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征服者カーン

せいふくしゃかーん

"Kang The Conqueror"。MARVELコミックに登場するキャラクターで、代表的なヴィランの1人。
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概要編集

1964年7月の『Avengers #8』で初登場。

タイムマシンを操る30世紀の未来人で、アベンジャーズファンタスティック・フォーの宿敵。


本名:ナサニエル・リチャーズ(Nathaniel Richards)。

F4のリーダーであるミスター・ファンタスティックことリード・リチャーズの父親と同じ名前だが、別人(以前は本当に父親という設定だった)。


時間どころかマルチバースをも自在に移動し、数多くの便利アイテムを手にしている。しかし、そんな時空移動を繰り返すあまり何人もの同一人物が生まれ、その内の殆どと敵対するという、数奇な運命を辿りまくっている。

強さとしては、アベンジャーズ全員を1人で相手にできるほど。


主な同一人物編集

ここで挙げるのは極一部。全員の会合、通称「カーン評議会(Council of Cross-Time Kangs)」には数百万の参加者がいる。

  • ファラオ・ラマ=タト(Rama-Tut)

1963年7月の『Fantastic Four #19』で登場した最初の個体。

古代エジプトに移動し、エン・サバ・ヌール / アポカリプスと関わりがある。


ラタ=マトが未来に逃げる際、宇宙を漂っていた彼を助けたことで技術的に影響を受け、仮面や鎧を身に着けたカーンになる分岐が生まれた。

またある宇宙ではドゥーム本人がカーン。


  • イモータス(Immortus)

さらに未来の姿。リンボの支配者で絶対的な力を持つ。


  • アイアンラッド(Iron Lad)

ヴィランとしてのカーンに対し、別宇宙の「悪の道に堕ちなかった」個体がマシンスーツを纏い、現代で活動した姿。

当時アベンジャーズは解散状態にあったため、新世代の超人たちを集めてヤングアベンジャーズを新たに結成した。


  • スカーレット・センチュリオン(Scarlet Centurion)

「Dr.ドゥームと関係がない」個体。テクノロジーより白兵戦を得意とする。


  • ヴィクター・タイムリー(Victor Timely)

1900年代のウィスコンシン州に移動、自身が築いた拠点「タイムリー市」を初代市長として治めていた。

外見が変わらないと怪しまれるため、自分の息子 → 孫 →… と見せかけの世代交代をしており、息子の代にフィニアス・ホートンという学者に接触、彼が「ヒューマントーチ」を造るきっかけになっている。


  • ミスター・グリフォン(Qeng Gryphon / Mister Gryphon)

現代にて「チェン・エンタープライズ」を経営するアジア系のビジネスマン。トニー・スタークからアベンジャーズタワーを買い取った。


  • ラヴォーナ・レンスレイヤー / ターミナトリックス(Ravonna Lexus Renslayer / Terminatrix)

特にイモータスと関係が深い女性。別の宇宙ではカーン自身。

ヴィクターを追いかけて妻「レベッカ・トルミネット」となったり、ネビュラに化けてヒーローたちと活動したこともある。


フューチャー・アベンジャーズ編集

CV:斉藤次郎


「エメラルドレイン計画」の真の立案者にして、ヴィランチーム「マスターズ・オブ・イーブル」を操っていた黒幕。

西暦3000年の地球を征服し完全に掌握、宇宙にまで進出するが宇宙種族に阻まれ、彼らのパワーであるテリジェンクリスタルを複製しようと、未来では枯渇していたビブラニウムを確保するために現代へやってきた。

最終的にアベンジャーズに計画を阻まれ、その中心人物であるアイアンマンことトニー・スターク「優れた戦士にして科学者」と敬意を表しながら、時空要塞スローンと運命を共にした。


「悠久なる時の流れの何処かで、また会おうぞアイアンマン!いや……トニー・スターク!!」




MCU編集

演:ジョナサン・メジャース、吹替:中村和正


フェイズ4~6、通称「マルチバース・サーガ」のラスボスとして予告されており、本人はフェイズ5の幕開けとなる映画『アントマン&ワスプ:クアントマニア』から登場。

また、当初は『Avengers: The Kang Dynasty』の大ボスとして登場することが予想されていたが…?(詳細は後述)






