概要
ローランの歌とは、11世紀成立の古フランス語叙事詩(武勲詩)である。
史実準拠で描かれた吟遊詩人たちによる伝承緑。
おもにスペイン遠征での悲劇を大きく取り沙汰しており、彼の奮戦と最期について描かれている。
あらすじ
ローランは数々の武勲を挙げ、スペイン遠征に挑む。
サラセン(イスラム)帝国との戦いを有利に進めていったフランク王国は、サラセンの王から停戦の申し出を受け、シャルルマーニュはローランに使者の派遣を相談した。ローランは継父であるガヌロンを推挙するが、ガヌロンは「ローランは自分を謀殺して所領を奪うつもりか」と要らぬ疑心に駆られ、遂にはローラン抹殺を決断してしまう。
ガヌロンはサラセン側の将軍と意気投合して裏切りを持ちかけ、ローランを殿軍に推挙する。
そして会談の地を後にしたローランたちに対し、サラセン側はガヌロンの計画通りに20万の大軍を進撃させ、奇襲を図った。ガヌロンの裏切りを知ったローランだったが、親友オリヴィエの「角笛を吹け」という進言を騎士道による虚栄心から無視してしまい、そのままサラセン軍と激突する。当然多勢に無勢だったのだが、それでもローランと十二勇将は奮戦し続けた。
しかしさすがに20万の軍勢の前に屈し始め、時遅くにしてようやくローランは角笛を吹き、前方にいたシャルルマーニュ王の下にローランたちが裏切りによる迫撃に遭っていることが知れる。ガヌロンが取り繕っている様から王はガヌロンが逆臣に成り果てたことを見抜き、すぐさま拘束してローランの救援に向かった。
笛を吹きに離脱していたローランは、戻ってサラセンの王が仲間たちを討ち取る姿を見て怒り、奮起する。
その勢いでサラセンの王に迫って彼の右拳を斬り落とし、さらに彼の王子の首まで討ち取って見せる。
ローランの勢いに気圧されたサラセン軍は撤退。しかしすぐさまエチオピアから援軍を要請し、5万大軍が押し寄せる。
この戦いでオリヴィエが斃れ、とうとうローランも力尽きてしまう。
デュランダルだけは明け渡すまいと、最期の力を振り絞って岩に叩きつけるが、結局岩の方が真っ二つに割れてしまい、ローランは婚約者の身を案じながら息を引き取った。
エチオピア軍はその後シャルルマーニュ王の軍に敗れ、ガヌロンも助命嘆願を受けながらも八つ裂きの刑となった。
デュランダルはローランの遺体と共に回収され、シャルルマーニュ王の元に帰った。