への私怨を捨てきれず、逃亡を図ったキシリアを狙撃して殺害し、グワジン級戦艦と合流してアステロイドベルトの小惑星基地・アクシズへと逃亡した。


何故彼が機体を赤く染めていたかは、アニメでもTHE・ORIGIN原作でも特に言及はされていなかった。一説には当時のサンライズに赤のインクが余っていたからという説があるが真偽のほどは不明。

だが、THE・ORIGIN第3章「暁の蜂起」の最後に、シャアが朝焼けに辺りが赤く染まる様を見て、「赤いな・・・実にいい色だ」と赤を気に入ったような発言がある。

それを証明するかのように、その後MS乗りになった際は必ず自機を赤く染めている。


アクシズ潜伏期

アクシズへの逃亡の途上、ザビ家の遺児ミネバ・ラオ・ザビを保護するが、ザビ家への復讐心を持つシャアでも流石に赤子を殺すことは出来ず、共にアクシズへと逃れた。


宇宙世紀0081年3月、ミネバと共にアクシズへと着いたシャアは、アクシズに逃れた残存勢力をまとめる指導者、マハラジャ・カーンとその娘のニュータイプ少女、ハマーン・カーンと出会い、潜伏生活の中、シャアとハマーンは同志になる。

宇宙世紀0083年8月にアクシズの指導者であるマハラジャが病没。シャアは後継者としてハマーンを推挙し、ハマーンはミネバの摂政に就任する。ところがハマーンは基本政策として旧来のザビ家による支配制度の復興を進め、それはザビ家独裁と半生をかけて戦ったシャアには認められないものであった。こうしてシャアとハマーンは政治的に意見が対立するようになり、ついにシャアは地球圏への偵察を名目にアクシズを離れる。

ハマーンの方はシャアを心から愛しており、「シャアに見捨てられた」と思い込む。これが彼女を「鉄の女」に変えてしまう事になった。


グリプス戦役期(Zガンダム)

地球圏へたどり着いたシャアは「クワトロ・バジーナ」の偽名を得て、反地球連邦政府組織「エゥーゴ」の一員となる。

『機動戦士Ζガンダム デイアフタートゥモロー ―カイ・シデンのレポートより―』では、ティターンズ崩壊時はキリマンジャロ基地勤務となっており、ローレン・ナカモトと共にカラバの捕虜となり、そのままネオ・ジオン士官となった。

詳しくはクワトロ・バジーナの項目を参照。


第一次ネオ・ジオン戦争(ZZガンダム)

グリプス戦役終盤に行方不明となっており、アニメ『ZZガンダム』ではOPには登場するものの本編には登場しない。

アニメで描かれていないシャアの行動だが、宇宙世紀0089年、アクシズがエゥーゴ及び地球連邦と再び抗争を開始した頃シャアは地下に潜伏。

表立った行動は行っていないものの、この際アクシズから保護した本物のミネバと行動を共にしており、同じく行動を共にしていたスベロア・ジンネマンにミネバの護衛を任せている。

また、ネオ・ジオン占領下のダカールに於いて偶然からジュドー・アーシタの妹リィナ・アーシタを保護、後にセイラ経由で彼女をブライトの下へと送り届けているなど、影で暗躍する事が多かった。

ハマーン敗北後はスウィート・ウォーターに於いてネオ・ジオン再興に向けて軍備の増強を行っており、旧ネオ・ジオン残存戦力の併合やそれに反対する勢力の殲滅などを進めていった。


第二次ネオ・ジオン戦争(逆襲のシャア)

宇宙世紀0092年12月、自らをネオ・ジオン総帥として、腐敗した地球に住む人類こそが地球を汚染させる元凶であるとして地球人類の粛清に乗り出し、連邦政府へ宣戦布告する。

その一方で、アナハイム・エレクトロニクスを通じてサイコフレームの情報をロンド・ベルにリークし、宿敵であるアムロのνガンダムの完成度を高めさせ、自身の専用機サザビーと対等の条件で決着をつけられるよう裏で手を回していた。

強化コンセプトは大佐の理想である「宇宙世紀を生きる新人類であるニュータイプに誰でもなれる」ことを証明するために強化された実験的な強化人間であるギュネイ・ガスを作り出した。新しい研究所にはナナイ・ミゲルが所長を据え、拾ってやったローレン・ナカモトに補佐を務めていた(元被験者のナナイだけでは技術に不足があったため)。

従来の強化人間とは異なり、関連技術の成熟と言う事に表向きはなっているが、

フォウロザミアゲーツ・キャパらに施したような強化はシャアからの強い意向により止めさせている。 またナナイ自身ロザミア、ゲーツとは顔見知りである。


シャアが対等な条件でアムロと戦いたいがために裏で手を回していた事は、後の時代において「馬鹿馬鹿しい法螺話」として信じられていない様子である。


その後、5thルナ落としを成功させ、連邦政府のあるチベット・ラサを壊滅状態に追い込む。さらに連邦政府に持ちかけた偽りの和平交渉でアクシズを手に入れ、それに核を搭載して地球へ落下させようとする。ボロボロになったサザビーでνガンダム相手に粘るも、ナナイ・ミゲルからの思惟で一瞬気を逸らしてしまい、パンチでサザビーはアクシズの地表に激突。機体から放出されたサザビーのコックピット・カプセルをνガンダムに確保される。

しかし、ブライト・ノア達が爆砕した勢いが強すぎたせいでアクシズの破片が落下していく様子に勝利を確信。すると、νガンダムによりアクシズの表面に叩き付けられ、最後はνガンダムと自身のカプセルに搭載されたサイコフレームが起こしたアクシズ・ショックの光に包み込まれた。


シャアの死(赤の肖像 ~シャア、そしてフロンタルへ)

シャアの反乱終結直後から始まり、シャアが死亡し全体と溶ける過程が描かれた。シャアがあの世で見た刻は、人類がいなくなり、宇宙が暗闇に閉ざされた、この世の果てであった。こうして、シャアの残留思念はフル・フロンタルへと取り憑いた。


