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「俺は……こんなところで終わる男じゃない」(書籍版8巻より)


プロフィール編集

年齢不明(外見的には20代半ば~30前後くらい)
職業戦士
一人称
CV濱野大輝

概要編集

長身でスキンヘッドが特徴の男。

リーダーである勇者アリオスが率いる勇者パーティーの中では最年長らしく、戦闘においては前衛とタンク役を務め、接近戦を得意とする。


キャラクター像編集

利己主義者編集

後述の出来事が理由で『自分にとって有利または優位な事か否か』で物事を判別する極めて打算的な性格をしており、それに基づいて行動している。故にパーティーメンバー(特にアリオス)が、どんなに窮地に追い込まれようとも、自分達の都合の良い解釈ばかりして、現実の見えていない、または目を背けているかのような判断や行動に走りがちな中、割と自分達を取り巻く状況を正しく見据えるだけの思考力や自我を持ち、重要な局面においてはプライドに惑わされる事なく建設的な決断を下す事が出来る。


かつての仲間であったレインに対しても当初は何の取り柄もない無能と軽視しており、彼を追放する際には「何もできない子供についてこられても迷惑だ」と冷たく突き放した。一方で、レインのポテンシャルが明らかになった後も頑なに彼を認めようとしないアリオス3人とは違い、追放後に迷いの森攻略が捗らなくなった状況を前に、「レインをサポート役としては使い道がある」と判断している。迷いの森の案内役として引き戻す事を提案し、レインの協力で宝具の一つ『真実の盾』が入手できた時には「報酬や待遇の改善も約束するし、今度はちゃんとした仲間として迎え入れる(Web、書籍版では『レインの追放時に彼から取り上げた装備も全て返却する』という条件を上乗せしている)」と勇者パーティーへの再加入を呼びかけるなどしていた。

しかし、それらはあくまでも自らの損得勘定と保身を優先しての事であり、タニアからレイン達が勇者パーティーの迷いの森攻略に助力する条件として『レインの勇者パーティー追放の際のレインへの非道な仕打ちに対しての土下座での謝罪』を要求された際には逆上したアリオスに続いて「そうだ! 俺達は間違った事はしていない!」と反論している。そして、件のパーティーの再加入の時も「また一緒に旅をしようじゃないか。過去のことは水に流して(アニメ版では「いつまでも昔の事に拘るなよ、レイン」という台詞に変更された)」と上から目線同然の軽々しい台詞だけで片付けようとしており、レインにとってトラウマとなった追放の際に自分達が行った冷酷な仕打ちへの罪悪感反省後悔といった意志は微塵も無かった(事実、断られた際は冷静ではあるものの、何故無碍に断られてしまったのかその理由などまるでわかっていないかのような軽々しい反応をしていた)。


またそれ以降の別の時には、勇者パーティー在籍時代のレインの「無能」と見做していた挙動の真意(有能性)…


敵に対してダメージを与えることができない上に、敵に狙われる事が多かった。

敵にダメージを与えられなかったのは、攻撃よりも味方のサポートを優先していた為であり、レインが狙われたのも敵が、レインこそがパーティーの要だと見抜いていたからではないのか?


…に気づきかけるも、すぐに「それが本当だとすれば、レインを追放した自分達は本質を見抜くことができないとんだ間抜け」であると考え、素直に認める事ができずに必死に否定しようとするなど、アリオス達程でなくとも、やはり勇者パーティーのご多分に漏れず、自分の非を素直に認める事を許さないプライドの高い一面も垣間見せていた。


また、本編開始前の時系列を描いた前日譚であるweb版限定の外伝『勇者パーティーを追放されたけど、愛犬のおかげで問題ありません』においては、アリオスの仕組んだ盗賊を使ってのマッチポンプに、自らの利益の為に積極的に協力するなど実益の為ならば法や倫理観に悖る行動も厭わない頭の黒い一面を見せていた他、本編でも同様のマッチポンプをレイン加入前から行っていた事が明らかになっている事からして、作中で描かれていたもの以上に、アリオスの影で色々とあこぎな事をしていた事がうかがい知れる。


