「……もう、レインは用済みだ。そう……必要とされない人間だ。
そんな存在は……消さないといけない。
そうだ……そうすればいいんだ、最初からそうすればよかったんだ…………
消してやる……」(web、書籍版)
「あの時殴られた傷の痛みが、まだ消えない…痛みだけじゃない――――…
あの時の屈辱、憎しみ、簡単に癒えるものじゃない、絶対に許さないぞ…!!
消してやる! 必ず…!! レインをこの手で……!!」(コミカライズ版)
「あの時の痛みが…いや、痛みだけじゃない…! 屈辱…憎しみ…簡単に消えるものじゃない…!
勇者であるこの僕が、あんな奴に…!?
消してやる! 必ずこの手で…! レイン・シュラウドォッ!!」(アニメ版)
プロフィール
概要
金髪の美丈夫な勇者パーティーを率いるリーダー格で、魔王を討伐した「初代勇者(※リンク先ネタバレ注意)」の子孫である。
一応、勇者の子孫の中では濃い血統の家系出身であるが、勇者の子孫の宗家であるわけではないらしく、精霊族の里に伝わる勇者の家系図にも名前が記載されていないなど、不可解な点も少なくない。
ビーストテイマーのレイン・シュラウドを仲間として採用していたが、(その半年後にあたる)魔王軍の四天王の一人、大地のギガブランドの撃破後に、彼に「君はクビだ」と言い放って追放した。
しかし、それを機に彼の役回りが地味ながらも勇者パーティーに大きな貢献を果たしていた事が発覚。彼を追放した事で戦闘でも道中の旅路でもこれまでのような順調な立ち回りが行かなくなり、パーティーの活動にも暗雲が立ち込めていくが、アリオスは頑なにその事実を受け入れようとしなかった。
魔王を倒すのに必須な装備品『宝具』の回収に必要不可欠であるレインに上から目線で依頼をするが、新たな仲間であるカナデとタニアに助力するための条件として『レイン追放の時の仕打ちの件を土下座での謝罪』を要求された事で逆上。最強種であるカナデとタニア(とビーストテイマー)に対して暴言を吐いたが、それが大事な仲間への侮辱と見做されて殴り飛ばされ、両陣営同士の対立へと発展する。
最強種と契約した力と、ビーストテイマーとしての技術を駆使したレインに敗北したことで彼に形だけの謝罪をしたが、『“使い捨てのオモチャ”の筈だったレインに殴られ、そして敗北した』こと、そして『“無能”なビーストテイマーに対して、土下座をする羽目になった』という二重の屈辱から、彼への殺意と憎悪に飲まれる。
以降、全ての媒体において「(レインを)消す/殺す!」を口癖とする程に不倶戴天の敵も同然に付け狙い、勇者としての使命よりもレインに『勝つ』こと、ひいては『破滅させる』ことへ狂気的な執念を見せ、手段を厭わず暴走していく事となる。
やがて、自身を勇者に指名した国王からも勇者としての立場に矛盾した行動を問題視され、素行矯正及び監視役として女騎士モニカが派遣されてくるも、彼女から逆に唆された事で更に暴走に歯止めが利かなくなる。遂にはレインに冤罪を着せる為だけに無関係の冒険者を複数人殺害した上に、洗脳した騎士団を手勢に従えてカナデ達を処刑しようとした壮大な凶行を謀り、それを咎めた王室関係者までも巻き添えで殺害しようとした行為が決定打となって、国王からも愛想を尽かされ、勇者の資格を剥奪した上、死刑を宣告される事となった。
辛うじて執行直前にモニカの助けで勇者パーティーのメンバーと共に救出されたものの、一転して反逆者の汚名を被りながら国中から追われる身となる。
全てを失って尚も、当初はレインへの憎悪、そして『勇者』へ返り咲く事への偏執狂を留める事なく、モニカと彼女の背後で暗躍する女魔族リースからの誘惑に翻弄されるがままに(元)勇者パーティーの破滅、そして自身の本当の転落への歩みを急速に進めていたが……
キャラクター像
性格
非常に尊大かつ傲岸不遜な性格で、何事も自らの都合の良いようにしか考えないエゴイスト。ある人物から評された『短気で浅慮』という言葉が物語る通り、少しでも思い通りに事が運ばなければ感情を剥き出しにする。