ラプラス事変(機動戦士ガンダムUC)

シャアは死亡しており、彼の死後に発生したシャアの残留思念がジオン共和国の大臣モナハン・バハロが用意した強化人間フル・フロンタルを動かして現世に介入している。モナハンはフロンタルをシャアの再来だと標榜して、ネオ・ジオン残党を「袖付き」としてまとめさせ再起させている。


この時代で消息不明とされているシャアは、連邦からは許しがたいテロリストと呼ばれる一方で、かなりの数のスペースノイドからは彼らを守ろうとした英雄とみなされている。


シャアの死からおよそ100年後(ガイア・ギア)

シャアは死亡しているが、シャアは自身のクローンであるアフランシ・シャアの深奥の意思として内包されている。

アフランシを作ったグループは、純粋にシャア・アズナブルの意思を再現して、次の良き世紀を構築するという目的を持っていたが、どうやってシャア・アズナブルの意思を再現したのかは劇中で明かされることはなかった。


この時のシャアは肉体を持たない精神の状態だけではあるが、時折、アフランシという表層意思部分に語りかける部分が散見される。

主な搭乗機体

機動戦士ガンダム

ザクⅡS型シャア専用ズゴック先行量産型ゲルググジオングシャア専用リック・ドム(小説版)


MSV

ザクⅡC型ザクⅡF型


トミノメモ

ガルバルディ(後にMS-Xへ分類)、キケロガ


機動戦士Ζガンダム

リック・ディアスガンダムMK-II(TV版のみ)、百式


逆襲のシャア

サザビーナイチンゲール(ベルトーチカ・チルドレン→CCA-MSV)


C.D.A. 若き彗星の肖像

外宇宙用ゲルググパーフェクト・ジオング(元はMSV、名称はプラモ狂四郎)、ゼロ・ジ・アール


アナハイム・ラボラトリー・ログ

※以下の2機は専用機としては開発されたが劇中未搭乗

ガンダムMk-Ⅲ8号機ドワス改


その他

デルタガンダム弐号機(Competition of NEW GUNDAM -RED or WHITE-)、シャア専用ディジェ(ジョニー・ライデンの帰還)、プロトタイプ・リック・ディアス(M-MSV系小説モビルスーツコレクション・ノベルズAct.5)、S・ザク・ザクⅢ改・改(逆襲のギガンティス)、キャスバル専用ガンダム(ギレンの野望)


まだまだ沢山ある…というか、今後も増えていく可能性の方が高いかもしれない…。


評価

最も最初に登場したシリーズ一作目の『機動戦士ガンダム』では、自信に満ちた言葉と、それに見合った主人公のアムロを圧倒する実力で当時の視聴者にインパクトを与えた。


モビルスーツを手足の様な感覚で動かす操縦技術もさる事ながら、とにかく印象的なセリフが多い。その名言をまとめた関連書籍が10冊近くは出ている。が、あまりにも印象的過ぎて、ネタにされる。というか、ガンダムシリーズのゲームCMでは大抵ネタにしている。


また、ガンダムシリーズにはゼクス・マーキスを初めとした彼をリスペクトしたキャラが多数存在し、後に他のサンライズ作品のみならず、ガンダムと全く関連性のないアニメ・漫画等でもシャア・アズナブルを髣髴とさせるキャラクターが登場している程(関連タグも参照)。


現在は、すっかり本来の主人公であったアムロの存在を霞ませてしまう程の圧倒的人気を誇っており、判官贔屓される傾向が強いジオン軍側のキャラクターの中でもダントツなのがシャアである(他に例えるならば、ランバ・ラルアナベル・ガトー等)。


2018年5月5日にNHK BSプレミアムで発表された「全ガンダム大投票 40th」でも、シャアはキャラクター部門の総合ランキングで1位に輝いている。



メディアミックス関連

SDガンダム外伝では

ジオン族に味方するユニオン族(人間)の「騎士シャア」として登場。原典と同様に仮面で素顔を隠している。後に明かされるが、仮面をしている理由は正体を隠すためではなく呪いを掛けられた自身の姿を隠すためのもの。

ラクロアの勇者では「捜し物(後に妹の騎士セイラと判明)」のために三種の神器を求めて、その鍵をとなる石板を持つ騎士ガンダム一行を妨害するも、三種の神器が騎士ガンダム専用とわかり、サタンガンダムが倒されて行方不明のセイラの呪いが解けると、消耗した騎士ガンダムに協力、セイラと共に苦戦中の仲間の援護に向かう。ちなみに本作OVAでのシャアの戦果は全て不意打ちであり、作中サタンガンダムの城に乗り込む際はサタンガンダムの部下の魔導師ララァに「知ったことか!」と暴言を吐きながら馬上から斬りかかるという原典では考えられない行動を行った。

伝説の巨人ではガルバルディβと戦闘の末負傷、自身の呪われた姿を見られてしまったため百式をモチーフにした黄金の鎧を身に纏い黄金の騎士を名乗る。サイコゴーレム打倒のために戦う騎士ガンダム一行を支援した。

光の騎士では自らに呪いをかけたジークジオンに復讐を果たすため、ちゃっかり手に入れていたサイコゴーレムの心の水晶を使い、ムーア界ティターンの魔塔へ密かに突入、スペリオルドラゴンになったばかりのガンダムを護り、覚醒までの時間を稼いだ。

ちなみにシャアに掛けられた呪いはモンスターに変化させられるというものらしく、呪いが中途半端だったのか、その姿はネコミミを生やしたシャアそのものだった。原作と同じ池田秀一ボイスのシャアがネコミミを付けている姿は何ともシュール。


その後、聖機兵物語機甲神伝説において軍師クワトロを名乗り、ネオジオン族とデラーズ軍に参加。機甲神伝説終盤でジークジオンが復活した際には正体を明かし、最終決戦に参加した。この時にダバードの援軍に来ていたアムロと再会、逆襲のシャアバージョンをモチーフにした姿でアムロと共闘した。この時既にアムロはセイラと結婚しているため、このシャアとアムロは義兄弟である。