冷静沈着な言動や無骨且つ屈強な外見に反して、自分が窮地に追いやられたり、進退窮まる状況に立たされると、見苦しく命乞いタンマを乞うことも辞さないなど、そんな部分まで自分の命を最優先に考え、徹底的に保身に走ろうとする姿勢は最早利己主義を通して、小心者とさえいえる。


戦士はどうして利己主義者になったのか編集

書籍版8巻において加筆されたアッガスの回想によると、アッガスはアリオスのように特別な血筋を引いてるわけでもミナのように特別な力があるわけでもなく、リーンのように貴族の家に生まれたわけでもない農家の出身であった。


おまけに物心ついた時から畑仕事を手伝わねばならない程、アッガスの家は貧しかった。

その理由はアッガスの父親であり、彼はレインに輪をかけたような底抜けのお人好しであり

、頼まれたら断るどころか拒否すらできない性格であった。

そんな父親の性格……もとい弱みにつけこむかの如く金を借りようとする心無い者達は後を絶たず、裕福というわけでもないのに、アッガスの父親は「困っている人がいるのなら」と次々に要求に応じてしまう。たとえ家族に「もう(金を貸すのを)やめて欲しい」と懇願されても父親は「(困っている人を)見捨てることはできない」とやはり応じてしまう。

その末に、アッガスの家が迎えた末路は莫大な借金を背負う事になり破滅……更には両親は首を吊って自殺し、兄弟は奴隷として売られるという形の家庭崩壊という最悪の結末であった。

この時、アッガスだけは悪辣な借金取りがやってくる前に他の家族を見捨てる事で何とか生き延びることができた。尚、アッガスはこの時家族を見捨てたことを「(幼い自分には)どうすることもできなかった」と回顧し、この出来事を自分の人生の中で最大の『地獄』だったと評していることから、彼にとって相当な心の傷となっていたことがうかがえる。


しかし、子供が親(大人)の助けもなく一人だけで生きることは困難であり、アッガスは数年を路上で過ごすことになり、その過程でアッガスは何度も自問自答を重ねて『自分がこうなったのは力(武力としてだけではなく、金や権力や名声etc.といったあらゆるもの)が足りなかったから』という結論にたどり着く。

そしてアッガスは『それらを得ることができれば失った物を取り戻し、それが叶わなくとも替わりの何かを得ることができるかもしれない』と考え、冒険者になる道を選んだ。

鍛錬を重ね、地道に依頼をこなす一方で、父親を反面教師とし、意味もなく人を助けることは絶対にせず、仮に助けを求められたとしても、報酬がなければ決して動かないという極端な合理的思想と損得勘定に徹底することで冒険者として着実にレベルアップしていき、大きな力を得て、勇者パーティーの一員に加わり、更なる力=(武力、財力、権力、名声)を得て、かつて自分が経験した『地獄』のような忌まわしき過去を払拭しようとしていた。


勇者パーティーへの姿勢編集

上述したとおり、基本的に自分の損得で物差しを図り行動する事に加え、当初からのアリオスの傲慢かつ身勝手な振る舞いや、勇者としてはおろか人としての道さえ踏み外す程の凶行に手を染めるようになっても、呆れたり、苦言を呈する事こそあれど、それが自らの利益や都合に差し障る場合を除いては黙認または肯定するスタンスを徹底し、本気で諌めたり粛正しようとは考えていなかった。

だが、ある程度は客観的に物事を見れるというのもあってか、ある局面ではそれぞれ合理性に欠けた性格の持ち主であるアリオス達3人の事も内心見下していた節をみせていた。


他の冒険者パーティーに所属していたならちゃっかりと立ち回れそうなものだが、生憎アリオスはそれ以上にクセのある人物であった。

さらに一度は追放したレインに対して異常な執心を向けるようになると、より一層埒外な暴走へと走っていくも、自分達を取り巻く環境を徐々に悪くしている事をまるで理解しようとしないアリオスの独断行為はアッガスの思惑さえも凌駕する程に勇者パーティーの首を締めていく形となる。


