マルチバース(MARVEL)
まーべるのまるちばーす
一般的な用語については⇒マルチバースへ
MARVELコミックの作中には無数のマルチバースが存在している。
それぞれ【アース(Earth)XXXXXX】というナンバリングがされており、これまでに登場した最大は【28744923048932】。名称も「アース」、または宇宙を意味する「ユニバース」「バース」がついていることが多い。
我々がいる現実世界には【1218】の番号が振られているが、「この世界においては別の世界での出来事が全て架空のものとして扱われている」「このルールは厳しく、スーパーヒーローや神々など上位の力や存在を許さない」という形で創作物と現実の区別を行っている。
ちなみにMARVELと並ぶアメコミの二大巨頭・DCコミックにも同様の概念があり、2011年のリニューアル「NEW52」以降は名前通り判明しているだけで52個存在する。
こちらの【1218】に相当するアースは【Earth-Prime】。
ストーリー上の扱い
元は1つの意思を持った宇宙「ザ・ファースト・ファーメント」だったが、セレスティアルズの誕生に関連して分裂した。
これらは通常互いに干渉することはないが、一部キャラクターは行き来できたりする。ただし交流には危険性が伴い、最悪の場合、ぶつかり合い共に崩壊してしまう「インカージョン(incursion:侵入)」という現象が起きるため、相手側の宇宙を消滅させなくてはならない(2015年のエピソード『Secret Wars』)。
無数のマルチバースそのものも生成と消滅を繰り返しており、『Secret Wars』以前は第7サイクル目、以降は第8サイクル目が舞台となっている。
なお同作における移行はイレギュラーな形で起きており、基本世界である【アース616】では例えば「最初からスパイダーマンが1つの世界に2人居た」という”現実改変”(メタ的に言えば設定変更)が行なわれている。
また、これまでに登場したスパイダーマンのほぼ全員が1つの世界に集結したこともある(メイン画像の『スパイダーバース』)。
日本の仮面ライダーシリーズで例えると、大元の初代に加えて『THE FIRST』『シン』など複数の本郷猛 / 仮面ライダー1号がオリジナルキャストで共演し、場合によっては石ノ森章太郎による萬画(漫画)版や和智正喜作の小説版、更には『仮面ライダーSPIRITS』版の本郷まで登場するようなもの、と言えるかもしれない。
なお、主にドクター・ストレンジと関係が深い「○○ディメンション」など、同じアースの中の違う世界は主に「ポケットディメンション」と呼ばれる。
北欧神話の9つの世界の中でミズガルズ=地球を除く8つの世界や、地獄・辺獄などの「神々の世界」「妖精や魔物の世界」「死後の世界」もコミックではポケットディメンションの一種となる。(ある意味でMARVELにおける”死”は一種の”異世界転移”とも言える)
メタ的な話
元々は、著作権を持っているのが出版社であるため、複数のクリエイターが複数のコミックを制作する都合上、その過程で生じる設定の矛盾を解消したり、その時々のトレンドなどを取り入れてIFの世界を描くことが可能になるという、大人の事情が理由で取り入れられたもの。
また、例えばこの2人が全ヒーロー・ヴィランを皆殺しにするなど、アイデアとしては面白いが全体に大きな影響を与えかねないエピソードは(当然ながら)「マルチバース上の別の平行世界の出来事」とされる場合がある。
これを応用して、アニメ・ゲーム・実写版・本誌以外の漫画など、コミック以外の媒体の作品にもそれぞれに番号や名称が割り当てられている。
よってこれらメディアミックス作品は「原作のアニメ化や実写化」というよりは「別の世界での出来事」という認識の方が正確であり、コミックとの違いが論争になることも避けられるだろう。
(なおこれらが前述したサイクルのどこに属するかや、そもそもこの設定が適用されるのかは不明)
メイン
- 【アース616】マーベル・ユニバース
MARVELコミックの正史世界。
- 【アース1610】アルティメット・ユニバース
2000年にスタートした、設定を現代風に変更した「アルティメット」シリーズの世界。
- プライム・アース
『Secret Wars』にて【616】と【1610】が統合されて生まれた正史世界。
現在のMARVEL社内では基本的にこちらで呼ばれている。
- 【アース6160】アルティメット・ユニバース(リブート版)
「プライム・アース」誕生の際に【1610】は消滅したが、その生き残りである1人のヴィランが自分の理想の世界を作る為に、マルチバースの中の世界の1つの歴史を歪めて生み出した世界。
2024年よりここを舞台にしたシリーズが順次刊行される。
その他
"もしも"を描いた『WHAT IF...?』が初出の世界もある。
アース番号 | 名称 | 説明 |
---|---|---|
791021 | ダックワールド | アヒル類が霊長類並みに進化した世界。ハワード・ザ・ダックの出身 |
