極彩色の大決戦
概要
平成ゴジラ第三弾の本作は、平成シリーズ中最多の観客動員数420万人と配給収入22億2000万円を記録。これは、2016年公開の『シン・ゴジラ』に抜かれるまでは、(インフレ率換算を考えなかった場合)ゴジラシリーズ中最高額であった。
前作の「vsキングギドラ」同様、ファミリー層向けのストーリーに仕上がっており、テーマは「環境破壊」と「家族愛」である。
元々「vsビオランテ」の次はモスラが主人公の映画を上映する予定だったが、「vsキングギドラ」の公開へと変更され、ゴジラのvsシリーズの流れができたため、モスラと戦う相手をゴジラに変えて企画されたという経緯があった。
下記余談も参照。
本作では、名古屋市市街地、丹沢山地、横浜みなとみらい21を中心に怪獣が襲来し、中でも最終決戦の地であるみなとみらいの戦いではオープン直前だった横浜ランドマークタワーが破壊されるシーンは迫力満点に仕上がっている。
なお、開業前にゴジラが壊すという事は縁起が悪いなどの理由で断られがちだが、「むしろ宣伝になる」という理由で許可されたという逸話も残っており、vsシリーズの平成になってから建った新しい建物を壊すという流れの一つになっている。
あらすじ
南の島インファント島で島の乱開発と嵐の影響で地中から巨大な謎の物体が地上に現れた事が衛星写真から判明した。
トレジャーハンターの藤戸拓也は元妻の雅子、島の開発業を行っている丸友観光の社員安藤と共にその物体を調査しに向かうが、それが島の原住民:小美人コスモスらの口からモスラの卵だと判明すると観光資源として丸友観光は卵を持ち出すことを決定する。
しかし、コスモスはかつてモスラと戦い、眠りについたバトルモスラ=バトラの存在を警告する。その予言は的中し、環境破壊によって封印から目を覚ましたバトラが名古屋を襲撃し、姿を晦ます。一方で卵を運送中の船はゴジラに襲われていたが、その最中に卵は孵化し、モスラの幼虫が生まれる。そんな中にバトラも加わり、乱闘になるが、ゴジラとバトラは海底火山のマグマに消える。
丸友観光はコスモスらを自社のマスコットキャラにしようと画策し、彼女らを誘拐するが、それを追ってモスラが東京へ襲来。成虫への成長を果たす。そしてバトラも成長を果たし、ゴジラも富士山の中からマグマとともに日本へ姿を現す。
地球の守護者であるモスラと自然を守るために文明を抹殺しようとするバトラ、そして破壊神ゴジラの三つ巴の戦いが横浜みなとみらいで繰り広げられる。
スタッフ
監督 | 大河原孝夫(本編)/川北紘一(特撮) |
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脚本 | 大森一樹 |
製作 | 田中友幸 |
音楽 | 伊福部昭 |
撮影 | 岸本正広(本編)/江口憲一、大根田俊光(特撮) |
編集 | 米田美保 |
配給 | 東宝 |
公開 | 1992年12月12日 |
上映時間 | 102分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
キャスト
余談
- 藤戸、手塚、安東の3名がインファント島に上陸するシーンで、1966年に公開された『奇巌城の冒険』のテーマ曲がアレンジされて使用されている(この作品では伊福部が音楽を担当していた)。
- ゴジラの鳴き声は、前作までは全体的に低めであったが、今作から再び昭和ゴジラのような高めの声に戻されている。
- 「vsキングギドラ」の頃に、「モスラを主役にしたシリーズを」という話が出て、その際に「モスラVSバガン」の脚本が執筆された。同時期に、ゴジラが新怪獣「ギガモス」と戦う内容の「ゴジラVSギガモス」という企画も立案される。
- 本作は、この企画の設定も流用している。また、ギガモス自体もバトラの原型として組み込んでいる。
- バトラと陸上自衛隊の部隊が名古屋で交戦するシーンに74式戦車などの戦車部隊のミニチュアに混じってなぜかソ連のT-34戦車の模型が登場している。(恐らく数合わせで登場した。)
関連項目
ゴジラVSキングギドラ←ゴジラVSモスラ→ゴジラVSメカゴジラ