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概要

自称とも呼ぶ。「自分のみを指す場合」と「自分を含む複数人を指す場合」で表現を変える言語は多く、英語の場合は自分のみを指す(単数)場合はI、自分たちを指す(複数)場合はusと使い分ける。フランス語では主格のjeに加え、与格・対格のme、呼格のmoiがある。複数の場合は格によらずnousである。

日本語は一人称の種類が豊富であり、男性の場合はその場の状況や話し相手、気分や嗜好などによって複数を使い分ける事が普通である。とは言え、そうした感覚が庶民にまで広く共有されるのは明治以降の事であり、江戸時代以前には使える一人称は身分によってある程度決まっていた。庶民では「」が老若男女問わず広く使われるといった光景も見られた。

近代教育が普及して以降、いわゆる「標準語」と共に女子は一人称に「わたし」の使用が徹底され、学生言葉の影響で「ボク」などを使う女学生などは「はしたない」などと攻撃された。他方、男子は「ぼく」が標準とされたが徹底されず、「俺」「自分」「わし」「おいら」などを使う小中高校生は今でも普通である(目上の人物の前で「俺」とか「おいら」などと言うのはあまり好ましくはないとはされるが)。大日本帝国陸軍では同輩や部下に対しては「俺」、上官に対しては「自分」が徹底され(海軍では「私」)、「ぼく」は「地方人(民間人)」めいた言い方として厳禁された。

男性には一人称が多数ある一方、女性は基本的に「わたし」「わたくし」しかない。女児ならともかく大人の女性「僕」を一人称に使うのは未だにタブー視されており、女性は一人称を選べない不自由さがあるとも言えるが、男性はシチュエーションに応じて一人称を選ばなければならない。一人称の使い分けを面倒に思い目下・目上問わず常に「僕」を使う男性もいる一方、「ボク」を子供っぽい(実際には中高年でも「ボク」を使う男性も多いが…)などとして嫌い、「私」「俺」(または「わし」)だけを使う人もいる。

日本語では一人称と二人称の混同がしばしば起きる事も特徴で、罵倒語としての「てめえ」や「ワレ」はそれぞれ元々「手前」「」という正式な自称表現であったほか、現在でも関西圏を中心に「自分」が一人称としても二人称としても通用する例が見られる。

創作における一人称

また、日本語では創作物における「キャラ立て」を由来とする「役割語」が発達しており、キャラ紹介の解説では「一人称は…」というのは、ほとんどテンプレのように用いられる記述である。そのキャラクターがどのような一人称を用いるのかはその設定の重要な要素になるため、そのため二次創作で一人称を間違える(関西弁キャラだからといってウチ、ショタキャラだからといってボクなど)とにわか判定されてしまうので、にわか判定機になる側面もある。

しかし、ただでさえ現実の一人称ですら多いのにアニメや漫画ともなると「現実では使われないひねった一人称」も多い。また、いわゆる「ぶりっ子」の女子を中心に、自身の名前やあだ名をそのまま一人称として用いる「名前っ子」も多い(現実でも名前呼びは子供が男女を問わず多用するほか、沖縄県などでは大人の女性でも使うことがあるが)。

海外の日本アニメ愛好家や翻訳担当者が特に解釈に頭を抱える点であり、SNSや掲示板ではよく議論や研究のネタになっている。

日本語の主な一人称

派生系

関連タグ

人称 人称代名詞 I

1.5人称 二人称 三人称

ラオウ…一人称のブレがネタとされた例。

名前っ子/名前っ娘…自分の名前&通称を一人称に使うキャラクターの一覧あり。

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