原義「terminator (名)」とは
- 終わらせるもの(人)、始末屋。
- 明暗界線。
- 終結部位:伝令RNAが結合されるDNAの部分。(goo辞書より)
- ロシア製戦闘機「Su-37」の愛称。ロシア語読みは「チェルミナートル」。
- 信号波形の乱れや信号の反射などによる誤作動を防止する終端抵抗器。外付けのものがSCSI規格等で使用されていたが昨今はあまり見かけない。
- ゲーム『キングダムハーツ2』に登場するザコ敵のハートレス。
この項目ではハリウッド映画『ターミネーター』シリーズについて記述する。
概要
当初は低予算のB級映画であったが、ボディビル出身のアーノルド・シュワルツェネッガーが演じるターミネーターの不気味な存在感や、終盤でのコマ撮りを駆使した動きが話題となり大ヒット。
「デデンデンデデン」で始まるテーマ曲も有名。何をしても動じない不死身な存在を比喩して「ターミネーター」と称したりもする。
今作をきっかけにシュワルツェネッガーはアクション俳優として、ジェームズ・キャメロン監督は映画史に残るヒットメーカーとして、スターダムをのし上がることになる。
キャメロン自身は2作目の「T2」をもって完結とみなしシリーズから身を引いたが、その後も衰えを知らない世界的な人気から、続編映画やテレビシリーズが作られ続けている、ハリウッドを代表する人気タイトルのひとつである。
シリーズの流れ
『ターミネーター』(1作目)
原題:The Terminator
製作年:1984年
監督:ジェームズ・キャメロン
配給:オライオン・ピクチャーズ/ワーナーブラザーズ
近未来。人類は1997年に起こった「審判の日」と呼ばれる核戦争で衰退。人工知能スカイネットによって制圧されようとしていた。
しかし、ジョン・コナー率いる人類の反乱軍が、反撃の狼煙を上げ、スカイネットは徐々に劣勢に追い込まれていった。
これを脅威と判断したスカイネットは、タイムマシンを用いて1984年の過去にターミネーター(T-800)を送り込み、将来ジョンの母親となるサラ・コナーを抹殺しようとする。一方、反乱軍もこれを察知し、サラを護衛するためにカイル・リースをタイムトラベルで過去へ送り込む。
壮絶な戦いの末、T-800は破壊され、カイルは戦死。サラはカイルとの息子、ジョンを身ごもり、「審判の日」に向けて備えることに。
予算僅か640万ドルのいわゆるB級予算映画だが、その10倍以上の興行収入を記録する特大ヒットを飛ばした。『コナン・ザ・グレート』以降ヒットに恵まれなかったシュワルツェネッガーは、今作で一気にスターの座をものにした。
彼のキャリアを代表する台詞でもある"I'll Be Back"は、今作が初出。
また監督デビュー作『殺人魚フライングキラー』で散々な目に遭ったキャメロンも、今作でようやく日の目を見ることが出来、大作『エイリアン2』の監督抜擢へとキャリアをつなげた。ちなみにターミネーターのアイディアは、『殺人魚~』失敗のショックで高熱を出した時に見た「炎の中からロボットが立ち上がって自分を殺しに来る」という悪夢が発端らしい。
シナリオ構想にはSFドラマ『アウター・リミッツ』のエピソードである「38世紀から来た男」と「ガラスの手を持つ男」を参考にしたが、脚本担当であるハーラン・エリスン氏が盗作であると訴訟を起こし、監督本人が封切り時にそれを堂々と公言していたことから、敢えなく敗訴してしまった。このためビデオ版には、エンドクレジットの最後にエリスン氏の名を記載している。
尚、男女の運命的な出逢いと心情の変化などといったシナリオは、監督の後作である『TITANIC』にも流用されている。
『ターミネーター2』
原題:Terminator 2: Judgment Day
製作年:1991年
監督:ジェームズ・キャメロン
1作目の続編で、舞台は前作の10年後(1994年)。前作でジョン・コナーの抹消に失敗したスカイネットだが、本人を直接抹殺するべく、10歳当時のジョン少年のもとへ新たなターミネーター「T-1000」を送り込む。しかし、そこへかつてサラの命を狙った刺客と同型のターミネーター「T-800」が現れ、ジョンを護る。人類側も新たな護衛を用意したのだ。
ジョンは、母親のサラ、T-800と力を合わせて、T-1000と対決する。
シリーズ最大のヒット作として最も有名なのが、この「T2」である。
前作とは打って変わって1億ドルの特大予算が用意されたおかげで、液体金属のボディを持つT-1000の脅威が最新のVFXによって見事に描かれたほか、迫力のあるチェイスシーン、ガンアクションがてんこ盛りとなっている。90年代には地上波放送がほぼ毎年行われる人気作となった。
