\Let’s fuckin' GO!!/
デッドプールから良い子のみんなへのお願い
<あのネズミが大好きなボクちゃんやお嬢ちゃんにお願いだ!
俺ちゃんが出る映画はこわ~いおばけばかり出るから、良い子は見ちゃダメだからね♥
(大人の諸君は下にスクロールしてくれよな)
それじゃあ、みんな映画を楽しんできてね!
概要
2024年7月26日(日本では2日前倒しの7月24日)公開の映画。
『X−MEN』シリーズのスピンオフである『デッドプール』シリーズの3作目で、『2』の直接の続編にあたるが、これまで製作を担っていた20世紀フォックス(現:20世紀スタジオ)がディズニーの傘下になったので、製作はマーベル・スタジオが引き継ぐ形となり、今作よりMCUに含まれるものとなる(タイトルにもロゴが追加されているが、リブートではない)。
主演はライアン・レイノルズが続投。さらに、ウルヴァリン役でヒュー・ジャックマンが久々にカムバックする。
監督は『フリーガイ』『アダム&アダム』などでレイノルズと、『リアル・スティール』でジャックマンとそれぞれタッグを組んだ経験を持つショーン・レヴィ。脚本は過去2作にも参加していたレット・リース&ポール・ワーニックが担当する。
2023年に起きた俳優・脚本家連盟のストライキや、ディズニー側がMCU作品の制作本数の削減を決定した影響もあり、本作は2024年に公開される唯一のMCU映画となった。
日本時間同年11月12日17時よりディズニープラス配信開始。
作風
ファンからはディズニーに入った事で「下手するとX-MENのキャラの中でデッドプールだけハブられるのでは?」「仮に制作されたとしても対象年齢が全年齢になり、エログロな描写が無くなるのでは?」と危惧されていたが、ディズニーのボブ・アイガーCEOは早い段階から「従来の雰囲気をそのままに制作する」と発表、よってMCUでは映画初となるR指定作品となった(※1)。
しかもそれを示唆するかのように、予告でのマーベル・スタジオのロゴが赤く染まっている(※2)。
※1 ドラマまで拡げるとNetflix版『デアデビル』、『ウェアウルフ・バイ・ナイト』、『エコー』などがある。
またディズニー作品全体となると、前年に公開されてアカデミー賞で作品賞にもノミネートされた『哀れなるものたち』もR18+指定である。
※2 1stトレーラーのみ。それ以降はデッドプールとウルヴァリンのそれぞれのイメージカラーである赤と黄色に変更されている。
レイノルズやレヴィ監督によると、ディズニー側は「R指定映画として制作・公開ができるよう最大限の努力や支援をしてくれた」とのことなので、ディズニー側も全年齢向けへと作風を矯正させることは最初からまったく考えていなかった模様である(さすがに違法ドラッグを使用する描写にはNGが出たようだが、それすらもとあるディズニー映画と絡めて劇中で盛大にネタにしている。抜け目がない。また、『2』まであったOPの内輪セルフdisクレジットも無くなっている)。
さらには、20世紀フォックスがディズニーの傘下になったことまでネタにしている。
予告編でもシリアスな雰囲気の他のMCU作品とは異なり、(グロ描写や下ネタこそあるものの)全体的に明るく楽しいお祭り映画的なノリが強調されている。
製作陣によると「事前に他のMARVEL作品を観て復習をしておく必要はない」とのことで、両シリーズを未視聴でもある程度楽しめるよう配慮された内容になっているらしい(もちろん、知識があればニヤリとするような小ネタは多数仕込まれている)。
そもそも近年のMCU作品はシリーズの長期化に伴い、既存の作品をある程度視聴していなければ十分に面白さが伝わりにくいものになりつつあり、それがファン離れやシリーズの興収低迷を加速させる一因になっているという指摘の声が出されていた。恐らくそうしたファンや映画業界からの声を受けてのものと考えられる。
<まあ要するに!色々小難しく考えずに映画を楽しんでほしいってことだよ!!
