概要
新興国・ファウンデーション王国のモビルスーツ(MS)・ブラックナイトスコードに採用された新世代の装甲技術。「フェムテク」は「フェムトテクノロジー(Femto Technology)」の略。
理論は既に存在したためか、はたまたファウンデーションがザフトへの情報提供をしたためか、世界平和監視機構コンパス所属のヘルベルト・フォン・ラインハルトはその存在と大まかな性能を噂レベルで知っていた。
機能・特性
ビーム射撃を軒並み無効化することができ、ビームが当たった部分とその周囲には薄紫色の薄膜が生じてビームを弾く。どの程度の出力のビームまで無効化できるかは不明だが、少なくともMSに搭載可能なビーム兵器として単発では最高峰の火力を有すると思われるストライクフリーダム弐式の「AQM/S-2028 トヴァシュトリ 超高インパルス砲」の直撃には余裕をもって耐えている。しかも、ビームを防いだことによるノックバックも生じない。そのため、C.E.71年6月以降にビーム射撃兵器が主力となったMS相手には相性が良い。
さらに、空戦用MSの装甲なら突破できるアークエンジェルのイーゲルシュテルンやムラサメ改の「71式短距離誘導弾」が直撃しても無傷であり、実弾に対しても通常装甲を超える耐性を持つことがうかがえる。ただし、誘導弾が直撃した際に携行武器を落とすほど仰け反っており、衝撃軽減能力に関しては他の装甲種と大差ないものと思われる。
フェムトメートル(0.000001ナノメートル)の領域を制御する技術を採用しており、ラミネート装甲と違って効力が装甲面積に左右されない上に、フェイズシフト装甲と違って電力を必要とせず半永久的に防御力を維持し続ける。ビームに関しては前者より優れた防御性能を持つ上に、後者の実弾耐性はビーム兵器の普及以降些か過剰とも言えるものとなってしまっているため、必要十分な実弾耐性と優秀なビーム耐性を合わせ持つ本装甲はC.E.において最も耐性のバランスが良いMS用装甲と言える。
採用しているブラックナイトスコードのMSには、名前からも分かる通り部隊コンセプトの関係から黒色が多いが、正反対に白色を採用したブラックナイトスコード カルラもいるため、装甲色の自由度は相応に高いと思われる。
また、少数生産とはいえ制式仕様の機体に標準搭載されることから、フェイズシフト装甲よりも幾ばくか生産性は高められているとも考えられる。
弱点
対ビーム装甲の例に漏れず対艦刀、加えて磁場によりビームを形成しているビームサーベルに対しては通常装甲と大差ない防御力しか持たない。そのため、MS用の白兵武器全般に対してはその優秀な耐性を発揮することができない(尤も、対艦刀とビームサーベルを無効化できるモビルスーツ用装甲はある特殊な一例を除いて存在しないため本装甲特有の弱点ではない)。
さらに、耐性の上限からか、MSを一撃にて破壊可能なほど高威力な実弾兵装(主にレールガン)や高出力ビームの接射についても破壊される。ただし、前者に関しては数発程度なら直撃しても耐えられる程の耐久力があり、後者についても打ち破れたのは特殊な原理を持ったビーム砲であるマイティーストライクフリーダムの「EQM-Y148 収束重核子ビーム砲ディスラプター」のみであるため、対MS戦という視点で考えた場合は射撃武装による撃破は基本的に不可能と見て良い。
装甲が破損した部分については、ビーム耐性が消失するらしく、デスティニーSpecⅡの「RQM60F フラッシュエッジ2 ビームブーメラン」にて破損した部分に「M2000GX 高エネルギー長射程ビーム砲」の零距離接射を撃ち込まれてルドラ(グリフィン機)が撃破されている。ちなみに、高エネルギー長射程ビーム砲はトヴァシュトリの改修前「MGX-2235 カリドゥス複相ビーム砲」と同等の出力である。
そして、デスティニー(およびSpecⅡ)が搭載する「MMI-X340 パルマフィオキーナ 掌部ビーム砲」は、そもそも「高出力ビームの接射」が前提となっているだけでなく、VPS装甲製の手刀による物理攻撃も同時に行えるため、文字通りフェムテク装甲の天敵である。
実際、ルドラ(ダニエル機)は、寸分狂うことなく胴体部にパルマフィオキーナを撃ち込まれ、一撃で撃破されている。
また、リュー機も、流石に本装甲が採用されていないであろう関節部分を狙われて、装備していた重斬刀ごと右腕を破壊されているが、その狙われた関節付近にも小面積ながら装甲部分があり、デスティニーSpecⅡが撃ち込んだパルマフィオキーナはその装甲部分ごと右腕を破壊している。
