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「私には、あるのだよ! この宇宙でただ一人…全ての人間を裁く権利がなぁ!!!」


プロフィール

人種ナチュラル
誕生日C.E.46年後半
出身地GARM R&D社L4コロニー・メンデル内研究所(ヒビキ研究室)
年齢24歳(没年齢)
血液型O型
身長183cm
体重77kg
CV関俊彦/マーク・オリヴァー(英語吹き替え版)

人物

ザフト軍の精鋭部隊・クルーゼ隊の隊長で、プラント最高評議会議長パトリック・ザラが信頼を置く士官。ザフトの「仮面の男」として、地球連合軍側にも広くその名は知られている。

その異名の通り仮面を着けているが、素顔を探られることは気に入らないようで、クルーゼ隊では隊長の素顔を知りたがることは死亡フラグとされている。実際知りたがっていたミゲル・アイマンニコル・アマルフィは戦死している他、素顔を見たフレイ・アルスターも殺されている。

素顔はスペシャルエディションDVD及びHDリマスター版でしか見られない。


一人称は「私」。見た目からして穏やかそうで物腰が柔らかいため初対面の人物からは穏便派だと間違われることすらあると一部の設定資料書に紹介されているが、本当は図太く気まぐれなところもあり、時折周りをドン引きさせるほどシニカルで悲観的な発言をするなど底知れぬ心の闇を覗かせる。

前線でバリバリ戦い情報収集にも積極的な努力家で人間離れした勘の良さを誇っているなど実力に申し分ない。しかしその反面、最高評議会の断りを待たずにふらりと行動に出てしまう上に、ヘリオポリスの事故のように行動が本人の望まぬ事件に繋がってしまっても自分から最高評議会に弁解して責任を逃れるくらい口の達者。

つまりザフト軍ピカイチのトラブルメーカーを競う問題児っぷりを見せながら実力と成果で押し切る困ったエースである。副隊長のアデスに日々頭を抱えさせている。


一方個々の隊員に対する対応がよく、キラのことで悩むアスランにとって唯一打ち明ける相談役を引き受けたり、イザークとフレイに政治と戦争の関係性を丁寧に解読して教えるなど特に10代の若い子相手に面倒見がいい。

アスランたち若いエースパイロットたちのポテンシャルを高く買っており、多少の口答えや独断行動など他の指揮官からしたら不躾な振舞いに厳しく当たることなく子供たちの行動の理由を問いただしたり自らの方針を説明して説得したりと大事に指導している。


普段から不敵そうな微笑みを浮かべているものの、目元を隠す仮面で本当の表情や感情が読みにくいこともある。

人類の本質を問い戦争の悪を憂うようなモノローグが多く、物憂げで思慮深い一面を持っているようだ。


何らかの病気を患っているのか薬を常用しており、作中では相当苦しそうに悶えながらカプセルを飲む姿も度々見られる。地球連合軍パイロットのムウ・ラ・フラガとは、グリマルディ戦線のエンディミオンクレーターでの戦いで交戦して以来の因縁の相手である(ただしラウの方は、これ以前から面識があるような言動をしていた)。

自らモビルスーツを駆り戦うより母船から指示を出している場面は多いが、やはりムウが絡むと自ら出撃したがるところが窺える。


ネタバレ注意

※以下の記述には、作品ストーリー及び彼の正体・目的・過去についてのネタバレが含まれます。未見の方はご注意下さい。











出生事情及び作中での動向

その正体は、キラ・ヤマトの実父であるユーレン・ヒビキ博士が、スーパーコーディネイターを作り出す研究の資金を欲して生み出した存在「ラウ・ラ・フラガ」


ライバルであるムウとは、『ムウの父親「アル・ダ・フラガ」のクローン』という複雑な関係にあたる。


人間のクローンを創り出す行為はコズミック・イラ(C.E.)においても違法行為であったのだが、アルは不仲の妻との間に生まれたムウに納得いかず、自分の才能を100%受け継ぐ後継者が欲しかったという理由で「法など変わる、所詮は人が定めたものだ」と研究資金を餌にヒビキ博士を押し切ってクローンを作らせたのである(ラウ自身は、「己の死すら金で買えると思い上がった愚か者」と唾棄している)。