プライドも高く(当然悪い意味で)、どんな事であっても自分の非を素直に認める事は一切ないばかりか、自分の悪行や悪事を追求されても平然と方便や言い訳を述べる口達者な一面を持ち合わせ、己の過ちと向き合わない事や自らの罪から目を逸らし続ける事へ拍車をかけている。
そんな性格故に、『相手の立場になって物を考える』『目先の事だけでなくリスクや二手三手先の事も含めて考える』合理的な思考能力、『相手を思いやる優しさ』といった人情を微塵も持ち合わせておらず、迷いの森の攻略(特に自分達の最終目的である魔王討伐に必要不可欠な装備品『宝具』の入手)に必要なレインに対して、口だけの謝罪をして用が済んだらまた捨てようと目論んでいた。そして用済みになったレインを捨てた後に、また彼の助力が必要になる状況に立たされたらどうするのかを全く考えていないのが最たるもの。
名声などを欲し、名前に傷がつくことを極端に嫌っており、王族のような目上の人物や自分の素性を知らぬ者に対しては、その醜い本性を悟られぬように品行方正な勇者であるかの様に振る舞っていた。しかし国王や上流階級の者といった一部を除いて、基本的には上から目線で接している。
極めつけは侮っていた相手に牙を剥かれたり、プライドに少しでも泥を塗られる様な目に遭うなどすると、自分が受けた屈辱を倍にして相手へ返すまで、倫理観や周囲への被害、そして自分の立場を貶める可能性等のリスクを無視してまでも、手段を厭わず徹底的につけ狙おうとする執念深さを併せ持っており、作中では主にレインに対してそれがしつこく向けられている。
レインへの“憎悪”という名の執念は、常軌を逸しているレベルに根強く、彼を陥れる為の策謀を企てる時にだけ、普段の浅慮な言動からは考えられない程の権謀や頭の回転の速さ、要領の良ささえも発揮できる程。
挙げ句に、上述した個人的な復讐や、名声を得る為ならば、魔王軍と戦う為に国から与えられていた支度金(当然その資金源は民が収めた税金である)の一部を拝借して、危険なマジックアイテムを裏ルートで購入する横領行為を働いたり、私利私欲に染まった悪徳領主のバカ息子や、盗賊、人間に敵意を抱く最強種といった本来討伐・制止すべき存在さえも利用して、大勢の無辜の人々を巻き込み、犠牲にしかねない様な悪質な内容のマッチポンプを仕組む事さえも厭わない。後にこのようなマッチポンプはレインがパーティに加わる以前から(しかも旅に同行していた仲間には詳細を伝えることなく)行っていたことが判明している。
アニメ版
第1話の時点で平民の子供達に嫌われていた他、レインが物資調達した時も商店の人達が(アリオス達に対して)渋っていた場面が描かれるなど、少なくとも上流階級以下の民衆からの人望があまりない描写が見られた。性格に関してもレインとの決闘で追い詰められた際に、自らが切り捨てたにもかかわらず『仲間』というとっくに終わった関係を引き合いに命乞いを試みるなど、状況によって意見や発言を二転三転させたり、あくまでも“ビーストテイマーとしての戦術”で自身を打ち負かしただけのレインを(それ以前に自分が彼にしてきた行為は完全に棚に上げた上で)「卑劣な男」と蔑む(そもそも『武器を持っていない丸腰のレインを相手に剣を使ったアリオスこそが卑怯である』とも言える)、ホライズンの人々から魔族が街を襲撃した際に自分達勇者パーティーが我関せずに徹していた(更に言うとその魔族自体がアリオスがレインを謀殺するための計略の一つであった)ことから罵声を浴びせられた際に腹いせで食糧を無償で供出する事を拒否した露店を剣で斬りつけて破壊するなど、極めて自分本位で偏狭且つ卑小な激情家としての人物像が強調されている。
勇者としての生い立ちと歪み
勇者の子孫という事で幼少期から人格形成を無視した英才教育を受けてきた。しかし、訓練以外では国賓のように扱われた上に、その行き過ぎた教育に応えられるだけの才能を持っていた事が災いし、自分のために人々がひれ伏すのが当然という価値観が身についてしまう。
それを土台にした上で実際に『勇者』の称号を手にして人々から幾多の尊敬を受け、周囲の大人もアリオスの言動を咎めなかった事が「自分は周りと違う優れた存在」という幼児的な価値観を絶対的なものと確信した。そうして間違いを正されないまま人生を歩んだ結果、『勇者として魔王を倒す使命』さえ果たせばその過程でどんな事をしても許されるという、勇者以前のレベルで致命的な欠陥のある人間性が形成されてしまった。
