概要
ニンテンドーDSにおけるスパロボ第一弾。エーアイ開発としては5番目。全55話(64ステージ)。
参戦作は開発会社的な前作の『スーパーロボット大戦J』と被るものが多く、新規参戦も比較的マイナーな作品が多く、当時公開されていたグラフィックもJ→Wと代わり映えしていなかったため発表時はそれほど期待されてはいなかったようである。
しかしいざ発売されると、据置機で発売されたスパロボに見劣りしない戦闘演出に、クロスオーバーやギャグ・時事ネタをうまく取り入れたストーリーなど、高い評価を得ている。
あまりにも濃いクロスオーバー故に作品を知らないプレイヤーが、どのキャラクターがどの作品の登場人物かわからなくなるという現象も多く、以降のエーアイ開発のスパロボにもナタクのファクター、マークデスティニー、聖戦士コウムイン等とある種の伝統となった。
スパロボ全体としては『魔装機神LOE』以来の二部構成シナリオでもある。
新システム
- マルチコンボ
『J』までのコンボの発展系。自機が敵機に隣接する必要がなくなり、敵同士が隣接してさえいれば、直線上でなくても軌道を変えて攻撃できる。ただし、2機目以降への攻撃は必ず防御される。
- 支援要請
マップ上に出撃していないユニットを指定して援護攻撃・援護防御をさせる特殊技能。1マップ中にスキルレベルの回数まで使用可能。戦艦が出撃していないと発動できない。
- Wスロットシステム
過去にゲームボーイアドバンス(GBA)で発売されたスパロボをDSのGBAスロットに差し込んでプレイすることで、資金や特殊な強化パーツを得られるようになった。以後のDS作品でも採用されている。当然ながらGBAスロットが廃止された機種(ニンテンドーDSiなど)では利用できない。
- 周回プレイによるストーリー変化
シリーズで初めて「1周目と2周目のEDが変化する」仕様となっている(大筋の展開は一緒で敵機体の変更等も無し)。また1周目と2周目で全く別なストーリーが展開するステージが存在し、これらは3周目以降に任意で選択が可能となる。
ストーリー
第1部(第1話〜第27話)
連合宇宙暦と呼ばれる時代…
地球は宇宙生命体ラダムや木星トカゲなどの脅威に晒されていた。
そんな最中、武装輸送船ヴァルストークを所有する
アーディガン一家にある依頼が持ちかかる…。
第2部(第28話〜第55話)
機界新種との戦いの後に起きた血のバレンタインの惨劇によって
ナチュラルとコーディネイターとの争いが激化。
アーディガン一家も家長のブレスを失ってしまい、長男のカズマも行方不明となっていた…
参戦作品
★マークはシリーズ初参戦作品。
☆マークは任天堂携帯機系列では初参戦作品。
真ゲッターロボ(原作漫画版)
機動戦艦ナデシコ-The prince of darkness-
解説
初参戦である「オーガン」「ゴライオン」の2作品はスパロボ学園を除けば現状本作が唯一の参戦作となっている。
また、スパロボでは初めて富野由悠季監督作品が参戦しておらず、長浜忠夫監督作品が不在なのも『EX』以来である。
バンプレストオリジナル
主人公勢(ヴァルストークファミリー)
知の記録者(ザ・データベース)
余談
テッカマンブレード超優遇
前作での扱いが不評だったのを反省してか宇宙の騎士テッカマンブレードが大活躍している。
本来、原作展開とIF展開&クロスオーバーは互いに矛盾して同時には成立しない物だが 本作は原作再現をしつつも『DETONATORオーガン』とのクロスオーバーや『テッカマンブレードⅡ』の展開を要所に挟みつつ、さらには原作ファンにも納得できる形でのハッピーエンド展開にもっていくという離れ業をやってのけている。
その結果、『本作の真の主人公はDボウイ』『Wと書いてブレードと読む』などと言われている。なお、オリジナル主人公および本作自体のテーマと言える「思い出の大切さ」「スペースマンシップ」「家族愛」と非常に親和性が高い事からも優遇は必然と言える。
最強クラスの主人公機
本作で最後に登場する主人公機であるヴァルザカードは設定上の強さもさることながら、ゲーム自体の低難易度も相まってスパロボシリーズでも有数の強さを誇る。
機体性能に加え、6人分の精神コマンドが使用可能。ここに便利すぎる強化パーツや精神コマンドバグを併せれば、冗談抜きで「ずっと俺のターン!」ができる。
ゲーム的な強さでいえば、同じくスパロボオリジナルではネオグランゾン、版権作品ではグレートゼオライマーと並ぶスパロボ史上最強の一体に数えられている。
評判
上で触れたようなクロスオーバーの巧妙さ、敵味方ともに好感のもてるオリジナル勢、多くのキャラの救済など、今作はスパロボに求められるものを高いレベルで実現している。
劇場版ヤマダジロウや、ボスとふもふも話すボン太くん、そしてスパロボでは案外珍しい量産機の購入などといった点もそれらのファンから評価を受けている。
一方でガウルンのような初見殺しもあるものの基本的にヌルイ難易度(二周目以降にはさらに加速する)、それに拍車をかける精神コマンド関連のバグや強化パーツによって、シミュレーションゲームとしての評価は低い。
MXと並んで本作はスパロボ初心者もしく好きな機体を使ってガンガン進めたいユーザーにはうってつけとも言える。
また、本作が絶賛される背景には、後に発売された「スーパーロボット大戦K」やZシリーズがユーザーを失望させたことも無視できない。
そんな本作であるが、寺田氏によるとシナリオの執筆が間に合わないどころか、完成しないかもと諦めかけており、加えて時期的に「OGs」も並行していた事もあってか別の人間をシナリオライターとして指名していた。要は本作のシナリオは別のスタッフがだいたい書き直して何とかなったとの事である(参考ポスト)。
今作のシナリオ担当はその人物のペンネームとのことであり、探しても他の作品が出てこないのはそのためだという。
滅多に知られないBGMの出典
実は「出航 ~果て無き星の海原へ:(ブレスのテーマ)の前奏と他2曲は海外の戦略ゲーム・『WarCraft2』(開発元: BLIZZARD Entertainment)のBGMの一部である。
このゲームはアメリカから始め、多くの国で大ヒットしたものの、日本では知名度が低くファンが皆無である。
冥王星ネタ
現実世界では2006年に太陽系外縁天体の新たな定義として「準惑星」に定義し直され太陽系第9惑星ではなくなった冥王星だが、わずか半年後の発売である本作でもその時事ネタが取り入れられた。それだけでなく、「冥王星が第9惑星ではなくなったことで人々の記憶から忘れ去られてしまい、名前どころか観測すらされなくなった」ことがシナリオの重大な伏線として機能している。ストーリー中でも名前が忘れられていることを反映して、「冥王星」の名前は終盤まで出さないという徹底ぶり。
なお、本作では「矮惑星」の訳語があてられているが、小惑星番号は現実の冥王星と同じ正確な番号になっている。
リメイクについて
上記の通りストーリーやクロスオーバーの評判の良さからリメイクを望む声はかなりあるのだが、寺田氏が言うには(リメイクの声については聞いたうえで)やはり版権が一番問題らしい。特にゴライオンは海外ではボルトロンとして知られるシリーズに入ってしまっているので複雑なようで、Wの際には「今なら出せる!」と参戦させたとのこと。
関連イラスト
関連タグ
スパロボW(別名・表記ゆれ)
スーパーロボット大戦J(前作)
スーパーロボット大戦K(次作)