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概要編集

フランス語の男性名(Laurent)。または(Roland, Rolland)。


男性名のローラン(Laurent)は、ラテン語ラウレンティウス(Laurentius)から派生した名前で、他言語ではローレンス / ロレンス(:Lawrence,Laurence)、ローレンツ / ロレンツ(:Lorenz)、ロレンツォ:Lorenzo)、ロレンソ西:Lorenzo)となる。

ローランという名の人物編集

実在の人物編集

架空のキャラクター編集



その他編集

  • SoundHorizon』のコアなファンの呼称。Sound Horizon Kingdomの臣民(国民)

表記揺れ編集

ロラン

関連タグ編集

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騎士ローラン編集

カール大帝(シャルルマーニュ)に仕えた騎士

スペイン遠征においてバスク人の奇襲を受けた際、撤退戦においてその名を残し、以後キリスト教と騎士道に殉じた人物として知れられる。

史実上では明確な資料に乏しい人物だが、のちにキリスト教騎士道讃嘆の物語として、彼を主人公とした多くの伝奇が執筆された。

その有名なものが、『ローランの歌』と『狂えるオルランド』である。


伝説におけるローラン編集

シャルルマーニュ王の近臣である十二勇将(パラディン)の筆頭。

真偽は定かでないが、シャルルマーニュ王のとされる場合が多い。

武勇に優れた忠臣であり、王からの信頼も厚い模範的な騎士。ただ一方で騎士道を重んじるあまり、合理性に欠いた判断を下してしまうことがある。

王からは信頼の証として、彼には聖剣デュランダルが下賜されていた。

また「オリファン」という良く響く角笛を持っていたが、これが彼の命運を分けることとなった。


ダンテの『神曲』では、多くの殉教者たちと共に天国で過ごしている姿が描かれている。


ローランの歌編集

史実準拠で描かれた吟遊詩人たちによる伝承緑。

おもにスペイン遠征での悲劇を大きく取り沙汰しており、彼の奮戦と最期について描かれている。

フランスで華開いた騎士物語(ロマンス)や武勲詩(シャンソン・ド・ジェスト)の代表作であり、この作品を始め数多の騎士の物語から"中世ヨーロッパ騎士"のパブリックイメージが出来上がった。


あらすじ編集

ローランは数々の武勲を挙げ、スペイン(当時イベリア半島はイスラム教支配下)遠征に挑む。

サラセン(イスラム)帝国との戦いを有利に進めていったフランク王国は、サラセンの王から停戦の申し出を受け、シャルルマーニュはローランに使者の派遣を相談した。ローランは継父であるガヌロンを推挙するが、ガヌロンは「ローランは自分を謀殺して所領を奪うつもりか」と要らぬ疑心に駆られ、遂にはローラン抹殺を決断してしまう。


ガヌロンはサラセン側の将軍と意気投合して裏切りを持ちかけ、ローランを殿軍に推挙する。

そして会談の地を後にしたローランたちに対し、サラセン側はガヌロンの計画通りに20万の大軍を進撃させ、奇襲を図った。ガヌロンの裏切りを知ったローランだったが、親友オリヴィエの「角笛を吹け」という進言を騎士道による虚栄心から無視してしまい、そのままサラセン軍と激突する。当然多勢に無勢だったのだが、それでもローランと十二勇将は奮戦し続けた。

しかしさすがに20万の軍勢の前に屈し始め、時遅くにしてようやくローランは角笛を吹き、前方にいたシャルルマーニュ王の下にローランたちが裏切りによる迫撃に遭っていることが知れる。ガヌロンが取り繕っている様から王はガヌロンが逆臣に成り果てたことを見抜き、すぐさま拘束してローランの救援に向かった。


