概要
そもそもは渡辺道明によるファンタジー漫画『ハーメルンのバイオリン弾き』の各販売サイトにおける内容説明でも用いられていた用語である。
人格面で優れた勇者を主役に据えた英雄譚とは異なる無軌道かつ軽妙な物語が魅力で、明確に『主人公は勇者である』と規定されていない作品も含めれば90~00年代の主人公としてはステレオタイプの一つと言えるキャラ設定であった。
正統派の勇者に対し、「ちょっと口が悪い」とか「態度が子供のように不真面目」とか「世界の平和よりも自分の欲求を優先しがち」や「女性にだらしがない」といった特徴を持つ。
また、敗北して修行に取り組むなんてキャラでもないためか「戦闘能力自体は初期からそれなりに完成している」という場合もある。仮に一旦強敵に敗北した場合も修行して新たな技を会得するというより、執拗に弱点を攻める、人質を取る、頭脳戦に引きずり込む、実は最初の敗北からして完全な勝利を収めるための布石で、手のひらの上で踊らせていただけだったなど、あまり真っ当でない手段で勝利を収めることもしばしば。
その反面、『決めるべき時には決める』『無軌道だが譲れない一線は持っている』といった一本気は通す特徴も併せ持っている他、いざ真面目に強敵を超えようと自己研鑽を始めると恐ろしいまでの力を手にする場合もある。そういった普段の姿とのギャップもまたこういった『悪徳勇者』の魅力の一つである。
一方、本項における『悪徳勇者』とは小説家になろうやカクヨム等のWeb小説サイトで閲覧できる小説ジャンル『異世界もの』(特に追放ものや復讐もの)に登場する主人公ではない勇者の定番ネタであり、主な定義としては“勇者は世界の平和および大勢の人の命を守る責任のある立場でありながら、素行や人格に致命的な問題がある悪人同然の人物”を指す。
上記のようにかつて主人公として人気を博した『悪徳勇者』と異なり、勇者……以前に人として悪い意味で一線を画している。無論、決めるべき時は決めるなどといったシーンが描かれることはまずなく、また絶対悪や悪のカリスマといった悪役としての魅力を持たされることもなく、一貫して勇者以前にそもそも人として魅力のない人物として描写される。
似たような概念は実はTVゲームジャンルの黎明期から存在しており、ドラゴンクエストシリーズなど、一昔前のRPGにおいては“勇者と定義されている主人公”が“人のいる民家に堂々と入り込んで、家具を物色して中のアイテムを手に入れる”とか“レベル上げのためにモンスターを手当たり次第に殺戮する(“その作品内の人間社会に対して害を為す存在である”が、“実態は無害” “勇者にとってもそれ以外の人間にとっても、実はさほど脅威ではない” などの描写がされているケースが多い)” 等、傍から見ると問題がありそうなシチュエーションから連想されて生まれた “敵勢力どころか、一般市民にとってもちょっと迷惑な勇者像” が良くネタにされていた。
1997年に発売されたPlayStation用ゲーム『MOON』ではそんな勇者の負の面を主軸の1つに描いている。
それ以外にも主人公の行動が現実の人間=プレイヤーに委ねられるゲームにおいて『(その作品によっては)如何にシナリオおよび設定上は、特に問題の無い人物とされていながらも、プレイヤーの操作および選択次第ではとんだ鬼畜な主人公(勇者であるかどうか別として)が出来上がるパターン』もちらほら存在している。
悪徳勇者にありがちな特徴
他にもご存知の方は追記をお願いします。
性格・思考など
- 「『魔王を倒して世界を救う』使命を持つ」のだから、どんな言動や決断をしても許される。
- 「罪もない民から略奪をしても『必要経費(必要な犠牲)』として許される」と思い込んでいる。
- 「自分は『魔王討伐』において替えの効かない存在」だが、仲間に替えは利くからどのように扱ってもいい。
- 『成功したら自分の手柄、失敗したら自分以外(特に主人公)の責任』とする思考回路の持ち主。
- 人間以外の種族は差別や迫害等をしても許される。時には一切の悪事を働いていない人外の存在を、思い込みや遊び感覚で殺害する事態も。
- 厳密には『自分以外の種族』が差別の対象である為、悪徳勇者の種族がエルフなど人間以外の場合は、人間が差別の対象となるケースもある。
- 自分の落ち度や非を認めて反省する能力を欠く。
- そのため、自分の判断ミスや自業自得等で悪い結果になってしまっても自分の間違いは決して認めず、自分以外の他者に責任転嫁を行う。
- いわゆる縁の下の力持ちに分類される主人公は見下す傾向が強く、有能か無能かの判別は戦闘能力(特に攻撃面)だけで行う傾向が強い。
- 自業自得などで完全に自分が悪くても、『自分が頭を下げて謝るのは極めて屈辱的な行為である』と思う安いプライドの持ち主である。
