概要
日本(本州中部以南)/東シナ海~熱帯の沿岸に分布。「ハゲ」「ハギ」「カワムキ」「バクチ」などの地方名がある。
特徴
全長約15~30cm前後。体は菱形で、極端に側扁する。
目の上方背部と腹部にに鋭い棘を持つ(上部の棘は背鰭の一部が、下部の棘は腹鰭が変形したもの)。敵に襲われると岩の隙間に体を潜らせ、この棘で「つっかえ棒」をして閉じこもって身を護る。棘にはもう1つの使い方があり、エソ等の敵に咥えれた際には、この棘を全力で立てて呑み込まれないようにすると共に、敵の口の中を斬りつけてダメージを与える。
敵棘の突っ張る力は非常に強く、人間でもハンマーなどで岩を砕かない限り取り出す事は出来ない。
口先が突出しており、小さいが強い歯を持つ。驚くとこの歯をすり合わせて「ギリギリギリ」と鳴く事がある。
多毛類、貝類、ウニ、甲殻類など様々な小動物を餌とし、砂中の生き物は口に水を含んで勢いよく吹きつけ、水流で巻き上げて捕食する。また、エチゼンクラゲを集団で襲う光景が観察されている。
食用
釣りの対象魚だが、おちょぼ口を活かした餌盗りの名手として有名で、本種を狙った釣りは難易度が高い釣りのひとつに数えられる(そして本種を狙わない釣りの場では、餌泥棒として嫌われる事がある)。
特に肝が絶品とされ、養殖ものの方が肝が大きくなるので、養殖ものの方が天然ものより値段が高くなる傾向にあるという一風変わった魚。
なお、肝が大きくなる季節(冬ごろ)は身が痩せ、身が美味くなる夏には肝が小さくなるとされており、旬とされる季節は、肝が大きくなる冬ごろと、身が美味くなる夏ごろの2回となる。
また、「美味しんぼ」の「黒い刺身」というエピソードでは肝が「戦前・戦中の暗めの電灯の元では黒く見えた」という描写があるが、一般的には白っぽい色の場合が多い。
ウマヅラハギほど旺盛ではないが、カワハギもエチゼンクラゲを捕食する。なので、石川県などではカワハギ漁にエチゼンクラゲを加工した餌を用いる試みもされている。
カワハギの皮剥ぎ
鱗は無く、分厚い皮膚を持つ。調理する際は先ず、この皮を剥ぎ取ってから下拵えする。「皮剥」の名はこの事からつけられた。
夏が旬で、白身の肉はフグの代用品にされるほど美味。また、肝臓も味が良いので共に賞味されるが、ソウシハギのものは毒性があるため注意。
主なカワハギの仲間
カワハギ属
- カワハギ(メイン画像)
ウマヅラハギ属
- ウマヅラハギ
モロコシハギ属
- モロコシハギ
アミメハギ属
- アミメハギ
ヒゲハギ属
- ヒゲハギ
ヨソギ属
- ヨソギ
テングカワハギ属
- テングカワハギ
ウスバハギ属
- ウスバハギ
- ソウシハギ
センウマヅラハギ属
- ハクセイハギ
- ホワイトスポットファイルフィッシュ
アオサハギ属
- アオサハギ
ノコギリハギ属
- ノコギリハギ