その為か、魔王退治を最優先させており、目の前で魔物に襲われた人間がいたときは仕方なく助けているものの、遠くの村が襲われている事を耳にしても足を運んでまでいくつもりはない。それどころか、勇者の名を上げる為なら、本来であれば止める(倒す)べき存在と手を組んで、小さな村を巻き込んでの自作自演を謀り、勇者の立場にあぐらをかいて好き放題していた。
しかも、とある村から盗賊の討伐依頼を受けた際、アリオスは軍資金の調達と売名、証拠隠滅を目的に、盗賊から金品を略奪し、それを村人の仕業に見せかける事で盗賊達に報復で村を襲撃させ、壊滅させた後に、その盗賊を勇者パーティーが討伐するという、筆舌に尽くし難い様な内容のマッチポンプを謀り、多くの人々を犠牲にしていた事がその村の生き残りの証言によって明らかとなった。
言わずもがな、勇者の称号を剥奪された後も、かなり後の方になるまでその現実を受け入れる事は一切なく、尚も自分が『勇者』であり、いつか再起してかつての地位と栄光を取り戻す事ができると信じて疑っていなかった姿勢は、傍から見れば呆れを通り越して、痛々しささえ感じる程であった。
勇者パーティーと『仲間』
勇者パーティーを『魔王を倒すという崇高な使命を持った、選ばれた者のみが参加できるパーティー』と考えており、仲間に迎えたアッガス達3人に対しての仲間意識は辛うじて持ち合わせていた。だが前述の価値観を持ったアリオスにとって仲間とは自分の意に常に同調し、自分の為に尽くして忠実に従う事が当たり前と、本質的には手下や手駒同然に捉えている。このため、パーティーメンバーが自分と対等な立場で接してくることに苛立ちを覚え、勇者として十分な力を付けた暁にはアッガス達3人をも切り捨てる腹積もりであった。
しかし、それ以前にレインを追放した事による失敗の連続と各メンバーの性格的な問題、自身がメンバーに高圧的な態度を取り続け、レイン破滅に固執するようになってからは仲間達にも相談なしに勝手な行動を繰り返し、そして勇者パーティー自体の評判も(自分の自業自得な形で)ホライズンでの騒動を機に悪化してしまう。次第に行く先々で受ける言葉も称賛から軽蔑・罵倒の割合が増えていった事から、勇者の力を完成させる前の段階でその結束は乱れ、メンバー(特にアッガス)との間に徐々に亀裂が走ってしまう。
勇者の資格を剥奪された後は、全てを失った中で唯一残ったものが勇者パーティーの『仲間』であると、多少そのありがたみを理解しかける場面もあったが、皮肉にもその矢先にアッガスからの裏切りに遭う事となってしまった。
レインとの因縁
上述するパーティーメンバーへの不満を抱いたアリオスは、自らの鬱憤晴らしのために(そして宿の手配や野営時の見張りや食事当番、朝にメンバーを起こす係、斥候や探索、情報収集等の戦闘に関すること以外のあらゆる全てを押しつけるための)格下の冒険者を採用することを思いつき、最初から追放すること前提でレインを加えるという行動に出る。
レインの追放に関して、他のメンバーが単純に役立たず、無能(だが、実際にレインは戦闘能力はともかくサポート面で優秀かつとても貢献していた為、結局は的外れそのものであった)と見下しているに過ぎない中、アリオスの場合『端から使い捨てのオモチャ程度にしか考えていなかった』という根本的に一線を画した度し難い理由であった。しかも、これが原因で『他者を詰る』という行為を覚えてしまい、良識と倫理の欠けた性格をより悪化させてしまった。
しかし、パーティー入りしていた頃からレインがどんなになじったり、こき使ったり、暴力を受ける等しても決して心の折れない気丈な人間だった事が、アリオスの最も嫌う「自分にひれ伏さない人間」として腹立たしく感じ、ただの格下に留まらず自分の人生における邪魔者としてより強い忌避感と慢侮感を抱く事に至った。
だが、アリオスにとって最大の誤算は