- リーダーたる勇者が上述した調子であるが故に、そのパーティーもまた『勇者』の強大なブランド名の下に各個人の能力・才能だけを重視された、人の下に就けない程の極めて我が強い面子ばかりが揃っている上に、勇者の徹底したワンマン主義な方針も重なって、誤った方向(主に格下と見下す主人公への虐待)にばかりに無駄に団結するが、それぞれ腹の内では基本的に自分の損得や都合しか考えていないので、本質的な結束力は非常に脆く、場合によってはチームワークの概念すら皆無の烏合の衆状態なパーティーもある。
- 作品にもよるが、当の勇者本人は(上記の通り勇者の肩書きによって過信・慢心しきっているのか)真っ当な戦闘経験どころか鍛錬も殆どしていない為、パーティメンバーの中ではレベルやステータスが1番低い場合もある。
- 稀だが、主人公以外のメンバー全員が勇者を本気で慕っているケースもあるにはある……が、その場合は主人公以外の全員がどうしようもないクズであるか、真っ当ではない理由で勇者に狂信・心酔しているかの二者択一が大半である。
- また、ヒロイン追放or復讐モノの場合、過度の女好き勇者と勇者に食われた女性だけでパーティが構成されており、その場合ヒロインが不遇に追いやられる理由は「勇者からの誘いを断った=俺の女にならなかったor俺に抱かれなかった」に類する愚劣なケダモノ根性、残るメンバーは「勇者を誘惑したアバズレ」として嫉妬に狂う等であり、端からは見るにも堪えない者達も居る。
- 上記のようなパーティの場合『勇者に従順か否か?』でしかメンバーの有用性を理解しておらず、個人の能力や過去の経歴・実績を知らない場合があると、人事管理能力が皆無である(仮にその能力があっても、対象が望む甘言を吐いて支配下に置く口八丁でもできれば上出来で、基本的に己の性欲に忠実過ぎるために我慢する気がない輩が大半)。
- また、ヒロイン追放or復讐モノの場合、過度の女好き勇者と勇者に食われた女性だけでパーティが構成されており、その場合ヒロインが不遇に追いやられる理由は「勇者からの誘いを断った=俺の女にならなかったor俺に抱かれなかった」に類する愚劣なケダモノ根性、残るメンバーは「勇者を誘惑したアバズレ」として嫉妬に狂う等であり、端からは見るにも堪えない者達も居る。
- 更に極稀だが、基本的な言動こそ問題はないものの、胸中では『自らが理想とする勇者の有り様』に妄執し、それを仲間に押し付け強制するタイプもいる。
- このタイプの場合は『自分の理想に共感・追従できるか否か』に仲間の価値を見出だしており、例え勇者自身が認める実力者であっても、振る舞いに良からぬ要素が見つかると追放する。
- タイムリープ要素のある作品の場合、主人公と差別化を容易にするため、実年齢以上に下卑た言動(実例=10歳前後でセクハラ三昧、主人公の婚約者に横恋慕し奪おうとするetc……)を見せる。
- 礼儀(礼節)の『れ』の字及び交渉の『こ』の字を微塵も理解していないため、主人公をはじめとする他者(自分より立場が上となる王族等は除く)に頼み事や取引を行う際にも、馴れ馴れしいor上から目線である。
フランス革命からブルボン王政復古時代に生きて第一帝政時代に警察大臣を務めたサヴァリー・ロヴィゴ公は「ナポレオン善人説」を主張しているが、その最大の根拠は「自分の過ちが明らかになった際に素直に反省して、正しい諫言を行った人物を尊重した」と言う点である。
上杉謙信を評した太田資正も謙信の大きな長所として同じ点を挙げている。
日常的に命のやり取りを行う、大勢の人命が双肩にかかっている心労に晒されている人間が一般的な善悪基準からずれるのは止むを得ない(例えば一軍の将が部下の戦死の心労に耐え兼ねて退却した結果、母国と後方の非戦闘員が危険に晒される等の事態も起こり得る)部分もあるが、自分の落ち度を理解出来ない、反省しないと言うのは戦乱の時代の最前線を生きた人間の目で見ても流石に問題が有ると言う事なのだろう。
悪徳勇者の主な経歴・末路
各作品によって異なるものの、基本的に(追放ものの)悪徳勇者は以下のパターンに準じて転落していく傾向にある。
フェーズ1『主人公追放』
- プロローグにて主人公を追放する際には主人公に払う退職金は、どう考えても額が今までの主人公の貢献に見合っていない(『銅貨が数枚』や『自分達にとって価値=必要のない装備品やアイテムを押しつける』等々)か、場合によっては退職金を一銭も渡さない。特にひどい場合は主人公から武器や防具等の装備品を取り上げたり、「迷惑料」の名目でお金を奪い取る等して、ほぼ裸一貫同然に叩き出してしまう。
フェーズ2『勇者の凋落と主人公の台頭』
- 主人公を追放したのを契機に、パーティー全体の活動・運営が上手くいかなくなり、行く先々で失敗を繰り返すようになってしまう。