以下、それぞれのネタバレ注意






ロキ編集

征服者カーン

同一人物と思われる"在り続ける者"(He Who Remains)が登場。


その正体は31世紀の地球の科学者で、ある日無数のマルチバースの存在とそこへの行き来する方法を発見。同時にマルチバースの彼たちもその事に気が付いた。しばらくの間は互いに平和裏に知識や技術の交流をしていたのだが、無数に存在する全員が善人だったわけではなく、「新しく見つけた宇宙を征服する」ことを目論んだ個体がいたために宇宙同士の全面戦争が始まってしまった。

そして、"在り続ける者"はその最初の変異体。時空まで食い尽くす能力を持つ生き物「アライオス」と遭遇し、その力をコントロールすることで戦争を終わらせ、これまでのMCUの舞台である【アース199999】を切り離して「神聖時間軸」とし、さらにそれを管理するTVAを、タイムキーパーズやサポートAIのミス・ミニッツを通して裏から長年支配していた。


なおコミックでは、TVAを創設したのは同名キャラだがカーンとは赤の他人。服装が似ているイモータスとミックスさせたと考えられる。






終盤"時の彼方"に構えた館にてロキシルヴィを出迎え、この経緯と、永き時を生きる間に疲れたため後任として2人に目をつけたことを語り、「自分の後を継いでTVAと神聖時間軸を支配する」か「自分を殺して無数の悪魔が解放される」かの2択を迫る。2人の意見の相違を傍観した後、自身の人生を壊したTVAを崩壊させるのが元々の目的だったシルヴィに無抵抗で刺殺された。

これにより神聖時間軸は分岐、無数のタイムラインが生まれてしまった。


またラヴォーナも、変異体を剪定するかどうかを決める判事(TVAの実質的な現場リーダー)として登場。自分を含めた職員全員が元は変異体だったという事実を知った後も、時間軸の混乱を防ぐ組織の目的に共感、出奔した。

「レベッカ・トルミネット」は神聖時間軸における彼女の名前になっている。


さらにTVAに剪定された人・物が送られる虚無世界において、"A"の代わりに"Qeng"のロゴがついたアベンジャーズタワーらしき建物が確認できる。


アントマン&ワスプ:クアントマニア編集

クアントマン

量子世界に家族と迷い込んだスコット・ラング / アントマンに接触し、望みを叶える代わりに自身にも協力するよう要求する。


大人数の軍隊やM.O.D.O.K.を配下に持つなど一大勢力を築いているが、自身を量子世界に閉じ込めた人物に対して復讐を企てている模様。

シリーズ前作までそこにいた先代ワスプことジャネット・ヴァン・ダインとは知り合いらしく、「存在を書き換え、時間軸ごと破壊する怪物」と警戒されている。


本人曰く「別の宇宙のアベンジャーズを倒している」が、ハンマーを持った奴以外はあまり印象に残っておらず、アントマンを「アリと話せるだけ」と見下すシーンもあった。












その正体は、他のカーンによって量子世界に追放された個体。

マルチバースの研究を進めるうちにやがてそれらが互いに衝突・消滅(「インカージョン」)して全滅する結末を知り、その対策として自分以外のアースを消して回っており、それを危険視されての処置だった。

先んじて閉じ込められていたジャネットと出会ったカーンは、素性を隠して関係を深め、自分の乗り物がどの時間・どの宇宙にも行ける装置であり、そのエネルギーコアが故障していることを説明、2人でそれぞれの元の世界に帰ろうと協力して修理を始める。


しかし長い時間をかけて修理が終わりコアをセットしようとしたジャネットは、コアが神経で操作するタイプだったためそれに触れたことでカーンの正体や目的を知ってしまう。

戦闘の末、ジャネットにピム粒子のディスクを用いてコアの中心核を超巨大化させられたカーンは、戻ることを一旦諦め、自前の科学力を用いて原住民を追いやり、量子世界を征服。復讐の機会を待っていた。

また少し前に量子世界に来たダレン・クロスを「M.O.D.O.K.」に改造。手駒とした。






本編では娘のキャシー・ラングを人質にスコットを脅し、彼らを元の世界に返すという条件付きでコアを元の大きさに戻させる。

そして再会したジャネットを捕え、用意した大軍勢を装置で本拠地ごと転移させようとするが、スコット、キャシー、ホープ・ヴァン・ダイン / ワスプの活躍で失敗。腹いせに蜂起した原住民に牙を向けるも、キャシーの説得で改心したダレンにバリアを破られ、さらにハンク・ピムに操られた、スコットたちと一緒に量子世界に来た際に超進化したアリの軍勢に敗北した。