なお、よく間違われるが外伝世界のシャアとセイラは偽名ではなく、本名。


その他

シャアのネタキャラとしての側面を前面に押し出したマンガ『シャアの日常』では、アパートの一室で目覚めたシャア(かもしれない男)が、自分の名前も素性も一切思い出せないまま、部屋に迷い込んできた野良猫の『ザク』と暮らしていく様子が描かれている。

部屋に残されていたのは赤い軍服といつもの仮面とヘルメット。見た目はシャアだが、何事にも3倍全力なその生活ぶりには今までの軍人・戦士としてのシャアとはまた違った面白さがあり、意外な人気を博している。


また、ガンプラを題材とする『ガンダムビルドファイターズバトローグ』では疑似人格AIとして登場し、バリスティックザクを駆り、かつての宿敵と似た声をしているリボンズ・アルマークリバーシブルガンダムと激闘を繰り広げる。

なお、CVは前述した「本物のシャア・アズナブル」役の関俊彦になっている。ベース機がORIGIN版ザクということからだろうか。


なお、『真・ガンダム無双』では何かと女性絡みでトラブルがあった彼に対し、レコアからは「世界が自分を中心にして動くと思うな!どれだけの女があなたに泣かされたか!」と至極真っ当な事を言われ、ハマーンにはよりにもよっておかしい人のセリフを引用してシャアを非難する始末であり、シャアに援護を求められたナナイに至っては「ふふふ、大佐、たまには痛い思いでも如何ですか?」と見捨てられてしまった。この事態にシャアも混乱していたが、助けに来たアムロは「どうせお前の蒔いた種なんだろ」とトドメの一撃を浴びせる。これにはさしものシャアも言い返せずに礼を述べる事しか出来なかった。


ちなみに、『機動戦士ガンダム ガンダムVS.ガンダム』にて僚機が百式だと『金色のモビルスーツだと!?ナンセンスだ!』だと辛辣なコメントをする(一方で、搭乗者に対しては他人とは思えない何かを感じているようである)。この他、自身をガンダムだと名乗る人物の発言に困惑する姿を見せている。


スーパーロボット大戦シリーズでは

ライバルのアムロ同様、多くの作品に参戦している。

殆どの場合、敵の場合はシャア・アズナブル名義で、味方の場合はクワトロ・バジーナ名義が使われる。そのため、クワトロ名義で参戦している作品の方が多い。

ステータスは高い場合がほとんどで、アムロカミーユに勝るとも劣らない。

ただしクワトロとして自軍入りした場合にもっぱら搭乗することになる百式は、ユニットとして力不足になる事が多い(作品によってはサザビーを入手したり、百式が百式改、フルアーマー百式改と強化される場合もある)。


スパロボで一年戦争時代が再現されることが少ないため、ジオンの赤い彗星として参戦している作品は意外と少ない。

新生ネオジオンの総帥としては新スーパーロボット大戦で初登場。長期シリーズに於いては前作でクワトロとして参戦し次作品でシャアに戻るといった事もあるが、64などストーリー途中で味方から離脱して敵となり最悪の場合戦死することもある。

Dではシリーズで初めて逆襲のシャア時代のシャアが味方として使用出来るようになった。

第3次ZXTでも味方になるがこの3作の場合、最初は敵としての登場となる。

宇宙世紀シリーズがUCしか参戦していないBXや既にシャアの反乱自体が100年前の出来事となっている設定のVなどにおいては完全に故人扱いである。


その独特の立ち位置から「今回のクワトロさんは(裏切る方と裏切らない方の)どっちです?」とファンにネタにされたりもしている(プロデューサーの寺田氏本人が「今回は裏切りません」と言ったことも)。

特に第3次Zに於いては、その立ち位置をフルに活かし、フル・フロンタルとのクロスオーバーも含め独自のシャア象が構築された事が話題を呼んだ。


原作ではなにかとヘタレ扱いされることが多く最後は破滅の道を進んでしまうシャアだが、スパロボでは基本的には頼れる大人として描写されることが多く、作品によっては妹のアルテイシアと共に自軍にいられたり、アムロとの長きに渡る因縁の発端となるララァの死が回避されたり、元恋人のハマーンとも和解できたりするため人間関係においても救いがある。OEに至ってはシャアが「地球圏が大変な時に復讐なんかしてる場合じゃない」と空気を読んだ結果、原作では自らが殺害したガルマ・ザビキシリア・ザビと和解すると言った展開も描かれた。

敵に回った場合でも、反乱を起こした理由が単なる人類への絶望からではなく彼なりに筋の通った、もしくは訳ありな理由づけがされることもある。


30では逆襲のシャアを経験した後に奇跡的に生存しクワトロ・バジーナを名乗って登場するという今までにないシャアが登場(つまり今作では完全に原作通りの動機で反乱を起こした後のためスパロボ補正による救済が全くない状態。それまでは非常事態が発生して反乱自体が未遂に終わったり、そもそも反乱に繋がるフラグ自体が折れたり、反乱を起こしても別の理由づけがされていた)。アムロ共々アクシズ落としの絶望的状況から生還を果たすが、一年戦争の頃からアムロと友人だった流竜馬(チェンゲ版)と兜甲児(INFINITY版)からは殺意と敵意を持たれ、グリプス戦役以来久しぶりに再会したカミーユからは出会い頭に修正パンチを喰らい、梯子を外されたネオ・ジオンや残党軍などからは失望される、魔法騎士レイアース龍咲海からも「どんな理由があったってあいつのやろうとした事は許されないわ」とかなり厳しい目で見られる等、自業自得ながら非常に肩身が狭い思いをした。ある意味では原点回帰と言えるか。

メンタル面がボロボロな状態で加入するためか、今作では精神コマンドの集中、ひらめき、直感を覚えず防御系コマンドが不屈のみである。おそらくメンタルが完全に折れてはいないからという意味での不屈かと思われる。このため回避力を重点的に育成した方が良い。不屈はいざという時の被弾による保険となる。