- それでも最初は「今日は偶々調子が悪かっただけ」「そういう時もある」等と、勇者自身やその同調者も言い訳を取り繕って見て見ぬふりをするが、その後も不調は続き、遂にはそれまで当たり前の様に上手くいっていた筈の行為さえも、ままならなくなっている現状が発覚してようやく自分達の異変に気づき、(主に常識的な思考・性格の仲間が)その原因がそれまで無能・格下扱いとして見下していた主人公が抜けた為であった事実に気づく。
- 中には主人公の代替要員として雇った主人公の同業者に、それまで主人公の代役をさせようとするも、その同業者が「○○(主人公が見せていた能力)なんて、普通の△△(主人公の職業)にできるわけないだろ!」等と驚愕・指摘され初めて、主人公の非凡ぶりに気づくパターンも多い。
- 一方、追放された主人公は自分を正しく理解してくれる仲間に巡り合うなどの心機一転により、一からやり直す過程で今まで見向きもされてこなかった自分の才能が認められ、大いに開花し瞬く間に躍進する。それに伴い、勇者は本当だったら自分が得るはずだった名声・手柄を(自業自得な理由が大半だが)主人公に取られていくようになる。
- 一方で勇者たちが濡れ衣な悪評を広めていた場合は行く先々で裏切り者や腫れ物扱いされ、引いては王国軍やギルドから指名手配されて居場所を失う。
IR(イレギュラールート)フェーズ1
- 尚、一部作品においてはこの段階で反省し再出発を決意し、主人公に謝罪した上で「お前の仲間に相応しい実力を自力で得たら再勧誘したい」「お前なんかすぐ追い越してやる、そしたらまた仲間にしてやるよ」と宣言し、苦笑気味に了承を返す和解パターンもある、この場合追放元のパーティの進退は重要ではないのでそのままフェードアウトしたり、後々のイベントでクエストを持ってくる役割になったりする。
フェーズ3『主人公との再接触、そして敵対関係へ…』
- 主人公の重要性を自覚した比較的良識ある仲間は、勇者に対し「主人公をパーティーに復帰させる必要がある」「主人公の助けがなければ○○(欲しい品物の入手、ダンジョンやクエストのクリア等の目的が達成)できない」と迫るが、それに対して勇者(とその取り巻き役の仲間)は最初こそ「あの無能が必要とほざくか!?」や「なんだって今更、あんな奴に頼らないといけないんだよ!!」と全面的に拒否するが、その後の対応については渋々了承するか、酷い場合はそのまま以下のフェーズ5へ移行するパターンもある。
↓
- 仲間からの説得の末、渋々主人公のパーティー復帰に了承した勇者は行動し出すものの、勇者自身は主人公の認識を根本的に改めていないため、いざ主人公と再会した際には「喜べ、もう一度お前を俺達のパーティーに入れてやる」と追放時の謝罪は一切行わず、上から目線そのものな態度で勧誘を行う。
- ただし、勇者自身は勧誘を行わず、仲間にそれを丸投げさせる作品もあり、この場合は勇者に同調する仲間が行う。あるいは勇者と仲間が共謀し「世界を救うためだ」「罪もない人達がどうなってもいいのか」などの正論で、主人公の正義感・良心を弱味として付け込む事態も……。
↓
- 当然、主人公からはすげなく断られたり、主人公一行はやむを得ず協力をせざるを得ない場合においても、メインヒロインを含んだ主人公の新たな仲間や理解者達から「追放の一件について、主人公にちゃんとした謝罪」または「追放時に主人公から没収したアイテムや金品の返還etc…」の要求などの、悪い意味でプライドの高い勇者とその仲間にとって、到底受け入れ難い内容の交換条件を提示されるのをきっかけから、「この俺が◯◯に対して頭を下げて詫びろだと!? そんなバカな条件呑めるものか!!」等と仲間共々逆ギレした挙げ句、口頭での交渉は決裂。更には主人公側の態度を生意気と踏んで「こうなったら腕尽くでも俺達の下に連れ戻してやる」「格下の分際で、勇者である俺に楯突いてただで済むと思うな!」などの無茶苦茶な大義名分を掲げだして、個人またはパーティー同士での抗争に発展してしまう。
↓
- しかし、そこで初めて「無能」と見下していた主人公の思わぬ強さを目の当たりにして、驚愕しながら完敗する。または、主人公の代わりに立ちはだかった主人公側の仲間から「主人公が受けた仕打ちのお返し」も兼ねて一杯食わされるなどして、散々な目に遭う形で返り討ち・撃退される、もしくは本来の目的こそ果たせたものの、代わりに勇者達にとっては筆舌し難い程の屈辱的な仕打ち(主人公に対して追放の件を土下座して謝罪する、一連の様子を見た市井の人々から侮蔑・嘲笑されるetc……)を受ける羽目になる。
IR(イレギュラールート)フェーズ2