ナルシズムの強かったアルの「完全なる分身」という意向を受けたため、遺伝子改良による手が加えられていない。つまりザフトの上官でありながら彼はナチュラルに分類される。それにもかかわらず遺伝子を改良して産み出され、最初から高い能力を有する「コーディネイター」だらけのザフト軍で白服(指揮官クラスの能力者)を着ているのだから、その凄まじい素質や能力の高さや、そこに至るまでに壮絶な努力をしたことが窺える。

また、その遺伝特性故に、ムウ同様にドラグーンシステムを制御可能な高い空間認識能力を有すると共に、近くにいるムウの存在を感じる事ができるという特殊能力を持つ。これらの能力からナチュラルでありながら、スーパーコーディネイターのキラと真っ向から互角に渡り合える程の実力を持つ。

このようにナチュラルの中では間違いなく、外伝も含めてシリーズ最強の人物である。本編放送終了後の監督の発言によると、「彼は死にもの狂いの努力でザフトのエースになった」とのことである。


しかし、体細胞クローンの宿命であるテロメア遺伝子の減少短縮問題を解決する事が出来ず、彼は余命が短く早期に老いが訪れるという「失敗作」として誕生させられてしまい、アルはラウをムウに代わる後継者として期待していたが、失敗作だと知るやあっさり彼を捨てて家から追い出してしまう。このことから彼は、自分を不遇な身体で誕生させた上にあっさり捨てたアルと、それを招いた人類の競争そのものを憎悪し、報復として放火でアルを妻諸共殺害する。

それからプラントへ渡って「ラウ・ル・クルーゼ」と名乗り、ザフト軍人として活動するようになる。その戦果によって得た地位と信頼を用いて得た情報を他勢力に漏洩させるなど、話が進むごとに戦争のさらなる混沌化を意図した行動が目立っていく。その際たるものとして、物語終盤ザフト軍の新兵器であるNJC(ニュートロンジャマーキャンセラー)のデータを「戦争を終わらせる鍵」と説明してザフトに拘束されていたフレイに持たせて解放したというものがあり、そのデータが偶然連合軍戦艦ドミニオンに乗船していたブルーコスモスの頭首ムルタ・アズラエルの手に渡った(それ以前からアラスカ基地でのオペレーション・スピットブレイクの内容を漏洩したなど、内通していた節がある)ことで、地球連合軍は核兵器を再び使うことが可能になった。

自らを産み出した人類に対する憎悪で行動している一方で、人類の善性に対する期待も捨てきってはおらず、暗躍は常に何らかの選択肢を提示して選択者の善性と悪性を測るリトマス紙的意味合いも持っていた。NJCのリークに関しても、核ミサイルに用いるか復興に用いるかが選択肢として存在し、前者を選択して絶滅戦争(核戦争)のスイッチを押したのはクルーゼではなく連合側(厳密にはアズラエルを始めとするブルーコスモス派の重鎮)である


運命の地であるコロニー・メンデルでキラとムウの2人と対峙した時は、薬切れ(後述)の副作用で苦しみながらも、殆ど気迫と精神力だけで身体を動かして2人を銃撃戦で圧倒し、2人に全ての真実と自身の言いたいことを最後まで言い切るなど、その精神力と人類への憎悪は途方もないものである。


最終回ではキラ相手に舌戦を行い圧倒し続ける。ただし、途中から完全に開き直っていたこともあり勢いで押し切る形であった。むしろ議論を自ら放棄したという意味ではクルーゼの負けとも言える。一方、そんな開き直りや放棄の言葉もキラには刺さる内容であったため、この2人の間に限っては最後まで議論として成立していた。