- レインをこの世界の職業では弱小職に部類されるビーストテイマーという定義でしか見ておらず、彼が通常の『ビーストテイマー』とは一癖も二癖も違う相当なイレギュラーそのものなポテンシャルの持ち主であった事。
- アリオスをはじめとする勇者パーティーメンバーが『雑用』として軽視していた彼の仕事が、パーティーが活動する上で必要不可欠な役割であった事。
この2点を見抜けなかった事にあり、実際に追放した結果、彼の存在意義がパーティーにおいて如何に重要なものであったのかを、身を以て実感させられる事となった。
それでも尚もアリオスは頑なに考えを改めようとしないばかりか、レインだけでなく彼が新たに仲間に加えたカナデ、タニアら最強種といったレインに関わるもの、レインを肯定するもの、レインに味方するもの全てを嫌悪し、そして見下し、全否定するまでになる。
そして、『迷いの森』の攻略を巡る一件で再会した折に、レインに楯突かれ、勇者パーティー共々敗北し、強制的にとはいえ頭を地面について謝罪するする羽目になったのをきっかけに、レインに対する歪な優越感と慢侮感は殺意を含めたどす黒い憎悪へと変貌(冒頭の台詞はこの時「レインを抹殺する」と心に決めた際のモノローグであるが、悔しさを滲ませながらも必死にレインよりも自らが格上であると信じ込もうとしているノベライズ版に対して、コミカライズ版、アニメ版ではそれぞれレインに対する屈辱、憎悪の感情が率直に表れている)。
これ以降、勇者としての使命よりも『憎きレインを破滅させる』事を優先するという本末転倒な方向に考えが傾き出し、身勝手な私怨を晴らす事や自らの保身の為なら、魔王討伐の裏で重犯罪レベルの悪事や、本来守るべき筈の無辜の民を危険に晒すような行為を平然と繰り返す事も厭わなくなる等、暴走に拍車をかけていった。
実質自らが糸を引く事となったホライズンでの魔族騒動以降は、レインが冒険者としての評判を順調に上げつつあると同時に、民衆達が勇者である自分を引き合い(それも全ては勇者としての使命よりレインを陥れる事を優先にしたアリオス自身の撒いた種である)にしてレインを「英雄」「勇者に相応しい」等と称賛し始めた事も相まって、『自らの専売特許である《勇者》の肩書さえも取って代わられるのではないか?』と邪推を重ねるなど、その(逆)恨み、憎しみはますますエスカレートしていく。
だが、それらも元を返して見れば…
- 自らがレインを陥れるまたは自分達の売名の為に事件を引き起こす
↓
- レイン(と彼の仲間達)が尻拭いする形で解決してみせる
↓
- 救われた民衆がレインへの信用を高めていく
という形となっており、後に勇者パーティーにより策謀に秀でたある人物が加わるまでは、アリオスの仕組んだ謀は、その慢心さ故の見通しの甘さが仇となって、皮肉にもレインの名声を高めていくお膳立てになってしまうケースばかりだった。
ちなみに当のレインの方は、王都で一計謀られるまではアリオス達に対して理不尽な追放に対する怒り・悔しさこそ覚えたものの、カナデというパートナーを得てから力だけでなく「自信」をつけた事と信頼関係の大切さに気付いたことから、自らの大切な人達を直接侮辱されたり危害を加えられた場合を除いて、報復や仕返しがてらに邪魔をしようと目論むなどといった思惑は全く抱いていなかったばかりか、寧ろ不必要に彼らと関わる事は避けたがっている傾向にあった。実際迷いの森での抗争も、アリオスがレインの仲間であるカナデ、タニアを侮辱する形でレインを挑発した事が発端だった。
しかし、ジスにおける天族のイリスと共謀したマッチポンプによる騒動をきっかけに、レインの方としても、彼らを放っておくと自分だけでなく様々な人達に迷惑がかかるものと懸念し、前述のアリオスの行為から実際にそれは決して邪推ではなかった事を知るに至り、その動向を警戒するようになってしまった。
総評
一見すれば、今や小説家になろうをはじめとするWeb小説における人気ジャンル『追放もの』において定番の悪役・敵役となった『卑怯卑劣、残忍醜悪な悪徳勇者』の典型例と呼ぶべき人物である。一方でレインに対する因縁や憎悪のきっかけ、そして作中で起こした数々の所業はこの手の諸作品に登場する悪徳勇者でも一、二を争うであろう外道ぶりを見せている。
