概要
基礎データ
太陽からの距離 | 59億1510万km |
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直径 | 2370km |
表面積 | 1764万6000km² |
質量 | 1300京t |
重力 | 0.07(地球を1とする) |
公転周期 | 247.740年 |
自転周期 | 6.39日 |
表面温度 | −223℃ |
分類 | 準惑星 |
衛星の数 | 5 |
カイパーベルト天体に属し、冥王星型天体の典型例とされる。
太陽からの平均距離59億1510万キロ、すなわち39.5402天文単位、公転周期247.740年。表面積はロシアとほぼ同じ。
1930年2月18日、米国ローウェル天文台のC=W=トンボーが発見し、以来70年以上もの間「第9惑星」とされていた。
軌道は離心率が大きく、海王星の内側になることもあり、公転面も大きく傾いている。最大光度13.6等。直径は2370キロ、質量は地球の0.0022倍。
カロン、ニクス、ヒドラ、ケルベロス、ステュクスの5衛星をもつ。
また、衛星ではないが、衛星のように周りを回っているような軌道を持つ天体(準衛星)としてアラウン(1994 JR1)がある。しかしながら、最近の研究によりこれを否定する説も出ている。
当初は地球より大きい星であるとも予想されたが、観測技術の発達により水星以上火星以下だと考えられ、さらにその後、直径の過大評価の原因となっていた衛星カロンが1978年に発見されることで大幅に下方修正され、月よりも小さい事がわかって来た(径:約69%、質量:約0.177倍)。
衛星カロン(冥王星の約半分の径を持つ)との二重準惑星的な関係が注目される。
発見国での呼び名はプルート(Pluto)といい、ローマ神話の冥界神(ギリシャ神話では冥王ハーデスに対応)から名づけられた。この名を発案したのはヴェネチア・バーニー・フェアという英国の少女である。研究者たちの賛同を得て、命名権者のローウェル天文台所長ヴェスト・スライファーによって採用された。その和訳に「冥王星」を提案したのは天文研究家の野尻抱影である。
カイパーベルト天体発見と惑星からの降格
1930年の発見以来、変わり者かつ小さすぎると思われつつも長らく惑星とされて来た冥王星だったが、発見から約62年後の1992年8月30日、海王星や冥王星より遠くにある彗星以外の太陽系天体として史上初めてアルビオン(1992QB1)が発見された。
これ自体は直径百数十km程度の小さな天体だったものの、以降周囲に似た軌道を持つ小惑星が数多く発見され、観測が進むと共に冥王星に匹敵するようなかなり大きな天体も発見されてきた。
こうした状況の中、数多くの似たような大きさと軌道を持つ天体の中で冥王星だけを惑星としている状況に対して疑問の声が高まり、
更に2005年に当時は冥王星より大きいと思われたエリスが発見されたことが決定的となって惑星の定義を明確に定める事になり、2006年8月24日に国際天文学連合により新たに準惑星に分類された。
この、冥王星が第9惑星から「準惑星」に分類された事実は、「準惑星に分類された=惑星から降格された」という強い負のイメージとして伝わっている。
特にアメリカ人が唯一見つけた惑星であったということもあるためアメリカでの反発は大きい。冥王星を題材にしたストーリーやキャラクターに対して愛着を持つ人たちにとっても、今回の準惑星への分類は「暴挙」と見ており、あえて「冥王星は惑星だ」と主張している人もいる。
過去において、同じく惑星から"降格"された天体として、小惑星帯の幾つかの天体が存在する。この内ケレス(セレス)は冥王星降格とともに昇格された。また古くにおいては、太陽と月も惑星の一種と捉え、五惑星と合わせて七曜とする考えも有った。
なお、この事は冥王星の価値や重要度が決して損なわれた訳ではなく、海王星の遥か外側まで太陽系は続いている事が遂に確認された事、そして冥王星はそこに存在する天体の代表例である事など、むしろ冥王星は新たな世界の象徴的な存在となったと捉えることが出来る。