さらにフレイをキラの目の前で殺害するが、それで怒りを爆発させ「SEED」を発動させたキラに舌戦での攻勢っぷりと反比例するように追い詰められていき、途中隙を突くなどして形勢を取り戻すも最後はキラの「それでも!守りたい世界があるんだ!」という言葉と共に捨て身の特攻を受け惜敗する。笑みを浮かべながら、アスラン・ザラによって破壊されたジェネシスのガンマ線の光に包まれ、乗機であるプロヴィデンスガンダムと共に消滅した。


公式ガイドブック3に掲載されている福田己津央監督のインタビューでは、「彼の中には人類を滅ぼしたい自分とそうしたくない自分が同時に存在し、自分に未来が無く死期が見えていた。フレイを送り出したのは意識的に扉を開くというよりもコインを投げる賭けの感覚に近く、世界の行く末を決める重要な場面を人智を超えたところに判断を委ね、結果データは渡った為行くところまで行くしかないのだ、となった」とあり、彼が完全には人類に絶望しておらず、心のどこかで自分を止めてくれる存在を求めていたのがうかがえる。ムウやキラに対しては「お前に討たれるなら本望だ」というような事を言っていたのもこの気持ちからである。

つまり、最期に笑みを浮かべながら消えていったのは自分が止められた事への納得や安堵の為であった。 彼にとってキラは「憎くもあれど、自分と同じく個人の欲望の為に人為的に作られ、生まれながらにして人生を歪められた存在として愛しくも思っていた」とも記されており、完全なる人工人類の完成形として嫉妬と羨望を向けると同時に、自分と同じく他者の身勝手で生み出された存在として親近感も抱いていた。

そして、彼の憎悪自体も至極もっともであり、極めて正当なものである。親(正確には自分のオリジナル)の身勝手な願望によって不完全な生命として作り出された挙句に不完全だと判明した途端にまたも親の身勝手(傲慢で横暴と息子に唾棄されるアル・ダ・フラガの性格からして、『自分のクローンだからどう扱うのもオリジナルである自分の自由』となるのは想像に難くない)で追い出されるとなれば、彼でなくとも程度は違えど同じような思考にたどり着くのは想像に難くない。ある意味では、彼は人間の業つまりは悪性の一番の被害者でもある。

さらにいえば、少しでも形が違っていればキラやアスランとて彼と全く同じ道を歩んでもおかしくなかったのである。実際に月間ガンダムエース2003年12月号でのインタビュー記事で脚本家は、「本当に一人ぼっちの存在」「そんな中でも一番自分に近いと思っているのがキラとムウ」「ラウから見るとキラは「お前はこっち側にきてもおかしくない人間だ」という事」としている。加えて、そのインタビューは「ムウのような普通の家族(ラウ視点(笑))が欲しかったでしょうし、友達も欲しかったでしょう。でも自分にはクローンであるとか老化が激しいとかいう、いわゆる「呪いにかかっちゃってる」訳です」「結局、明るい世界を信じたかったけれども、嫌なことばっかりに飲み込まれてしまったと言う事」と締め括られていることからも、人並みの普通さえ得られなかったことに対する憎悪が彼を動かしていたのは間違いない。

ラクス・クラインが乗っているエターナルに攻撃する前には「君の歌は好きだったがね。だが世界は歌のように優しくはない!」と皮肉じみた独り言を放っているが、上述の諸々に加えて皮肉は多用すれど嘘は吐かない性格であるため本心である可能性は高く、ラクスが歌う世界は実際の世界と違って優しい世界だから好きだったのかもしれない。

彼が『SEED』で戦争を裏から操り、数々の悲劇を招き多くのキャラの死の原因を作りながらも根っからの極悪人としては扱われないのも、そういった事情があるからであろう。


なお、続編『機動戦士ガンダムSEEDDESTINY』に登場したレイ・ザ・バレル遺伝子的には同一人物である(同一遺伝子から作出されたクローン体で、出生的に表現するならラウの弟に近い)。彼もまたラウと同じクローン故のテロメアの減退に苦しめられるが、彼の方はギルバートやラウに愛情を受けて育ち、シン・アスカを始めとした友人との交流もあったために、世界への憎悪で動いてはいなかった。

