実在の騎士の歴史
騎士とは、中世ヨーロッパにおいて荘園の支配を保障される代わりに騎兵として戦うことを義務付けられた身分のことを指す。仏語ではchevalier(シュヴァリエ)、独語ではRitter(リッター)と「騎兵」を意味する単語で呼ばれ、英語ではknight(ナイト)と「臣従」を意味する単語で呼ばれた。
近世以降は騎兵そのものが消滅し、貴族の称号や、単なる名誉職となった。
古代ローマのエクィテス
「騎士」の最初期の形態は古代ローマのエクィテスである。古代ローマ市民は武具を自前で用意して徴兵に応じる必要があったが、その中でも騎兵は乗馬の訓練を積み様々な武具を買うなど多額の資金を必要としたため、資産家のみが騎兵となることができた。騎兵になることができる富裕層エクィテスは騎士階級と訳されることがある。
古ゲルマンの従士制度
4~5世紀に古代ローマが衰退してゲルマン人の活動が盛んになると、ゲルマン人の風習として名誉と信義のために王に自発的に従い軍隊の中核をなす従士(comitatus)が活躍した。この従士が中世騎士階級の直接の起源である。ただし、カール大帝以前の従士は歩兵であり馬は輸送用に使われるのみで、エリートではあったが土地の支配権も保障されていなかった。
フランク王国の騎士
カール大帝(シャルルマーニュ)は、ゲルマン従士を従えて西ヨーロッパの大半を征服し、従士たちに征服地の支配権を封土(benefices)として与え始める。荘園を得た従士は一定規模の収入を安定して得られるようになったため、この時代の戦争の主役である重装騎兵となるだけの馬や装備の維持、訓練が可能となった(逆に言えば、そうした装備の充実した軍を維持するために、土地を与える必要があった)。
息子のシャルル2世の代になるとバイキングやイスラム帝国との戦いが恒常化し、従士たちは戦争時に召集に応じる義務がある代わりに荘園の支配権を保護される双務契約を結んだ封建領主となる。こうした(小)貴族階級がのちに騎士(knight)と呼ばれるようになる。
十字軍と騎士道概念の発展
11世紀末から十字軍が計画されると、各地の王侯は騎士を従えてエルサレムを目指した。その中から、騎士が修道士となってエルサレム占領に至った聖ヨハネ騎士団やテンプル騎士団、ポーランド辺境部を征服して後にプロイセンを建国するチュートン騎士団など騎士修道会が発足する。今日のファンタジー作品に登場する「騎士」のイメージは、テンプル騎士団の標準的な装備や価値観を引用したものが多い。
十字軍の影響もあり、この時期から騎士はキリスト教の理想を守る存在といった意味付けが与えられるようになり、騎士道という考え方(あるいはファンタジー)が普及していく。フィクションの騎士のモデルはアーサー王の円卓の騎士やローランの歌などの騎士道文学に由来するものが多い。
戦間期には騎士道精神に則った馬上槍試合が盛んに行われた。一騎打ちで正々堂々と勝敗を決するような騎士のイメージは馬上槍試合というスポーツに由来する。しかし戦場における騎士は素行の良いものではなく、(西欧以外の軍隊でもそうだったように)補給の困難さから現地での略奪は当たり前で、「強盗騎士」ルノー・ド・シャティヨンのような存在は珍しくなかった。
火器の登場と重装騎兵の没落
重装騎兵による突撃は中世前期から中世盛期にかけては戦闘の趨勢を決する破壊力を持ったが、中世後期となる14世紀ころより、傭兵隊による槍衾や、百年戦争時の自由農民のロングボウ部隊など対抗する戦術が編み出され、戦闘の趨勢を決する戦力ではなくなっていく。16世紀以降鉄砲が普及するとこの流れは決定的となり、騎士は小規模農園経営者となるか、あるいは単なる名誉職となっていった。
フィクションの騎士
アーサー王の円卓の騎士と、シャルルマーニュ / カール大帝の十二人の騎士(パラディン)に始まり、中世ヨーロッパでは既に多数の物語が生まれていた。騎士制度のない古代の君主や武人まで、作内では騎士扱いされがちであったほどである。
そういうわけで、ファンタジー作品での代表的な職業としてよく用いられる言葉で、様々な種類が存在するが、多くは「甲冑を身に纏った戦士」という意味合いで使われる。
騎士の種類
- 騎士王:騎士達の王の意味。
- 騎士団:騎士による集団。
- 白騎士:白い鎧に身を包んだ騎士のこと。
- 聖騎士:神や天使の加護を得た騎士や教会の祝福を受けた騎士でホーリーナイト・パラディンとも。
- 黒騎士:しばしば暗黒騎士と同義とされるが、本来は傭兵騎士や主人を持たない騎士のこと。実在する概念。
- 暗黒騎士:暗黒の力など、ネガティブな要素を力して闘う騎士。ダークナイトとも。
- 女騎士:女性の騎士だが宗教的な問題でほとんど実在しない。
- 姫騎士:王女や皇女の中で、騎士としても務めている者。