その分技能やエースボーナスは非常に優れており、今までとは全く違う運用法で強さを発揮できるようになっている

搭乗機であるフルアーマー百式改は特定のサブミッションを進めていく事で性能が底上げされていき、最終的にはνガンダムにも引けを取らない強さとなる。とはいえそれでも終盤は攻撃力が不足気味になり、百式では特殊技能の「プレッシャー」も活かしづらいので、2機目のV2ガンダムや精神コマンドの突撃が活かしやすいHi-νガンダムに乗せ換えるのも手。

ちなみにそのサブミッションも考慮すればカミーユがいきなり殴りかかったのは

『何で自分なんかの為にこんな事(アクシズ落とし)をしたんだ』というやり切れない気持ちからだったと思われる。

なお、ここまでしてシャアが自軍に来たのはフロンタルと同じくシャアの再来であるゾルタン・アッカネンが理由であり彼を止める事で

『赤い彗星が必要無い世界を作る(つまり地球もコロニーも争わない平和な世界)』が目的だったのである。今作においても自分なりに罪を償い前に進もうとしている気持ちは本物である。


名言

機動戦士ガンダム

偵察に出した部下のジーンデニムが先走ったことで、結果的に彼らと彼らが搭乗していた2機のザクを失った際の独白。

シャアの有名な名台詞の一つであり、ただ自分のミスを悔やむのにこんな大仰な台詞を使うことで、ある意味シャアと『ガンダム』という作品のイメージを決定付けた。なお、この時シャア20歳。

ちなみに元々の脚本には存在せず、富野監督シリーズ構成星山博之氏に何の相談もなく勝手に追加した台詞であったため、後になって知った星山氏が激怒したとのこと。


  • 「見せてもらおうか、連邦軍のMSの性能とやらを」

アムロの乗るガンダムとの初対決に臨んで。

ガンダムの実力を試すために、専用のザクで出撃するシャア。既にザクを2機撃破されたことへの警戒を含めた上での言葉であったが、実際に目撃したガンダムはザクの主武装のザク・マシンガンが効かない、ビーム・ライフルはザクを一撃で破壊する威力と想像以上のとんでもない性能だった。


ガンダムのビームライフルに怯えるスレンダーに対して。

直後、スレンダーの乗ったザクは直撃をもらって爆発、彼はあえなく戦死し、シャアはMSを一撃で破壊するその威力に驚愕した。確かに当たらなければどうということはないかもしれないが、当たったら終わりなのであった…。

後の時代にはビームライフルがMSの標準装備となり、回避前提の機体がMSの標準仕様になっていったことを考えると色々と感慨深い。


  • 「モビルスーツの性能の違いが、戦力の決定的差でないことを、教えてやる!!」

恐るべきガンダムの火力を見せつけられても、シャアは逃げることなく再び戦いを挑む。

シャアの有名な名台詞の一つ。「赤い彗星」という異名を持つジオン公国軍のエースとしてのシャアの自負とプライドがうかがえ、実際に彼はその圧倒的操縦技量で、当時はまだまだ素人だったアムロの乗ったガンダムを翻弄する。だが、それでもザクとガンダムの性能差を覆すことはできなかった。

また、こんな事を言っていた彼が後に「情けないモビルスーツと戦って勝つ意味があるのか!?」などと言い出し、ライバルに塩を送る真似をするのだから皮肉である。


  • 「ええぃ!連邦のMSは化け物か!」

上記の発言後、ガンダムとの戦闘中にて。

ザクマシンガン、タックル、パンチ、キックとあらゆる方法で起動直後のガンダムに集中攻撃を浴びせるシャアだったが、ルナチタニウム製の装甲にはまるで歯が立たず、火力だけでなくその防御力にも驚愕させられることに。

こんな理不尽な敵を相手にすれば、そりゃシャアでなくても化け物だと言いたくもなる。


  • 「戦い方がなっていない。まるで素人だ」

ガンダムやホワイトベース隊の必死の反撃で部下を喪い、撤退しながらの一言。

連邦の強力な新型MSと新型戦艦に敗北したという事実自体は素直に認めつつも、これだけ強力な新兵器を扱う敵の戦い方がまるでずぶの素人であることが、シャアには不可解でならなかった。この時点では流石のシャアもまさかホワイトベースのクルー達が実戦経験が全く無い士官候補生と民間人の寄せ集めとは想像もできなかっただろう。


  • 「クラウン、ザクには大気圏を突破する性能はない。気の毒だが…」

第5話にて、大気圏突入時の隙を突いてホワイトベースに攻撃を仕掛けるシャア達だったが、それによってアムロのガンダムだけでなく、部下のクラウンの乗るザクまでもが帰艦できずに落下していったときのセリフ。

シャアに助けを求めて叫ぶクラウンが大気圏に落ちて死んでいくのを見ていることしか出来ないシャアは、「しかしクラウン、無駄死にではないぞ。お前が連邦軍のモビルスーツを引き付けてくれたおかげで、撃破することができるのだ」とせめてものフォローを入れる。だが悲しいかな、ガンダムには大気圏突入用の機能が付いていたのであった…。

ただし、シャアのもう一つの目論見であったホワイトベースをジオン勢力圏内上空に誘導することには成功したため完全なる無駄死ににはならず、「戦術では負けたが戦略では勝った」と言えるだろう。


ちなみに宇宙世紀とは全く別の時代に登場する準主人公が乗ったザクは特に対応オプションもなく半壊状態のまま大気圏突入に成功している。惜しくもシャアと同じ声の議長ブレイク・ザ・ワールド寸前にミネルバを退艦してしまったため、その場に居合わせることはなかったが。


  • 「地球での自由落下というやつは、言葉で言うほど自由ではないのでな」

ザクとガンダムによる、大気圏内での自由落下しながらの空中戦にて。

自由落下の「自由」ってそういう意味じゃないというツッコミは野暮である。


  • 「ガルマ、聞こえていたら君の生まれの不幸を呪うがいい」
  • 「君は良い友人だったが、君の父上がいけないのだよ!」

ガルマを罠に陥れた際の台詞。

ホワイトベース隊の作戦を見抜いたシャアはこれをガルマの謀殺に利用すべく、敢えて彼に真実を知らせることなく囮であるガンダムを追うように指示。「シャア!謀ったなシャア!