一方で、マーベル・スタジオ代表のケヴィン・ファイギ氏によると、『X-MEN』シリーズとの交錯が始まるきっかけとなる作品ということもあり、本作のMCUにおける影響度は『エンドゲーム』『インフィニティ・ウォー』に次ぐレベルになるとのこと(参考)なので、マルチバース・サーガ全体で見ても大きな節目になる作品にもなっているようだ。
実際、本作の公開直前には、『アベンジャーズ5』『6』2部作の終了後のフェイズ7より“ミュータント・サーガ”と呼ばれる新たなるサーガが始動することが発表されており、本作はその前哨戦的な意味合いも含まれていると考えられる。
さらに、本作ではミュータントの登場以外にもある重要な事柄が劇中で初めて語られており、マルチバースを扱う今後のストーリーにも大きな影響を与えることが考察されている。
タイトルについて
当初の仮題は『デッドプール3』だったが、監督はインタビューで「この映画は『デッドプール』の3作目ではありますが、『デッドプール3』ではありません。これはデッドプールとウルヴァリンのまったく異なる物語です。これは2人のキャラクターが主人公の冒険です」と述べており、『ZERO』『SAMURAI』『LOGAN/ローガン』に続く『ウルヴァリン』シリーズの4作目とも言えるような、単なるナンバリング作品ではない事が示唆されている。
厳密に言えば、当初は『デッドプール3』を制作する予定ではあったらしい。しかし、魅力的なストーリーが作れなかったために事実上頓挫し、その代替として持ち上がった企画が本作であったということが後に明かされている(詳細は後述)。
ストーリー
前作から6年後。
ヒーローを引退した主人公ウェイド・ウィルソン / デッドプールは、中古車の販売業に就いたもののうまくいかず、家賃を稼ぐために盲目のアルの高血圧症の治療薬を売り回るというギリギリの生活を強いられていた。さらに、最愛の女性で彼にとって生きる目的であったヴァネッサとも破局してしまった。
そんなある日、ヴァネッサや旧友たちと誕生日パーティーを開いていたウェイドは、突然家に押しかけて来た謎の集団に拉致され、意識を取り戻した時には見知らぬ男性の前に連行されていた。
“パラドックス”と名乗ったその男性エージェントは、過去の歴史をめちゃくちゃにしたウェイドに贖罪の為にとあるミッションを課す。
それはマルチバースを股にかけた壮大な戦いの幕開けでもあった…。
キャラクター
括弧内は演者 / 吹き替え。
シリーズのレギュラー
- ウェイド・ウィルソン / デッドプール(ライアン・レイノルズ / 加瀬康之)
ご存知主人公。
スーツが新調され、コミック版に近い派手なカラーリングになっている。更に髪が生えたが、実際には鬘にホッチキスで留めただけ。
<みんな、ただいま!
日本の予告では「クソ無責任ヒーロー」とされているが、これまでの作品では割と義理堅くまじめな人物として描かれていた(それでも頭のネジの吹っ飛び具合は相変わらずだが)。
しかし作中では「誰の役にも立っていない」と指摘されてしまい…。
- ネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッド(ブリアナ・ヒルデブランド / 嶋村侑)
- ユキオ(忽那汐里 / 同右)
<脇役たちも全員続投!
ウェイドの恋人だが、『2』から6年の間に破局してしまい、新しいボーイフレンドを見つけたとのこと。
<俺ちゃんが色々やって復活させたのに…
生活の中で両者の釣り合いに不安になったウェイドが半ば突き放す形で別れてしまったため、パーティーのシーンではなんだか2人の関係が妙によそよそしく見える瞬間もあった。とはいえ、ウェイドに内緒でサプライズパーティーを計画した1人もヴァネッサであり、ウェイドのことは現在でも気にかけている様子。
<仕方ないだろ。ハニーが死んじまうから……!
- ピーター・ウィズダム(ロブ・ディレイニー / 三上哲)
『2』においてX-FORCEに参加した一般人のおじさん。一般人のはずだがとある界隈でのみ伝説的存在であったらしい。
<こっちも死んじゃったけど俺ちゃんが復活させた。
ウェイドと同じ職場で働いているが、ウェイドがヒーロー活動を再開することを望んでおり、時折復帰を打診しているほか、ピーターのロッカーの中にはデッドプールのスーツが常に入っている。
今作で姓がウィズダムだと判明したことで、意外にもコミックに元ネタがあるキャラクターだったことが6年越しに明らかとなった。
ちなみにコミック版ではミュータントで太陽放射を吸収し、指を高熱のナイフと変える「ホットナイフ」という能力を使う。そして中々のイケオジ。
<お前、コミック出身だったのかよ!?
MCUだけでもピーターって名前のキャラ沢山いるからややこしいわ!
前作で死んだはずだが、何故か予告第1弾では冒頭のシーンに登場。
<多分、俺ちゃんがピーターと同じく生き返らせたんだと思う。
- バック(ランダル・リーダー / 田所陽向)
ウェイドの友人であるモジャモジャ髭の太った男。
地味に『1』からの皆勤賞だが、作中では碌な台詞が与えられない不憫な人物。これでも、ウェイドにとっては大切な9人の1人らしい。
<アドリブもダメ。
※ドミノやケーブル、ウィーゼル、ファイヤーフィストは出ないらしい。
<残念!!
このうちドミノに関しては、演者のザジー・ビーツが同年10月11日公開の映画『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』とスケジュールが重なったため登場を見送られたとみられる。
<俺ちゃんよりホアキン・フェニックスを選んだのか…やっぱオスカー俳優は違うな!
ウィーゼルは演者のT・J・ミラーが数々の不祥事を働いたことや、元々ライアン・レイノルズと反りが合わなかったために撮影現場でもトラブルが絶えず、続編への出演に消極的だったこと等が原因とされている(参考)。
新規登場
- エージェント・パラドックス(マシュー・マクファディン / 置鮎龍太郎)
ウェイドの身柄を拘束し、あるミッションを課すが、その理由や目的は現時点では不明。
<俺ちゃんの誕生日パーティーを台無しにしやがって。
また、今回登場するウルヴァリンについても何か情報を知っているようで、そこからアースの存続に関わるとある重大な秘密をデッドプール(および視聴者)に明かすという重要な役割も担っている。
ぶっちゃけていえば全ての元凶。
<前作最後のやり直しは咎められたけど、不問にさせてもらった。やったぜ!