また、それまでアリオスの理不尽な怒りや汚れ役の矛先とされる格好の避雷針ともいえる存在だったレインがいなくなってしまった結果、必然的に自分がアリオスから、レインに代わってそれらを押し付けられるようになってしまうが、レインと違ってその屈辱に黙って耐えるだけの器もなかった事から、アッガスは次第にアリオスに対して明確な懐疑心や不平不満を抱くようになり、それはいつしか勇者パーティー全体の不協和音や団結力の瓦解へと繋がっていく。


やがて、名実共に追い詰められた焦りから、その保守的且つ打算的な性格が極まり、最悪なタイミングで自己保身に走ろうとした結果……


戦闘力編集

大剣を武器にしているほか、敵の攻撃を一手に引き受けて仲間の盾となる事からタンクの役割も含めている。

しかし最強種の猫霊族の身体能力の前には手も足も出ずに敗北を喫している。


  • 豪炎爆裂剣(ごうえんばつれつけん)

勇者パーティー一行とレイン達一行の対決でアッガスがカナデと戦った際に使用した秘技。

名前と作中の描写(アニメ版では刀身に炎を纏っていた)からして『鋼鉄すらも砕く炎属性の斬撃』と思われ、常人相手ならば回避不可の強烈な攻撃となるはずだが、自分より遥かに格上であるカナデには全く通用せず、(アニメ版ではギャグ描写同然に)足で弾かれて不発となってしまった。


人間関係編集

勇者パーティー編集

勇者パーティーのリーダー格。自分以外はすべてひれ伏すべき存在という価値観を持つアリオスにとって、アッガスは盾役としての「人形」と見做していた。そのうえ、彼が勇者にあるまじき暴走行為を辞さない様になると、そのツケをアッガスに押し付けることが増えていく。アッガスとしても独断でとんでもない事をしでかしては巻き添えを食らわせるアリオスの挙動に不信感を募らせていく。一方のアリオスも勇者パーティーの中でも特に反抗的なアッガスを次第に疎ましく思うようになる。そんな彼らの歪んだ関係はある人物からすれば絶好の付け入る隙となり、結果的にアッガスの破滅、アリオスを真の外道へと誘う事件へと発展していく事になった。

アッガス曰く『短気で浅慮』。


勇者パーティーの一員。

アッガス曰く『わがままで何も考えていない』。


勇者パーティーの一員。

アッガス曰く『盲目的に神を信じて自分で物事を見ない』。


アリオスの度重なる勇者の名を穢しかねない蛮行に頭を悩ませた国王アルガス・ヴァン・ロールリーズからの命令で、監視・粛正役として勇者パーティーに同伴する事となった王宮親衛隊員の騎士。

穏やかで思慮深く、優秀な人物故に(監視を付けられた事を快く思っていないアリオスは別にして)アッガスを含めた勇者パーティーのメンバーとも摩擦を起こす事なく、すんなりと馴染んだ。

だが、実は彼女には王からの命令とは別の思惑を秘めている節を見せており、これがアッガスにとって最悪な形で結実する事となった。


レイン一行編集

自分達勇者パーティーの元メンバーだったビーストテイマー。

他の三人と共に彼に役立たずや無能の烙印を押し付け追放するという冷酷な仕打ちを行ったが、それをきっかけに自分達の状況は悪化していく。

他の勇者パーティーメンバーと違い、後に彼の事を『サポートメンバーとしては使える』事を認めたり、一度は勇者パーティーへの復帰を呼びかけたりもした。だが、それらも先述したとおりアッガスの損得勘定で『利用価値がある』と見出しただけの事であり、彼に対して仲間意識や罪悪感を抱いたというわけではなかった。

当然、レインからも「好きではなかったし、むしろ、悪印象を抱いていた」と評されていた。

もしかしたらアッガスがレインを嫌うのは損得勘定や有能無能以前に、散々に自分を含めた家族に対し迷惑をかけ続けた挙句、自分と死に別れた父親と似たものをレインから感じたのかもしれない。


