「貴方がジョン・コナーの保護者ですか?」
役者
※いずれもフジテレビ版での担当。
大川透(T2-3D)
概要
ターミネーターシリーズに登場する体組織が液体金属で構成された最新型ターミネーター。
将来、抵抗軍のリーダーとなるジョン・コナーを抹殺する為にスカイネットによって過去に送り込まれた。自在な変形能力と擬態能力を駆使してジョンやT-800達を追い詰める。
初登場の「ターミネーター2」では当時最先端のCG技術とロバート・パトリックの熱演により、旧型機を圧倒的に上回る性能で主人公らを追い詰める様が観客に強烈なインパクトを残した。
機能・能力
戦闘能力
奪い取った銃での射撃や白兵戦等の格闘も行うが、特筆すべき点として自由自在に変形できる能力を活かし、主に指や腕を鍵爪や剣、針に変形させて刺殺しにかかる。
いずれも痛ましい描写なので、これだけでも恐ろしく感じた視聴者は多いだろう。
また物理的なダメージを負っても元通りに再生してしまう為に、銃撃や打撃で倒す事はほぼ不可能である。
基本的な外観は普通の成人男性の体格を取っており、一見大男の骨格を持つT-800と比べればあまり強そうに見えない。しかし、T-1000のパワーは常人を優に超えており、更に液状化能力によるトリッキーな戦闘も相まって戦闘能力はT-800を凌駕する。
走力も尋常では無く、相当なスピードを出している自動車にも余裕で追いついている事から、時速5~60Km位で走れるようでスピード面でもT-800を上回っている。
変装・変化
自身と同じサイズならば、どんな人物にも姿を変える事が出来る点が挙げられる。
体格は勿論の事、T-800と同じく声帯模写も可能である。更にコピーした人物はほぼ必ず殺す為に隠密性が高い。但し、変化できるのは剣等の構造の単純な物に限られ、爆弾や自動車等の構造が複雑な物、サイズが違いすぎるものには変わる事が出来ない点がある。
(このデメリットは、劇中でT-800の口から語られている。)
また、対象に何等かの形で一度触れる必要がある上、対象人物の記憶・知識・性格まではコピーをする事が出来ない点もある。
硬度も液状から金属そのものまで自在に変化が可能であり、追跡や侵入時には、僅かな隙間さえあれば液化して侵入が出来る為、標的を何処までも追跡する事が出来る。
知能レベルも高く、ジョンの写真を見て「可愛い子だ」とお世辞を言ったり、白バイ警官には「良いバイクに乗ってるな」と軽口を叩いたり、最終決戦にて後一歩の所でライフルの弾が尽きたサラ・コナーに向かって指を振って愚弄するシーンが有名である。
擬態した人物及び被害者達
「T2」の作中で擬態した人物・物体
- 警官
- タイムトラベル直後に様子を見に来た警官の服装をコピー。この姿を基本形態とした。
- ジャネル・ヴォイト:ジョンの養母
- 演者:ジェニット・ゴールドスタイン 吹き替え:相沢恵子等
- 精神病院の床
- ルイス(精神病院の警備員)
- 白バイ警官(ヘルメットを含む。)
- サラ・コナー
- 演者:レスリー・ハミルトン 吹き替え:吉田理保子等
- トッド:ジョンの養父(上記のジャネルの夫。)
- 演者:ザンダー・バークレー 吹き替え:千田光男等
- ジョンが自宅に電話した際にジャネルに擬態し居場所を尋ねる最中に、割り込んできたので剣で刺殺。口封じの意味合いが強いと思われるが、どう見てもイラッときて殺っちゃった様にしか見えない。
- ヘリコプターの操縦士
- 劇中では高所を飛んでいたにもかかわらずT-1000が乗り込み、それに驚いているとT-1000が「降りるんだ」と勧告するとその通りにヘリから飛び降りた。それ以後は登場し無いがノベライズによるとそのまま転落死してしまったらしい。もっとも自ら降りなければ殺されていただけだろうが。この形態の際、よく見るとヘリの操縦とサブマシンガンによる銃撃の両方を同時にこなすために腕を4本に増殖させている。
- タンクローリーの運ちゃん
- 墜落したヘリから出てきたT-1000を案じて声をかけたら問答無用で刺殺される。とばっちりにも程がある。タンクローリーを奪う為だが、やっぱどう見てもイラついて刺したとしか(ry
- 二度のカーチェイスに巻き込まれたモブ達
