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アーサー・ペンドラゴン

あーさーぺんどらごん

5世紀後半から6世紀初めに登場したと云われるブリトン人の伝説的な君主。ただし、以下で述べるようにこのフルネームはブリトン人の時代から存在したとは考えにくい。
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概要編集

中世の騎士道物語で有名な「アーサー王」のフルネームであるとされて、いくつかの創作作品でもこの名で呼ばれている。しかし、ケルト文化の時代にアーサー王が実在したと仮定すると、これは矛盾している。中世騎士物語の時代背景に基づいて設定されたファミリーネームと考えた方が良い。


ペンドラゴンとは、苗字ではなく「Pen DRAGON(ドラゴンを統べる者、ドラゴンの頭)」という意味で、アーサー王の父であるユーサー・ペンドラゴンが戴いていた称号であり、子に継承されるようなものではない。当時の人名では個人名を区別するためにWilliam the short(ちびのウイリアム)Mary of the wood(森のメアリー)のようなニックネームを添えていた(英国放送協会のfamily name(surname)に関する特集ページ参照)。ペンドラゴンも同様のニックネームと考えれば、子に受け継がれないのも当然と言える。現代の感覚で言うと、ミスター・サタンの娘をビーデル・サタンと呼ぶようなものである。


ペンドラゴンを苗字とする風潮は、「ペンドラゴンは苗字なのだろう」→「じゃあ息子もペンドラゴンだ!」と言う誤解が生じたことで広まったものだろう。当時のブリテンに苗字というものは存在せず、アーサー王は「アーサー」の名前だけでフルネームである。

イングランドでファミリーネームが用いられるようになったのは、ノルマン征服以降のことであり、それ以前の人名は個人名やニックネームで呼ばれていた。またウェールズでイングランド流のファミリーネームが用いられるようになったのは1400年以降の事であり、それ以前はゲール語系の個人名が用いられていた(それぞれ前掲引用元参照)。

アーサー王伝説が体系化されていく過程にあった中世・近世では、既に人々の間でファミリーネームが用いられるようになっており、そこからアーサーにもファミリーネームが求められ、苗字として「ペンドラゴン」の名が定着したと考えられる。


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