レインが契約した猫霊族の少女。

迷いの森の攻略の依頼では自分達がレインに酷い仕打ちをした挙句追放した事を知っていた事から敵対心を持たれている。前述の勇者パーティーとレイン達との対決ではアッガスは彼女と戦ったが、身体能力に特化している猫霊族の彼女にはまるで歯が立たず、敗北を喫した。


レインが契約した竜族の少女。

迷いの森の攻略の依頼ではカナデと同じく敵対心を持たれているだけでなく、『レインに対して行った追放時の酷い仕打ちの件での土下座の謝罪』を要求された。しかも「本当ならブレスで焼き払ってもいい」と言い切っており、アリオス達への嫌悪の感情が強い。


ソラとルナはレイン一行が自分達勇者パーティーの依頼を受ける過程で迷いの森で出会い、仲間になった精霊族の双子姉妹。ニーナとティナは自分達の知らぬ所でこれまたレインの仲間になった神族の少女と、元メイドの幽霊。

いずれもカナデやタニア同様に事情を知ってるが故に嫌悪と敵対心を持たれている。










利己主義に徹した戦士。その末路……(※ネタバレ注意)編集

※以下、web版最新話における重大なネタバレを含んでいるので、web版 第290話、書籍版8巻以降を未見の方……特にコミカライズ版勢とアニメ勢の方はご注意ください。





























































レインを追放した事を期にアリオス率いる勇者パーティーは徐々に転落し続け、更に数々の悪行が国王に知れ渡ってしまい、モニカの監視下に置かれる事となる。冒険者ランク昇格試験を受ける為にレイン達が王都にやってきたタイミングを図って、モニカとアリオスは共謀し、昇格試験中にレインに人殺しの濡れ衣を着せて投獄。さらに彼のパーティーのも捕らえ、死刑寸前まで追い込むが、予想だにしていないレインに味方をする者の介入や、ある人物の能力覚醒などの予想外の事態が重なった結果、最終的に失敗。アッガスもリーンと共にソラとルナに呆気なく倒され、勇者パーティーはレインのパーティーにまたしても惨敗を喫した。


さらに一連の策略の途中にアリオスが、アッガス達にも相談も無く無関係の冒険者パーティーを惨殺していた事で、遂に堪忍袋の緒が切れた国王アルガスの命により首謀者であるアリオスはとうとう勇者の資格剥奪と死刑を宣告され、アッガスを含むパーティー全員もまた、犯罪者として投獄される事となる。


どうにか執行直前にモニカの助けもあって脱獄に成功したものの、『勇者パーティー』の称号だけでなく、築き上げた財産も没収という形で失ったばかりか、一転して国中から追われる指名手配犯(それも捕まれば死刑は免れない重罪人)へと堕ちる事となった。


にもかかわらず、尚も事の重大さや、これから先の事を考えようとせず、あまつさえ仲間の自分達までも騙す形で共犯者にしたアリオスの独断専行ぶりにアッガスの不信感や不満は限界に達し、遂に一触即発の事態に陥りかける程、両者の仲は最悪なものとなる。


当然、アッガスは『勇者パーティー』としての価値が無くなった今のパーティーに居続けることに危険を感じつつも、このままでは逃げ場もないことを、少なくとも他の3人よりは冷静に理解していた。


そして、アリオス達がとある人里近くの洞窟に潜伏していた時、遂にアッガスは行動を起こした……


密かに近くに迫っていた王国からの追手の騎士や傭兵達に接触し、自分の減刑と引き換えに、アリオス達の居所を打ち明け、更には彼らの捕縛の手伝いをするという、少なくともこの時点では他の3人が考えもしていなかった「仲間を売る」という自己保身を図るが、モニカによってその裏切りはアリオス達に伝えられ、協力していた追手を全滅された(Web版ではアッガスと共にアリオス一行を闇討ちにかけようとしていたところを反撃を受け、書籍版では作戦の確認に向かった冒険者を一人で待っていたところをアリオス達に襲撃された)後、この裏切りに激怒したアリオス、リーン、ミナから総攻撃を受ける。


満身創痍になって混乱する中、アッガスは、妖艶に微笑むモニカの顔を見て、自分の裏切りが看過された理由と同時に、ここに至るまでのアリオスの暴走…もとい自分達勇者パーティーの転落劇の全てがモニカによる筋書きであった事を確信する。

