ゴーストライダー
ごーすとらいだー
MARVELコミックのヒーロー。別名「スピリット・オブ・ヴェンジャンス(復讐の精霊)」。
人間と悪魔が合体して生まれた怪人:ゴーストライダーが弱き人々を守るためにその力を使うというストーリー。
ちなみに「Vengeance」は「復讐」と「天罰」の両方のニュアンスを持つが、「復讐」の意味合いとしては「Revenge」よりも「Avenge」が近い。
外見
「燃え盛る炎を纏ったドクロの頭部」という非常にアメリカンで頭のネジがぶっ飛んだデザイン。
後述する実写映画版パンフレットによれば、オーストラリアの伝承にある愛を司る幽霊とされる「燃える髑髏」がルーツとされる。
「復讐の精霊」の力を行使する人物の総称なので、1973年に登場して以降相当数が名乗っているが、ライダーの名の通り何かしらの乗り物(特にバイク)を得物とするのは共通している。
能力
武器は炎に包まれた鎖。その身にまとう「ヘルファイア(獄焔or極炎)」は万物を一瞬で炭化させ、敵の撃った弾を体内で溶かして口から出すなんて芸当もできる。
炎を纏った「ヘルバイク(原語ではヘルサイクル)」を駆り、場所を選ばず疾走することが出来る。
バイクもチェーンも、その辺にある普通の物を変異させた物。
ただしその性質上夜しか活動できず、罪なき命から血が流れない限り変身できない。つまり、常に手遅れの時点で登場するので実質的に被害者は救えない。しかし、被害者の恨みを代わりに晴らしてやると言わんばかりに加害者をフルボッコにする。
良くも悪くも目立ち過ぎる設定と外見から忘れられがちではあるが、
- 特定の状態なら戦車やビルを手に持って打撃武器として振り回す、鎖で地下鉄を地上へ引っ張り出す等が出来る。
- ドクター・ストレンジは、パワー全開であれば理性と怒りを両立させた最強モードのハルクを倒せるはずだと考えていた。
といった具合に、一時期はマーベル・ヒーローの中でも結構な力持ちだった。
実際に大型イベント『ワールド・ウォー・ハルク』でこの状態のハルクと戦うが、能力の源である悪魔ザラゾスがハルクには罪がない、復讐は正当だと判断して力を貸す事を拒絶していたため一部の力が制限されており、終始圧倒されていたものの、攻撃を受けても肉体的にはほぼ無傷であり、五体満足のままであった。他のヒーロー達が殆ど一撃で蹴散らされるような相手に、この耐久力は驚異的である(なお戦い自体は引き分けに終わった)。
※これが原因で、あまり馴染みのない視聴者には「敵があっさりしすぎて実写映画版はつまらない」と評価を下されてしまうこともある。違うのだ、要は主人公が強すぎるのだ。
なお、特に『ワールド・ウォー』時の設定が現在も適用されている訳ではないことには注意されたし。
最新の公式設定では、彼のパワーはスパイダーマンと同じクラス4だが、これはパワーはコズミック・ビーイングを含めた全宇宙の範囲内では中間。スピードはキャプテン・アメリカと同じクラス3で、下から数えた方が早いのである。
ただし防御力は最高のクラス7であり、ほとんどの物理攻撃は効かない、つまり彼は最強ではないが無敵と言える。
襲名者
特に有名なのが初代と'90年代に登場した二代目。
- ジョニー・ブレイズ(Johnathon "Johnny" Blaze)
初代。
早くに両親を亡くし、サーカスの団長だったクラッシュ・シンプソンに引き取られスタントライダーとして活躍していたが、ある時不治の病を患った養父を救おうと、藁にも縋る思いで悪魔王メフィストと契約。おかげで養父は全快するも、直後のスタントに失敗して事故死してしまう。泣きっ面に蜂と言わんばかりに、契約の代償として魂を奪われそうになったところをクラッシュの実娘である恋人(後に結婚)ロクサーヌの助けで九死に一生を得たが、契約不履行の代償としてジョニーは悪魔ザラゾスに憑依されてしまう。
その結果ゴーストライダーとなり、罪なき命たちを殺傷せし悪党連中を地獄へ叩き落とす日々が始まったのであった…。
- ダニエル・“ダン”・ケッチ(Daniel "Danny" Ketch)
ジョニーとザラゾスが乖離してから数年後に登場した二代目。
姉のバーバラと出かけた深夜の墓場でギャングの抗争を目撃、逃げる最中に道にあったバイクのガスタンクのキャップに偶然触れたことでゴーストライダーに変身し、ギャングを撃退した。しかしバーバラは入院する羽目になってしまい、この事件をきっかけに新たなゴーストライダーとして、凶悪犯や魔界の軍勢と戦う日々を送る事となった。
独自の能力として「贖罪の目(ペナンスステア)」という魔眼を持っているが、最近のシリーズや後述する映画版では他のライダーにも備わった。
その後、新たなゴーストライダーの出現を知ったジョニーはザラゾスが復活したのかと思い、両者は激突するが、その過程で実はジョニーとダニエルが実の兄弟だった事が判明した(詳しくは、バートン・ブレイズとナオミ・ケイルの子どもであるバーバラを含めた3人のうち、バーバラとダニエルが物心つく前にフランシス・ケッチという未亡人の里子に出された)。
なおこのナオミ、および彼女の先祖のノーブルもライダーになったことがあり、元々この家系がザラゾスの力を監視していたりする。
- アレハンドラ・ジョーンズ(Alejandra Jones)
三代目。2011年にスタートした『Vol.7』の主役で、長い歴史の中でも珍しい女性ライダー。