世界への憎悪が足りず友人を思いやるというクルーゼとは正反対の人間性に育ったが故に、『DESTINY』最終盤にてキラとレイの舌戦を行った際、『SEED』最終話よりも意志と決意が強固になったキラに戦いと言葉の両方で完全敗北する、という結末を辿ることとなる。


ちなみに彼が常時服用していたカプセルは、親友でありザフトで数少ない自分の出自を知るギルバート・デュランダルに特別に作って貰ったもので、細胞分裂を抑制してテロメアを延長させることで、老化を遅らせる薬である。ただし副作用として、薬効が切れると激しい苦痛に全身が蝕まれる他、長期服用すると癌の発症確率も飛躍的に上がるらしい。常に仮面を着けているのも、急速に老化していく自身の容姿を隠す為である。

小説版においては、仮面の下の素顔はアル・ダ・フラガが存命ならばこうなっているだろうという老人の姿とされているが、スペシャルエディションやリマスター版で追加されたシーンの素顔は、目元に皺などはあるもののそこまで老化した外見ではない。

一方で、『DESTINY』のリマスター版の回想で登場した赤服時代の彼の容姿は、当時はまだ年齢相応に若々しく、その外見はまさにDESTINY本編のレイとそっくり(というか髪型以外は完全に同じ)である。しかしこの当時の時点で、その言動は既に外見や年齢には不相応な非常に大人びて達観しきったものであり、一回り歳上のギルバートともあくまで対等の友人として話をしていた。


コーディネイターで構成されたザフト内部で、彼がナチュラルであったことはデュランダルとレイしか知らず、上記の空間認識能力も含めた卓越した能力や才能の数々でコーディネイター社会のザフトにおいても、彼をナチュラルだと思う者は誰もいなかった。奇しくも「ナチュラル陣営で結成された地球連合に所属するエースが軍が忌み嫌うコーディネイターだと早い段階から内部で薄々気付かれていた」キラに対し、「コーディネイター陣営で結成されたザフトに所属するエースが軍が忌み嫌うナチュラルだと一度も内部で気付かれないまま二度の終戦を迎えた」クルーゼと真逆の関係である。

また、ナチュラルでありながら、コーディネイター用のモビルスーツをコーディネイター以上に使いこなしていたのもその理由であると言える(これはムウですらできなかったことである)。


搭乗機体


スーパーロボット大戦では

最終目標が「世界の破滅」であるため、異星人等の外敵にも節操なく協力して暗躍する等、正真正銘「人類の敵」という立場にまで堕ちており、キラ達は勿論、原作では本性を表した後は一度も直接対決が無かった元部下のアスラン達からも強い怒りを買っており原作と違い彼等から明確に決別されるなど、同情の余地のある出生があるとはいえ、あまりにも外道な所業もあってか他作品のキャラクター達からも完全否定されている。


第3次スーパーロボット大戦αではキラとの舌戦時の開き直りが拾われており「厄災を撒く者」として描かれている。これまで幾度となく人類を守ってきたαナンバーズ(自軍部隊)に対し憎悪をむき出しにして「人類を滅亡させるため」に戦いを挑んで来る。

なお、今作では『クルーゼを全否定するカミーユ』という今ではあり得ない光景が見れる。


スーパーロボット大戦Jでは木原マサキを利用し人類滅亡を狙っており、秋津マサト(天のゼオライマー/グレートゼオライマー)との特殊戦闘台詞もある(更に担当声優も同じ。しかも、前作ラスボスも同じだったりする)。終盤で草壁春樹を殺害し、結果的にではあるがテンカワ・アキトミスマル・ユリカ救っている。ちなみにこの作品でフレイを殺害した後、キラからは敵意を抱かれた上にはっきりと否定される発言を吐かされている。

なお、前述の通り彼はコーディネイターではないが、パイロット技能に「コーディネイター」が入っているという設定ミスがある(この系統のゲームに関しては単なるミスだったり、あるいは開発者側の知識不足や資料不足などによってこういう設定ミスは他のキャラやユニットにも度々起こりうる問題ではあるのだが)。