本作が初登場であり、メビウスをはじめとする他の分析官との関係や、ロキと面識があるかは事前情報では不明。なおコミックでは「ミスター・パラドックス」というTVAの裁判官で、メビウスや"O.B."ことウロボロスと同じ顔を持つクローンである。
本作のスーパーヴィラン。
かつてTVAによってヴォイドに送られたがその生活を気に入っており、桁外れの能力で君臨し、ジャイアントマンの遺体を利用して拠点を構え、剪定された者たちを配下に置くか、拒絶する者は襲いかかるアライオスへの餌付けとして捕食させている。
日本公式SNSでは「ドSヴィラン」という身も蓋もないキャッチコピーが与えられた。
コミックではプロフェッサーX / チャールズ・エグゼビアの双子の妹で、彼への恨みからミュータント全体を虐殺しようとする凶悪ヴィラン。
(コミック版)
イヌのデッドプール。『ロキ』で登場したワニロキのような、人間以外の変異体。
<ワンちゃんの俺ちゃん。
演じる「ペギー(Peggy)」はイギリスで最も醜い犬として受賞歴もある名タレント犬。
<日本でいうソ○○○○クのお父さんだよ!
女性版。詳しくは後述。
<テイラー・スウィフトじゃないみたいだよ!
カムバック
本作のもう1人の主人公で、『LOGAN』で卒業したはずのあの男がカムバック。
<ヒューが自分から「出演したい!」って連絡してくれたよ!
2023年7月に解禁された撮影現場の写真で、これまでの実写シリーズで終ぞ見られなかったコミック準拠の黄色いスーツ姿がお披露目された(参考)。更にマスクもあることがフィギュア版にて判明する。
撮影スタッフの中には、ヒューが黄色いスーツを着て撮影現場に現れたのを目にして思わず歓喜のあまり咽び泣く者もいたという。
今作の彼は従来の映画シリーズや『LOGAN』とは異なる歴史を辿っており、自身がいた時間軸では人間の襲撃でミュータントの子供たちやX-MENの仲間を喪ったばかりか、怒りに任せて多くの人間たちを手にかけた自責の念で酒浸りになっている。黄色いスーツを常備している理由も、X-MENであることを思い出させてくれる唯一の物であるため。
こういった事情からこれまでと比べて非常にネガティブかつ厭世家となっており、ウェイドに無理矢理拉致されたが、TVAが過去を修正してくれるという情報だけを頼りにウェイドと嫌々ながらも手を組むことに。
この経緯からパラドックスからは最悪のウルヴァリンと呼ばれている。
ちなみに、映画の公開と同時に発売されるサウンドトラックの曲目にあの映画の主題歌がばっちり入っており、劇中でそれに因んだジャックマン弄りがいくつか行われている。
カサンドラの配下。
パイロは『X-MEN2』『ファイナルディシジョン』から久々のカムバック。本作では演者に合わせて成長している他、コスチュームも一新され、コミックで彼のトレードマークとなっていたゴーグルを身に付けている(これには演者のスタンフォードも大喜びだったとか)。
<ライターでカチャカチャしてたら負けちゃうぞ。
セイバートゥースは『X-メン』以来24年ぶりであり、世界中のファンを騒然とさせた。
<兄貴の方はどうしたって?リーヴ・シュレイバーに聞いてくれ。
- アザゼル(エドゥアルド・ガゴ・ムニョス)
- レディ・デスストライク(ジェイド・ライ)
- トード(ダニエル・メディナ・ラモス)
- ジャガーノート(アーロン・W・リード)
- サイロック(アイシャ・フセイン)
- ブロブ(マイク・ウォルターズ)
- ロシアン(ビリー・クレメンツ)
- カリスト(クロエ・キブル)
- ブルズアイ(カーティス・ローランド・スモール)
- アークライト(ジェシカ・ウォーカー)
同じくカサンドラの配下だが、2人と違い過去作からキャストが変更されている(変異体扱いかは不明)ためかモブキャラや雑兵に等しく、見せ場や台詞も殆どない。
<…っていうか、こいつらまーたヴィラン側かよ。
このうちジャガーノートは『ファイナルディシジョン』での演者であるヴィニー・ジョーンズには「衣装が重すぎる」という理由で断られてしまったらしい。(参考)
<あーん、いじわる~!!
演者本人は本作への出演はないと以前発言していたが、本国公開の1週間前に発表されたファイナル・トレーラーで登場が確定。
『LOGAN』では少女だったが、演者に合わせて成長しており、コミック版にだいぶ近いイメージになった。
時間軸が違うとはいえ、ローガンとどう再会するか期待される。
<あんなに小っちゃかった娘が、すっかり良い美人さんになっちゃって……
おじさん、なんだか懐かしくて涙が出て来たよ(泣)
※デップーの姪ではありません。
レイノルズやレヴィ監督によると、「サプライズをたくさん用意している」とのことで、さらにファイギ氏も「X-MENシリーズの重要キャラが多数出演する」と断言している。
実際、本編では意外なキャラクターがこれ以外にも多数登場することになった。
<みんな、楽しみにしててくれよ!