目論見通りにガルマはホワイトベース隊の一斉攻撃を背後に受け、最後のあがきに特攻を仕掛けようとするも叶わず戦死した。

シャアの「悪役」としての側面を象徴する台詞として有名な台詞だが、わざわざガルマに己の犯行を知らせたり、「良い友人だった」と本音を告げるあたり、非情な悪に徹しきれないシャアの甘さも垣間見える。


ギレン・ザビによるガルマの追悼演説の中継放送を眺めながらの一言。

シャアの最も有名な台詞の一つ。この時シャア20歳。

詳細は当該記事にて。


  • 「さらに出来るようになったなガンダム」

ジャブロー強襲作戦で、ガンダムと交戦して。

1クールぶりに登場したシャアは、ガンダムに乗るパイロット(アムロ)の成長を素直に認める。


  • 「軍から身を引いてくれないか。アルテイシア」

ジャブロー侵入に失敗して逃走中に偶然アルテイシア(セイラ)と再会した際に言った台詞。しかしアルテイシアはホワイトベースから降りることはなかった。


  • 「私はシャア・アズナブル。ご覧の通り軍人だ」

中立地帯のサイド6にて、ララァとのドライブ中に初めて生身のままアムロと出会った際に放った台詞。

この言葉には自己卑下が含まれていて、道化のような格好を恥じているのか、軍人そのものを侮蔑しているのか、シャアが赤い彗星と周りから呼ばれることをうっとうしいと感じていることをアムロは気付いた。

アムロはシャアと対面するのは初めてだったが、名乗られるよりも先に彼の素性に気づいた自分を不思議がった。一方、シャアの方もアムロがガンダムのパイロットだとは知らなかったが、既に彼を知っているような奇妙な感覚を覚えていた。


  • 「それが分かる人と分からぬ人がいるのだよ だからオールドタイプはせん滅するのだ」

テキサスコロニーでのセイラとの会話で、セイラ曰く「この戦争以前から人の革新は始まっていると思える」との台詞を受けて。この頃から逆襲のシャアに至る過激な行動の一端を垣間見せていた。


  • 「パイロットでは体制は崩せんよ… ニュータイプ能力を戦争の道具に使われるだけだ」

テキサスコロニーで再会したセイラとの会話の続きにて。

後々の時代のことを考えると、まさに正鵠を射ている言葉である。TV版ではセイラを説得する中で軽く述べられる程度だったが、劇場版ではニュータイプ論についてより強調した構成となっている。


  • 「ララァ、私を導いてくれ…」

アムロとの戦いでシャアを庇ってララァが死んでしまい、失意の内に敗走しながら言った独白。

仮面の下から涙がつたう。劇場版にて加えられた台詞。


  • 「さて、問題は私にもニュータイプの素養があるかどうかだ」
  • 「見えるぞ! 私にも敵が見える!」

ア・バオア・クーでの最終決戦にて、ジオングを駆り、ガンダムとの戦いに赴く際に。

出撃当初、シャアは自らのニュータイプの素養に懐疑的であったが、自身のニュータイプの力によってガンダムを発見したことで歓喜する。


  • 「ララァ教えてくれ、どうしたらいいのだ!!」

ガンダムと死闘を繰り広げるシャアだったが、既にアムロの能力はシャアのそれを凌駕しており、次第に追い詰められて焦る彼は極限の弱音を漏らす。

しかもこれまでたとえララァに頼まれても頑としてノーマルスーツを着てこなかったシャアが、この時初めてコクピット内部でノーマルスーツに着替えており、如何に彼が追い詰められていたかが窺える。


  • 「その力、ララァが与えてくれたかもしれん。有り難く思うのだな」
  • 「今君のようなニュータイプは危険すぎる。私は君を殺す」

シャア、アムロ互いのMSが大破した後も彼らの戦いは終わることはなかった。シャアが予想以上に強いアムロのニュータイプ能力を危険視し、直接射殺しようとするシーン。


  • 「私の同志になれ。ララァも喜ぶ」

ア・バオア・クー内部でのアムロとの生身の決闘の末、セイラの介入もあってシャアは彼を自らの同志に誘う。しかし、両者が互いに歩み寄ることは無かった。


  • 「ヘルメットが無ければ即死だった…」

同志になれと言った直後、爆風に飛ばされた後にセイラに言った一言。

アムロとの一騎討ちで彼の利き腕をサーベルで深々と刺して重傷を負わせたシャアであったが、ヘルメットのバイザーがアムロの剣先を止めきれてなければそのまま頭部を貫通されていたことを意味している。

ここでシャアが負った額の傷跡は、その後の彼のトレードマークの一つとなる。


  • 「ガルマ、私からの手向けだ。姉上と仲良く暮らすがいい…」

この台詞と共に手持ちのバズーカでキシリアを射殺。ザビ家への復讐の完遂はシャアにとって数少ない友人でもあったガルマとの完全な別れでもあった。そして、シャアは崩壊するア・バオア・クーに姿を消す…。


機動戦士Ζガンダム

クワトロ・バジーナを参照


逆襲のシャア

  • 「私、シャア・アズナブルが粛清しようというのだ、アムロ!」

劇中冒頭、フィフス・ルナ落下作戦でのアムロとの交戦にて、「なぜこんなことをするのか」と問うアムロへの返答。

たとえ業を背負ってでも地球の重力に魂を縛られた人類を粛清するというシャアの強い決意を象徴する台詞だが、一方のアムロには「エゴだよ、それは!」と端的ながら痛烈に批判されている。


  • 「これでは道化だよ」

ホログラム映像を通して新生ネオ・ジオンの将兵達へのフィフス・ルナ落下作戦の成功を労う演説の直後、部下のカイザスらに「これで兵の士気も上がる」と言われて自嘲しての一言。