そして、後に辿った道を考えれば、悪い意味でのプライドの塊である彼を、ただの愚か者や物語序盤でフェードアウトするかませ犬として描かず、その行く末を丁寧に描いているとも言えよう。
また、彼の転落劇を客観的に評して見れば、彼が最初からレインを『使い捨てのオモチャ』等と一際侮蔑する存在に部類分けしたりせずに、他に見下している有象無象と同等の“格下”とだけ割り切って歯牙にかけず、また、追放した後や一杯食わされた後も少しでも憎しみや怒りを抑制するだけの器量を持って、不必要に突っかかって行ったりしなければ、『勇者の資格を失い、国を混乱に陥れた大犯罪者に転落する』というアリオスにとって最悪の結果に陥る事もなかったと言える。
尤も、当のアリオス本人はそれさえも「全てはレイン・シュラウドという男に関わったせいだ」と強引に責任を擦り付ける事で、己の過ちからより一層目を背ける事に繋がっている。
戦闘力
勇者として十分な力を持つ前の段階でも、変幻自在の剣術と上位魔法を両立させる高い戦闘能力を有するうえ、勇者の血筋を引いている事で成長の限界が存在しない特性「限界突破」を持っている。
レインとの初戦で敗北したのは、彼を頭から舐めきって油断していた事だけなく、勇者の力を高める伝説の装備品『宝具』が整っていない等、勇者の力がまだ未完成であるという要因もあった。
しかしその時点ですでに、最強種の猫霊族と契約したレインの一撃を食らっても倒れず、彼が使役した昆虫の毒を受けるまでは互角(アニメ版ではやや優勢)に渡り合っていた。
性格同様に執念さえあれば、その猫霊族を上回る身体能力をも発揮する。
また、憎悪の感情を源とした火事場の馬鹿力を発揮することで『自分の体に巻き付いて拘束する頑丈なワイヤーを強引に引きちぎる』といった芸当も可能である。
魔法
- ギガボルト
雷撃魔法。勇者にしか使えない魔法であるが、破壊力は相当なもののようで、最強種の竜族の魔力を得たレインの攻撃魔法をもってしてようやく相殺できる威力を持つ。リバーエンドで起きたスタンピードの魔物数体を消し炭に変え、とある事件で襲撃してきたランクBの冒険者20人と騎士50人を一撃で沈黙させたことから、集団戦にも活用できる高い汎用性を持つ。
また、自爆覚悟で放てばレインの『物質創造』で造り上げた土の壁を破壊してダメージを与える程の威力を持った。
- ルナティックボルト
上級魔法。天から極大の雷が雨霰のように降り注いでいく。威力も魔力の群れを吹き飛ばすほど。
- グレイブ(仮)
アニメ版でアリオスがレインとの一騎打ちで披露した土属性の攻撃魔法(仮名は某RPGの攻撃魔法から拝借)。
攻撃対象の足元に展開した魔法陣から岩の槍を発生させて攻撃する。
連発も可能なようで、レインを追い詰めるように連続使用した。
- エアスラスト(仮)
こちらもアニメ版でアリオスがレインとの一騎打ちで披露した風属性の攻撃魔法(仮名は某RPGの攻撃魔法から拝借)。
敵に向かって無数のカマイタチのような突風を飛ばして攻撃する。
装備
武器
- 上物の剣(仮)
アリオスが使用している鍔が刀のように丸い剣。
勇者パーティーに所属していた頃のレインが『クリスダガー』という質の良さそうな武器を使用していたことから察するに、アリオスの使用するこの剣も同等以上の性能と思われる。
防具
- 真実の盾
魔王を討伐する上で不可欠な装備品『宝具』の一つ。
詳しいデザインは不明だったが、アニメ版では『紺色の西洋盾をベースに一対の翼をはじめとする金色の装飾がされたもの』であるのが判明した。
レイン達の協力で入手には成功しており、現在(コミカライズ版)はアリオスが所有している。ただし、戦闘では今の所使用されていない。
- 天の涙
魔王を討伐する上で不可欠な装備品『宝具』の一つである不思議な力の込められた指輪。
連載当初は『天の指輪』であったが、後にこの名前に改名されている(書籍版では『天の指輪』表記)。
ホライズンを追われるように去った後、訪れた南大陸の辺境の山奥の祠にイリスを封印する為に奉じられていたが、アリオスはこれを入手する為に祠を破壊した事で封印されていたイリスを解放してしまった。