- ……が、現在ではこのような正面切って挑む展開はまだ潔い方であり、酷いものでは主人公の近親者(パーティーの後衛メンバーや、店舗運営なら一般の女性スタッフなど自力で抵抗できない人物)を狙って拉致監禁し、身の安全を盾に主人公に脅迫を仕掛けるケースも増えてきた。曲がりなりにも勇者の肩書きや、それまでの功績と風評から勇者がそのような非道に走るなどとは誰も夢にも思わず、結果として王国も警察組織も頼れなくなった主人公は『人質の解放』を条件に、特攻同然の無茶なクエストのソロ攻略を強いられる。もちろん何のリスクもない勇者側には条件を守る理由と義理など毛頭なく、これで主人公が死ねば万々歳。生きて帰ってきても他のメンバーや店舗スタッフを嫌がらせのために皆殺しにした挙句、勇者としての信頼を悪用して主人公を犯人に仕立て上げる悪知恵を働かせてくる。命からがらクエストを達成して戻ってきた主人公は、それまで絆を深めてきた人々の罵声を浴びながら焼け落ちていく自身の店、或いは骸に変わり果てた新パーティーを呆然と見つめるしかなくなるのである。
- このパターンは上記の勇者や仲間が追放時に、主人公の信頼が損なわれるよう根回しをしていた場合など狡猾さがある際によく見られる。時には自分たちが手を出さずとも社会の敵と化した主人公や仲間は、王国やギルドが勝手に始末してくれる筋書きを立て、更にはその大罪人たる主人公一味の討伐を支援する事で王国に恩を売り、権力すら高められる漁夫の利を得てしまうケースさえある。要は世界そのものが勇者の思うがままに動かされてしまうのである。
- このルートに至ってしまうと、主人公はそれまでのお人好しであった自分の愚かさを呪い、明確に勇者パーティーに対する憎悪・殺意を抱き、以降は意図的に、勇者達(及びそれに協力したすべての人間、組織)を徹底的に追い込むべく手段を選ばなくなり、中には完全に悪へと堕ちてしまうパターンも少なくない。当然勇者及び勇者パーティーの破滅フラグは一気に飛び越えて、死亡フラグへとランクアップされる事となる。
- だが、この時の勇者の真の狙いはここにある。それまで主人公が社会に嫌われていたのは、あくまでも勇者達の流した悪評などが原因であり、実際に主人公に触れ合った人達が「コイツ言うほど悪いヤツじゃなくね?」と気づくように誤解の域を出ていない。しかし人間不信に追い込まれて勇者パーティーは疎か、人類そのものを恨むようになった主人公は、名実ともに世界に仇なす敵であり倒すべき害悪そのものとなってしまうのである。そして主人公の脅威と討伐の重要性を改めて権力者に進言すれば、勇者の社会的地位は確固たるものとなり、更に王国軍と主人公の潰し合いで王国の重要人物が戦死すれば、勇者がその穴埋めに当てがわれると、勇者からすれば邪魔な主人公の取り巻きを口封じをかねて嬲り殺すだけで、主人公を再起不能に追い込み、自身は巨万の富と確固たる地位を得られるとする、棚から牡丹餅どころか財宝が降ってくる状態になるのである。
フェーズ4『主人公との敵対・勇者の暴走』
- 『追放をきっかけに躍進しはじめた主人公』との再接触をきっかけに「この俺があんなやつに負けるなんてありえない」などの一方的且つ身勝手な私怨や「このままアイツが活躍していけば、勇者である自分の立場が危うくなる」などの的外れな疑心暗鬼が芽生え、主人公に対する感情も侮蔑から敵意・憎悪へと転じ、本格的な敵対関係となっていく。
- 主人公の活躍が周囲に認知されていくに従って、比較される形で民衆から「勇者だったら何をしたっていいって言うの?」「あの○○(主人公)って兄ちゃんの方がよっぽど勇者らしいぜ!」のように自身の素行を咎められるなどして、ますます落ちぶれていく現実を前に、自分の思い描いていたものとは違う現状への不満を主人公への逆恨みに転嫁し、『魔王討伐』や『最難関ダンジョンの攻略』といった勇者としての本来の目的さえもそっちのけにして、次第に『主人公の妨害・抹殺』に傾倒・尽力する本末転倒な行動に転じていく。
- 基本的にこの辺りで、勇者の欲深さや主人公への憎悪を利用しようと目論む第三勢力=物語の黒幕的存在(或いはその関係者)からの接触・介入が入り、甘言に唆された勇者(とその同調者)は知らず内に悪の道へと誘われてしまう。
フェーズ5『勇者パーティーの内部分裂』
- 勇者の暴走に伴い、勇者パーティーの不調ぶりや周囲からの信頼も日毎に悪化の一途を辿り、いよいよ仲間同士の仲にも亀裂が走り始め、パーティー内は非常に険悪な雰囲気になってしまう。そんなパーティーを取り巻く状況に耐えかねた比較的良識ある仲間が「アイツ(主人公)を追放さえしなかったら、こんな事態にはならなかった…」と愚痴ったり、再度主人公の復帰を提言するが、それを聞いた勇者は、主人公への恨み辛みや現状への苛立ちも合わせて「無能に肩入れした」or「自分の判断に異を唱えた」と曲解・逆上して「無能がいないと何もできないのか!?or無能がいないと何もできない奴こそが無能だ!!」と罵るor「そんな発言をするならば、お前も要らない」と絶縁宣言する。
- 勇者から絶縁状を突き付けられた仲間がそれに屈し、先の提案を撤回すれば、勇者も無理矢理気味に鞘に納めるものの、それによりその仲間に対して猜疑心が芽生え、直後に「さっきの言動の真偽を確かめる」意図として「主人公の抹殺」を命じる。