ちなみに鳥山明のドラゴンボールの「人造人間編」は、この「T2」にインスパイアされたものである。
『ターミネーター2:3D』
原題:T2 3-D:Battle Across Time
公開期間:フロリダ版 1996-2017年/ハリウッド版 1999-2012年/日本版 2001-2020年
監督:ジェームズ・キャメロン/ジョン・ブルーノ/スタン・ウィンストン
未だ生きていたスカイネットを葬り去るべく、サイバーダイン社の極秘プレゼンテーションに乱入するジョンとサラ。再び現れたT-1000に追われたジョンは帰ってきた味方のT-800と共に荒廃した未来へ逃げ、スカイネットの本部を破壊する戦いに身を投じていく。
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンを始め、世界三か所にあるユニバーサルスタジオのテーマパークで公開されたアトラクション。「2」の俳優・製作陣が再び集結し、舞台演技と3D映像、アニマトロニクスを組み合わせた斬新な演出でターミネーターの世界が描かれた。上演前に行われる司会者・綾小路麗華(本国アメリカではキンバリー・ダイキン)による観客いじりも大人気であった。
後に公開された続編がどれも賛否両論なのもあり、「これが真の『3』だ」と評価するファンも多い。
アメリカ本国版が二か所とも終演した後、最後に残っていたUSJ版は2020年9月頃から続いていたコロナ禍の影響による閉鎖が終わることなく運営終了となってしまった。
『ターミネーター3』
原題:Terminator 3: Rise of the Machines
製作年:2003年
監督:ジョナサン・モストウ
配給:ワーナーブラザーズ(アメリカ)/東宝東和(日本)/コロンビア映画(世界)
2作目の続編で、前作の10年後(2004年)。
前作の奮闘のおかげで、1997年の「審判の日」は回避された。ジョンは青年に成長し、サラは白血病でこの世を去っていた。ひとり遺されたジョンは、心の奥に残る「審判の日」の不安から流れるように各地を放浪し、当てのない日々を送っていた。
しかし、2032年の未来から女性ターミネーターT-Xと、T-800の改良型であるT-850が送り込まれ、三度戦いが始まる。T-850によれば、審判の日は回避されたのではなく引き延ばされたに過ぎず、ジョンには反乱軍のリーダーとして戦う運命が変わらず待ち受けているという。そして、その新たな審判の日とは、まぎれもなく今日その日であった。
「『T2』で物語は完結している」と譲らなかったキャメロンに代わり、『ブレーキ・ダウン』などのB級アクションで高評価を得ていたモストウが監督に起用され、当時史上トップクラスの製作費が投じられた。
派手なアクションや、さらに進化したVFXは非常に出来が良く、評価も高いものの、前作で綺麗に完結した物語にふたたび後味の悪い結末をつけた点については賛否両論であり(タイムパラドックスに陥っていた時系列を見事に回収したとも言えるのだが)、前2作に比べると人気や評価は一歩劣る。
キャメロンの離脱、『T2』でジョンを演じたエドワード・ファーロングは大人の事情で続投出来なくなり、サラ・コナー役のリンダ・ハミルトンからは出演を辞退されるなど制作も順調には進まなかった。
日本では、物語の結末とキャッチコピーがかけ離れていたことに対する不満も大きかったようだ。
これ以降、ターミネーターシリーズは次々と展開こそされているが、最高傑作の2を超えるどころか次第に評価や興行収入が芳しくない作品でしかなくなっていく…
『ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ』
原題:Terminator: The Sarah Connor Chronicles
放送年:2008年
制作:ワーナー・ブラザーズ・テレビジョン
テレビドラマシリーズ。
『T2』の続編で、『T3』とは異なる世界線。
『T2』の5年後(1999年)、コナー親子が2007年にタイムスリップして戦いに身を投じる。
少女型ターミネーターのTOK715、及びT-888が登場。
シリーズで唯一、シュワルツェネッガーの顔をしたターミネーターが登場していない。
第2期まで作られたところで未完のまま打ち切りになってしまった。この後、ターミネーターシリーズの製作権がワーナーを離れてしまったため、続編は絶望的と言ってよい状態にある。
『ターミネーター4』
原題:Terminator Salvation