90214 | アースノワール | 1933年世界恐慌が起きたヒーロー達の世界 |
8311 | ラーバルアース | ヒーロー達を動物擬人化キャラクターに置き換えた世界 |
928 | マーベル2099 | 近未来2099年の世界 |
23291 | 【928】が破壊され、一部修復された世界 | |
TRN767 | 【23291】が再び破壊され、過去から全て一新された世界 | |
2149 | アースZ | ヒーロー達がゾンビと化した世界 |
91126 | ゾンビヒーロー達がテレポーター装置で飛んだ世界 | |
712 | アースS | MARVELのライバルDCコミックのジャスティスリーグにそっくりなヒーローチームスコードロン・スプリームの世界 |
91274 | G.I.ジョーユニバース | マーベル版トランスフォーマーの世界。いくつかのマーベルヒーローも登場する |
41252 | テック・オン・アベンジャーズ | ヒーロー達がトニー・スタークが開発した専用アーマーを着用した世界 |
2301 | マーベル・マンガバース | 日本風のマンガスタイルで構築された世界 |
それぞれ発表年順。
一部は番号の前に"TRN"が付いているが、これは "Temporary Reality Number" の略で、公式からは発表されていないためファン界隈で便宜上つけられたことを表す。
『X−MEN』シリーズ
番号:【アース10005】
2000年から始まったX-MENの実写映画・ドラマシリーズ。
ただし作品全てが同じ世界というわけではなく、さらに展開は『STAR WARS』などと同じくメインシリーズ+スピンオフ、という形態なので、創作用語としての「ユニバース」の定義からすれば誤りなのだが、その規模から事実上ユニバースとして扱われている。
マーベル・シネマティック・ユニバース
番号:【アース199999】
略称は"MCU"。2008年の映画『アイアンマン』から始まり、ABCやNetflixなどで制作されたスピンオフドラマ、さらに『ホワット・イフ...?』などのアニメも含まれる作品群。
基本世界以外にも、特にフェイズ4以降は「マルチバース・サーガ」と称されており、様々な世界が舞台として登場している。
番号は2012年出版の公式解説本『Official Handbook of the Marvel Universe A-Z Volume 5』が初出だが、作中ではなぜかコミックの基本世界と同じ【616】が用いられている。
詳しくは当該箇所を参照。
スパイダーマン・ユニバース
番号:【アース688】※
2018年の映画『ヴェノム』から始まった実写作品群。
正式名称は「ソニー・ピクチャーズ・ユニバース・オブ・マーベルキャラクター(SPUMC)」。当初はコミックでスパイダーマンと縁深いキャラクターが主役なので名称に「スパイダーマン」が含まれていたが、彼本人は登場しないという意味合いを込めて現在のものに戻った。
スパイダーバース関係
- 【アース6799】:初代アニメ版
- 【アース8107】:東映アニメ版、アニメ『アメイジング・フレンズ』
- 1982年版『超人ハルク』
- 【アース51778】:東映特撮版
- 【アース7041】:漫画『スパイダーマンJ』
- 【アースTRN888】:アニメ『スパイディとすごいなかまたち』
コミック版に登場した、コミック以外のスパイダーマンたちの"出身世界"。
アニメ化と言える長編シリーズ。この他にスピンオフも制作予定。
登場・言及される各世界のアース番号は、オリジナルを除くと作中ではコミックと同じだが、一部では区別のため末尾に"B"がつけられている(参考:FANDOM)。
※前述した「スパイダーマン・ユニバース」もFANDOMでは【688B】表記だが、これは『What If...? #88』と重複しているため。
その他
アニメ
タイトル | 制作 | アース |
---|---|---|
宇宙忍者ゴームズ | ハンナ・バーベラ・プロダクション | 700089 |
ザ・ニュー・ファンタスティック・フォー | 78909 | |
Spider-Woman | マーベル・アニメーション | 700459 |
マーベル・フィルムズ・アニメーション | 92131 | |
マーベル・エンタープライズ | 534834 | |
スパイダーマン・アンリミテッド | マーベル・エンタープライズ | 751263 |
X-メン:エボリューション | フィルム・ローマン | 11052 |
スパイダーマン新アニメシリーズ | メインフレーム・エンターテインメント | 760207 |
ウルヴァリン・アンド・ジ・X-メン | フィルム・ローマン | 8096 |
マッドハウス | 101001 | |
| マーベル・アニメーション | 12041 |
ディスク・ウォーズ:アベンジャーズ | 東映アニメーション | 14042 |
マーベル フューチャー・アベンジャーズ | マッドハウス | TRN642 |
ディズニー | 14123 | |
| マーベル・アニメーション | 17628 |