- 恐らく、描写的に何人か死んでる。。人類殲滅兵器なので、自身の任務の妨げになると判断すれば擬態目的で無くとも容赦無く殺害している。但し、上記の様に例外はある。
アトラクション「ターミネーター2:3D」で擬態した人物・物体
- スカイネットのロゴ
- サイバーダイン社で行われた極秘プレゼンテーションにてステージ上に登場したロゴに擬態。コナー親子が会場に侵入したことに気づくとロゴから飛び出し、客席へ蛇のように首を伸ばして標的を探した。
- 白バイ警官
- 「T2」で擬態した警官に似た姿。
- 司会者の綾小路麗華を首を絞めて投げ捨て、ステージ上のT-70の制御を乗っ取ってコナー親子を射殺しようとした。その後未来の戦場に逃げたジョンを追い、鍵爪に変形させた腕で首をはねようとするもT-800にショットガンで頭を撃ち抜かれてしまった。
「新起動/ジェニシス」の作中で擬態した人物・物体
- 警官
- カイル・リースが1984年にタイムスリップした直後に時代と日にちを言わせた警官がT-1000だった。オリジナルの警官は殺害されていると思われる。
- 衣服店の鏡
- カイルと格闘中に衣服店に入ってきた本物の警官の目を欺くために擬態。
- カイル・リース
- 演者:ジョナサン・ジャクソン
- サラ・コナーのアジトに潜入後にこの姿で本物と同時にサラの前に現れたが、見抜かれてしまう。
特殊能力
- 『新起動/ジェニシス』に登場したT-1000は、自身の体の一部を切り離して発信機にしたり、槍状に変形させて投擲する、また一度機能停止していたT-800に自分の体の液体金属を垂らして復旧させコントロール下に置く等の新機能を披露したが、『T2』のT-1000が同じ機能を持ち合わせているのかどうかは不明である。
弱点
- 攻撃を完全に無効化が出来る訳では無く、受けたダメージが大きい(ショットガンの連射等)と再生にやや時間が掛かるので隙が生まれる事と、短時間に過度の変形・再生を繰り返すと(一応、機械なので)バグが発生し、変形が不完全になる描写があった。
(これは、T2の個体がプロトタイプであるが故に、耐久試験が不十分なまま実戦投入された事が影響していると考えられる。)
特別版の未公開シーンにあり製鉄所での再生後の具体例として、
- 何気なく掴んだ手すりと結着してしまった。(黄と黒の警戒色まで反映してしまった。)
- 上半身が警官制服で、下半身が白バイ警官と不統一になってしまった。
- 床の鉄板の模様が靴に反映された。(このバグでジョンは目の前にいるサラ・コナーが擬態したT-1000であると見破った。)
それ故に重要なシーンを何故カットしたのか……
- 思考プログラムの都合か「擬態の維持を優先する」描写が散見される。具体的には銃痕をいちいち足を止めて修復させる場面等。この点においては銃撃程度は物ともせず突き進んでくるT-800に劣ると言えなくもない(生体外装の傷は自己再生する)。
- 「T2」では最期に煮えたぎる銑鉄の中に落ちて溶けてしまったと言う点から熱兵器や火炎等の高熱が有効である他、液体窒素で急激に冷却された事で固まってしまい体組織がボロボロになる描写から冷気も効果があると思われる。また、『新起動/ジェニシス』ではサラの仕掛けたトラップによって酸を掛けられ溶けてしまったと言う点から酸性の液体での攻撃も有効である。
- 犬の嗅覚は欺け無いらしく、近付いただけで警戒されたり吠えられる。(この点は旧型ターミネーターも同様である。)
- スカイネットも想定外だった事として、外伝作品では自己意識に目覚める同系列個体が続出し、リプログラミングでは無く自らの自由意志で敵であるはずの人類側に加担する個体まで出てしまった。後継機のT-1001が良い例である。
- 具体的な値段は不明だが、内骨格がある旧型ターミネーターよりも生産コストと維持費が嵩むらしい。
謎・矛盾点
カイル・リースやT-800シリーズが初登場時が全裸であった様に、ターミネーターシリーズの世界におけるタイムマシンは有機組織に覆われた物、つまりは人間等の有機生命体しか転送が出来ないとされている(T-800シリーズの皮膚は有機組織で構成している為に転移・転送可能である。)が、全身が液体金属のT-1000がタイムトラベルが出来ているのはその設定と矛盾が生じている。この事に関して制作サイドはなんら言及していない。