最後の望みを賭けてアリオス達にモニカこそ自分達を陥れんとする真の邪悪であると訴えるも、既に『裏切り者』と見做された彼の言葉にアリオスは勿論、リーン、ミナも耳を傾ける事はなく、アリオスからは激しい怒り、憎しみ、そして哀しみを顕にした表情で「敵」と言い捨てられ、リーン、ミナからもかつて自分達がレインを追放した時と、同じ内容の罵声を今度は自分が浴びせられてしまう

完全に進退窮まり、絶望の中で最早なりふり構わないと言わんばかりに、必死で謝り、命乞いをするも、聞き入れられぬまま最後はアリオスの手で無慈悲に斬首された……


アリオス「さようならだ、アッガス」


「まっ……!?」


こうして、最後まで己の損得と、力、富、名声だけにこだわり続けた戦士 アッガス・ノルドは、無一文同然の状態のまま、辺境の地の奥深くで人知れず、『罪人』『裏切り者』という汚名を被りながら、仲間からの粛清の刃によって人生の幕を下ろされるという、あまりにも惨めで、皮肉極まる最期を遂げた…その後、亡骸はモニカの手で処分された。


先に裏切ったアッガスの自業自得であるとはいえ、曲がりなりにも“仲間”として認めていたメンバーからの裏切り、そしてその仲間に手をかけるという超えてはいけない線を越えた事で、アリオスの心は完全に穢れ、いよいよ闇に堕とす準備ができたと踏んだモニカは、彼を自身の本当の主に引き合わせる事となり、それを期にいよいよ(元)勇者パーティーの残る3人はモニカ…そして彼女のバックについている勢力から体の良い操り人形とされ、後戻りのできない闇へと堕ちていく事となる……







粛清されし戦士。その魂の行く末……(※ネタバレ注意)編集




その後、web版 第667話で命を落とし地獄(本作の世界観における地獄は、自分が犯した罪に関わる全員から許しを得るまで罰である責め苦=「単純に殺されること。ありとあらゆる方法で、毎日、何回も殺される」を受け、ある程度魂が消耗したら、一定期間置いて魂を回復させ、また責め苦を受ける…それを延々と繰り返す形で生前の罪の報いを受ける死後の世界となっている)へと堕ちたミナが同じく先に地獄へ堕ちていたリーンと再会、彼女の口からやはりアッガスも生前の悪行故に地獄に堕ちていたことが判明。この時は登場せず、リーン曰く、自分が地獄に堕ちたと知った当初アッガスはかなり動揺していたらしく、彼女がミナと再会した時には責め苦を受けている最中だった為、登場しなかった。


その後、web版 第800話でレインとの決戦の果てに敗死したアリオスの魂が、リースとの契約によって消滅する直前に地獄へと現れた際に、リーン、ミナと共にアッガスも現れ、自らを死に追いやったアリオスに対して「絶対に許さない」と釘を刺すという、相変わらずな態度を見せながらも、それは傍から見れば、生前互いに腹の内を隠し利用し合う歪な関係しか築けなかった彼らが、はじめて胸中を包み隠さず明かし合うまでになったことを意味していた。


その後まもなくアリオスの魂は消えてしまったものの、僅かな時間であったがアッガスをはじめとする旧勇者パーティーの仲間とアリオスは、最期の最後に本当の意味で『仲間』と呼ぶに相応しい関係を結ぶことができたのだった…



余談(※ネタバレ注意)編集

  • パーティー内で最も打算的で、自己保身と実益を第一に考え、その為ならば手段を選ばない損得勘定が働く性格が、最終的に命取りとなったものの、一方ではその性格に徹することで一度は『勇者パーティー』という名声や、それに相応する力、財産を手にすることができたことは紛れもない事実であり、彼の合理的な考えが完全に過ちだったとは言い切れない。