笛を吹きに離脱していたローランは、戻ってサラセンの王が仲間たちを討ち取る姿を見て怒り、奮起する。

その勢いでサラセンの王に迫って彼の右拳を斬り落とし、さらに彼の王子の首まで討ち取って見せる。

ローランの勢いに気圧されたサラセン軍は撤退。しかしすぐさまエチオピアから援軍を要請し、5万大軍が押し寄せる。

この戦いでオリヴィエが斃れ、とうとうローランも力尽きてしまう。

デュランダルだけは明け渡すまいと、最期の力を振り絞って岩に叩きつけるが、結局岩の方が真っ二つに割れてしまい、ローランは婚約者の身を案じながら息を引き取った。


エチオピア軍はその後シャルルマーニュ王の軍に敗れ、ガヌロンも助命嘆願を受け決闘裁判を行うが、八つ裂きの刑となった。

デュランダルはローランの遺体と共に回収され、シャルルマーニュ王の元に帰った。



なお彼の死についてだが、義父ガヌロンとの意思疎通の不一致がまず原因と言える。

サラセン(イスラム)帝国との休戦交渉を任されたローランは、自分より頭も弁舌も回るガヌロンの方が適任と悪気なく考えてガヌロンを推薦した。


しかし異教徒との戦い、しかも強大な帝国を相手にした交渉となると、一挙一動が死の危険と隣接する綱渡りであり、失敗すれば更なる流血は免れない「言論の戦場」である。ガヌロンはこのプレッシャーに押しつぶされ、「ローランが自分の交渉失敗を見越して謀殺しようとしている」と“深読み”という被害妄想に取りつかれ、裏切りに踏み切った。


その後はガヌロンが交渉の場でローラン抹殺を持ち掛け、さらにローランを殿に任命してわざと進軍速度を早めて置いてけぼりにし、後方からサラセン軍に奇襲させた。

ローランはオリヴィエに角笛を吹けと言われるが、騎士として奇襲を許したことを恥じてこれを拒み、大軍を相手に奮戦する道を選ぶ。しかし劣勢は覆せず、ようやく危機感を持ったローランはオリヴィエに説教と恨み節を浴びせられながら、その場をオリヴィエに預けて角笛を鳴らしに走った。


だが帰ってみればほとんどの十二勇士はサラセン軍の刃に狩られ、オリヴィエもローランに看取られて死亡。激昂したローランはパンクした心臓を叩き起こしながら敵本隊まで食らいつくも、とうとう力尽きた。

ローランの鈍感さとは、この時の「相手の気持ちを察しきれなかった」浅はかさと「実力と矜持に驕って相手の強さを見誤った」傲慢さを指していると思われる。



狂えるオルランド編集

ルネッサンス期の近世イタリアで執筆された伝奇作品。

ローランの歌などの武勲詩の全盛期が過ぎ去り、打って変わってドン・キホーテなどの冒険小説が生まれた時代。

そこで大袈裟にしたり、わざと滑稽に描いた騎士の物語が生まれる中でバーレスク的な擬英雄詩と呼ばれる騎士物語とは異なるもの。


執筆経緯がイタリア貴族エステ家の命で「ヨーロッパの父シャルルマーニュの親戚と、トロイアの末裔が結婚して出来たのがエステ家なのだ」との主張が目的。そのため度々パトロン賛美が挟まっている異例作。


ファンタジー要素がかなり濃い作品で、筋書きも『ローランの歌』までの前日談として描かれている。

ローランも「オルランド」とイタリア語に名前を変えており、性格も勇猛果敢な一方で忠臣としての側面が薄くなり、ややもとすると脳筋寄りな豪傑的な性質が強くなっている。


そしてこの作品は劇中では発狂すること場面がしばし存在する

また本作自体が冒険譚であり、オルランドが理性を失い発狂した原因も「異教徒との戦いをすっぽかして異国の姫・アンジェリカの捜索に明け暮れるオルランドへの神罰」という、『ローランの歌』からは程遠いほど奔放なオルランドの性格故とされる。


発狂したオルランドは様々な奇行を重ねるのだが、中でも飛び抜けてヤバかったのは「アンジェリカに振られたショックで怪物の様になり諸国を放浪する」という、騎士道どころか人間としてヤバいもの。

さすがにこれにはちゃらんぽらんキャラで知られる十二勇将の盟友・アストルフォも動かざるを得なくなり、彼の理性を取り戻すために「地上で失われたものがすべて行きつく」とされる“月の世界”へと旅立つ羽目になった。


関連タグ編集

騎士 中世 フランス

近世 イタリア

シャルルマーニュ伝説 デュランダル

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