概要
MARVELコミックを基にした作品群「マーベル・シネマティック・ユニバース」の映画第35作で、『キャプテン・アメリカ』シリーズの第4作。
主人公はこれまでのスティーブ・ロジャースから『アベンジャーズ/エンドゲーム』ラストで指名され、ドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』(以下"F&WS")を経て自他共に認められたサム・ウィルソンに交代している。
またこれまで政府の要人として登場していたサディアス・ロスがアメリカ大統領に就任、コミック同様レッドハルクに変身する。さらに『エターナルズ』で海上に出現したティアマットの身体がようやく再登場。ここから発見されたアダマンチウムを巡って争奪戦が繰り広げられる。
公開は当初2024年春だったが、ハリウッドの俳優・脚本家Wストライキなどを経て2025年2月14日に日米同時予定。
また追加撮影も行われ(参考)、コミックでキャプテン・アメリカに度々立ちはだかるヴィランチーム「サーペント・ソサエティ」が実写デビューとなる。
作風は制作陣曰く「"善悪"をテーマにした陰謀スリラー」。特報では"白黒"を基調にした演出が特徴で、シリーズ第2作『ウィンター・ソルジャー』に通じるシリアスとアクションの両立、という点で早くも往年のファンから好評を得ている。
また、ロスをはじめ、娘のベティ、サミュエル・スターンズといった面々が16年ぶりに再登場することから、実質『インクレディブル・ハルク』の続編とも言える作品となる。
キャラクター
括弧内は演者 / 吹き替え
- サム・ウィルソン / 三代目キャプテン・アメリカ(アンソニー・マッキー / 溝端淳平)
『F&WS』で初登場、サムの旧装備を預かった陸軍中尉。本作でファルコンの名を受け継ぐ模様だが、コミックとは経緯が大分異なる。
演者は2022年3月に死去したウィリアム・ハートから交代。
予告ではテロリストに狙撃されて倒れるシーンがあり、これがレッドハルクになるきっかけの可能性がある。
- サミュエル・スターンズ(ティム・ブレイク・ネルソン / 森川智之)
第2作『インクレディブル・ハルク』以来16年ぶりの登場。同作終盤にて、コミックでレッドハルクを生み出した張本人の「ザ・リーダー」への変貌が示唆されていた。
サーペント・ソサエティの「王」。コミックでも発起人・初代リーダー。
- レイチェル・レイトン / ダイヤモンドバック(ローサ・サラザール / ???)
一部報道で登場するとされているソサエティのメンバー。
コミックでも初期メンバーだが、自分を負かしたスティーブに惚れてチームを抜けたり、サムに協力したりと、ヒーロー側としての活躍も見られる。
- イザイア・ブラッドリー(カール・ランブリー / 宝亀克寿)
『F&WS』にてサムと知り合った黒人の超人兵士。
- エリザベス・"ベティ"・ロス(リヴ・タイラー / 甲斐田裕子)
サディアスの娘で、ブルース・バナー / ハルクの元パートナー。
こちらも『インクレディブル・ハルク』以来の登場予定。
- ルース・バット・セラフ(シーラ・ハース / 潘めぐみ)
政府高官の女性。コミックでは『Incredible Hulk』誌で初登場したイスラエル出身のミュータントで、モサドに所属したこともあるスーパーヒーロー「サブラ(Sabra)」だが、昨今の世界情勢に配慮してか元ブラック・ウィドウに変更された。
ただし、公式が言うにはそれほど強い影響は受けていないとの事。
- 尾崎総理(平岳大 / 兼任)
日本の内閣総理大臣。コミックでは1971年の『Avengers』101話で、強力なエネルギーを操るレナードという名前の悪党の犠牲者オザキ・ケイゴとして登場。
動画
こぼれ話
- タイトルについて
製作発表された当初の副題は『F&WS』の第1話と同じ"New World Order"「新世界秩序」だったが、撮影中に"Brave New World"「すばらしい新世界」に変更された。
プロデューサーによると、リアル志向で政治的な作風の本シリーズのタイトルに陰謀論と結び付けられがちなこのフレーズを冠するのは不適と判断したとのこと。(参考)
邦題は『マイティ・ソー』シリーズと同じく、第4作にして区切りがスラッシュ「/」ではなくコロン「:」に変更、原題に忠実になった。
- 日本の要素
特報では日の丸が描かれた戦闘機や(おそらくワシントンD.C.に実在する)桜並木が登場することから、日本が作品に深く関わる模様。サムが日本語を喋るシーンもあるとのこと。
またキャスト面でも平岳大が、MCUではホーガン役の浅野忠信(『マイティ・ソー』シリーズ)、アキヒコ役の真田広之(『エンドゲーム』)、ユキオ役の忽那汐里(MCU前作の『デッドプール&ウルヴァリン』)に続いて4人目の日本人俳優として出演する。ちなみに浅野、真田、平はドラマ『SHOGUN 将軍』でも共演済み。
- 権利関係
上記の通り、ロス親子を筆頭にハルク関係者が多く見られるため、元々映像化の権利を持っていたユニバーサル・ピクチャーズとマーベル・スタジオ=ディズニーとの間に一定の進展が見られたものと思われる。
- 吹き替えについて