- 逆に「主人公のパーティ復帰」を尚も主張し続けたり、売り言葉に買い言葉とばかりに勇者や他の仲間達の問題点を詰ったりして、それまでの鬱憤を暴発させて喧嘩をふっかけた場合、良くて主人公と同様に追放、悪いとその場で制裁として切り捨てられる事態も……。
- 追放された場合、勇者の横暴が悪化している現状を主人公に知らせに来てくれた上で謝罪したり、そもそもこのパートの導入がその知らせに来たパーティの説明からスタートもある。
- 特に団結力の脆いパーティーであればこの時点で、勇者と対立した当事者やその様子を見ていた他の仲間(主にあまり勇者パーティーである事に拘りを持たない者)が「もうアンタには付き合いきれないよ」と勇者に愛想を尽かしたり、「アンタはもう勇者なんかじゃない!ただの悪党だ!」と暴走する勇者に恐れを懐き、自主的に離脱してしまうパターンも珍しくない。
- 逆に最初から勇者の悪行に加担していなかったり、深く関わらなかったメンバー(特に勇者達の悪行を否定した者や主人公と正式に和解した者、主人公や第三者が身の潔白を証明してくれた者、主人公と入れ替わりに勇者パーティーに加わっていた良識者)の場合は、パーティーから離脱しても罪には問われず、そのまま主人公のパーティーに移籍する、協力者として関わっていくケースも多い。
- しかし、中には主人公と再会する前にヤンデレ属性持ちの主人公の仲間(作品のヒロイン)によって秘密裏に抹殺される作品もある。理由としては「主人公を助けられず傷つけておきながら、今更近寄るのは彼が許しても自分が許さない」「主人公の嫁の座を狙うライバルを減らしておく」が主な理由。その際は証拠隠滅を徹底し、肝心の主人公は元仲間の死は疎か、謝罪の意を示してこちらに戻ろうとしていた事情すら知る由もない。
主人公「そういえば幼馴染はどうしてるかな? 小さい頃から一緒だったんだ」 |
ヒロイン「勇者パーティーにいたんでしょ? それなりにやってるんじゃない? (やっぱり仲良しだったんだ。「せめて主人公に謝らせて」とかほざいてたし、殺して正解だったわ)」 |
フェーズ6『勇者としてのタブーに手を出す』
- 主人公の妨害・抹殺に固執した末、勇者としての本分を蔑ろにした結果、その悪評は市井の人々だけでなく、勇者パーティーのパトロン(主にその国の国王など)の耳にも届くまでになり、事態を危惧したパトロン側から『勇者の資格剥奪』警告の形で釘を刺されるなど、いよいよ勇者パーティー全体の名声・地位は危ういレベルまで追い詰められてしまう。
- 進退窮まった勇者に、それまで少しずつ近づいてきていた黒幕側が接触し、「お前にとって忌々しい主人公を抹殺できる力が欲しくはないか?」等のその誘惑に乗せられるがまま勇者は最後の手段として魔族や魔王、邪神などの “本来なら自分が倒すべき悪” と手を組むなどの、勇者として絶対にしてはならない最低最悪の禁忌に手を染めてしまう(中には主人公への報復さえも二の次とし、半ば自暴自棄ないし開き直りも同然に『勇者である自分を蔑ろにするような世界なんて滅ぼしてしまえ』『金も地位も女も思うがままにしたい』等と、勇者が懐いてはならないような歪んだ私利私欲や、八つ当たりを顕に暴走していく勇者もいる)。
- 最大の禁忌に手を染めた勇者(パーティー)は圧倒的な力や優位な状況を手に入れて(場合によっては自分が守るべき国や世界すらも裏切り)、一時的に主人公陣営と互角以上に渡り合うまでになるが、最終的に「仲間との絆の強さ」との差が決定打となって、最終的には敗北してしまう。
IR(イレギュラールート)フェーズ3
- 希に〈勇者の資質〉を備えた人物が複数人共存する作品もあり、この場合「本来『自分が得る(はずだった)功績』を奪われた」 とする逆恨みの末に発狂、自分以外の勇者を抹殺を目論む悪徳勇者も存在する。こうなった悪徳勇者は既に理性のタガが外れてしまい、自分の功績を奪った別の勇者の殺害は疎か、その凶行を諌める仲間をも殺害する等、真正の外道に成り下がる。
フェーズ7『勇者の破滅』
- こうして起死回生を謀った策略に失敗した結果、自分が見下していた主人公は(本当だったら自分が得るはずだった『魔王討伐の手柄』等の武勲と共に)英雄や救世主の肩書と共に祖国や世界から厚く賞賛され、自分はその真逆で(前述の通り完全なる自業自得ではあるが)『祖国を裏切った売国奴』や『人類や世界を裏切った極悪人』として世間から『裏切り者』のレッテルを貼られた上で極めて嫌悪され、最終的に勇者の称号を剥奪され失脚する、または国外追放、死刑、終身刑(無期懲役)などの重い断罪が下されて破滅する。
IR(イレギュラールート)フェーズ4
- 上述のIRフェーズ2並び3のように、悪徳勇者達の行いが目にも当てられない程に悪辣だった場合、あえて魔王討伐等の勇者の本懐を達成・幸せの絶頂期の最中に復讐劇が開催される作品もある。