ライブラリ出演
<諸先輩方、不束者ですがよろしくお願いします。
評価
近年のハリウッド界隈ではスーパーヒーロー映画は低迷の一途を辿っている。それはMCUも例外ではなく、本作の半年前に公開された『マーベルズ』はMCU作品史上最低の興収を記録するという惨憺たる結果に終わってしまい、ディズニーのボブ・アイガーCEOが反省の弁を述べるとともにMCUの今後の戦略を大々的に見直すことを発表する事態にまでなるなど、極めて危機的な状況に陥っていた。
そんな中、掟破りの行動で場をかき乱すデッドプールと、ワイルドなアクションでX-MENの中心として活躍した人気キャラのウルヴァリンのバディムービーは、興行成績の低迷と魅力的なキャラクターの不足に喘ぐMCUにとって大きな起爆剤となることが期待された。
こうしたこともあってか、本作は近年映画市場が急拡大しつつある中国、アメコミ人気の高い韓国・ドイツ・ブラジルでワールドプレミアが展開されるなど、R指定の映画としては異例とも言える大々的な宣伝戦略が打ち出されており、マーベル側が割とガチで本作を世界に売り込もうとしている様子がうかがえる。
予告編では「シネマティック・ユニバースを全部変えちゃうよ」「俺は救世主…俺ちゃんはマーベルの神だ」という台詞(※)があるが…。
果たして、宣言通り彼はマーベルを救う救世主となることができるのか?
不安と期待が入り混じる中、映画の公開が開始されたのだが…。
結論から言うと、本作は世界中でとんでもない大ヒットを記録することとなり、長らく不振に喘いでいたMCUの面目躍如と相成った。
- 世界で最速公開となった日本において、オープニング5日間で興行収入8億788万円、491,342人を動員し、シリーズ史上最高のオープニングを記録。
- 全世界のオープニング興行収入でも4億3,839万ドル(※約644億円)を記録。
- 公開1か月で全世界累計興行収入12億1,755万ドル(※約1,765億円)に到達し、『ジョーカー』(19)を抜き去り、R指定映画の興行収入歴代1位を達成。
- 公開8週間で、米国内興収が『アベンジャーズ』を抜き、MCU史上第5位を達成。全世界累計興収は13億1,668万ドルと、『ブラックパンサー』に次ぐMCU史上第7位を達成。マルチバース・サーガでは『ノー・ウェイ・ホーム』に次ぐ第2位。
このように、往年のMCUを取り戻したかのような成績を達成している。恐ろしいことに、本作は未だ公開中であるため、更なる飛躍も期待されている。
※ なお、レイノルズによると、この“マーベルの神”発言は第4の壁を認識しているデッドプールのある種の自己欺瞞を表現するためのもので、脚本執筆時は今のMCUがここまでの状況になるとは想像もしてなかったという。何気なく発した台詞が、思いがけない形でより深く重い意味を持つに至ってしまった事例は数多いが、これはまさにその典型例と言えるだろう。そして、本当にマーベルの救世主になるのかもしれない状況にあるというのもまた、何ともデッドプールらしいと言える。
こぼれ話
ウルヴァリン復活の舞台裏
上でも少し書かれているように、当初、この映画は『デッドプール3』というタイトルで企画が進められており、ウルヴァリンが登場する予定はなかった。
しかし、ライアン・レイノルズやショーン・レヴィ、さらには『シー・ハルク:ザ・アトーニー』で脚本家として参加していたゼブ・ウェルズの3人で頭を捻っても前作までの雰囲気を損なわない(それでいて、かつ視聴者を魅了できるような)ストーリーを練り上げることができなかった。
加えて、これまで『X-MEN』シリーズを制作してきた20世紀フォックスがディズニーに買収されることになったため、その間は一時制作が中断されるという事態にもなった。
こうした事情もあって制作は難航し、一度はケヴィン・ファイギ氏に断りの連絡を入れる寸前にまでなったという。
そして、ファイギ氏に企画の凍結について話し合う会議当日の朝、レイノルズの元に一通の電話が届いた。
それはヒュー・ジャックマンからのものであり、なんとウルヴァリンの再演を決めたという内容のものだった。さらには、作品に対するアイデアを纏めたおよそ15分のボイスメモまで届いたという。
これを受けて、レイノルズはこの電話の内容を会議に持ち込み、『デッドプール3』に代わる新たなシナリオをファイギ氏に提案した。
当然、今回の出演決定はジャックマンの独断であり、ファイギ氏は会議でこのことを聞かされた際には仰天したようだが、レイノルズから「この贈り物にケチをつけて見送ったら、僕らはただの大馬鹿者です。10億分の1のチャンスです!これこそ僕たちが探していたものだと本当に感じるんです!!」と熱心に説得されたこともあり、最終的にジャックマンのウルヴァリン再演を承諾。「ウルヴァリンにコミック同様の黄色いコスチュームを必ず着せること」を条件にデッドプールとのバディものの制作にGOサインを出した(なお、ジャックマンは勝手に復帰を決めてしまったがために、後日ファイギ氏から「『LOGAN』での素晴らしい結末をなかったことにするべきじゃない」と苦言を呈されたとのこと…だが作中ではこれもネタにされている)。
以上のことからもわかるように、今回の映画の制作にあたっては、ヒュー・ジャックマンが非常に大きな役割を果たしたことがうかがえる。
もしもジャックマンがレイノルズに連絡を入れるのが半日でも遅れていたら、映画の内容は現在とは全く別物になっていたか(ちなみに、没になったストーリー案の中にはドーピンダーとのロードムービーというものまであったらしい)、レイノルズがファイギ氏に企画の凍結を進言し、そもそも映画が制作できなかった可能性すら十分にあり得たのである。
<愛してるぜぇ、ヒューちゃん(泣)
ファイナルトレーラー問題
公開の1週間前(2日前倒しの日本にとっては5日前)に公開されたファイナルトレーラー(後述の関連動画の項目を参照)の中で、ローラの再登場やレディ・デッドプールの全身像など、公開当日まで伏せておいた方が明らかに盛り上がったであろう内容まで一気に公開してしまったことから、ファンからは「いくらなんでも公開前に情報を出しすぎ」「もはや公式が率先してネタバレをしているようなもの」「非合法のリーク映像ではない分余計にたちが悪い」といった反発の声が上がった。
<おい、レイノルズ、コケたらわかってるな?
