データ
別名:巨大蛾怪獣
幼虫
体長(初代) | 180m |
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体重(初代) | 2万t |
最高速度(初代) | 40km/h |
成虫
体長(初代) | 135m |
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翼長(初代) | 250m |
体重(初代) | 2万5千t |
概要
1961年に1作目の『モスラ』が公開された後、『ゴジラシリーズ』の常連となった。
その後、1996年に「平成モスラ」と呼ばれる三部作が新たに展開された。
特徴
(moth、蛾)の由来の通り巨大な蛾の怪獣である。
一説には、
:母性を意味するmotherの綴りを変えた物。
:巨大ゆえにマンモス=mammothから取った。
という説もある。
蝶っぽい特徴も多く有するが、あくまで蛾である。
非常に巨大なタマゴから生まれ、芋虫のような幼虫から繭を経て成虫へと変態する。
モスラの翅のデザインは東宝特撮怪獣のデザインの中でも傑作と名高い。
他の東宝特撮怪獣と異なり、基本的に性格は温厚。善悪の判断が曖昧な事とその巨体ゆえに人類の生活に支障を与えてしまう事もあるが、基本的には積極的な敵対者ではない。
当初は小美人(後述)を攫った人類に怒り狂って暴れまわったものの、ゴジラと共演し始めて以降は人類の味方としてのポジションに収まった。
実は国産怪獣映画にて、初めて東京タワーを破壊した怪獣。「モスラ」の劇中にて、東京タワーをへし折り、繭を張って羽化をした。
しかし、原作にあたる小説の「発光妖精とモスラ」では国会議事堂に繭を張ったのだが、60年安保闘争をモチーフにした部分があるので政治性が強いという理由から変更された(後に『vsモスラ』では議事堂に繭を張る)。
ちなみに鳴き声は字幕にすると「キュウー」か「クワァーッ」となる。この鳴き声は同じ東宝系列だとギラティナにも使用された。どちらも見た目やアニメ版の行動等に似ている部分がある。
なお、彼女(?)のテーマソングであり、小美人が歌っている『モスラの歌』(※)は実はインドネシア語で歌詞が構成されており、新潟大学のHPで翻訳が行われた。
(※)オリジナル版の作詞を由起こうじ(田中友幸・関沢新一・本多猪四郎)、作曲を古関裕而、歌唱をザ・ピーナッツが担当。ゴジラVSモスラ版は編曲を高田弘、日本語詞を三浦徳子、歌をコスモスが担当。平成モスラ版は編曲を渡辺俊幸、歌唱を小林恵、山口紗弥加(モスラ3のみ山口氏のパートを建みさと氏が担当)が担当。ゴジラ×モスラ×メカゴジラ版は編曲は大島ミチル、歌は大塚ちひろ、長澤まさみが担当。
地球最大の決戦版では「とんでこいモスラ」の題で日本語詞を追加。作詞を由起こうじ、編曲を筒井広志、歌を松村さち子が担当している。
卵
異常に巨大な卵。昆虫系なのにむしろ爬虫類や鳥類のものに近い。
インファント島の奥深くに安置されていた。
『モスラ対ゴジラ(1964)』では静浦の海岸に流れ着き、人類が金儲けに利用したばかりか、ゴジラまでも招き寄せてしまう。モスラ成虫はこの卵、そして身勝手な人類をゴジラから守るため、最後の戦いに赴くこととなった。
大切な割には台風の影響を受けやすく、地下深くに眠っているはずが台風で露出したり、海へ流れ出たりする。
ちなみに成虫と比べても巨大すぎる卵だが、『モスラ対ゴジラ(1964)』ではその矛盾を解消するため、作中で説明がなされている。モスラの卵は小さい状態で地中に産みつけられ、卵そのものが、年単位の時間をかけて大きく成長するというものである。
平成モスラ3部作では設定が異なり、実際の蛾のように尾部から産卵するのではなく、モスラの全身から溢れた光が集まって卵を形作り、ついには実体を得て巨大卵が誕生するというシーンが、第1作冒頭で描かれている。