サム・ウィルソン役は溝端淳平が続投となったが、元々芸能人枠だった上に『エンドゲーム』から約6年という決して長くはないブランクが空いていること(このため一部メディアでは"復帰"とも表現されている)、『F&WS』などで務めた濱野大輝の演技が好評だった事から「濱野の方が良かった」という意見も出てきてしまっている。
※溝端の名誉のために補足すると、ディズニープラスでは芸能人が吹き替えを担当していたキャラクターが配信限定作品に登場する場合、スケジュールや広告費の都合から軒並み専業声優に変更される事が多く、サムもその一例に過ぎない(一覧はアニメ『ホワット・イフ...?』のキャラクター欄または「声優交代一覧」記事の当該箇所を参照)。
ただ、MCUだと『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズに登場するロケット・ラクーン、グルート、マンティス、『シークレット・インベージョン』ではニック・フューリーが映画と同じキャストで続投しているほか、20世紀スタジオ作品『アイス・エイジ』シリーズではシド役の太田光など例外もあるため、「(演技の優劣ではなく)主役級のキャストをころころ変えるな」という意見がやや優勢である。
サディアス・ロス役は菅生隆之から、ハリソン・フォードに合わせてフィックス(専属担当)の村井國夫に変更された。
潘めぐみは『マダム・ウェブ』のジュリア・コーンウォールに続く2役目。
またシリーズのファンでもあるきょんくまのきょんが吹き替えに参加したことを動画で発表した。
- トレーラーについて
前作の映画では、公開前なのにトレーラーからの情報解禁が多過ぎるという批判を受けていたが、その反省からか今作ではトレーラーからの映像は極力同じものを使い回して情報解禁を控える様になっている。
ただし、昨今の映画は「観客がネタバレするくらいなら公式から情報を解禁する」傾向が見られる為、ネタバレを踏みたくないのであれば、早めの視聴を推奨する。
関連タグ
BACK | NEXT | |
---|---|---|
発表順 | ||
シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ | シリーズ | |
時系列 |
『キャプテン・アメリカ』シリーズと『F&WS』の主要キャラであるバッキー・バーンズは本作ではなく『サンダーボルツ*』にのみ登場することがアンソニー・マッキーから明かされており、『F&WS』で初登場したジョン・ウォーカー / U.S.エージェントも同様であることから、本作と『サンダーボルツ*』は同時期、という考察がある。
ネタバレ
以下、今作のネタバレが含まれています。
まだ映画を鑑賞していない人は要注意。
余談
- 本作で重要な役割を果たす「ワシントンD.C.のポトマック川の桜」をアメリカに送ったのは、最後まで軍国主義に立ち向かった事で有名な戦前・戦中の日本の政治家である尾崎咢堂こと尾崎行雄である。そして、前述の通り、本作に出てくる日本の総理大臣の名前は「尾崎」。
- MCUにおけるロスは致し方ない点は多々あれど、ヴィランと戦ったヒーローを危険視し、ソコヴィア協定で管理しようとしたり、意に反したヒーローの活動権の剥奪すると脅したり、犯罪者として指名手配の末に刑務所に送り込むなど、立場上は味方でありながらヒーローたちにとって最大の障害として活躍してきた彼だが、最終的に自分も危険視していた超人に変わり果て、ヴィランと同様にアメリカの脅威となり、全ての罪を背負って功績や権限を失い、犯罪者として刑務所に送り込まれるという、これまでの行いが自身に降りかかる因果応報の結末を辿ることとなった。
- さらに最初に敵対したヒーローであり、「軍の所有物」としてモノ扱いしてきたハルクと同質のレッドハルクに変身したのもまた、皮肉さに拍車かけていた
- アメリカでは21世紀に入ってから(≒「赤=共産主義のシンボルカラー」イメージが薄れてから)は、大統領選挙や国政選挙の選挙速報では「民主党が勝った州・地域は青」「共和党が勝った地域は赤」で塗られるのが通例となった。つまり、本作品劇場公開時のアメリカでは青=民主党、赤=共和党のイメージが定着しているのである。それを念頭に本作を観てみると、下記のような「赤と青」の対比が見られる。
- ロスが大統領に当選したシーンでは、青地に白で「Together(共生,共に)」という民主党的な標語が書かれている。
- しかし、ロス大統領が変身するのはレッド・ハルク。変身の現場に居合わせたモブキャラから「いつから赤に?」と言われた。
- ラスボス相当のキャラがかつて名乗っていた偽名は「Mr.ブルー」。また、作中で重要な役割を果すある歌にも「Mr.ブルー」というフレーズが有る。
- 最終決戦は、レッド・ハルクと化したロスと、青いコスチュームを着たサムの戦い。
- 今回、ロスが最終的に収監されたラフト刑務所に、サムがかつて収監される切っ掛けになった『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』のアメリカ版ポスターは赤と青に塗り分けられている。
- 先述の、ローサ・サラザール演じるダイヤモンドバックは、登場しなかった。
キャラクター
今作のサプライズゲスト。
中盤に少しだけ登場。