『真実の盾』『天の涙』共に、ノベライズ版ではアリオスの勇者の資格剥奪の際に王室に没収(その後、(旧)勇者パーティーを脱獄させた際にモニカがアリオス達の装備品と一緒に奪還しようと試みるも、アルガス王の仕掛けた策で偽物を掴まされ、失敗に終わった)され、現在はどちらとも後釜で勇者となった人物が所有している。
- 転写の眼鏡
対象となる人物の姿をコピーできる魔道具で、そのためには眼鏡をかけた状態で対象となる人物を十分間目視する必要がある。
アリオスがレインに殺人の冤罪を着せるために使用した。
人間関係
勇者パーティー
勇者パーティーの一員である戦士。
独断専行に対して度々苦言を零したり、アリオスの意に沿わない(とは言え決して良心や倫理観などではなく、あくまでもアッガス個人の損得勘定に基づいて)行動・言動をとる事も少なくない事からレイン程でなくともアリオスからの評価は低く、レイン追放後は必然的に雑務や汚れ役を押し付ける等、ぞんざいに扱っていく。アッガスの方も、相次ぐ失態の連続も併せて横暴な振る舞いや勝手な行動が目立ち、自身に損な役回りを押し付けてくるアリオスに不平不満や懐疑心を募らせ、事ある毎に諍いを起こすようになる。やがてその荒んだ人間関係をつけこんだ敵勢力の策略によって、両者の関係は裏切りという形で終焉する事となる。
勇者パーティーの一員である魔法使い。
(目的こそ異なるが)行き過ぎた英才教育の果てに出来上がった「歪んだ秀才」という点では共通性が高い。パーティーメンバーでは一番(悪い意味で)性格的に近いが為か、意外にも気が合い、アッガスの様に口論になったり、ミナの様に恐縮しながらも物申されるといった場面は(少なくともノベライズ版の本編中には)なかった。
勇者パーティーの一員である神官。
パーティーメンバーでは一番、アリオスの意志に従い、盲目的に見える程に彼を立てて追従しているものの、あくまでも神官としての使命を優先する彼女にとっては「アリオスの持つ『勇者』という肩書に従っている」だけであった。その実、彼の人となりは全く見ておらず、所詮は“空っぽ”の信頼関係に過ぎず、傍から見れば傀儡の様な扱いも同然だった。
厳密には勇者パーティーのメンバーではないが、度重なるアリオスの勇者らしからぬ狼藉や凶行に頭を悩ませた国王アルガス・ヴァン・ロールリーズから監視役として派遣されてきた親衛隊員の女騎士。
始めはその存在を疎ましく思っているだけであったが、彼女から「(一緒に)レインを排除しよう」と誘惑された事で急速に接近・信頼を寄せるようになる。
しかし、皮肉にもそれがきっかけにアリオスは既に外しかけていた勇者としての道から一気に逸れていく事となり、やがて…
その正体は自身と同じ初代勇者の血を受け継ぐ末裔にありながら、魔王復活に執心する魔族の一勢力「少数派」に通じているスパイであり、勇者の末裔の中でも血をその血を濃く受け継いだ存在であるアリオスを自らの勢力に引き込もうと暗躍する。
協力者
自身同様にレイン一行に強い恨みや執心を抱いている事をいい事に、危険なマジックアイテムを提供して刺客代わりに利用しようと裏で糸を引いたが、それが失敗に終わると余計な事を喋られるのを防ぐために口封じに始末しようとさえした(幸か不幸か、その前に彼が心神喪失で廃人になった(アニメ版ではマジックアイテムを介して出現・憑依した魔族共々レインの手で討ち果たされ、消滅した)為、「口を塞ぐ」必要が無くなった)。
ちなみにエドガーとは『金髪の美形ではあるが、中身はそれを帳消しにする程のケダモノ(悪漢)』という共通点があるが、悪役としてはインパクトの強い一面を持ち合わせていた為か、pixiv等に投稿されるファンアートにおいては後れを取っている。
ホライズンでの一件で評判がガタ落ちしてしまった勇者パーティーの面子を回復させる目的の為に、アリオスが利用しようと協力を持ちかけた『悪魔』と称する絶滅したと思われていた最強種“天族”の少女。