幼虫
茶色の芋虫である。
巨大な卵から登場する幼虫。
怪獣とはいえやはり昆虫ということか、見た目は巨大な芋虫。
頭部が大きく、後ろが小さい格好からついた愛称はチョココロネで、ゴジラを見たことがない子供でも通用することがあるとか。
地面を這って移動するだけしか出来ず、移動速度が遅く、耐久力もなく、基本的に戦闘能力は低い。
しかし、口から糸を吐く能力を持っており、これは多くの敵怪獣の動きを封じている。
この糸は非常に強力で、ゴジラやラドンの怪力をもってしても引きちぎることが出来ないほど。
東宝特撮史上、これを破った怪獣はデスギドラのみ、それも力ではなく体内放射に似た技を使用していた(一応平成ゴジラも、熱線で顔に巻かれた糸を焼き飛ばしたりはしている)。
また、顎の力自体も強く、尻尾を持つ相手には積極的に噛み付く。硬い表皮を持つゴジラでさえ目に見えて痛がる程に強力だが、何故か毎回先端に噛みつくので、よく振り回された挙げ句弾き飛ばされてしまう。そして、怒った相手からの猛反撃を受けてピンチになり、親の成虫や別の怪獣が乱入してきて事なきを得るまでの流れが通例となっていた。
平成モスラの1作目でのみ、糸にエネルギー性のような攻撃属性が付与され、腹部から「プチ・レールガン」という光線を発射することも出来たが、その時の敵であったデスギドラには殆ど効果がなかった。(なお、ゴジラアイランドで似たような技をバトラに披露していたが、この技かどうかは不明)
また同作ではカメレオンのように周囲の風景に溶け込む「フェイク・リフレクション」という技も持っていた。
初登場は『モスラ(1961年)』。
以降、『モスラ対ゴジラ』『三大怪獣地球最大の決戦』などにも登場する。
実は成虫よりもこちらの幼虫の方が勝率が高い。
『三大怪獣~』では幼虫のみの登場となったが、ゴジラやラドンと共に戦い、単独ではないもののキングギドラを撃退するまでの戦果を上げている。
なお、モスラの形状・デザインは、実際の芋虫=鱗翅目の幼虫と比較すると異なる点がある。モスラの口部分は、芋虫類の頭部に当たる部分に、モスラの目は、背中の眼状紋と呼ばれる模様がある場所に、それぞれ位置している。
そのモデルは、カイコガの幼虫をベースに、様々な蝶や蛾の幼虫を合わせてデザインされたものらしい。
糸を吐いて自分の体を包んで繭になることで、成虫への変態を遂げる。
繭
ある程度成長した幼虫は糸で自分の体を包んでヒョウタン型の繭を形成し、成虫へと変態する。
基本的に何かに寄りかかる形(例:東京タワー・国会議事堂・屋久杉等)で作られる。
非常に強力で、人類側の熱線兵器で焼かれても中の幼虫には影響が全く無い。
それどころか書籍によっては熱線兵器のエネルギーを吸収利用して成虫化を促進させてしまうという記述すらある。
「モスラのたまごっち」ではおそらくこの繭のまま怪獣として変身したモスラと思われるオリジナルキャラクター・マユラが登場する。
成虫
モスラの最も有名な姿。
変体を終えると繭を破って現れる巨大蛾。
顎などに若干、幼虫の面影が見られる(実際の蝶・蛾とは異なっている)。
また、触角は蝶に近い形状で(一部の蛾に見られる櫛形ではない)、止まっている際にも羽根は畳まず、蝶のように広げている。
また、六本ある脚の形状は、昆虫類より、小鳥のそれに近い。
マッハ2(平成シリーズではマッハ5)で飛行し、強力な衝撃波を起こす。強力な羽ばたきによる風にはゴジラでさえも苦戦を強いられる。
武器はこの羽ばたきによる強風と脚による引っかき攻撃(作品によっては電撃の追加効果)、翼チョップ。また、相手の尻尾などを掴んで引きずり回すことも出来る。
