ルリクワガタ
るりくわがた
クワガタムシ亜科に含まれる属のひとつで、比較的古い分類群とされている。
学名は「Platycerus」。
東アジア、ヨーロッパ、アメリカに分布しており、ミヤマクワガタと同様に高標高の冷涼な山地を好む。
日本では本州から九州にかけて分布しており、北海道や南西諸島などの離島には分布していない。
いずれの種も体長20mmに満たない小型種であり、大顎は発達せず頭部は小さくなり、体型は細長くなる。
体色は金属光沢を帯びた瑠璃色、緑青色、赤銅色の色彩変異があり、名前の由来となっている。また、脚が橙色となる種も多くいる。
近縁の属として、ニセルリクワガタ属とムカシルリクワガタ属がある。
日本に分布する種はブナの新芽が出る春先に活動する。ブナの新芽を傷付けて出る汁を餌としており、樹液に集まる性質は無い。また、活動時間帯は日中であり、昼行性が強い。
上記の習性から通常のフルーツトラップやライトトラップでは採集が難しいため、朽木の蛹室内で休眠している個体を採集する方法が確実である。
成虫の寿命は1ヶ月程度と短命である。
2008年に分類が見直されたことで計10種となり、日本に分布するクワガタでは最多の属となった。
ルリクワガタ(P delicatulus)
オオルリクワガタとも呼ばれる。ブナの新芽に集まることは稀とされる。
以下の2亜種に分類される。
・原名亜種(ssp.delicatulus)
・ウンゼンルリクワガタ(ssp.unzendakensis)
雲仙岳と多良岳周辺に分布。
コルリクワガタ(P acuticollis)
日本のルリクワガタ属の中では最も個体数が多い。
前胸の後縁両端が尖るため、ルリクワガタと区別できる。
ユキグニコルリクワガタ(P albisomni)
一部地域では採集禁止となっている。
以下の2亜種に分類される。
・原名亜種(ssp.albisomni)
・チチブコルリクワガタ(ssp.chichibuensis)
秩父周辺に分布。
トウカイコルリクワガタ(P takakuwai)
以下の3亜種に分類される。
・原名亜種(ssp.takakuwai)
・キンキコルリクワガタ(ssp.akitai)
近畿地方以西の本州に分布。
・ミナミコルリクワガタ(ssp.acuticollis)
ニシコルリクワガタ(P viridicuprus)
ニシルリクワガタとも呼ばれる。
以下の2亜種に分類される。
・原名亜種(ssp.viridicuprus)
・キュウシュウコルリクワガタ(ssp.kanadai)
九州地方北部に分布。
ホソツヤルリクワガタ(P kawadai)
ニセコルリクワガタ(P sugitai)
四国地方に分布。シコクルリクワガタとも呼ばれる。
キイニセコルリクワガタ(P akitaorum)
紀伊半島に分布。キイルリクワガタとも呼ばれる。
キュウシュウニセコルリクワガタ(P urushiyamai)
九州地方北部に分布。キュウシュウルリクワガタとも呼ばれる。
タカネルリクワガタ(P sue)
愛媛県の石鎚山に分布。タカネコルリクワガタとも呼ばれる。
ヨーロッパルリクワガタ(P caraboides)
本属の基準種で、ヨーロッパコルリクワガタとも呼ばれる。青みがかる個体が多いとされる。
クワガタムシ科の分類において、最初期に記載された種でもある。
カプレアルリクワガタ(P caprea)
ヨーロッパに分布。
コーカサスルリクワガタ(P caucasicus)
コーカサス地方に分布。
オレゴンルリクワガタ(P oregonensis)
カナダ南西部、アメリカ合衆国(オレゴン州)に分布。最大体長は16mmで、本属最大となる。
ビレスケンスルリクワガタ(P virscens)
アメリカ合衆国頭部に分布。
テツイロコルリクワガタ(P tabanai)
ミヤマコルリクワガタ(P consimilis)
中国(四川省)に分布。
アカアシツヤルリクワガタ(P feminatus)
中国(四川省)に分布。脛節が赤くなる。
チョウセンコルリクワガタ(P hongwonpyoi)
朝鮮半島に分布。