本来ならば勇者であるアリオスは彼女を制止すべき筈だが、自業自得で大きく下がった自分達の評判を取り戻す為に、あろうことか彼女を利用して自作自演を謀る事を思いつく。イリスの方も自らを解放してきたアリオスに対しては協力をしたものの、逆に利用される形で村を襲撃されてしまった。
後に王都にて引き起こしたレイン失脚を謀った陰謀が破算となった事から自棄を起こしたアリオスがレインと王女のサーリャを殺そうとした際には、アリオスへの意趣返し(とレインへの義理返し)も兼ねて遠方から攻撃魔法アリオスを無力化し、捕縛させるアシストを行った。
その後、彼女がレインと契約して仲間に加わった事で、アリオスとは完全に敵対関係となった。
モニカの真の主人であり、勇者の資格を剥奪された後、(web版における)現時点でアリオスの最大の協力者である魔族の女性。
自らを「人間と魔族の融和を望む穏健派」と自称しつつ、言葉巧みにアリオス達と手を結ぶ事に成功するが、その真の目的はアリオスが倒すべき魔王の復活を目論み、その為にアリオスを闇に堕として利用しようと企んでいる。
レイン一行
元勇者パーティーの一員であったビーストテイマーで、アリオスにとっては因縁の相手にして絶対に相容れる事のない不倶戴天の敵。
端から使い捨てのはけ口としてパーティー入りさせ、それも飽きた事を理由に追放したが、迷いの森の一件で彼に本格的に殺意と憎悪を抱く様になり、以降勇者としての使命もそっちのけに彼を破滅させる事を第一に優先して考えるまでになる。
大地の禊においてレインに2度目の敗北を喫した後は、資格剥奪によって名実共に勇者としての地位や誇りも失った事から、現実から目を背けるように更にその憎しみや殺意を膨らませ、その執念は最早”狂気”と称しても過言でない域に達するまでになる。
それぞれレインが勇者パーティー追放後に契約した猫霊族と竜族の少女達。
自分達がレインに酷い仕打ちをした挙句、追放した事を知っている事からとても嫌悪されており、レインに(利用する目的で)協力を要請する際には、彼女達からケジメとして土下座を要求されるが他の勇者パーティーメンバー共々逆上し、彼女達を散々侮蔑する上述の暴言を吐いた為に、レインの逆鱗に触れて殴り飛ばされ、両パーティーの全面衝突へと発展する。
ちなみに勇者一行とレイン一行の対決では、タニアはアリオスと戦いたがっていたが、『アリオスは主人であるレインの因縁の相手』という事でレインに譲った。また、大地の禊における二度目のレイン一行と勇者一行との戦いではミナと再戦して圧勝している。
こちらはレインが迷いの森攻略後に契約した精霊族の双子姉妹。
レインが自分の依頼を受けて入手してきた『真実の盾』を受け取る際に、偶然見かけたが『自分の知らない間にまた増えたレインの仲間』ぐらいにしか思っておらず、特に気にも留めていなかった。だが、ソラとルナの方は事情(勇者パーティーがレインに酷い仕打ちをした挙句、追放した事)を知っているため、カナデとタニア同様アリオス率いる勇者パーティーに敵対心を持っている。そしてジスの村において自分の悪行を晒される形で大打撃を受けてしまう。
大地の禊における二度目のレイン一行と勇者一行との戦いではアッガス、リーンと対峙し、(主にソラが)赤子の手をひねる様に彼らと引き連れていた騎士共々圧倒した。
エドガーの奴隷として屋敷に囚われていたところをレインに救出された後に契約した神族の少女。
その幼い見た目や性格からアリオスは彼女に対して、「レイン一行の中では大した脅威でない」と侮っていたが、結果的に彼女が神族としての真の力を覚醒させた事が、レインを斃すまであと一歩のところと迫っていたアリオスの策略をご破算にさせるきっかけとなった。
ホライズンの魔族騒動の後にレインの仲間に加わった幽霊の少女。
他の仲間達同様にレインとの因縁や、自身もアリオスの陰謀に巻き込まれた事から、強い敵対心や嫌悪感も抱いている。
- リファ、サクラ、フィーニア、ライハ
いずれもアリオスが勇者の資格を剥奪され、逃亡・潜伏する事となった後にレインの仲間に加わった鬼族、呀狼族、不死鳥族、魔族の少女達。その為、勇者時代のアリオスとは対峙していない。
その他
アリオスを勇者に指名した中央、南、東大陸の三つを治める王。