新生ネオ・ジオンという組織を率いる総帥としてイメージ戦略は確かに重要だが、そういった扇動的な方策も取らざるをえないことをどこか冷ややかに見ている本音が窺える。


  • 「アムロ、私はあこぎな事をやっている。近くにいるのならこの私を感じてみろ」

スペースコロニー・ロンデニオンでの地球連邦の高官との停戦協定の秘密交渉の後、外出の支度をしながらの独白。

ネオ・ジオンがアクシズを使って何をしようとしているのかも知らず、シャア達の言うことを鵜呑みにして停戦協定というエサにいとも容易く食いついてきた連邦高官達に対し、「俗物どもが…」と陰口を叩くシャア。しかし、騙し討ち同然の計画のため、二枚舌や腹芸をも駆使して謀略を進める自分もまた似たようなものであり、新生ネオ・ジオン総帥という政治家的な立場に立ったことで、かつてのギレン・ザビパプテマス・シロッコ等と同様の行為に手を染めている自分を自嘲的に見ているのがわかる。


  • 「そして、私は父ジオンのもとに召されるであろう!!」

スウィートウォーターでの演説の締めの台詞。池田秀一氏渾身のカリスマ演技が光る。

「父ジオンの元に召される」とは「ジオン・ダイクンが予言したニュータイプの象徴として君臨する」とも「仮に成功しても、大義のためとはいえ人類粛清という大罪を犯してしまうわけであり、その場合は贖罪のため自らも処断する」とも取れる。

いささか大仰に過ぎる気もする言い回しだが、2010年の朗読劇『赤の肖像〜シャア、そしてフロンタルへ〜』では、先述の「自分は道化である」というセリフと併せて「大衆を動かすにはこれくらいインパクトのある言い方をしたほうが効果的だから」という解釈が取られている。


  • 「父の名前を継ぐのは辛いな…君のような支えがいる」

ナナイからの「シャア・アズナブル、いえ、キャスバル・ダイクンでいらっしゃりたいから疲れるのですか?」という問いへの返答。

奔放で生意気なクェスに苛立つナナイを軽く窘めつつ、「君に傍にいて欲しい」と言うアメとムチを見事に使い分けたそつの無い殺し文句だが、女性に対するシャアの心は実はララァにしか向いていなかったことを考えると、かつてのシロッコのように自分に想いを寄せる女性達を上手く口車に乗せて利用しているようにも見えてしまう台詞。


  • 「アクシズ、行け! 忌まわしい記憶と共に!」

アクシズを地球へ向けて発進させる際に発した台詞。

一年戦争、グリプス戦役、第一次ネオ・ジオン抗争…数々の戦乱に関わってきたアクシズは、今度は人類を粛清すべく地球へと向かう。


  • 「それでこそ私のライバルだ!」

アクシズの核パルスエンジンを狙うアムロを阻止するべく追撃をかける際に、彼が仕掛けたトラップのバズーカを見切って紙一重でシールドで防いだ際の台詞。

その表情はどこか嬉しげで、新生ネオ・ジオン総帥という立場を一旦忘れ、ただ一介のパイロットとして戦えることを喜んでいるかのようでもあった。


  • 「アムロ、地球上に残った人類共は地上の蚤だということが何故分からんのだ!」

アムロに狙いを見抜かれ、アクシズに配置しておいた核を積載した戦艦を撃破されて苦々しげに。


  • 「ララァが死んだ時のあの苦しみ、存分に思い出せ!」

アクシズの核パルスエンジン基部へと戦いの舞台を移し、互いにファンネルビームライフルも使い果たしたサザビーとνガンダムはビームサーベルで激しく斬り結ぶ。

これらアムロとシャアの決戦を描いた一連のアクションシーンは、戦いのバリエーションが非常に豊富な上、富野監督が得意とする舞台設定を縦横無尽にフル活用した奥行きのあるアクション演出が光っており、最終決戦に相応しい見応えとなっている。


  • 「ガンダムを捨ててでもアクシズを内部から爆破しようというのか。させるか!」

戦闘の最中、νガンダムを見失ったシャアであったが、νガンダムを降りたアムロがアクシズ内部へと向かうのを発見。自らもサザビーを降りてアムロの後を追う。

このシーン、シャアがνガンダムを破壊せずにアムロを追ったのは、彼があくまでも正々堂々と対等の条件でアムロと決着をつけたかったためだが、次のシーンにおいてアムロはそれを知ってか知らずか、あわよくばシャアを仕留めようと殺意満載のトラップを仕掛けて彼を迎え撃つ。

互いに理想主義者ではあったものの、どこまでもロマンチストで自らの理想に拘泥していったシャアと、意外とドライなリアリストの一面も持つアムロの差が面白いワンシーン。これもララァの言うところの「純粋」というものだったのだろう。


  • 「私は世直しなど考えていない! 愚民共にその才能を利用されている奴が言うことか!」

アクシズ内部での生身の白兵戦にて、アムロの「世直しのこと、知らないんだな。革命はいつもインテリが始めるが、夢みたいな目標を持ってやるからいつも過激な事しかやらない」という痛烈な批判を受けて、かなり感情的になりながらの返答。

しかし、シャアのアクシズ落としの真の目的が「人類全てが宇宙に上がらざるを得ない状況を作り出して強制的にニュータイプへの進化を促進すると同時に、人類に地球の大切さを思い出させて贖罪させる」ということにあったことは、「連邦及びアースノイドを粛清して、スペースノイドの完全なる独立自治を目指す」という表向きの大義を信じて「世直し(革命)」を期待している新生ネオ・ジオンの将兵やスペースノイド達にとっては寝耳に水な話だろう。


  • 「貴様がいなければ…!」

互いに決め手だったビームサーベルも失い、全ての武装を使い果たしたサザビーとνガンダムの戦いはとうとう宇宙世紀史上初めてのMSを使った徒手格闘での壮絶なドつき合いに発展する。