スーパーロボット大戦Wでも基本的な行動は変わらないものの、今作ではフレイが救出されて核ミサイル攻撃が阻止されてしまう…が、それによって、より危険なフェルミオンミサイルが使用される事態となる。本人はこの皮肉な有様に哄笑し、地球とプラントの戦争が終わってもオリジナル敵勢力であるザ・データベースの傘下に下り、ノイ・ヴェルター(自軍部隊)に戦いを挑んできた。しかし総合的には叢雲劾の見せ場の為の噛ませ犬」という印象が強く、ボン太くんを見て闇が薄れかけたりと原作ファンからの評判は悪いが、ボン太くんの戦闘前会話に関してはクルーゼに限らず、他の版権キャラクター達も若干キャラ崩壊を起こしたギャグ描写となっており、また、意外性を感じた人も少なからずいる。また、本作では「機動戦士ガンダムSEEDXASTRAY」の主要人物であるプレア・レヴェリーカナード・パルスとの絡みも存在する他、条件を満たしていると原作では退場済みであるニコルとも対決でき彼から説得を受けるが「生き延びた君には死んでいくだけの私の気持ちはわからない」と一蹴している。

初のスパロボ補正がかからなかったクルーゼだが、ある意味『劾に原作と同じ補正がかかるスパロボ補正がかかっていた』とも言える。


Zシリーズでは既に故人であるため登場はしないが、何度か名前が触れられる。またフロスト兄弟も彼の運命を知っていたり、第3次αで舌戦したカミーユとまさかの和解状態となっている。

  • 天獄篇では、彼の出自が、クロノ保守派の一員であったアル・ダ・フラガが権力を求めて作り上げた存在であること、そして彼のクローンであるレイは万が一に備えてのスペアであることが発覚した。

スーパーロボット大戦Card Chronicleでも基本的な行動は変わらないものの、「他人の欲望により生み出された人造人間」という似たような境遇を持つ鉄甲龍塞臥を救助し、彼から自身の境遇への絶望を告げられた際には己の境遇と目的を明かすなど、まさかの他作品キャラに自分の胸の内を全て明かせる友人ができた。また、最期は自身とは違い絶望へと堕ちなかったレイを遠回しに激励しており、最後の最後で希望を信じて逝く事ができたとも受け取れる描写になっている。


スーパーロボット大戦DDでは概ね原作通りだが、今作では本来ならば存在しない異世界からの介入の影響で原作の展開とは異なっている部分が多く、最終決戦では刹那・F・セイエイによってフレイの救出を達成され、結局ジェネシスも止められてしまう。しかし、最期に原作には無かった不吉な言葉を遺して散っていった。

今回はクルーゼの補正を上回るには『先の先以上を読める指揮官』『瞬時に高速移動が可能な機体とそれを完全に動かせる反応速度に優れたパイロット』『クルーゼを完全に封じれる機体パイロットが必要という事が分かったと言える。


Gジェネレーションシリーズでは

「この状況、どう見たってお前が悪者だッ!」 - デュオ・マックスウェル

「相手はエース。油断なんてしていられない………!」 - カトル・ラバーバ・ウィナー

「こいつだけはぁ!許しちゃなんねぇ!!」 - コレン・ナンダー

「無能には見えんが、善悪とは別だな………!」 - アグニス・ブラーエ

~以上、Gジェネクロスレイズでの特殊会話~



初登場は『SEED』。

ガンダム作品が多数登場するGジェネレーションシリーズではSEEDのラスボス機であるプロヴィデンスガンダムはかなりの頻度で登場する。

そんな中でも機動戦士ガンダムSEEDのアニメ最終話から3ヶ月後に発売されたSDガンダムGジェネレーションアドバンスではプロヴィデンスガンダムが登場しない代わりにフリーダムガンダムに搭乗して登場する。

