概要
見出しにあるように、「宇宙、天地万有、万物」や「全人類、(人間の活動の場としての)世界」といった意味を持つ英単語であり、そこから転じて、より一般的な概念としての「領域、分野」を指す場合もある。
そのような壮大な定義に加え、(他の英単語同様に)語感のカッコよさから、下記にあるものの名称にも使われている。
その他の意味
- タロットカードの大アルカナにおける最後のアルカナ。『世界』と意味は同じ。
- アニメの『∀ガンダム』の登場人物であるハリー・オードが発した台詞。南無三(なむさん)と同じような意味らしい。元が叫び声の為、割と表記揺れが激しい(「ユニバァァァァァス!」等)。ちなみに月の民(ムーンレィス)においては比較的ポピュラーな感嘆詞であるらしく、劇場版では感極まったロラン・セアックが叫ぶシーンが有る。 ライトノベル『僕は友達が少ない』の登場人物・志熊理科も劇中でよく叫んでいるので、そちら知名度も高くなってきている。
- 映画に関する用語。詳細については、次項を参照されたい。
- ゲームの『ペルソナ3』において主人公が最後に手に入れた属性。主人公は生身で宇宙と等価値となり、どんな奇跡も奇跡ではなくなった。
- 千日前にてかつて存在していたキャバレーの店舗名。動画サイトで検索すると同店の懐かCMが出てくる。
- 青森県を中心に展開するスーパーマーケット。
- ヒュンダイの大型バスの車種名。
映画に関する用語として
概要
様々な種類がある映画シリーズの内の一種(シネマティック・ユニバースとも呼ぶ)である。一般的なシリーズもの(特に、続編によって構成されているものを指す)や、スピンオフ(外伝)・プリクエル(前日譚)とは違い、そもそも異なるシリーズものである複数の作品による一つの巨大な世界観の共有・形成であり、別々の作品のキャラクターが相互の映画に登場するクロスオーバーの発展形といえる。
ユニバースの特徴は、より広い視点による壮大な物語の構築を可能にするところにある。この手法を編み出し、最大限活用した初めての例がMCUであり、スパイダーマン・ユニバースやDCEUが続く事になった。アメコミ映画以外のジャンルでも、モンスターバース(『キングコング:髑髏島の巨神』と『GODZILLA ゴジラ』は世界観を共有しており、2019年にモスラ・ラドン・キングギドラが参戦する『ゴジラ:キング・オブ・モンスターズ』、2021年に『ゴジラVSコング』がそれぞれ公開予定である)やダーク・ユニバース(後述)、シャマラン・バース(ファンからの呼称であり、M・ナイト・シャマラン監督の映画である『アンブレイカブル』と『スプリット』が世界観を共有していることで、ユニバースとして明らかになっており、2019年に『グラス(仮題)』が公開予定である)といったものに加えて、2017年には『ジョン・ウィック』シリーズや『キングスマン』シリーズなどにもユニバース化の話が持ち上がった。なお、X-MENユニバース(「X-MEN」の映画シリーズのこと)は、ユニバースに相当する規模の映画シリーズではあるものの、あくまで『X−MEN』の本編シリーズとウルヴァリン・デッドプールらが主人公であるスピンオフ作品群から構成されている。(それ故に、厳密には「ユニバース」ではない。)これと同様のことが、『スター・ウォーズ』シリーズにもあてはまる。
こうした世界観の共有自体はアメコミの原作コミックにおいては頻繁に行われていたので、元々MARVELなど行われていた手法を映画のシリーズの一種である「ユニバース」として映画で実践したのが、MCUともいえる。これについては、クロスオーバーの余談の項に詳しい説明があるので、そちらを参照されたい。
また、当然ながら、原作・原案となった作品(群)や世界設定によっては「シネマティック・ユニバース」の概念を広めたMCUのように「同じ『ユニバース』に属している作品群なのにジャンル(スパイもの/スペース・オペラ/神話/魔法使い同士の戦い/ホラー/武侠など)は各作品によって異なる」という事は困難になり(例えば○○ユニバースの作品は怪獣ものがほとんど、××ユニバースの作品はホラーものがほとんど、など)、単なる「シリーズ」と何が違うのかが不明確になる場合も有る。
実態