一方で、「劇中ではこれをはるかに凌駕するほどのとんでもないサプライズが仕込まれている可能性がある」「安易にサプライズに頼らずストーリーで堂々と勝負しようという意思表明の表れではないか」という反論もある。
そもそも『デッドプール』シリーズ自体、他のマーベル映画とは違って主演のライアン・レイノルズが製作・脚本にも積極的に携わっている(こうした制作体系はマーベル映画では珍しく、他にはSPUMCの『ヴェノム』シリーズくらいしかない)ので、公式ネタバレ自体も承知の上でやっている可能性がある。
その後、公開された別の予告動画において、「See the movie first before it gets spoiled(ネタバレ踏みたくなかったらできるだけ早く見ろ)」といったメッセージが表示されるので、恐らくファイナルトレーラーも同様の理由で公開したものと考えられる。さらに、公開後にディズニー側よりこの内容や直前のタイミングでの公開は最初からスケジュールとして決められていたことが明かされている。
いずれにしても、あの予告が本当に見せ場の大半を公開してしまったのかどうかは、実際に映画を観てみなければ何とも言えないだろう。なので、ファンもあまり目くじらを立てず、ほどほどに期待しながら公開当日まで待つ(+できるだけ早いうちに映画を鑑賞する)のが賢明だと思われる。
海外のディズニーランドにデッドプールが!?
本作の公開記念なのか、アメリカとフランスのディズニーランドにてデッドプールが現れることになっている(参考)。
<現地で俺ちゃんと会ったら記念撮影してくれよな!
使用楽曲
- 主題歌:マドンナ『ライク・ア・プレイヤー』
ライアン・レイノルズとショーン・レヴィが自ら会って交渉し、使わせてもらえることになったらしい。
マドンナは自身の楽曲を映画にライセンス契約するのは非常に稀で、特に『ライク・ア・プレイヤー』はこれまで一度もライセンスされる事は無かった。
交渉の際、マドンナは映画のワンシーンを観て「このシーンはこうするべきでは?」と提案するなど、前向きに取り組んでおり、実際にマドンナのアイディアを取り入れたところ、かなり劇的なシーンになったという。
なおこのミュージック・ビデオは「X-MENのテーマの1つは『差別や偏見との戦い』」である事を念頭に置いて見ると、かなり意味深な内容(「『最悪のウルヴァリン』の世界のX-MEN達は、このMVで描かれているような経緯で人間に滅ぼされたのではないか?」という解釈も可能)になっている。
- オープニング:イン・シンク『Bye Bye Bye』
2000年代に活動していたアイドルグループの楽曲。
(スパイダーマンは登場しません)
本作の公開後、YouTubeの公式PV(投稿は14年前だがタイトルに“from Deadpool and Wolverine”と追加された)の閲覧数やSportifyでの再生回数が爆上がりしている他、TikTokやYouTubeのショートでも、自ら曲に合わせて踊ってみたという動画が世界中で多数投稿されるなど、活動停止から22年の歳月を経て再ブームが起こった。この縁もあってか公開直前に行われたワールド・プレミアでもジャスティン・ティンバーレイクを除くほぼすべてのメンバーが招待されている(ティンバーレイクは同年6月に飲酒運転を行ったことで逮捕されていたため出席できず)。
ちなみに、ライアン・レイノルズの妻のブレイク・ライヴリーが大ファンらしい。
またOPではデッドプールが曲に合わせて踊るシーンがあるが、これはライアンではなくプロダンサーであるニック・ポーレイ氏が担当している。制作陣によると、ダンスシーンはちゃんとフルバージョンが存在するとのことで、世界中のファンから「公開してくれ」という要望の声が多数送られているとか。
- テーマ曲:Stray Kids『CHK CHK BOOM』
- 挿入曲:同『SLASH』
MCUとしては初めてK-POPのグループがテーマ曲に採用された。
なお『CHK CHK BOOM』のMVにはレイノルズとジャックマンもゲスト出演しているが、レイノルズ曰く「マーベル・スタジオには内緒で撮影に参加した」とのこと。また、結局スケジュールの都合がつかず実現はしなかったが、Stray Kidsのメンバーを何らかの形で映画にカメオ出演させる案もあったという。
関連イラスト
関連動画
<クソ! ディズニーのケチ!!
映画の公開が終わったからって、シコった後のティッシュみたいに消しやがって!!
告知動画
予告第1弾
予告第2弾
字幕版
吹替版
予告第3弾
予告第4弾
字幕版
吹替版
<ナレーション、アニメで俺ちゃんの声をやった子安ちゃんじゃねーか!!
子どもは見ちゃダメ♡特別動画
って、お、おい、なんだお前ら!?
は、離せぇ!! 俺ちゃんは無実だぁぁぁぁ!!