孤児として育ち、ジョニーから指導を受けながらゴーストライダーとなり、レッドハルク、X-23、エージェント・ヴェノムと共闘したりと活躍したが、2019年の『Absolute Carnage: Symbiote of Vengeance』でカーネイジに殺された。
- ロビー・レイエス(Roberto "Robbie" Reyes)
2014年から始まった新シリーズ『All-New Ghost Rider』での主役。四代目にして現役高校生、かつ四輪自動車に乗っちまった。ちなみに彼のデビューから半年後、日本でも自動車に乗るライダーが登場した。
治安の悪い故郷で弟のゲイブと暮らしながら整備士として働いており、ギャングに襲われたのをきっかけにゴーストライダーに変身。悪魔崇拝者だった叔父のエリアス・モローが精霊として宿っている。2021年の『Avengers: Forever』にて自身の「何にでも乗れる」能力に目覚めたが、マルチバースの危機を救うために宇宙の狭間に閉じ込められた。
『ホワット・イフ...?』の「もしも…マーベル・コミックスがメタルと化したら withゴーストライダー」でも活躍。
- パーカー・ロビンス(Parker Robbins)
2002年にデビューしたヴィラン「ザ・フッド」が、2023年の『Ghost Rider Annual (Vol.3)』にてジョニーから離れたザラゾスに気に入られ、五代目となった。
その他
正史世界【アース616】で変身したことのある面々。
- 紀元前100万年前のゴーストライダー
マンモスに乗り、オーディンらと共に地球最初のアベンジャーズに所属していた。
- ケンシロウ・コクラン / ゴーストライダー2099(Kenshiro Cochrane)
通称、および主役タイトル。スパイダーマン2099と同じ未来世界【アース928】にて登場したことからこう呼ばれている。
バイクを乗りこなし造形が似ており、歴代達と関係は不詳だがアンドロイドの類。
スパイダーグウェンの世界【アース65】にて、ハロウィンでゴーストライダーの仮装をした。
仲間・協力者
- ケアテイカー(Caretaker)
ジョニーやダニエルに助言する、ザラゾスに対抗する集団のメンバー。
初代と、修道院のシスターである二代目がいる。
- マイケル・バンディーノ / ベンジャンス(Michael Badilino / Vengeance)
精神異常をきたした父によって母と姉を殺された青年で、元凶となったジョニーへ対する恨みを晴らすためにメフィストと契約。しかしジョニーやダニエルとの幾度かの激突の末、そのメフィストこそがジョニーを操っていたことが判明し、2人と和解。彼らが不在の際にはその代役を務めたりもしている。
MARVEL三大ダークヒーローの1人。ご存じ「X-MEN」のメンバー。
ライダーと同様に彼も敵対する相手には容赦せず、悪党に関しては場合によって殺すことも厭わない非情さを持つ。よく共闘しており、一緒にチームを組んだこともある。
- フランク・キャッスル / パニッシャー
MARVEL三大ダークヒーローの1人。悪党に対して無慈悲で苛烈な制裁を下す、という共通点からか共闘することがよくある。
誤解から戦った際は、容赦の無さと策略を武器にどんな強敵相手でも知恵と勇気と怒りで互角以上へ持ち込む彼が思わず弱音を吐いてしまう程にまで追い詰めた。
またサノスが宇宙規模の大戦争に勝利した世界では、彼がメフィストとの契約で新たなゴーストライダーとなり、さらにギャラクタスからパワーを授かってコズミック・ゴーストライダーとして活動していたが、ギャラクタスがサノスに敗北、宇宙の放浪者となっていた。
単独映画版
ニコラス・ケイジ主演で2007年公開。
元になったのは初代のジョニー・ブレイズだが、設定が色々異なっており、
- 経緯:病を患ったのは実父バートンで、ゴーストライダーに変身する力を授けたのはメフィスト。
- 能力:バイクに限らず、6輪トラックだろうが、世界最大の重機バケットホイールエクスカベーターだろうが、奪い取った乗り物は何でも乗っ取ることが可能。乗っ取った乗り物はバイクと同様に炎を纏った姿に変化し、防御力や攻撃力が格段に上昇する。
メインヴィランはブラックハート。メフィスト共々、終始人間の姿しか見せなかった。
また協力者のケアテイカーも先代ゴーストライダーとして登場し、「カーター・スレイド」という名前が追加されたが、これはMARVEL以前に他社で出版していたゴーストライダーの本名。ホラー色の強い西部劇コミックのヒーローで、後に「ファントムライダー」と改名、版権が切れるとMARVELが製作者ごと自社のものにした。
2012年に第2作が公開。ニコラス・ケイジが続投し邦題も『2』となっているが、内容としては続編というよりリブートに近い。
メインヴィランはブラックアウト。
1990年代、小学館プロダクションより日本語版が全3巻で出版された。
カントリー・ミュージックの定番ソング『ゴースト・ライダーズ・イン・ザ・スカイ』がキャラクターのインスピレーション元となっており、映画版のエンドクレジットではロックチューンにアレンジされたカバー・バージョンが流れる。
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