- 上記の悪徳勇者の場合、冒険の過程で多数の財宝を蓄える実状もあって、自他から見ても「功績と実力と財力を備えた傑物」となっているため、表には決して出さないものの、支援者ですら見下している。
- 更なるイレギュラーとしては、勇者の失態(=敗残の末の逃走、勇者の資格の喪失etc……)が支援者に露見された場合であり、こうなった悪徳勇者は「役立たずの無能」でしかない以上、支援者の手で内密に処分されるケースも。
フェーズ8『完全なる“復讐鬼”への転身』
- 勇者の地位を剥奪されたり、罪人として国外追放、あるいは投獄や処刑された(元)勇者とその仲間は基本的にそのまま物語から完全にフェードアウトしてしまうが、中には破滅して尚も懲りずに勇者への返り咲きや、主人公やその関係者への復讐を目論み暗躍を続ける者や、黒幕等の協力者の助力によって監獄から脱獄したり、人外の存在として変異・蘇生する者も少なくない。
- このフェーズに至った(元)勇者と仲間は、基本的に逃亡者の身となり、(脱獄した場合は)全世界で指名手配されている事情から、再逮捕されれば今度こそ死刑などの重い断罪は免れなくなっていたり、(国外追放された場合は)世界各国から要注意人物に指定されているため、どの国へ行っても出禁や門前払いにされる他、場合によっては私刑などの迫害を民衆達から受けるリスクも有るなど、孤立無援の状況に陥っているため、なし崩し的に敵対勢力を頼り、結果その手先同然の扱いになったり、中には尚も自分が敵対勢力の掌に踊らされているだけのピエロや操り人形である現実に気づかない、あるいは「自分が最早後戻りできない」実態を理解した上で「せめて自分の運命を狂わせた張本人である(と見做している)主人公への復讐を果たさん」とする、ある意味では哀れな存在へと成り果ててしまう。
- 中には、ここまで身を貶したせいで逆に精神的に余裕が生まれ、初めて自分のこれまでの愚行に素直に目を向けられるようになったり、主人公を(宿敵・ライバルとして)認めるだけの器量が芽生えるパターンもある。
悪徳勇者の存在意義
「どうしてこんな奴が勇者に選ばれるんだ?」
「コイツを勇者に選んだ王や神(女神)は人を見る目が節穴なのか?」
……等々の疑問符ばかりが上がり、逆に褒められる点が1つもない、悪しげなキャラ付けが多い悪徳勇者達だが、メタ的な観点からして見れば「“勇者”のビッグネームを持つ存在を差し置いて、主人公に花を持たせる」為……身も蓋もないが「主人公の格好の“かませ犬”にされる」展開を正当化させる為の措置でもある。
もし、主人公ではない勇者に1つでも美点があったら、物語において勇者または主人公の存在意義が薄れてしまい、また、本来勇者の役回りや得られるべき名声を、主人公が代わりに手にする展開が悪しく見えてしまう可能性もある為、メタ的に見ればある種の必要悪とも評価できる。
更に後述の捕捉にもあるが、勇者を任命するサイドに問題があり過ぎる(極端な例では『勇者』とは名ばかりで、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる精神で召喚・出陣させる鉄砲玉)場合もあり、端から『勇者=強さと戦果しか期待していないので、そもそも勇者個人に対する興味がない』作品も……。
ある程度説得力を持たせる作品の場合、特定のスキルや素質(〈光魔法〉や〈聖属性〉等の希少かつ勇者っぽい属性、魔王や邪神等の強大な敵を倒す為〈レベル上限無し〉や〈魔王限定の弱体化効果〉、魔王を倒せる聖剣等の〈伝説の武具を唯一装備〉できる)があり、本人が勇者に立候補すればとりあえず勇者にするパターンもあり、この場合「選ばれた」よりは「運良く希少なスキルを持ってただけの俗物」で、勇者はただの呼称でしかない。
悪徳勇者が勇者に選ばれた理由が「由緒正しい勇者の血筋だから」という理由だと、「血筋ばかりが立派で人格面が伴わなかった」という血統主義のアンチテーゼのようなキャラクターになるが、そういう作品は大抵悪徳勇者の悪行が知れ渡った頃に「悪徳勇者の遠縁で勇者の資格を持つ血筋の主人公チームに友好的で人格面も申し分ない新たなる勇者様(作品によっては女性、子供だったり)」が登場したりするので読者から「初めからこっちを勇者に選べよ」とツッコまれることが多い(恐らく倫理観よりも戦闘能力を優先して選んでしまったのだろう……)。
補足
- (1):その悪徳勇者を勇者に選んだ王や神or女神そのものが、悪徳勇者と同格あるいはそれ以上の極悪である場合(ラスボスか、黒幕か、最後まで表舞台に出ない仕掛け人)も極希にある。中には異世界の少年少女を最初から生きて帰す意図は毛頭なく、用済みになり次第処刑する王国すら普通に多く存在する(そもそも異世界の住民の強制召喚並び、拉致の手段を行使した上で、人道的な対応をする王国の方が正統派勇者以上に希少)。
- 悪徳勇者を呼び出して異世界に迷惑を被らせるのが、邪神の趣味や目的であるケースもあるので、ラスボスや黒幕にもなりやすい。