『VSモスラ』では触角から超音波ビームを出し、バトラ戦のダメージ蓄積があるとはいえゴジラをガレキの下へダウンさせるというバトラのプリズム光線にも劣らない威力を見せ、バトラとの共同戦線で活躍。96年度版の親モスラも同じく触角からのビームパルサーなどでデスギドラ相手に奮戦。
『大怪獣総攻撃』では光線技の代わりに尾部から大量の針を飛ばす攻撃方法を身につけていた(→ドクガ)。
最も強力な攻撃は翅に着いた毒鱗粉を撒き散らすことだが、あまり大量に鱗粉が剥がれると飛行能力を失い、モスラ自身も死んでしまうという諸刃の剣。
唯一『VSモスラ』では鱗粉を撒いても豊富にあるのか消費を抑えたのか、最後まで温存され死にはしなかった。
VS版モスラはゴジラの熱線やバトラの光線を乱反射し毒としても作用する電磁鱗粉を2回も使用。更にゴジラをエネルギーで封印する時や隕石対策のために宇宙へ旅立つ際も燐粉によるベールに包み後方へ噴射して宇宙飛行をするなど鱗粉を多く使っている。
その他、作品によっては毒性を持っていなかったり、ジャミング効果を持っていたり、毒鱗粉が可燃性の個体もいる。
96年度版モスラの小説版によると。鱗粉は繭の時に生成され再補給が出来ないらしい。
老齢にもかかわらず、幼虫のピンチに危険を顧みず駆けつけるという設定の作品が多く、体力尽きて負けてしまうことが多い。実際に勝率を見れば幼虫より低く、特にゴジラに勝った成虫は1匹のみである(バトラとの共闘)。
大きさ
大きさは歴代で非常に個体差が激しい。
昭和モスラ(特に初代モスラ)は歴代の東宝怪獣でもトップクラスのサイズを持つ一方で、モスラ・レオの分身体やフェアリーモスラやアニメ映画に登場したモスラと思わしき「蛾」は、文字通り手の平サイズかそれ以下である。
ゴジラキラー
現在までにゴジラとの直接対決は計5回で、この内モスラが完全敗北するのはたったの1回。
その知名度と凶悪さから東宝怪獣最強と言われるゴジラに対して勝率8割という好成績っぷりで、ちなみに同シリーズにおいてはゴジラ以外の怪獣に対しては無敗である。
その存在の性格上、モスラは他の怪獣と比べて攻撃に特化していないにもかかわらず、ゴジラキラーとの呼び声も高いという。
制作陣のお気に入り故に、忖度を受けた優遇ではないかとの声も存在する。
新モスラ
平成三部作にて登場した親子。
子供はモスラ・レオと呼ばれ、シリーズ内で変身ヒーローの如く何度も姿が変化する。
原始モスラ
平成三部作の世界観における、現生のモスラ族の先祖にあたる種族。
幼虫のみ劇中に登場している。
最珠羅
詳細な設定は該当記事を参照。
モスラ(アニメ映画版)
(画像はイメージです)
『GODZILLA(アニメ映画)』の前日譚小説『怪獣黙示録』のガバラ編にてそれらしき存在が仄めかされていたが、続編の『プロジェクト・メカゴジラ』で正式に登場。
今回のモスラは南米大陸に住む原住民の守り神であり、2048年に南米に進出してきたゴジラに対して民と卵を守るため出現。ゴジラの熱線を撒き散らした鱗粉で反射してカウンター攻撃を加えたり、その電磁場を撹乱して器官の暴走を誘発させるなどの能力を用いてゴジラに手傷を負わせて撤退させたものの、自らもかなりのダメージを受けており、結果的には痛み分けで終わった。その他、傷を治す糸も吐いたり、ブラジルでの戦闘やハルオのイメージからするとモンスターバースのモスラ同様、強烈な生体発光も可能だと思われる。発光妖精の名に恥じない。
モスラの民曰く、モスラも対となる存在がいないとゴジラに勝利は出来ないといい、そしてモスラの民の頼みを受け入れた地球連合残党に自分の卵を日本へ送らせた後、自らは人間たちと共に再出現したゴジラとの最後の戦いへ赴いた。
ゴジラが他の怪獣らとは比較にならない超絶的な存在として描かれている本作においても、二頭揃えばゴジラに十分対抗できるとされ、たとえ一匹であってもゴジラを一時的に退けられるほどの力を持つなど、全怪獣の中でも格の違う文字通りの“神獣”ともいうべき扱いになっている。モスラとバトラが縄張りにしていた為、南米はゴジラの襲来まで怪獣の襲撃も少なく人間の最後の砦であった。