基本誰に対しても横柄な態度で接するアリオスも頭が上がらないほぼ唯一の人物。
アリオスの勇者らしからぬ愚行や悪行に頭を悩ませながらも、勇者の存在の重要性を顧みて、その処遇に頭を悩ませながらも、どうにか粛正しようと思慮していたが、王都での事件が決定打となって、それまで引き起こしてきた殺人をはじめとする幾多の凶行や悪行の決定的な証拠が上がった事で、最早目溢しの余地がないと悟った結果、アリオスの勇者の資格を剥奪した上で死罪を命じる事となる。
アルガスの娘で、第三王女。
とある事情からレイン達と個人的に親しい仲であった為に冒険者殺害の冤罪で投獄したレインを救出させたり、彼の無実を晴らす為に魔装具を預けるなど、自身の企みの破綻に助力され、最終的に全ての悪事の罪状を糾弾されて引導を渡される事となったことから、強い憎しみを顕にして、レイン共々手にかけようと襲いかかろうとした。
勇者の資格を剥奪されたアリオスの後釜として、国王アルガスから新しい勇者として指名された少女。
まだ直接対面していないが、まるでアリオスのアンチテーゼの様に清廉潔白な性格の持ち主であり、レインとは協力関係にあるが故にレイン同様に決して相容れない存在であり、対面した場合、レインと同じく敵対し憎悪の対象になるであろう事は確実である。
そう読者からは予想されていたが……
前述のエドガーの悪事を白日の下に晒すため、レイン一行と共闘したホライズン支部の騎士団の女騎士。
こちらもシフォンと同じく直接対面していないが、レインと協力及び友好関係にあることから対面すればカナデ達最強種のように『憎悪すべき敵』として認識されるのは確実である。
余談
アリオスの容姿が書籍版の挿絵とコミカライズ版(アニメ版)では前者は『頭以外の全身を白色の甲冑で武装したストレートヘア』なのに対し、後者は『青色系の布製の衣服をメインに防具は胸部を覆う金属製の胸当て?のみ(髪型も前者とは異なる物)』と大きく異なっている(メイン画像のイラストはコミカライズ版及びアニメ版を模したもの)
尤も『作品媒体によって服装をはじめとする容姿がデザインとして大きく異なる』はアリオスどころか作中の登場人物の大半が該当する。
また、顔貌に関しても美形に描かれている書籍版(の挿絵)、コミカライズ版に対し、アニメ版では端麗でこそあれど、目つきの鋭さが若干強調されるなど、心の醜悪さを体現するような悪人寄りの顔つきにアレンジされている(これはアリオスに限らず、同じく美形悪役のエドガーも同様)。
しかし、2022年10月に今作のアニメ版が放送開始され、同年12月に第一期(仮)最終回を迎えた現在でも公式サイトでアリオス率いる勇者パーティーは誰一人紹介されていない。ステラといったレインに味方するサブヒロインは紹介されているのだが……。
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勇者パーティーを追放されたビーストテイマー 勇者パーティー(ビーストテイマー)
謝ったら死ぬ病:アリオス及び他の勇者パーティーメンバー全員(アッガス、リーン、ミナ)が患ってる不治の病。ミナは最終的に克服する事ができたが、アリオスの性格からして絶対に彼は克服する事はできないだろうと読者からは思われていたが………。
※以下、web版最新話における重大なネタバレを含んでいるので、web版 第687話以降を未見の方はご注意ください。
web版第290話で、自らを裏切って追手に売ろうと謀ったアッガスを粛清…
web版第438話で、モニカに嵌められたリーンが魔人化した果てにレイン達に敗れ、戦死…
そして最後まで残っていたミナもweb版第667話で、己の罪を償う形で命を落とした…
そして、3人の魂はその後、往くべき場所へと堕ちていった…
こうして(web版における)最新話の時点で(旧)勇者パーティーはアリオス以外全員死亡した事で、実質的に壊滅状態となったが、当のアリオス自身は一向に姿を見せる事なく、潜伏を続けていた……
そんなある時、別の目的の為に行動していたレインの前に、久方ぶりに現れた。
だが、その姿は……
これ以降についてはリンク先(ネタバレ注意)の項目を参照。