- (2):そもそも消耗品・鉄砲玉感覚で勇者を召喚・任命(時に追放も)している作品もあり、玉石混交のままに野に放っているケースもある。
- 更に質が悪いと呼び出した世界の記憶を意図的に消去し、鉄砲玉の兵として湯水の如く消費する極悪な国家も存在する。
主な悪徳勇者達
※:他にも知っていて加筆する場合は、ピクシブ百科事典に『悪徳勇者自身』か『登場作品』の個別記事がある場合のみお願いします
- でろりん:『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』序盤、「勇者っつってもニセモノだけどなぁ!」
- ※:誰かを害したのは初登場時のみ(無抵抗とはいえ元魔王軍の前歴がある元四天王の魔物とその関係者位なので大人しくなった魔物に危害を加えただけで人類に直接危害を加えたわけではない)。主人公達に倒されて暫くは仲間達と共にこそこそと廃墟から財産をパチるなどの小悪党ムーブを続けていたが、そうやって誰もいないところを徘徊していたことが幸いして最終的に世界を救う決定的な一手になり、全てが終わった後は主人公らの師匠であるマトリフによって仲間達共々真面目な勇者を"させられている"(漫画版では台詞無しのシーンのみで、これがマトリフに上前をはねられていたように見えたのが問題に思われたのか、アニメ版では盗んだ物を出させた上で「返して来い」と言われていた)。
- 天之河光輝:『ありふれた職業で世界最強』
- アリオス・オーランド:『勇者パーティーを追放されたビーストテイマー、最強種の猫耳少女と出会う』
- セイン:『経験値貯蓄でのんびり傷心旅行』
- ユージン:『「攻略本」を駆使する最強の魔法使い』
- キグラス:『最強タンクの迷宮攻略』
- ※:作中での立ち位置や振る舞いの関係で一応は悪徳勇者に部類されるが、この面子の中では比較的、同情の余地や善良な一面が高い。また、(言い方こそ素直では無かったものの)謝罪と、身の程の自覚、改心をきちんと行なって再起している。
- 金髪勇者:『Lv2からチートだった元勇者候補のまったり異世界ライフ』
- フレア・アールグランデ・ジオラル、ブレイド、ブレット:『回復術士のやり直し』
- カタギリ・リュウキ:『追放魔術教官の後宮ハーレム生活』
- 岩橋智樹:『月が導く異世界道中』
- 千堂貴久、菊地蓮司:『精霊幻想記』
- ※:両者とも元々悪人ではなかったが、正当防衛による殺人が原因で転落し、世界の裏で暗躍する怪人に言いくるめられる形で敵側に回った。そのため、悪徳勇者と看做されるかどうかは微妙だが、前者は恋愛感情の拗らせと価値観の齟齬から自身の悪性を認められないなど人間的問題を抱えている。
- ニック、コロル、アンレン、モザ:『信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!』
- 村上和人:『最強の魔物になる道を辿る俺、異世界中でざまぁを執行する』
- アヴィス、ヴィラン:『転生吸血姫と元勇者、人類を蹂躙する』
- ナッシュ・ロウ:『殺されて井戸に捨てられた聖女がチート怨霊になりました』
- レイド:『魔剣使いの元少年兵は、元敵幹部のお姉さんと一緒に生きたい』
- 桐原拓斗、小山田翔吾、安智弘:『ハズレ枠の【状態異常スキル】で最強になった俺がすべてを蹂躙するまで』
- ゲイマルク:『RanceⅩ-決戦-』
- 如月正也、大山剛、東郷蓮人:『進化の実〜知らないうちに勝ち組人生〜』
- ピガロ:『解雇された暗黒兵士(30代)のスローなセカンドライフ』
- ※:小説版のみ。パラレルワールドといってもいいコミカライズ版では別人の域で真っ当な善人なので要注意。
- ゼクト:『勇者に全部奪われた俺は勇者の母親とパーティを組みました!』
- ※:主人公追放後に主人公の重要性に気付いて反省及び改心する。
- 34人の勇者:『豚の復讐』
- エルド、クロード・ライオネル:『勇者狩りのカトル』
- アレン:『勇者パーティーを追放された白魔導師』
- 金獅子のアーサー:『くびしょい勇者』
- ケンシ:『僕の武器は攻撃力1の針しかない』
- ※:ケンシ自身は勇者パーティのメンバーの戦士でしかないが、パーティ内での発言権が最も強い上に、劇中の思考・言動は上記の悪徳勇者にも勝るとも劣らない程に身勝手かつ卑劣なので敢えて記載する。最後は魔王討伐後の国の護りを強化したい大臣によって勇者パーティから自ら進んで引き抜かれた。
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悪徳勇者の特徴を指すもの
無計画(見切り発車、行き当たりばったり):憎い相手である主人公の破滅や、魔王軍との戦いで手柄を得るのに執心する割には『二手三手先を考えていない』『情報収集や対策が全然できていない』パターンも見られる。