だがそれでは終わらず、装置を利用して帰還しようとしていたスコットを急襲。肉弾戦でも圧倒するが、ホープが加勢したことで形勢が逆転、次第に両者の連携に圧されていき、最期はコアの中に吸収された。







ポストクレジットではファラオアンドロイド長老の3人のカーンが登場(制作陣によると順にラマ=タト、スカーレット・センチュリオン、イモータスを基にしているとのこと)。

追放した個体が倒されたこと、その相手が自分たちの誰かではなく【アース199999】のヒーローであることを察知し、彼らがマルチバースに関わりすぎているとして、殲滅を決定。

本拠地にカーン全員を招集した。


ちなみにラストシーンはコミックで描かれた評議会の1コマをそのまま実写化したもの。

……明らかに人間やめてるカーンもしっかり再現されており、悪乗りしやすい中二病の集団がはしゃいでるように見えない事もないが、残機数が事実上無限大の奴がサーガのラスボス候補、というとんでもない状況を端的に表しており、さらにリーダー格の3人も含めた全員をジョナサンが演じ分けている、というすごいシーンでもある。


  • 考察など

メインヴィランとなったカーンが「自らのエゴのために世界を消して回るという、他の個体達からしても兇悪であり、彼を殺したのは正解だった」のか、「征服のためならインカージョン上等な同位体達に反感を覚えて火種を断とうとした、個体の中ではマシな方であり、彼を殺してしまったのは失敗だった」のか、といった両方の解釈が可能な描かれ方をされている。

ただし『ロキ』最終話の出来事が原因で評議会のカーンたちが解放(復活?)されたかは直接描かれていない。


本拠地に続々と集まるシーンにて、少なくとも1人が青い正方形のポータルから現れたが、これは『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』に登場した【アース838】のミスター・ファンタスティックと似ている。コミックでは元々Dr.ドゥームが使っていた技術であり、カーンとドゥームのつながりも示唆されている。


ロキ シーズン2編集

前シーズン最終話のラスト、TVAに戻ったロキがタイムキーパーズの彫像がカーンの姿に変わっているのを発見した直後から始まる。


ラヴォーナも引き続き登場、そして『クアントマニア』のエンドクレジットシーンで先行公開された通り、ヴィクター・タイムリーがキーパーソンとして登場する。


余談編集

演じたジョナサンはサーガのラスボスを担当するにあたり、ちょうどボクシングを主題とした同年公開の『クリード 過去の逆襲』も控えていたため、『ロキ』撮影後から肉体改造に取り組んだらしく、温和で飄々とした"在り続ける者"とは全く異なるいかつい印象になっており、『クアントマニア』予告編の発表時に一部で話題になった。


なお『クリード』シリーズはキルモンガー役のマイケル・B・ジョーダンが主演を務めるなど、MCUと共通出演者が複数いる。


『クアントマニア』公開のおよそ1ヵ月後、ジョナサン・メジャースが暴行容疑で逮捕されるという衝撃的なニュースが飛び込んできた。弁護側は無実を主張したが、2023年12月19日有罪判決が下され、MCU製作陣はメジャースをカーン役から解雇することを発表、『アベンジャーズ』シリーズ5作目の副題からも『The Kang Dynasty』の一文を一旦削除する措置を取っている。


アメコミファンの間では、ライバルシリーズであるDCユニバースでもメインヒーローの1人を演じた俳優が逮捕されたことで公開スケジュールに大幅に遅れたことが記憶に新しかったが、今回のメジャースの逮捕も同様かそれ以上に深刻な影響を与えることは間違いなく、ファンからはフェイズ5の今後の展望を不安視する意見が出始めていた。


その後、2024年7月に実施されたコミコンにおいて、副題が空白となっていた『アベンジャーズ』シリーズ5作目が『Doomsday』と改題され、ボスとなるスーパーヴィランもカーンからロバート・ダウニー・Jr.演じるDr.ドゥームへと変更になったことが明かされた。

ただし、現在発表されているタイトルにおいてカーンの登場は明確にされておらず、今後の先行きはかなり不透明となっているのが実情である。


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MARVEL スーパーヴィラン タイムトラベル

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