  • 「何?戻れと言うのか!?ナナイ!男同士の間に入るなッ!」

死闘の最中、シャアは彼の身を案ずるナナイの思念を感じ取るも、それをこの一言で払いのける。その一瞬の隙を突いたνガンダムの渾身の一撃がサザビーの背後に命中。サザビーはシャアの乗ったコクピットポッドを排出して大破し、軍配はアムロに上がった。

「シャアは一人の戦士としてライバルとの決着に拘った」と言えば聞こえは良いが、これは裏を返せば個人的な戦いに固執して組織を導く長としての義務と責任を放棄したということでもあり、ナナイを始めとするネオ・ジオンの将兵達、ひいてはシャアの説いた大義に賛同しているスペースノイド達を蔑ろにするにも等しい行動であった(アクシズ落としの成否に関わらず、戦後の事後処理には先頭に立つシャアの存在がネオ・ジオンにとって必要不可欠)。その結果、ナナイは「私達を見捨てるつもりなんですか!?」という台詞を発言することになる。

この段階でサザビーのコクピットのモニターは死んでおり、これ以降、コクピットの外部で起こっていたことをシャアは一切目撃していない。


  • 「私の勝ちだな。今計算してみたが、アクシズの後部は地球の引力に引かれて落ちる。貴様らの頑張りすぎだ!」

ブライト達の奮闘でアクシズを分断することには成功したものの、爆発の威力が強すぎたために割れたアクシズの後部が地球への落下を開始。シャアは「ケンカには負けたが勝負には勝った」と言わんばかりにこの台詞を叫ぶ。


  • 「情けないモビルスーツと戦って、勝つ意味があるのか!?」

アクシズが地球に近づき赤熱化する中、シャアはサイコフレームの情報を連邦側にリークしνガンダムの建造に間接的に協力した真意を暴露する。

「アムロとの対等の条件で決着をつけたかった」という動機はシャアのフェアな精神の顕れとも取れるが、ここではどちらかというと「対等の条件でアムロに勝つことで自分の強さと正しさを証明したかった」というちっぽけなプライドの顕れというニュアンスが強い台詞である。

また、あらゆる面で死力を尽くさねばならない「戦争」という状況下で、自分が有利な立場にあったにもかかわらず、わざわざレベルを合わせてきたシャアの行為は、兵士として成長したアムロにしてみれば独り善がりで青臭いロマンチシズムによる舐めプに他ならず、それゆえにアムロは「馬鹿にして…!そうやって貴様は、永遠に他人を見下すことしかしないんだ!」という否定的な台詞を返すことになる。

このシャアとアムロのスタンスの違いについて、一部ファンからは「アムロは『戦争』のつもりだったが、シャアは『決闘』のつもりだった」と端的に表現されている。

小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 後編』では、この非難に「自分でもそう思うよ!」と対等な条件で決着を付けたいがために取った行動が、何よりアムロを侮辱する形になったのはシャアにとっても不本意であった事を漏らしており、その上でアクシズ落としという凶行を行う自分に怖れを抱いたシャアが、アムロに自分を止めてもらいたかったという意図も同時に存在していたことが描かれている。


  • 「結局、遅かれ早かれこんな悲しみだけが広がって地球を押しつぶすのだ。ならば人類は、自分の手で自分を裁いて自然に対し、地球に対して贖罪しなければならん。アムロ…なんでこれがわからん!?」

アムロの「アクシズを止める」という意思が、チェーンの持っていた試材のサイコフレームを媒介にして広がり、それに触発(或いは軽度の洗脳)された兵士達は連邦とネオ・ジオンの壁を超えて、アムロ同様にアクシズにMSでとりついて押し返そうとする。だが、彼らのMS達は摩擦熱による熱暴走で次々と爆散。無為な犠牲を重ねていく兵士達に、アムロが「もういいんだ!みんなやめろ!」と叫ぶ中、シャアは涙を零しながら独り言ちる。

シャアの真の目的がコントリズム(スペースノイドの独立自治)ではなく、エレズム(地球聖域思想)の過激的実践であったことが窺える台詞。

「地球を封鎖し、人類も全て宇宙に上がればニュータイプになれるはず」というシャアの理想は大博打もいいとこであり、確かにアムロの指摘した通りの行き過ぎた「エゴ」でしかなかったが、これはシャアが人類に絶望しながらも人類の革新の可能性もまた信じ続けていたことの裏返しでもあった。

ここでシャアが涙を流したのは、「スペースノイドに希望をもたらすダイクンの後継者」としてしか見てくれない周囲の勝手なイメージに疲れ果てていたシャアにとって、ララァ亡き今となってはアムロだけが自分の絶望や孤独、悲しみを理解・共感してくれると思っていたからかもしれない。


  • 「そうか、しかしこの温かさを持った人間が地球さえ破壊するんだ。それを分かるんだよアムロ」

サイコフレームを媒介に広がり続けるアムロの意思に統一を促された地球圏の人々の思念が、νガンダムとサザビーのサイコフレームを基点に集積して、オーバーロードを起こし、巨大な虹色の光として発現、アクシズを包み込んでいく。

人類の心の中に秘められた温かさを実感しながらも人類への絶望を棄てきれないシャア、そしてシャアの絶望を理解しながらもそれでも愚直なまでに人類の可能性を信じようとするアムロ。あまりにも純粋であったが故に、破滅的な道しか選べなかった二人に決着の時が迫る。


  • 「ふん、そういう男にしてはクェスに冷たかったな…! えぇ?!」

「人類は愚かだからこそ、その心の光を示さなければならない」と叫ぶアムロをチクリと責める一言。

この言葉を受けて、「自分ではクェスの求めていたような、都合の良い父親代わりにはなれなかったからだ」と認めるアムロ。ここで彼は、シャアがなぜ自らクェスを引き込んでおきながら、彼女に正面から向き合うどころか優しく接するフリをして戦争の道具に変えるような真似に走ったのか、その理由に気づいてしまう。