更にNT試験用ジム・ジャグラーからエールストライクに乗り換えたムウ・ラ・フラガとの一騎打ちがイベント戦闘シーンとして挿入される。

死力を尽くて激しい戦闘を繰り返したのち両者はビームサーベルを構えて突撃し互いの機体を貫くというもの。

これによってエールストライクとフリーダムは爆散し、ムウとクルーゼは相討ちとなって死亡するというものだった。

勿論、ムウ以外でフリーダムにとどめを刺せばイベント発生を阻止することも可能。


なお、フリーダムとエールストライクは爆発してユニットごと消えたように演出されるがビームサーベルが貫いた場所が幸いにも機体の致命傷になるほどではなかったのか爆散しておらず、ピースミリオンのドクターJによって回収され修理後フリーダムとエールストライクはその後も使用可能となる。

ちなみにこのステージのキラはアムロ・レイからお下がりとしてもらったリ・ガズィに搭乗する。


その他の作品ではスカウト可能なキャラとしても登場するため、味方キャラとしても活躍させられる。マスターユニットやリーダーユニット、艦長向きの能力が揃う上に、覚醒武器の威力にも補正がかかる優秀なステータスの持ち主。一方、テンションがやや上がりにくいのが欠点。


評価

その圧倒的なキャラクター性と強さや、最後のキラとの名勝負などから現在でも非常に高い人気と知名度を誇るラスボスである。

しかし、言い方を変えて見れば「自身の持つ人類への強い復讐心により、怒りと報復行為に正当性を持たせた無差別殺人犯」である。


同時にムルタ・アズラエル、パトリック・ザラと共に悪役としては非常に魅力だった故に、SEEDシリーズのラスボスのハードルを大幅に上げてしまったとも言える。実際、次回作の『DESTINY』では小物界の小物過ぎる極悪人やら他に根っからの悪人がおらず消去法でラスボスを担当することになったキャラたちしかいない。

しかし、これについては『SEED』の話が世界を巻き込んだ絶滅戦争という非常に過激なものだったものに対して、『DESTINY』の話は(『SEED』の戦争の後始末も兼ねた)大西洋連邦&オーブvsプラントという小規模かつプロパガンダ重視の良くも悪くも現実的な戦争、言い換えれば『SEED』は相手側の人種を絶滅させる戦争だったのに対して『DESTINY』は誰が世界の覇権を握るかを決める戦争だったというのも大きく影響している。

『SEED』の時は比較的早期に一線を越えてはっちゃけ出すことで「悪役」「悪人」と分かりやすいキャラが多かった中、『DESTINY』は最終盤まで一線を越えず独善的とはいえ世界平和を望む理性的な善人であったため「悪役」と断ずるのが難しいキャラが多かった(デュランダルたちにしても最終話3話前になって大量破壊兵器レクイエムを持ち出す、あるいはそれを肯定したことでやっと「悪役」になった)。

また、『SEED』シリーズは自分の思想や言動に疑念を抱いた方が負ける(最後まで強気な方が勝つ)という一貫性があり、『SEED』ではクルーゼもアズラエルも(パトリックも)最後まで強気なままであった一方、『DESTINY』のラスボスは誰しもその知性や善性から自身の在り方に疑念を抱いてしまったため容易に敗北した(最終的に錯乱までしたシンが顕著)。


つまり、C.E.独自の闇と詰みっぷりを全力で描いた『SEED』のストーリーとマッチしたキャラクター性だったことが、ここまで魅力的なキャラに仕上がった要因である。

クルーゼの悪事は「ナチュラル絶滅を望むパトリック・ザラ」と「コーディネイター絶滅を望むムルタ・アズラエル」という二人の踏み台となる悪役がいなければ成立せず、全人類滅亡等という誰も得をしない事を望む破滅的な悪役は悪のカリスマ史に残るキャラクターであると言える。

【ガンダム】ラウ・ル・クルーゼという全人類滅亡を望んだ唯一の人間


余談

MS戦

OPではキラやムウとの戦闘シーンも流れていたクルーゼだったが、実はクルーゼ自体モビルスーツでの出撃は全編通しても多くない。物語冒頭のヘリオポリス襲撃時にシグーでメビウスゼロと交戦して以降は、キラやムウとのMS戦は4クール終盤まで待つことになる。