製作年:2009年
監督:マックG
「審判の日」以降の近未来を舞台としており、人類と機械の全面戦争が描かれる。第1作~『T3』までの時系列に連なる続編であり、『T3』の設定を受け継いでいる。
シュワルツェネッガーは直接出演せず(当時カリフォルニア州知事だったため)、顔のCG合成によるデジタル出演にとどまった。
シリーズ最高の制作費約2億ドルがかけられたものの、興行収入は北米で約1億2500万、全世界で約3億7000万ドルとシリーズ最低を記録。現代を舞台に未来のサイボーグが戦うというそれまでのフォーマットを捨てて普通の近未来SFアクションになってしまったため、評判も悪い。
三部作として計画されていたが、大赤字を計上した制作会社の倒産と、それに伴う版権の買収により制作中止となった。
『ターミネーター:新起動/ジェニシス』
原題:Terminator Genisys
製作年:2015年
監督:アラン・テイラー
リブート作品。
近未来、人類に対して反乱を起こしたスカイネットだったが、ジョン・コナー率いる人類側の抵抗の前にとうとう敗れ去る。追い詰められたスカイネットは、ターミネーターをタイムトラベルで過去へを派遣し、ジョンの母親サラを抹殺することで彼を歴史から消してしまおうと企む。
彼女を護衛するべく、人類側からもカイル・リースが過去――1984年へと送り込まれる。しかし、そこで彼が見たものは、襲撃してきたターミネーターを返り討ちにする、女戦士・サラと老いたT-800の姿だった……。
シリーズ第二位のヒットを記録。11年ぶりにシュワルツェネッガーがターミネーター役として復帰し、老いてなお健在な姿を見せたことが話題となった。
が、あれだけ評判の悪かった『4』が可愛く見えるほどのとんでもない低評価となってしまった。
興行収入についてもアメリカ本土での興行収入はそれほどでもなかったため、新たな三部作の構想が練られていたが無期限延期となり、2017年には製作取り消しが報道された。
『ターミネーター:ニュー・フェイト』
原題:Terminator Dark Fate
製作年:2019年
監督:ティム・ミラー
配給:パラマウント映画(米国)、20世紀フォックス(日本)、テンセント・ピクチャーズ(中国)
シリーズの生みの親であるジェームズ・キャメロンが久々に製作総指揮を務める。
ターミネーターシリーズの制作権は、上記の通り様々な制作会社の間を右往左往していたが、2019年には期限切れにより晴れてキャメロンのもとへ戻ることになっており、これを受けてのシリーズ復帰となる。
当初の仮題は『ターミネーター6:フェニックス』。
『T3』以降の作品の時系列をなかったことにして、『T2』の終わりから始まる正式な続編として描かれている。
シュワルツェネッガーが『新起動』に続いて出演するほか、『T2』までサラ・コナーを演じてきたリンダ・ハミルトンもカムバックしている。
物語は2020年のメキシコから始まり、自動車工場の工員として働くダニエラ・ラモスを守るために未来からやってきた強化人間の女兵士グレースと、ダニエラ抹殺のために送り込まれた新たなターミネーターRev-9との戦いを描く。
シュワルツェネッガーの続投に加えてキャメロンやハミルトンが復帰するとあって公開前の期待は大きく、実際評論家からの評判は上々だったが、興収面では世界累計で3億ドルを切る大コケに終わってしまった(『2』以降でシリーズ最低)。一方、日本では公開後2週連続1位を獲得するなど根強い人気っぷりを見せつけた。
『ターミネーター0』
原題:Terminator Zero
制作年:2024年
アニメーション制作:ProductionI.G
「審判の日」の直後を描いたシリーズ初のアニメ作品。Netflixで2024年8月29日(シリーズにおける「審判の日」)より配信予定。
時系列
全作品(映画)を総括して考えると以下のようなものになると思われる。
上記に記した通り、1・2を神作品として見ているがゆえに、2以降の作品を認めない、もしくはそれ以降をパラレルワールドとして捉えるファンも多い。
1→→2→→→→2未公開エンド
↓ ↓
↓ ↓→T2:3-D
↓ ↓
↓ ↓→3→4
↓ ↓
↓ →ニュー・フェイト
↓
新起動/ジェニシス
関連タグ
スカイネット T-800 T-1000 T-X デデンデンデデン
MortalKombat11:有料追加コンテンツとしてニュー・フェイト準拠の姿でT-800が登場。
T1やT2での若い姿を意識したスキンもあるが、権利の問題か完全再現ではない上にCVも別人。