  • 実際、『迷いの森』攻略に行き詰まった際には『レインに頼る』という妥協案を提示した事で一先ずパーティーの目的自体は果たせたり、モニカの素性、そして自分達が彼女(とそのバックにいる黒幕)の手の内で泳がされてきた事実に、唯一自力で気づく(尤も、気が付いた時には既に何もかも手遅れな状況にあったが…)きっかけにもなるなど、アッガス自身や旧勇者パーティーの仲間が助けられる場面もあった。到底『勇者』の一味に相応しくない人間性の持ち主であったアリオス達が、モニカが加入して全てが狂わされるまで『勇者パーティー』としての面目をどうにか保てたのには、プライド以上に実益を重視して行動していたアッガスの存在が大きかった。その点に関して言えば、アッガスは勇者パーティーの存続に大きな貢献をしていたといえ、モニカの方も、アッガスの利己主義に徹底した姿勢がアリオスを自分達の仲間に引き込む上で大きな弊害になると懸念、厄介視している節を見せており、故に旧勇者パーティーの中では唯一人、闇に落とす前に破滅させる方向に持っていった事が示唆されている。

  • 結局のところ、アッガスが最終的に自滅に至ったのは、『勇者パーティーの資格剥奪』という彼にとっては絶体絶命的な窮地に焦るあまり、それまで以上に自分の損得ばかりに固執してしまい、平時であれば冷静に見据える事もできたかもしれなかったアリオスやモニカの魂胆を見抜く事ができなかったこと。そして、それ故に打算と合理主義に動くタイミングを完全に間違えてしまったことの2つの致命的なミスが大きく、もっといえば、他の旧勇者パーティーのメンバー全員に共通している自分の主義思想に徹しすぎて、自分の仲間達を含む周りをちゃんと見ていなかったことが自らの首を絞める形になったといえる。

  • アッガスが旧勇者パーティーメンバーで最初に脱落(死亡)した事を、レインは長らく知ることがなかったが、リーン打倒後、あるダンジョンで再会したミナの口から初めてその死を聞かされ、そしてその後、レイン一行の捕虜となった彼女から、その仔細(保身目的にアリオス達を売ろうとした事からアリオスによる粛清に至るまでの経緯)が語られると、先述したとおり、アッガス個人に対しては悪印象しかなかったとはいえども、元仲間同士が裏切り、殺し合うという悲しい結末になったという事に、レインは若干の虚しさとやるせなさを覚えていた。(実際、「鬱展開は嫌い」と公言している深山鈴氏の作品で本作のアッガスとミナや『将来結婚しようね、と約束した幼馴染が剣聖になって帰ってきた』のシグルドの最期のような鬱展開は非常に珍しいといえる)

  • リーンやミナが、それぞれレイン一行との戦いや話し合いを経て、死後地獄に堕ちながらも憑き物が取れたように吹っ切れたり、改心して贖罪の為に己の命を捧ぐ事となり、そしてアリオスもまた魔族になったことで、短気で浅慮だった性格が大きく変化して器量や視野が大きくなり、決着が着き、最期の最後にレインに対して謝罪の言葉を投げかける等、旧勇者パーティーの他のメンバーはそれぞれ、レインとの戦いを介してそれぞれ心境の変化や成長を遂げる事が出来た。しかし、アッガスだけは最後までそういった内面の変化(成長)もなく、あまつさえレインと解り合ったり、諭される機会もなかったばかりか、レインの知らぬうちに半ば自滅同然に落命する形で退場する事となった。その為、読者からは「旧勇者パーティーのメンバーの中では一番煮ても焼いても食えない奴だった」という冷ややかな声が上がりつつある。書籍版で彼の過去を知ってからは「アッガスの利己的な主義思想は(そのような思想に陥った過去も含めて)状況的に無理も無かったり、判断自体は正しい場面もあった」という声も少数出るようになったが。


関連タグ編集

勇者パーティーを追放されたビーストテイマー 勇者パーティー(ビーストテイマー)

戦士 スキンヘッド(ハゲ)


裏切り者 保身 マキャベリスト


謝ったら死ぬ病:アッガス及び他の勇者パーティーメンバー全員(アリオス、リーン、ミナ)が患ってる不治の病(ただしアリオスとミナは最後に克服した)。

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