発見された時点では、太陽から最も遠い天体だったことから、氷に閉ざされた死の天体、というイメージが一般的であった。しかし、2015年にアメリカの探査機ニュー・ホライズンズが接近探査に成功し、冥王星が薄い大気を持ち、表面が絶えず更新される「生きた天体」であることが判明した。
この事から、内部に液体の海が存在する可能性も指摘されている。
太陽系の未知の領域の象徴的な天体として、そして極寒の領域の月以下の天体に生命存在の可能性すら見せてくれた天体として、冥王星はこれからも注目される存在であり続けるだろう。
かつて描かれた想像上の冥王星
長年に渡って実態が謎であったため、想像で描かれていた。
松本零士ワールドの冥王星
青い、氷に覆われた星として描かれている。
ケロロ軍曹における冥王星
アニメ放送中に準惑星降格が確定したため、それを題材としたエピソードが放送された。
146話『冥、おぼえていますか であります』にて、地球人の「冥王星への想い」が美少女・九条冥の姿をとって出現した。
キャプテンフューチャーにおける冥王星
氷と雪に覆われた極寒の惑星で、毛むくじゃらの外観を持つ冥王星人が原住している(この作品では太陽系内の殆どの天体に生物が住んでいる、という設定になっているが)。またケルベロス、カロン、ステュクスの3つの衛星を持ち、ケルベロスは太陽系凶悪犯を収容する刑務所の所在地として、ステュクスは〈魔術使い〉ステュクス人の住む星として、それぞれ原作エピソードにおける重要な舞台になっている。
これら衛星の設定は冥王星で実際に衛星が発見される以前に考えられた(1940年代)ものだったが、その後1978年にカロンが発見・命名され、そして2013年に残るケルベロス、ステュクスの2衛星が一般公募を経て本当に命名されるに至った。
探査当時の盛り上がり
ニュー・ホライズンズによる冥王星探査は、科学者や宇宙好きのみならず、多くの人々にとって注目の的になった。
冥王星クソコラグランプリ
ニュー・ホライズンズ探査機の冥王星最接近当日の2015年7月14日から数日の間、Twitter上では怒涛のクソコラグランプリが繰り広げられ、それらのまとめも多数作られた。
海外に於いても#PlutoFlybyのハッシュタグで様々な冥王星のコラ画像が投稿され、その様子はBBCにも取り上げられた。(但し、PlutoFlybyのハッシュタグ自体はクソコラ用のタグではない。)
余談だが、これ程までに天体のクソコラグランプリが盛り上がったのは非常に稀な例で、他の例としては精々世界で初めてブラックホールの撮影に成功した時にブラックホールのクソコラがいくつか投稿されたくらいである。
セーラームーンの予言?
ニュー・ホライズンズによる探査によって、トンボー領域と名付けられた大きなハート型の地形が発見されたが、セーラープルートが持っているガーネット・ロッドの頭部がハート型であることから、「武内先生は冥王星にハート型地形がある事を予言していた…?」と、一部で話題になった。
関連動画
関連タグ
宇宙 太陽系 惑星 準惑星 カイパーベルト天体 ニュー・ホライズンズ The_9th 反射衛星砲 グランスフィア
プルトニウム …冥王星にちなむ元素名。
スーパーロボット大戦W …「(旧西暦時代に)冥王星が準惑星に分類され、その後名前すらも忘れ去られ観測もされなくなった」ことが物語中で重大な伏線となっている(訳語が定義される前だったので、準惑星ではなく矮惑星と訳されている)。
クレイトン・カーショウ…アメリカのMLB所属のプロ野球選手(メジャーリーガー)。冥王星を発見したC=W=トンボーの大甥(トンボーの兄弟の孫)にあたる。
はやぶさ(探査機)…日本の小惑星探査機はやぶさに因んで名付けられた『ハヤブサ大陸』と言う地形が存在する。この他『ボイジャー大陸』、『スプートニク平原』などもある。
プラネット・ナイン…ある一部の天体の軌道の性質や偏りから存在が予測されている真の太陽系第9惑星。現段階ではあくまで仮説上の存在であり否定的な主張もある。
準惑星エリス 準惑星ハウメア マケマケ(準惑星)…冥王星と共に、「冥王星型天体」(海王星より公転周期が長い準惑星)に属する。
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