ファイナル・トレーラー
<こんなにいっぱい出しちゃったら、映画が楽しめなくならない?
あ、ウェブシューターの練習しよっと!
その他
<福くん、楽しんでくれたかな?
本作はフェイズ4~6の「マルチバース・サーガ」に含まれるので、以降もライアン・レイノルズ演じるデッドプールが登場する可能性が高いが、キャラクターとの共演自体は『フリーガイ』の宣伝におけるコーグで既に実現していたりする。
日本のデッドプール(?)こと、お笑い芸人の江頭2:50とのコラボ企画。当然ディズニーからはキレられたが、ディズニー日本支部のあたおかの仲裁によりなんとか助かっている。
<ちなみに、エガちゃんはウルヴァリン推しらしいよ!
関連タグ
???:本作におけるキーワード。
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発表順 | ||
デッドプール2 | シリーズ | |
(同上) | 時系列 |
ホロライブ:本作の日本公開前に白上フブキとラプラス・ダークネスとのコラボを行った(参考)
オデッセイ:本田技研工業のステーションワゴン型のミニバン。本作中でやたらとディスられている。
<え? もう上映が終わって暫く経ったからネタバレ書かせろ?
Wikipediaは無法地帯だし、ライアンたち公式からも解禁され始めたし?
しょうがねぇなぁ、そんなに書きたいってなら、仕方なくOKするぞ!
どうせお前らPixivユーザーは暇人だらけだし。
ただ映画を観ていない人達もいると思うから、ここから先はお前らが大好きな「???」で我慢してくれ!
(ネタバレ上等なお友達は構わず下↓へスクロールしてね)
まあ俺ちゃんの伝説第三章は『ディズニープラス』等の配信サービスでも観て欲しいから、
こっからはピ○ートークみたいに、映画の余韻を楽しむ感じで読むといいんじゃないか!
その他のモブ
- 車を買いに来た家族
ウェイドが働く自動車販売店を訪れた夫妻と息子2人の家族連れ。
接客するウェイドが下品な言葉を述べるばかりに妻は苦言を述べ、息子2人はドン引きしてしまい、その日は車を買わなかった。
その後、再び訪れてピーターの接客で車を買う事になるのだが、契約成立した直後に車をウェイドとローガンによって潰されてしまった。
- TVAの職員
パラドックスの部下として働く肥満の職員。
新調されたデッドプールのスーツに惚気るなど、妙に印象的な人物。
カメオ出演
おなじみMCU世界にてゲスト出演。
ケーブルから拝借したタイムマシンを用いてこの世界を訪れたウェイドの、アベンジャーズの面接を担当した。
<上司にもひと目で良いから会いたかったな……(2018年なので存命である)
しかし利己的な理由だったため適正なしと判断、別れ際に色々と労いの言葉はかけたが門前払い気味に不合格としたため、ウェイドはやさぐれてヒーローを引退してしまった。
これまでのどのバージョンを元にしているかは不明だが、外見はこれに近い。
<その組み合わせ、もう実写でやっちゃうの?
まさかの再登場。しかし既に死亡しほぼ白骨化ならぬアダマンチウム骨化している。
そしてある種の尊厳破壊というべき扱いを受けた。
<あ、あの娘には内緒にしてね……!
ウェイドが出会った様々なウルヴァリン達。それぞれがコミック版の小ネタを仕込んでいる。
<原作を忠実にとは言うが、時にアレンジは必要なのだ。
それにしても仕事選ばなすぎだろ!
ウェイドが出会った様々な別アースのウルヴァリンの1人。「他の映画会社より良い待遇にする」と提案されるがあっさり拒絶、他の世界へとぶっ飛ばしたが、これは演者がとある映画シリーズのとある役を降ろされたことをいじるブラックジョーク。吹き替えもわざわざそちらと同じ声優に担当させるという徹底ぶりである。
<日本の制作陣もたまに本気だすよな……
なお演者は『LOGAN』後のヒュー・ジャックマンに代わるキャストとしてファン界隈では筆頭候補であり、公式がそのネタを採用した形。また撮影のために8時間も煙草をふかし続けなければならなかったため、撮影終了後に胃を悪くしてしまったとか。
<なんというか…その……ホントごめんね……
彼女だけは早くから登場が報道されていたが、予告編には一切姿を見せておらず、公式情報のみ把握していたファンにとってはサプライズとなった。
<わかっていたとは言え、出たら出たで嬉しいよな!
なお吹き替えはこの人から変更された。
<当時はライアンもお世話になったよ!
こちらも吹き替えが変更されている。
<顔が一緒だから間違えちゃったよ!
吹き替えは続投したが件の人物の担当とは別なので、吹替版で鑑賞すると面白さが半減してしまう。
一応ある程度寄せた演技にはなっているが、初見でのサプライズ感を楽しみたいのであれば、一度目の鑑賞は字幕版にすることを強くお勧めする。
ただし、あるシーンにおける「件のキャラだったら絶対にこんな事言わない」という台詞に関しては「字幕より吹き替えの方が面白かった」という意見もある。
よく見るとたしかに、髪の色が件のキャラとは微妙に違うし、直前に正体を示唆するものが画面に写っている。
「敵の中に能力相性が最悪の奴が居た」のを皮切りに、次から次へと酷い目にばかり遭い続け、最後は…。
「(ヒーロー映画の主人公がマイノリティや女性ばかりになって絶望している)白人男性の最後の希望」とデッドプールが言った途端に、実は後にアフリカ系の俳優も演じた役だった事が判明という嫌がらせのようなオチまでついている。
ちなみに、同じ役を演じたアフリカ系俳優もMCUに出演している。
上記3人は20年前後経っての再演となり、このうち2人目は「実写版のマーベルキャラクターにおける史上最長のキャリア」という記録を更新した。
<ヒューより長くなっちゃった!
