概要
警戒色とは、いわゆる他者に危険や警告を示すカラーリングのことである。
基本的に目立ちやすい色をした生物は天敵から狙われやすい傾向にあり、そうした生き物は捕食されないように周囲の景色に合わせて色を変化させる傾向にある(保護色)。
しかし、目立ちやすいことを逆手に取り、あえて目立ちやすい色で相手に警告するという例があり、これが警戒色(警告色)と呼ばれるものである。
以上の理由から、この色を持っている生物はたいてい有毒生物だったり、危険生物だったりするパターンが多い。自然社会においても、自身の身を守るために他種の生物の警戒色を真似た進化を遂げるパターンもある。スズメバチと模様が似るトラカミキリや、ベニボタルに似たニホンベニコメツキなどがその例である。
こうした生物は危険生物ではない。警戒色を持っていながら毒の類を持っていない生物なんてザラにいるのである。
なお、警戒色は生物の防護手段ではあるものの、スズメバチなどが該当するように、警戒色の生物だからといって生態系では弱者とは限らず、生態系では比較的強者に相当する生物が警戒色を持つということも充分あり得る。
また、色覚のない生物に対してもコントラストの違いで危険性を伝えられるようで、色覚がまったくないとされるカマキリで実験したところ、コントラストの高いカメムシよりもコントラストの低いカメムシを狙う傾向にあることが判明している。
警戒色とまではいかなくとも、ある生物は求婚やアピールのために、ある生物は天敵の注意を引いてメスを守るために使用したりと、派手な色は目立つからこそ生物界では重要な意味を持っている。(単純に体色が綺麗というパターンもあるにはある)
そのため、派手な色をしているからといって、その生物が危険だというわけでないことには留意されたし。
自然界だけでなく、人間社会においてもこの警戒色が応用されている。
わかりやすい例でいえば、パトランプなどの赤い色、工事現場のヘルメットや踏切・道路標識などで見られる黄色と黒の組み合わせ(警戒標識)、名古屋市営地下鉄東山線の旧車両やイギリスの鉄道車両の先頭部の黄色あたりだろうか。
警戒色を持つ生物
脊椎動物
無脊椎動物
架空の生物
余談
- トラはスズメバチなどを思わせる暖色と黒い縞模様の組み合わせだが、警戒色というより、草むらの景色に溶け込んで獲物を襲うためのものである。
- 警戒色と似たような働きをするものに、ジャノメガなどが持つ目玉模様や、モルフォチョウやタマムシが持つ構造色などがある。