何故ならクルーゼ隊の隊長として、強奪したG4機の性能テストも兼ねた投入やプラント最高評議会へのそのG4機とストライクの戦闘データのレポート提出、アークエンジェル地球降下後もオペレーション・スピットブレイクの前準備などで多忙だったためである。

そのオペレーション・スピットブレイク時もディンで出撃したもののこちらは地球連合のアラスカ基地内部への侵入が最優先だった上サイクロプスの情報も知っていたため、早期に効果範囲外にある旗艦に撤退している(このため連合ザフト両軍を騒がせた新型機の情報は後に知ることとなる)。

加えてムウとは何かと生身で銃撃戦をしているイメージが強く、実際に本編を見た視聴者からは驚かれるかもしれない。MSでの出撃が少なかったからこそ、終盤のプロヴィデンスガンダムでの鬼神の如き強さが引き立っているとも言え、まさに能ある鷹は爪を隠すとはこの事だろう。


『SEED』シリーズはパイロットの操縦技術に相応しい性能の機体に乗らないと弱体化する傾向がある(いくらパイロットが優秀でも機体性能に引っ張られる)ため、プロヴィデンスという当代最強格の機体に乗るまでは、その実力を発揮できなかった部分もある。


一応本編の時点では帰宅の際に寝込むほど健康が悪く余命僅かとされており、クローンであることを周囲にバレないように隠している節があるため、あえて指揮や情報収集に専念することでここぞの出撃のために体力を温存していた可能性も存在する。


ザフト入隊の謎

クルーゼの出世を語るにあたって稀に議論になるのが、「どうやってナチュラルだとバレずにザフトに入隊できたのか」がある。とはいえこれは謎というほどのものでもなく、単に優秀なナチュラルはコーディネイターと大差がないというだけのことである。


そもそもコーディネイターは遺伝子操作をすることで「人間に人外的な挙動をもたらす」ものではなく、「人間の持ちうる素質を引き出す」もので、ナチュラルに比べて高いとされる情報処理能力も単に『頭がいい人』の言いかえでしかない。持ち前の高い空間認識能力でMS操縦のスキルを補っていた面もあると思われ、現に、遺伝的には息子であるムウも、MAでMSと対等に渡り合う数少ない人材であったし、ストライクに乗ってからも、ネームドには苦戦する場面もあったが、ザフトのモブパイロットとであれば互角以上に渡り合っている。


能力至上主義のザフトにおいて、多くのハンデをものともせずに20代の若さで最高幹部に登り詰めた実力・努力は、間違いなくクルーゼ自身の才覚であったと言える。


ちなみに、遺伝的に同一の存在であるレイも、努力の末士官学校を主席で卒業しているが、コーディネイターのトップオブトップであるアスランと比べると、同じ主席でありながら、銃の扱いで圧倒的に劣るとしか言い難い描写が存在するため、見方としては寧ろ、アスランやキラはコーディネイターの中ですら完全な外れ値であって、通常の範囲での「優秀なコーディネイター」は、アスランとキラの足元にも及ばないのが正常な性能らしい。


ニュートロンジャマーキャンセラーの入手経緯

『SEED』第42話にて物語(核戦争開始)の鍵となるニュートロンジャマーキャンセラーの設計データを入手しているが、コレはクルーゼにとっては全くの偶然である。クルーゼが目的としていたのはオーブ解放作戦を観戦していた際に目撃した見慣れないMSのデータであり、オーブ国防軍として戦っていた機体の設計データが何故かザフトに存在し、伝手でそのデータを入手して興味本位で閲覧してみたらニュートロンジャマーキャンセラーの設計データがあったという珍妙な入手経緯となっている。実際、閲覧した際のクルーゼは「ほぉ。(Nジャマー・キャンセラー。これはまた…。)」という反応を見せている。

つまるところ、ニュートロンジャマーキャンセラーが直接アズラエルへ届くどころか、そもそも入手さえ完全に偶然だったわけであり、第43話以降のクルーゼのテンションが全体的に高めだったのにも納得がいく。