厳密にはカムバックではなく、なんと頓挫した単独作品からの復活。この事情故、他のヒーローたちとは異なり自分の出身世界についてはまったく知らず、劇中では最初から虚無の世界で生まれ育った存在である可能性も示唆されている。
<ファイギ、後付けで良いから単独作品を作ろうぜ?
演者はオファーを受けた際には狂喜乱舞したそうで、映画公開後に自身のSNSにライアンとのツーショット写真を投稿。「一生の借りができた」と彼への感謝の気持ちを綴っている。
<ライアンのおかげだな!
劇中では酷い訛り口調で喋るのが特徴(コミックでも「アメリカの中でも元々はフランス領だった地域」「白人の住民の最大多数派がフランス系」「英語と並んでフランス語も公用語」であるルイジアナ出身で「フランス語訛りの英語をしゃべる」という設定)で、ウェイドからも時折「何を言っているのかわからない」「ミ○オンが方言指導なのか?」とツッコまれていた。
上記4人+ローラ役のダフネ・キーンは本国公開の翌日、ライアン、ヒュー、エマ・コリン、ショーン・レヴィ監督、ケヴィン・ファイギ社長が登壇していたサンディエゴ・コミコンのステージにサプライズ登場し、会場を沸かせたという。(参考)
<公開3週間後にやっと日本でも解禁されたぞ!
<声が俺ちゃんの妻で、吹き替えがウルヴァリンの妻ってスゲェな
ドッグプールの飼い主。
吹替版ではとあるシーンでのやり取りがこれを踏まえたものに変更されており、字幕版から会話の内容が大幅に書き変えられるというかなり珍しいケースとなっている。
<日本ならではのキャスティングだね!
※ エンドクレジットでは名義が変更されているが、実はこれにも元ネタがある(参考)。
<ライアンのサッカーチームからゲスト出演!
演じているのも俳優ではなく、そのチーム所属の選手である。
MCUでピーター・パーカーを演じるトム・ホランドの弟が演じているが、そのことをライアンは当日まで知らなかったらしい。
<君のお兄ちゃんと共演したい!
- ???、???(イネス・レイノルズ / ???、オーリン・レイノルズ / 言語版流用)
ライアンの実子が演じている。
<リアル可愛い天使たち♡
- 禅プール
灰色のコスチュームを着た個体。コミックの「主要なヒーロー・ヴィランの大半の性格が逆転する」というエピソードを元にした個体と思われる。
コミックと同じ設定であれば、ある能力を失ない、性格もマモトに成……り過ぎて禅の思想に目覚めてしまい、日本の禅寺で修行している。が、本編では他のデッドプール同様、重傷を負っても即座に回復して立ち上がる描写があったため、本作では能力が喪失した設定はなかったことになっている可能性が高い。
- ワタリ / ローニンプール
「江戸時代の日本にMARVELコミックのヒーロー/ヴィランが居たなら?」というコミックのエピソードに登場した個体が元になっていると思われる。
- デッドプール2099
コミックにおける彼と同じく「有り得るかも知れないMARVEL世界の未来」でのデッドプールの娘が元になっている。
- グレイテストショーマン・デッドプール
ヒュー・ジャックマンが主演の映画『グレイテスト・ショーマン』を元ネタにした映画オリジナルのデッドプール。
その他
※ファイナル・トレーラー~劇場公開の間に解禁されたため、一応ここに記載。
『ロキ』からの参戦。
TVAの構成員の1人で、当初は変異体の拿捕を行う実働部隊「ミニットメン」を率いていた現場指揮官だったが、とあるきっかけで真実を知り、シーズン2では組織の再編に取り組んでいた。
本作ではパラドックスより上の立場だったので、本作は『ロキ』より後の時系列となる。
<中間管理職って、大変よね。
名前のみ。
<カンバーバッチも忙しいもんな。
ちなみにカサンドラの「剃髪した女性」という外見や、予告第2弾の最後、主人公2人がポータルに飛び込むシーンにもよく見ると背後に映っていることから、彼女はエンシェント・ワンの変異体ではないかという考察もあった。
名前のみ。上記三名は作中では既に死亡していた事が語られた。
上述の「3番目のキャラ」は形見として愛用していたバズーカーを遺しており、カサンドラのアジトにカチコミをかける際に使用されたことで間接的にではあるが一矢報いている。
企画段階では登場が予定されていた。
同じく予定されており、演者が撮影現場にいたという報道も一部であったが、結局は相方から「(演者同士の関係を踏まえて)名前のみ言及されるに止まった。恐らくだが、かなりデリケートな話題を扱う関係上、当事者の1人である彼を呼び出して許可を取ったと考えるのが自然だろうか。
だが報道によりファン界隈ではこれまでの旧作キャストの登場に期待が大きくなっていたのは事実であり、本編でもそれに応えられるだけの面子が揃ったことだろう。
<ありがとうフォックス! さようならフォックス!