(但し、カイルやT-800を送ったタイムマシンとT-1000を送ったタイムマシンが同じ機能のものかどうかは劇中で明らかになっていない。)
また、全身が流動している為にCPUや動力源がどうなっているのかも明言されておらず、あらゆる意味でどうやって動いているのか謎な存在でもある。
転送時には有機組織やそれで構成された何かに覆われた状態だった、若しくはスカイネットが生物以外のものをタイムトラベルさせる事が可能な高度なタイムマシンを設計した。(前作で使われたタイムマシンはカイルを送り出した後で破壊されたらしいので新造したのはほぼ確定している。)
CPUや動力源に関しては、ナノマシンサイズの機械(場合によってはそれが複数、肉体に当たる液体金属の中にある。)と考えれば矛盾は解消は出来る。実際、全身がナノマシンで構成されたターミネーターが存在している。
また、スカイネットはターミネーターの設計に改良を続け、飲食物を経口摂取が可能となったり、人間と性交を行う等の機能をつけまくっているので、タイムマシンを改良して液体金属であるT-1000を送り込める様にする等はスカイネットにとっては容易い事なのだろう。
余談
- 「T2」では精神病棟の警備スタッフ、及び終盤でのサラ・コナーに擬態するシーンにて、片方がT-1000の擬態で同一人物が同じ画面上に出現すると言うシーンが登場する。これはSFXでは無く、警備スタッフおよびサラの演者たち両方が「双子の兄弟・姉妹がいる」と言う特殊な出自である為に実現したシーンである。具体的には
- 尚、この技法は擬態以外にもT-800の修理にて鏡写しのシーンでも利用されている。
もちろん、食べても安全なのでスタッフが指に着けて舐めていたりもした。
- T-1000に殺害・擬態されたジョンの養母・ジャネルを演じたジェニット・ゴールドスタイン氏は、監督の後作『TITANIC』では乗客の1人として出演している。また、同監督の過去作である「エイリアン2」では宇宙海兵隊の紅一点であるジェニット・バスケス軍曹役で出演している。
- 演じていたロバート・パトリック氏はT-1000に成りきろうとするあまり、次第に無口になり奥さんとは離婚の一歩手前までいってしまったと言う逸話がある。撮影現場でも無口だった為に、これを見たシュワちゃんからは「みんなと飯食いに行かないか?」と声をかけられている。因みに演者のロバート氏は機械が嫌いで、脚本を読んだ時の役の設定を見た際「何だこの設定?」と思ったと後年語っている。
- ロバート氏が心掛けた点として、「瞬きをしない」と撮影時誓っていたと言う。事実、ほとんどT-1000が映ってるシーンでは瞬きはしていない。瞬きをしたのはジョンの自宅を訪問し養父母と会話しているシーンや廊下での拳銃発砲シーンくらいである。
- また、続編となる「ターミネーター5」では複製細胞を研究している科学者として、ロバート氏の再登場が予定されていたが、続編制作自体が頓挫したためご破算になった。
- 「新起動(ジェニシス)」でT-1000を演じたイ・ビョンホン氏はT-1000の大ファンであり、役を貰えたと知った時は大いに喜んだそうである。
関連タグ
コスモリキッド - 液状化能力を持つ怪獣でこの手の能力者の始祖とも言える存在。
リルド将軍 - こちらも身体を液体金属に変える能力を有するキャラクター。ロボットとして作られた点も共通している。惑星と同化し、星その物を液体金属にする事も出来、相手を金属にするビームも放つ等、多彩な能力を持つ。
アパテー/アルギュロス/ミーモス - こちらも液体金属で出来ており、体を変形させて刃物等にする事が出来る。アルギュロスとミーモスは偽物に擬態した。金属生命体と呼称されていた。
ドラス - T-1000と同じく金属生命体であり、ある意味で同属とも言える。ちなみに初登場作の『仮面ライダーZO』は「得体の知れない怪物に追われる少年を守ろうと、バイクに乗る男が奮闘する」と、『T2』との共通点がある。