- Marvel Animated Features
マーベル・アニメーション制作のOVAシリーズ。
全て同じアースではないのだが、日本で数年遅れて発売された際に「マーベル・アニメイテッド・ユニバース」という、明らかにMCUに便乗しようとして「ユニバース」の意味をはき違えてしまっている包括タイトルをつけられた。
No. | タイトル | 全米発売 | アース |
---|---|---|---|
1 | アルティメット・アベンジャーズ
| 2006年 | 3488 |
2 | アルティメット・アベンジャーズ2:ブラック・パンサー・ライジング
| 2006年 | 60808 |
3 | アイアンマン:鋼の戦士
| 2007年 | 199673 |
4 | ドクター・ストレンジ:魔法大戦
| 2007年 | 2772 |
5 | ネクスト・アベンジャーズ:未来のヒーローたち
| 2008年 | 555326 |
6 | ウルヴァリン VS ハルク
| 2009年 | 8096 |
7 | 超人ハルク:サカールの預言
| 2010年 | 10022 |
8 | 勇者ソー 〜アスガルドの伝説〜
| 2011年 | 8096 |
※『Hulk vs. Thor』『Hulk vs. Wolverine』の2本立て。
実写
タイトル | 全米公開 / 放送年 | アース | 備考 |
---|---|---|---|
キャプテン・アメリカ/ザ・パープルデス |
| 600001 | |
|
| 400005 | |
ドクター・ストレンジ |
| 96173 | |
スパイダーマン |
| 730911 | ※1 |
|
| 600043 | ※2 |
ハワード・ザ・ダック/暗黒魔王の陰謀 |
| 58470 | |
パニッシャー |
| 58627 | |
キャプテン・アメリカ 卍帝国の野望 |
| 697064 | |
ファンタスティック・フォー |
| 94000 | ※3 |
ジェネレーションX |
| 700029 | |
ナイトマン |
| 83930 | |
Nick Fury: Agent of S.H.I.E.L.D. |
| 5724 | ※2 |
|
| 26320 | |
ミュータントX |
| 704509 | |
| 96283 | ||
ハルク |
| 400083 | |
| 701306 | ||
パニッシャー |
| 58732 | |
巨大怪物 マンシング |
| 58460 | |
|
| 121698 | |
| 121347 | ||
パニッシャー:ウォー・ゾーン |
| TRN011 | |
| 120703 | ||
ファンタスティック・フォー |
| 15866 | ※4 |
※1 - 正式邦題は『スパイダーマン 正義の超人クモ男登場・電撃超能力パワーVS恐怖の殺人電波』
※2 - 日本では未公開のため原題表記。
※3 - 制作はされたが、諸事情によりお蔵入りしている。
※4 - 当初は『X−MEN』シリーズと同じ【アース10005】の予定だったが、大コケしたしたため無かったことにされた。
また『メン・イン・ブラック』『キック・アス』『キングスマン』の各映画シリーズも、元となったコミックはMARVELと関係が深い出版元だが、一般的には含まれず番号も振られていない。
ゲーム
アース名称
| アース番号 |
---|---|
| 30847 |
| 6109 |
レゴユニバース
| 13122 |
| TRN814 |
| TRN670 |
| TRN882 |
| TRN994 |
ソニー・プレイステーションズ・スパイダーマン・ユニバース
| 1048 |
| TRN912 |
日本発
タイトル | 媒体 | アース番号 |
---|---|---|
特撮 | ||
バトルフィーバーJ | テレビ朝日系列 | 79203 |
漫画 | ||
スパイダーマン/偽りの赤 | マガジンポケット | TRN854 |
スパイダーマン:絆 | 最強ジャンプ | 8989※ |
| 少年ジャンプ | 346 |
※【8989】は「ワクワク」の語呂合わせで、この形式で番号が決まるのは日本ならではと言える。
・・・「マルチバース」という単語に割り当てられている日本語は「多元宇宙」なのだが、説明では「(~の)世界」と、どちらかと言えば「パラレルワールド / 並行世界」や「タイムライン / 世界線」のニュアンスも含まれている。原語でも"earth"や"reality"を意訳すると「現世」「現実世界」となり、「宇宙」と「世界」が同じくらい用いられている。
というのも、例えば【928】は【616】が辿る未来の可能性の1つだったり、【10005】から分岐して【TRN414】になったり、イメージ的にも「(ウルトラシリーズのマルチバースのように)泡のように無数に浮いている」と「線の分岐・横並び」が混在していたりと、そもそも「マルチバース」「パラレルワールド」「タイムライン」が区別されていない節があるため、注意が必要。