- 竜騎士:竜(ドラゴン)と縁のある騎士。作品によって人間だったり竜族の戦士だったりする。ドラゴンナイトとも。
- 重騎士:重い装備の騎士のこと。
- 魔法騎士:魔法を使える騎士。
- 三騎士:特定の三人の騎士を指す呼称。
- 四騎士:特定の四人の騎士を指す呼称。
創作での騎士関連
騎士と名がつく作品
- のび太と竜の騎士:映画ドラえもん第8作目。
- リボンの騎士:手塚治虫による少女漫画。
- 魔法騎士レイアース:CLAMPによるファンタジー漫画。
- まもって騎士、みんなでまもって騎士:エインシャントから発売されたアクションゲーム。
- 女王騎士物語:月刊少年ガンガンで連載していた漫画で最終回は怒涛の展開に。
- ドラゴン騎士団:押上美猫原作の漫画。
- 花騎士:フラワーナイトガール(FLOWER KNIGHT GIRL)の略称。
- 最後の騎士王:実写版トランスフォーマーシリーズの第5作。
- アルガス騎士団:SDガンダム外伝第三弾のタイトルで騎士団名でもある。
- 騎士竜戦隊リュウソウジャー:スーパー戦隊シリーズ第43作目。
- エリアの騎士:伊賀大晃原作・月山可也作画による日本のサッカー漫画作品。
- 白騎士物語:レベルファイブから発売されたロールプレイングゲーム。
騎士と名がつくグループ
- 整合騎士:ソードアート・オンラインに登場する騎士団。
- 呪騎士、天騎士:ぷよぷよ!!クエストに登場するキャラクターの総称。
- グルメ騎士:トリコに登場する団体。
- 神殿騎士団、神殿騎士:ファイナルファンタジータクティクスに登場する組織と構成員。
- 悪魔六騎士:キン肉マンに登場する集団。
- 黒の騎士団:コードギアス 反逆のルルーシュに登場する架空の集団。
- 黒の騎士団:イナズマイレブンGOに登場する架空のサッカーチーム。
- ハノイの騎士:遊戯王VRAINSで暗躍する架空の組織とそれに関わる人物の事。
- 時空の七騎士:爆ボンバーマン2に登場する敵キャラクターの集団。
- 白竜騎士団、黒竜騎士団、リュミエール聖騎士団:グランブルーファンタジーに登場する騎士団。
- ジェダイの騎士:STARWARSに登場するジェダイ・ナイトの日本語訳。
- 黙示録の四騎士:ヨハネの黙示録に登場する四人の騎手たちの事を指す。
- 神霊騎士:VS騎士ラムネ&40炎に登場するロボットの総称。
- 西風騎士団:原神に登場するモンド(原神)の騎士団。
- 王国騎士:モンスターハンターライズ:サンブレイクに登場する騎士団。
- シグナス騎士団:メイプルストーリーに登場する騎士団。
- 正十字騎士團:青の祓魔師に登場するエクソシストの団体
- 星十字騎士団【シュテルンリッター】:BLEACHに登場する滅却師の軍勢・見えざる帝国の精鋭部隊。
騎士と名がつくキャラ
- 上級騎士:ダークソウルに登場する装備品及びそれを装備したキャラクター。
- 騎士ガンダム、騎士アレックス、騎士アムロ:SDガンダム外伝騎士ガンダムシリーズに登場するキャラクター
- 黄金騎士:牙狼<GARO>シリーズに登場する黄金騎士ガロの事。
- 騎士団長:とある魔術の禁書目録の登場人物で騎士派の長。
- 騎士アーロン:ダークソウル2に登場するキャラクター。
- 暗黒騎士団長:千年戦争アイギスの登場キャラクター。
- 駆動騎士:ワンパンマンに登場するS級ヒーロー。
- 煉獄騎士:フューチャーカード バディファイトの登場人物。
- 幻騎士:家庭教師ヒットマンREBORN!に登場するキャラクター。
- 蒼の騎士:東京ミュウミュウに登場するキャラクター。
- 黒騎士イリア:白猫プロジェクトの登場キャラクター。
- 黒騎士ブルブラック、黒騎士ヒュウガ:星獣戦隊ギンガマンに登場するキャラクター。
- 魔界騎士イングリッド:対魔忍シリーズに登場するキャラクター。
- 漆黒の騎士:ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡、暁の女神に登場するキャラクター。
- 魔境騎士 ダリア・サターチア:方天戟氏の描き下ろしイラスト「魔境騎士 ダリア・サターチア」を、多才な表現力のラジオウェーブ・パラドックス氏が原型を製作、彩色は醇正な彩りで魅了するyozakura氏が立体化させたフィギュアのキャラクター。
他騎士関連
- 竜の騎士:ドラゴンクエスト ダイの大冒険に登場する神々の遺産。
- 姫と騎士:姫と騎士のイラストに付けられるタグ。
- デュラハン:西欧の妖精で「首なし騎士」。
- 青騎士:多くの作品に使われている騎士の名前・異名。
- 赤騎士:多くの作品に使われている騎士の名前・異名。
- 騎士×姫:カップリング属性の一つ。
- 竜騎士07:同人サークル07th Expansion所属の同人作家。
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