バスに貼られた清掃会社の広告として登場。
MCUでは久しぶりに姿を見せた。
<あっちでも俺ちゃん達を見守っていてね!
……ダメだ。貴方が恋しい(泣)
<最後にもう1つ!
ここからはちょっと複雑な話になるから、興味のある人だけ目を通しておいてくれ!
時系列について
本作はOPに繋がる冒頭のシーンを見ればわかるように、『LOGAN』とかなり密接な繋がりを持つ作品となっている…が、これに伴い作中では色々と設定や時系列の面で整合性の取れない点が多々生まれてしまっている。
まず、『LOGAN』は公開当初、2029年を舞台とした他のX-MENシリーズとは独立した世界線(アース17315)の物語とされていたが、本作ではあたかも『デッドプール』シリーズ(さらに言えばX-MENシリーズ本編であるアース10005)と共通した世界線の出来事であるかのように扱われている。本作は2024年が舞台となっているので、この場合、『LOGAN』の出来事が2017年に発生したということになる。
ただし、この設定変更では矛盾が多い。
- まず、上でも書かれているように『LOGAN』の劇中で時系列が2029年と名言されている。
- 『LOGAN』では「四半世紀(つまり25年間)に渡ってミュータントが生まれておらず、ミュータントが絶滅の危機に瀕している」という設定になっているが、『デッドプール2』では「恵まれし子らの学園」をはじめ、普通にミュータントが健在であり、仮に同一世界線上の過去の出来事だとするとこの設定が矛盾してしまう。
- 『LOGAN』ではプロフェッサーX / チャールズ・エグゼビアが劇中で殺害されるが、『デッドプール2』ではカメオ出演とはいえ普通に健在だった。
- しかも演者も異なり、『LOGAN』では旧シリーズ版のパトリック・スチュアートだったが、『デッドプール2』では新シリーズ版でのジェームズ・マカヴォイである。
その一方で、
- 『デッドプール&ウルヴァリン』ではデッドプールは自分の時間軸で起きた様に『LOGAN』の結末を語っており、アース10005でも『LOGAN』と同じような出来事が起きたことがうかがえる。
- デッドプールはローラを名前ではなく『X-23』と呼称しているので、彼女の名前を知らなかった可能性がある。
等など、設定変更されている様な要素も散見する。
- そもそもデッドプール自体、第四の壁を破ってメタ的な事情を認識できる(言い換えれば全知の能力を持っているとも言える)ので、別の世界の未来の出来事である『LOGAN』の結末を普通に知っていたとしても何ら不自然ではなく、単にメタ発言を通常の会話に用いた可能性がある。
- デッドプールが説明を受けたTVAは時間軸の外側にある存在なので、全ての時間軸で起きた出来事を把握しており、時間軸の外側から知ったデッドプールがとある出来後として語るのも別に不自然ではない。
- アース10005の一般市民はウルヴァリンのことは知っていたが、そもそも彼が死んだかどうかには一切言及していない(直接彼の死に言及しているのはデッドプールのみ)。
- デッドプールは基本的にヒーローやヴィランはあだ名で呼ぶ事が殆どであるため、ローラも本名は知っていたが敢えてヒーロー名の方で呼んだのではないか。
- 『デッドプール&ウルヴァリン』の冒頭でローガンの墓を掘り起こす前は、TVAのオフィスでタイムパッドを盗んで脱出している為、普通に2029年の未来へタイムスリップしている可能性がある。
といった反論もある。
まあ、身も蓋も無く言ってしまえば「デッドプールがケーブルのタイムマシンで好き放題に過去を改変しまくった結果、『LOGAN』にも何かしらの影響が出てしまった」若しくは「アース10005でも将来的にアース17315と同じか限りなく近い出来事が起こる」という無理矢理な解釈も出来なくはない。
更に補足すると今作のX-23 / ローラは演者のダフネ・キーンによれば、変異体ではなく『LOGAN』と同一人物である事が明かされているため、これが公式でも改めて確定すれば「実はアース17315こそがX-MENユニバースの神聖時間軸、謂わば『基本世界』であり、アース10005はアース17315の『並行世界(神聖時間軸から派生・分岐した世界)』だった」という解釈も出来なくはない(例えるならこの作品のこの人物がいた世界が本来辿る未来だったと語られる様に)。
この解釈では、MARVEL映画の世界では「あるユニバースの『神聖時間軸』が消滅すれば、その神聖時間軸から分岐・派生した世界・時間軸も消滅する」という法則が有り、デッドプール達が居る世界(時間軸)の消滅は『X-MENユニバース』の「基本世界」「神聖時間軸」である『LOGAN』の世界の消滅に伴なう副次的なものという事になる。
よりメタな事情を踏まえれば、X-MENユニバースの時系列や世界線があまりにも複雑になりすぎたために、製作側もその全貌を完全に把握しきれなくなってしまったと考えるのが自然だろうか。
<俺ちゃんだからこそこういう無茶苦茶な話が成立できたとも言えるよな!
<というわけで、俺ちゃんの記事はここまで!
それじゃあ俺ちゃんはネズミの耳のカチューシャを付けて、ヴァネッサやローガン達とディズニーランドで熱い夜を楽しんでくる!!
P.S.
<俺ちゃんとローガンは帰って来る!……多分ね。
今度はスパイディのおしりを追いかけたい!