ル・クルーゼの意味

下の名前であるル・クルーゼ(Le Creuset)とは、フランス語で溶鉱炉等の「坩堝(るつぼ)」の事。

なお、「坩堝」とは西欧文学では「試練」のシンボルに使われている。(有名な例を出すとアーサー・ミラーの戯曲「るつぼ」など)

過去の悲劇から学習せずいつになっても己と異なる存在に偏見を持ち排除したがる人類に試練を与え断罪することを図る彼が、恐らくそういう意味合いを考えて苗字を選んだのだろう。


余談だが、同名のフランス鋳物メーカーの社名も「坩堝」から取られている。


関連イラスト

ラウ・ル・クルーゼ


関連タグ

機動戦士ガンダムSEED  ザフト クルーゼ隊

ムウ・ラ・フラガ キラ・ヤマト

レイ・ザ・バレル ギルバート・デュランダル

クルーゼ

哀しき悪役 ラスボス 美形悪役 クローン 白い悪魔 悪のカリスマ


パプテマス・シロッコ機動戦士Zガンダム)…同じく最終決戦時に敗北したものの主人公の精神を道連れにしたラスボス。その主人公は何の因果かスパロボZ以降でクルーゼの理解者となったカミーユ・ビダンである。


フロスト兄弟機動新世紀ガンダムX)…上述通りクルーゼとは似た行動原理で世界に復讐を誓ったラスボス。ただし終盤でD.O.M.E.で明かされた真実を知れば復讐から開放される可能性は十分あったにもかかわらず、最終決戦ではそれに取り憑かれたあまり説得しようとしたフリーデン側の言い分も聞かずサテライトキャノンの撃ち合いに発展した。(ただし両者とも奇跡的に生還している)。ちなみに(兄の方の)搭乗機の形番に13が付いているという共通点もある。


ゼクス・マーキス新機動戦記ガンダムW)…ガンダム作品における仮面の男、ラスボス繋がりの。当初の乗機は量産機(ゼクスは後にワンオフ機に乗り換える)だったが、終盤ではガンダムタイプのパイロットになるという共通点もある。因みに、ゼクスの声優は、クルーゼと強い因縁を持つ人物も演じており、クルーゼ役の関俊彦氏も、ゼクスや後述のトレーズと敵対したガンダムパイロットの1人を演じている。こちらも搭乗機の型番に13が付いている。


トレーズ・クシュリナーダ新機動戦記ガンダムW)…上と同じ原典の敵キャラ。クルーゼ同様、最終決戦で因縁の相手に戦闘では敗北し戦死したが、言葉では押し勝った(それ故相手に「勝ち逃げ」だと引きずらせた)。こちらも殺されたのが「討たれるなら本望」な相手だったため、満足気な笑みを浮かべつつ最期を迎えている。なお、彼の中の人は『SEED』ではクルーゼと同じザフト軍に所属していながら、彼を危険視して疑念を抱いていた登場人物を演じていた。


ゾルタン・アッカネン機動戦士ガンダムNT)…クルーゼ同様「失敗作」として生まれ、自分を造った世界を恨んだ強化人間。強化人間なのでクルーゼやフロスト兄弟とは異なり精神は情緒不安定な面が目立ち、端から感情をむき出しにしている。ちなみにスーパーロボット大戦30での対ゾルタンの特殊戦闘台詞はまんまクルーゼにも当てはまっている。


スレッタ・マーキュリー(機動戦士ガンダム水星の魔女)…「SEED」から20年後に放送開始されたガンダム作品の主人公。その正体はクルーゼと同じくクローン人間で、ある計画の為の鍵として用意された存在。ただ、クルーゼとは違い創造主から愛情を受けていた(実子ではないが母と娘として暮らしていた)が、後に自分の正体とその最終目標を知って対立。憎しみでは無く、愛するが故に過ちを犯す事を止めようと戦った。更に、最終決戦の土壇場で新たに登場したガンダムを専用機にするという共通点も存在。

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