この点からもパルマフィオキーナの高出力ビームそのものが「フェムテク装甲を破壊できる威力」を持っている事が窺える。
なお、従来の装甲と同じく装甲の厚さに強度や耐性が左右されるようであり、本体装甲より分厚いシールドであればビームサーベルやレールガンの直撃に耐え、大抵の対ビームシールドを一刀両断する対艦刀であっても数撃なら耐えることができる。
総じて、先述の通り実弾中心だった戦場にビームが入り混じるようになった過渡期の背景を考えれば、双方ともに高水準で高い耐性を獲得しているものの、悪く言えばどっちつかずな性能であるために、対策も練られやすい弱点も抱えてしまっている。加えて装甲としてダメージを減衰できる許容値には限りがあるため、マイティーストライクフリーダムのディスラプターのように発展技術を応用した極端に高威力な攻撃は防ぐことはできない。
類似技術
C.E.におけるビーム耐性の高い装甲としては、前述したラミネート装甲の他に、アカツキのヤタノカガミ(装甲とは言えないものの、類似技術にネロブリッツガンダムのクリスタル化も)が存在している。こちらはどれだけビームの出力が高かろうと最悪でも拡散してしまうほどのビーム耐性を持っており、実際に陽電子砲を拡散しただけでなくレクイエムのビームさえも拡散反射している。しかし、実弾耐性は通常装甲と同程度な上に装甲材だけでも膨大なコストがかかる。そのため、空戦用MSを平然と撃ち落とすほど苛烈なC.E.戦艦の対空砲火を考慮すると、マルチロール的観点においては本装甲に劣っている。
余談
ブラックナイトスコードのシールドにも採用されている(シヴァがストライクフリーダム弐式のトヴァシュトリを防いだ時に特有のエフェクトが確認できる)。C.E.では機体本体と防御兵装の装甲材を別々にして耐性を補完しあって隙を無くすことが一般的なため、機体本体と防御兵装の両方に採用されている装甲は非常に珍しい。
関連項目
ファウンデーション王国 親衛隊ブラックナイトスコード ブラックナイトスコード
フェイズシフト装甲...同じく『SEED』シリーズに登場する特殊装甲。実弾に対して圧倒的な耐性を持ち、ビーム兵器に対しても通常装甲よりは耐性がある。一方、極めて強力な実弾兵器では破壊されてしまうことがあり、そういう点も含めて本装甲と正反対の耐性となっている。また、その名称を相対した敵側が明かしたという共通点を持つ。
ラミネート装甲…同じく『SEED』シリーズに登場する特殊装甲。フェムテク装甲と同じくビームに耐性のある装甲だが、その耐性は装甲の面積に左右され、実弾に対しては通常装甲と大差ないと、性能面ではフェムテク装甲の完全下位互換となっている。
機動戦士ガンダムAGE…敵側の技術として、同じくビーム兵器を無効化し、ビームサーベルや物理攻撃を浴びせなければ破壊できない「電磁装甲」が登場する。これに対抗するために作り出されたタイタスウェアはフェムテク装甲の天敵となりそうな装備と言える。
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ…同じくビーム兵器を無効化し、物理攻撃を浴びせなければ破壊できない装甲技術「ナノラミネートアーマー」が登場。こちらは普及した結果としてビーム兵器が登場しない世界になっている。
メタルアーマー…主兵装がレールガン(ハンドレールガン)のため、スパロボ参戦時に天敵となりそうな機動兵器。ちなみに、監督はこれが出る作品のスタッフだった。
アーマードトルーパー…ソリッドシューターがレールガン方式を採用してるためメタルアーマーと同様にフェムテク装甲の天敵となりそうな武装となる。ちなみに主人公の愛用装備である。
プロトアストレイ…レッドフレームのガーベラストレート、ブルーフレームセカンドLのタクティカルアームズ、ゴールドフレームのトツカノツルギ、ミラージュフレームの天羽々斬と天敵になりそうな武装を複数所持している。
グフクラッシャー(および改)、ドムトルーパー(オリジナル仕様)…ザフト製MSで破壊力のある物理属性攻撃武装持ち。時間的猶予がもう少しあればこれらの機体の武装を改造・流用してフェムテク装甲対策に持ち出していたかもしれない。
第2期GAT-Xシリーズ…連合系のMS群。主武装がバズーカ、鎌、鉄球とこれまたフェムテク装甲と相性の良さそうな武装を持っている。派生機にはハンマーや銛、さらには対艦刀持ちもいたりする。