シネマティック・ユニバースの先駆者であるMCUは、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』でひとつの最高点に到達した(ただし日本での興行はトップを獲ることができなかった)。
ただし、『インフィニティ・ウォー』の監督であるアンソニー・ルッソ&ジョー・ルッソ曰く「シネマティック・ユニバースにしたからといって、全てが支えられるわけではありません。」とのことであり、二人はユニバースの模倣には懐疑的である。
実際に、2017年にユニバーサル・ピクチャーズが発表したダーク・ユニバースは往年の有名モンスター映画を同一の世界観の中で続々とリメイクするシリーズ企画だったが、第一弾であるトム・クルーズ主演の『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』(キャラクターについては、彼女を参照されたい)が残念ながら振るわなかった(簡単に言うと、コケた)為に、第二弾として予定されていた『フランケンシュタインの花嫁』は主演未定のまま延期となり、更にはダーク・ユニバース自体、主要なスタッフが次々と離脱したことから、事実上の凍結状態となってしまった。(なお、『フランケンシュタインの花嫁』には、ジョニー・デップを透明人間に、ハビエル・バルデムをフランケンシュタインにするという、豪華なキャスティングまで発表されていた。)
先駆けとなったMCU自体、その製作会社であるマーベル・スタジオが最初からこれほどの成功を確実視していたわけではなく、むしろ、MCUが始まった当時の不安を関係者は常々振り返っている。マーベル・スタジオの社長であるケヴィン・ファイギでさえ、「忘れられがちだけど、『アベンジャーズ』の製作は『マイティ・ソー』や『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』の公開前から取り掛かっていました。もしもお客さんがソーを嫌ったらどうしよう?もしもロキがバカっぽく思われてしまったらどうしよう?氷漬けにされたスーパーソルジャーなんてウケなかったらどうしよう?あの時僕らは、巨大な映画製作の第一四半期にいて、止まらずに突き進むつもりでした。オール・インで挑むようなものだったかな」と振り返っており、いかに決死のギャンブル同然の覚悟で挑んでいたかがうかがえる。
とはいえ、当然デメリットもある。
作品さえ作れば一定の興行収入が見込めるようになった後も「もし『サーガ』全体で大きな役割を果たす登場人物を演じる俳優がスキャンダル・急死・急病などで出演出来なくなったらシリーズは続くのか?」というリスクは常に存在している(実際、MCUでは近年、演じていた俳優が死去したことによって物語からの退場か代役を立てるかの決断を迫られたり、俳優が不祥事で逮捕されたことで解雇され本来想定されていた物語が展開できるか危うい状態になるといった事態が頻発している)。
また、シリーズが長く続けば、その分登場人物同士の関係や背景等も複雑になり、ストーリーも逐一チェックしていかなければ劇中で言及される話題が過去のどの事例を指しているのかがわからなくなって話についていけなくなるといった事態にも陥りやすい。
こうなると、途中から新規ファンが参入する流れを妨げたり、古参のファンも話の展開についていけなくなって話を追うのをやめてしまったりといった弊害に繋がりかねず、中長期的な視点で見るとコンテンツの衰退を招いてしまうことにもなる(実際、MCUはこれが原因で近年興収が右肩下がりになっており、存続が危ぶまれる事態になっている)。
いまや、映画界の一つのトレンドとなったユニバースだが、それで成功するのは、決して楽な道ではないのである。
日本では円谷プロとTRIGGERの共同製作である『GRIDMAN_UNIVERSE』や脚本家の野木亜紀子が送るTBSドラマ『アンナチュラル・ユニバース』がこれらに該当するが、MCUや他のユニバース作品とは違って、両作とも監督や脚本をはじめ、同じスタッフで手掛けているので、厳密にはユニバース作品とは言い難い。
ただし、どちらも始まったばかりのユニバース作品なので今後の展開で異なるスタッフによって製作されれば、名実ともにユニバース作品と言えるだろう。
同名の楽曲
夏代孝明が投稿した楽曲。
ユニバース / GUMI
ユニバース / 夏代孝明(selfcover)