本編では第二章『決戦機動増殖都市』にて地球人類の末裔であるフツアの民の守り神としてモスラらしき存在が語られる。かつてのゴジラとの戦いに敗れて現在は存在しておらず、現在は卵だけが残されている。
裏設定では上記の日本に移送された卵から孵った個体が映画本編のおよそ2000年前にゴジラ・アースと戦ったが、やはり力及ばず敗れてしまい、力尽きたモスラは富士山近くに墜落し巨大な陥没孔と横穴を穿った。やがてモスラの体は朽ちて消え去り、腹に入っていた卵がその場に残され、こうして穿たれた横穴と残された卵が映画本編でのフツアの村の原型になっている。
そしてアニメ本編の最終章『星を喰う者』で、黒塗りのシルエットながら成虫の姿で登場。
卵の状態で巫女であるマイナの呼びかけに答え、ギドラとメトフィエスの精神攻撃を受けているハルオの精神世界に出現。メトフィエスが原爆投下の様子を見せるために乗せていたB-29爆撃機を粉砕し、放り出されたハルオにマイナを引き合わせてギドラ打倒のヒントを伝えさせた。
この時のシルエットはアゲハチョウのような特徴的な羽を持つ姿であり、ハルオもモスラを見て「蝶?」と誤認している。また、鳴き声はこれまでの個体と同じものが使用されている。
MOTHRA(モンスターバース)
『KOM』に登場する中国の奥地で発見された伝説の怪獣の一角。
詳細な設定は該当記事を参照。
登場作品
※『地球攻撃命令ゴジラ対ガイガン』にも、怪獣島に住む怪獣の1体として、映像を流用して登場している。また、『ゴジラVSスペースゴジラ』では、宇宙を航行する場面が映し出された。
パロディ・オマージュ
モルガ・ゴジュラス・サラマンダーのデザインは『三大怪獣地球最大の決戦』の影響を受けており、モルガはモスラ、サラマンダーはラドン、ゴジュラスはゴジラをモチーフにしているとされる。
『デジタルモンスターVer.5』で登場。
公式絵ではどう見ても蜂のデジモンだが、ドット絵は『モスラのたまごっち』に登場するモスラのドットに非常に酷似しており、一説ではゴジラをテーマとしたたまごっちのドットとして使われる予定だったものを流用したのではと言われている。
アニメ版『星のカービィ』の第74話『モスガバーの逆襲!』に登場する巨大なイモムシ。詳しくは該当記事を参照。
- にせしんのすけマン
『映画クレヨンしんちゃん_伝説を呼ぶブリブリ3分ポッキリ大進撃』に登場するにせウルトラマンのパロディキャラだが、羽化前に東京タワーに出現した繭のモデルはモスラの繭である。
『ポケットモンスターソード・シールド』に登場する。
ダイマックスポケモンのうち、キョダイマックスを遂げたバタフリーの事を指す。
わざわざキョダイマックスするポケモンに鱗翅目モチーフが選ばれた事からモスラのオマージュではないかとファンの間で推測されている(他にも亀ポケモンが巨大化したりと公式が怪獣映画を意識した節がある)。
これ以前には2005年に放送された『ポケットモンスターアドバンスジェネレーション』第142話「進化!その神秘と奇跡!!」にてモスラのパロディを行っており、巨大化したキャタピー系譜がモスラ役を務めている(ご丁寧に電波塔で羽化するシーンがある)。
余談
- 同じく怪獣界を代表するヒーローとしてガメラが存在する。両者は共に最初の作品では日本を襲撃する恐ろしい存在であったが、同時に特定の人間などへ愛着を示すなど後にヒロイックな存在に転じる部分が最初から存在していた。
関連イラスト
関連タグ
キングマイマイ ドラゴリー ムルロア:蛾モチーフのウルトラ怪獣。
ゼットン:→ウルトラシリーズの同じ立場のキラーキャラクター。