サイコパス:『表面上の外面が良く、内面が極めて下劣』の意味では正にこれに該当する。このタイプの悪徳は後述の得意技が最も映える。
金髪:必ずではないものの『ツンデレは金髪ツインテール』 感覚で備えている場合がある(前述の一覧ではアリオス、セイン、ユージン、キグラス、金髪勇者が該当する)
人面獣心:悪徳勇者の定番要素の一つ。『容姿こそイケメンやハンサムではあるが、心はそれを帳消しにする程に醜い』ということも珍しくない(前述の一覧ではアリオスとセイン、アレン等が該当する)。
勇者パーティー:悪徳勇者がリーダーとして率いる集団。しかし前述の通り、因果応報や自業自得により、『解散』もしくは『全滅』という末路を迎えるのが定番である。
ハーレム:色欲魔な悪徳勇者が求める要素の一つで自分が率いる冒険者パーティーも男性メンバーである主人公を追い出してハーレム(という名の黒一点)を成立させるも、女性メンバーに見限られたり悪徳勇者自身が切り捨てる等でこの要素を失う事も珍しくない。それどころか自分が嫌って追い出した男主人公はハーレム……どころかチーレムを形成しているという皮肉なことになっているケースもある。
面汚し:様々な創作作品に登場する正統派な勇者達からすれば、作中での素行で勇者の肩書に泥を塗る悪徳勇者はまさにこれである。賢者や貴族も同様に名ばかりの面汚しの存在が多数存在する。
精子脳、間男、ヤリ目:自らの勇者の地位を口実にしたり、洗脳効果のあるスキル・魔法を悪用して主人公と恋人関係にある(もしくは主人公に片思いしている)女性を強引に奪って寝取るケース。この手のジャンルの18禁作品との違いは、この悪行に手を出した悪徳勇者は勝ち逃げは赦されず、確実に相応の報いを受ける点である。
煮ても焼いても食えない:創作作品においては『改心や更生の見込みが全くない救いようがない奴』という意味合いのある語句にして悪徳勇者の定番要素の一つだが、前述のでろりんやキグラス、ゼクトのように人の道を踏み外す前に改心や更生できた悪徳勇者も一応は存在する。
悪徳勇者の得意技
顔芸:最も得意とする技(登場作品のアニメ版やコミカライズ版でそれがよく表れている)。
蟷螂の斧:悪徳勇者の作中での経歴=自分より遥かに格上の相手(主人公一行や討伐難易度が高いモンスター、魔王軍の幹部等々……)に作戦も覚悟もなく戦いを挑む(そして惨敗する)を完璧に表現した諺で、顔芸と肩を並べるレベルでの得意技とも評価できる。
略奪、暴行、侮辱、人質(脅迫)、言い訳、敵前逃亡、蜥蜴の尻尾切り(=責任転嫁)、命乞い、失禁(=恐怖失禁)、冤罪、逆恨み:顔芸程ではないがいずれも定番行為であり、どれも正統派の勇者なら絶対にしないものばかりである(一応、正統派の勇者でも成長の過程を示す演出の一環ならば、恐怖に屈して一時的に敵前逃亡や命乞いを行う流れになる可能性はある。その場合、直後に民間人の様子や過去を思い返して恐怖を振り払い、自分を信じて場を持たせた仲間の許に駆けつけるパターンが王道)。
裏切り:主人公への逆恨みからの悪堕ち化は、大きく見ると勇者の活躍を期待する世界中の住民に対する裏切り行為でもあるので。
????/????:読者の年齢層が高めの作品に限る(作品によっては倒すべき魔王や邪神の伴侶まで対象にする)。
関連ジャンル
異世界転生、異世界召喚:作品によっては悪徳勇者が転生者か召喚される場合があり、どちらも前の世界では警察や公安等が動いているかどうか疑う程、性格が悪く悪行の常習犯の確率が高い。
憑依転生:(ゲームの作品に降り立つ作品に限り)『原典では真っ当な勇者なのだが、悪漢が憑依して肉体を乗っ取ったことにより悪徳勇者と化した』というパターンもある。
復讐勇者:こちらの場合、主人公である勇者本人が復讐者になるケースであり、作品によってはゲーム作品にも採用される場合がある。
外道勇者:類義だが、アダルトゲームの名前にもなっている。
異世界もの(追放もの、復讐もの):悪徳勇者が出てくる作品の定番ジャンル
同類の悪党・悪人
注意:特定の人物・キャラクター・グループで記述すると膨大な量になってしまうため、記述する場合は『カテゴリー』単位でお願いします
悪徳警官:平和を脅かす悪から民衆を守る立場でありながら『自分の私利私欲・野心や保身の為なら正義に反する行為・決断も躊躇なく行える』点が共通している。悪徳ゆえに金さえ払えば大抵の融通は利かせてくれるので不良ではあるが悪ではない(便利な組織)扱いをされる事もある。
確信犯:『自身の考えこそ唯一無二にして、絶対的な正義である』と思い込み、傍若無人に振る舞う様は正に同類項である。("そうなるとわかっていてやった"は誤用)
鬼畜ヒーロー:悪徳勇者のヒーロー版に相当する言葉だが、やり方がエグい、戦闘方法が残虐なだけだったり、中には真っ当なヒーローとは評せないだけで、悪徳勇者のような外道ではない者もいる。