  • 「そうか、クェスは父親を求めていたのか…。それで、それを私は迷惑に感じて、クェスをマシーンにしたんだな…」

アムロの「だからか!貴様はクェスをマシーンとして扱って…」という指摘を受けて。

クェスを戦闘マシーンに仕立て上げてしまった理由を、ここでアムロに指摘されるまでまるで自覚できていなかったシャア。

彼がクェスを引き込んだのは「ララァの代用品」となることを期待していたからだが、クェスもまた自分と同じく、ただの「愛情に飢えた子ども」に過ぎず、逆に父性を求められるとは思ってもみなかったのだろう。異性に対して求めるものがあまりにも複雑で大きくなり過ぎていたという点で、シャアとクェスは奇妙な相似形であることも実に皮肉である。

「地球の保全」「アースノイドの粛清」「人類の革新」……散々大言壮語を並べ立てて、これほどの大規模テロを引き起こした男が、その実、一人の少女を手前勝手な我欲で唆しておきながら、彼女の気持ちを「迷惑だ」と切り捨てた挙げ句、面倒になった途端に簡単に捨ててしまったという情けない事実。その無責任で大人げない残酷さに、アムロは「貴様ほどの男が、なんて器量の小さい!」という失望とも幻滅ともとれる言葉でシャアをなじり返す。

シャアが高いカリスマ性と人心掌握術を持ち合わせながら、それを支えるだけの精神的余裕や、他人を慮れるだけの包容力が無かったことが明白になるシーン。

富野監督によると、『逆シャア』におけるシャアは他人に心を閉ざしてしまっていたことで、「他者をよりよく導く力」を既に喪ってしまっていたとのこと。


逆襲のシャアのラストシーンで、シャア最期の台詞。

アムロに、父親を求めていたクェスを迷惑に感じてマシーンとして扱ったその器量の小ささをなじられたことへの返答としてシャアから出てきたのは、自分を導いてくれるはずだったニュータイプ、つまりは母親のように他者を導く存在を殺したアムロに対する恨み辛みだった。

ナナイ・ミゲルとの会話シーンで回想していたように、ララァは死後14年経った今でも自身を導いてくれるかもしれなかった掛け替えのない存在であったと、シャアの中でその存在感が強まっていたことを窺わせる台詞である。

即ち、シャアの本質が既にいい歳した大人でありながら、子供(クェス)に向き合うことすらできず、それどころか未だに甘え縋れる親のような存在を求めて引きずり続けている「大人になりきれなかった情けない大人」であり、彼の抱えるコンプレックスの正体がマザコンのそれに近いものであったことが、遂に露呈した瞬間であった。

また、「他者との相互理解」を本質とする筈のニュータイプの中でも稀代の存在であったシャアとアムロの最後のやり取りが、女絡みの恨み節の応酬による相互否定(口ゲンカ)であり、これまで数々の名台詞を発したシャアの最期の言葉が単なる恨み言であったという点も考えさせられる。相手がアムロだったからこそ言えた本音ともとれ、妙な生々しさのある台詞である。

ちなみに小説『ベルトーチカ・チルドレン』では、「『母親』を求め続け、自身の理想とコンプレックスとプライドに固執するあまり、大人になりきれなかったシャア」と、「『父親』として守るべき家族を得て、本当の意味で大人となったアムロ」を対比する形で描かれている点も興味深い。

なお、シャアを演じてきた池田氏は『逆シャア』のシャアの最期の台詞に当時は複雑な心境を抱いていたが、後に「情けない一面も含めてのシャア・アズナブルなのだ」と受け入れることができたとのこと。さらに後年、池田氏は2007年に発売された自伝『シャアへの鎮魂歌 わが青春の赤い彗星』で、この時のシャアを演出した富野由悠季について「疲れていたのかしら?」と自己解釈を語った。


関連イラスト

シャア奴の影

対の絵赤の肖像★見せてもらおうか新しいガンダムの性能とやらを!


関連タグ

機動戦士ガンダム

シャア ガンダム Zガンダム 逆襲のシャア 池田秀一 シャア専用 赤い彗星 通常の3倍 シャアザク ザクⅡ ズゴック ゲルググ ジオング リック・ディアス 百式 サザビー セイラ・マス

アムロ・レイ ガルマ・ザビ クスコ・アル

シャア・アズナブル(THE・ORIGIN) リノ・フェルナンデス

ハマーン・カーン カミーユ・ビダン コレン・ナンダー

キャスバル・レム・ダイクン クワトロ・バジーナ ジオン エゥーゴ ネオジオン

シャア 若さ故の過ち 坊やだからさ

当たらなければどうということはない

ライバル 仮面の人(ガンダム) ラスボス

ムジカ・ファーエデン

ケツアゴシャア

シャア専用マクドナルド

シャアの日常


ルナマリア・ホーク赤いザクに乗るという共通点がある。


オーリス …トヨタが公式に「シャア専用」なる痛車グレード、およびカスタムパーツを発売していた。


リスペクトキャラ

ガンダムシリーズ内

ゼクス・マーキス トレーズ・クシュリナーダ ジャミル・ニート ランスロー・ダーウェル

ラウ・ル・クルーゼ ネオ・ロアノーク

グラハム・エーカー/ミスター・ブシドー

フル・フロンタル ゼハート・ガレット

ルイン・リー/マスク マクギリス・ファリド/モンターク/仮面の男(鉄オル)

呂布トールギス

ボリス・シャウアー ユウキ・タツヤ/メイジン・カワグチ

コマンダーサザビー ギルバート・デュランダル

サカザキ・ケンタ 呂布シナンジュ

司馬懿デスティニーガンダム

グエル・ジェターク


ガンダムシリーズ外

赤井秀一 シャンクス シャドーレッド:中の人及び赤繋がり。前者は実際にシャアが名前の由来であり、後者2名は赤と「シャ」の付く名前繋がりでもある。


西澤梅雄:同じく中の人繋がりのキャラ。こちらの世界ではハマーンと中の人が一緒なキャラと見事にゴールイン。愛娘がいて、そんな二人は揃いも揃ってかなりの親バカ。また、梅も赤い



外部リンク

Wikipedia:シャア・アズナブル

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