ヘルベルト「ふぅ……やはり鬱陶しいな、地球の重力は」
ヒルダ「何言ってんだ…ほら行くよ、野郎共!」
マーズ>マーズ・シメオン「おう!!」
ヒルダ「ラクス様のために!!」
機体データ
型式番号 | ZGMF-XX09T |
---|---|
全高 | 17.48m |
重量 | 79.44t |
動力源 | バッテリー |
所属 | ザフト→クライン派 |
パイロット | ヒルダ・ハーケン、ヘルベルト・フォン・ラインハルト、マーズ・シメオン |
概要
連合・プラント(ジャンク屋組合等々その他大勢)による非戦派組織「ターミナル」が、ザフトのデータベースから盗用した設計図を基に製造した機体。
ドムの名は「Dauntless Obliterator Magnificent(壮大なる不屈の抹殺者)」の略称で、トルーパーは英語で騎兵を意味する。ザフトで開発時に付けたものであり、クライン派がこんな物騒な名前(特に前者)を付けたわけではない。
原型はザクウォーリアやグフイグナイテッド等と同様、C.E.71年の大戦終結後にザフトの次期主力MS選定コンペティションにおける次期主力機「ニューミレニアムシリーズ」の候補の1つとして開発された機体。しかし、用いられているミラージュコロイド技術がユニウス条約に触れてしまう点や、最大の特徴であるホバー移動のピーキーさにより操作性に難があり、パイロットに高い練度が必要となるなどの諸要素から、諸々の事情により制式採用に至らなかった。
その後、クライン派によってザフト内に残っていたドムのデータは後のZGMF-X20A ストライクフリーダムやZGMF-X19A インフィニットジャスティスとなる機体らの試作機のデータと共に根こそぎ盗み出され(なおこの時ザフトのデータベースからこれら3種のデータは削除されている)、それを用いてファクトリーなる秘密工廠で生産された。
劇中でのパイロットはヒルダ・ハーケン、ヘルベルト・フォン・ラインハルト、マーズ・シメオンの3人。パイロットごとの機体の違いは特にない。
型式番号のZGMF-XX09Tは開発者が勝手につけた非公式なもので、末尾の「T」はサードステージシリーズとしての復活の願望に由来する。なお、実際のサードステージシリーズはハイパーデュートリオンエンジンを搭載したハイパワーの機体群であり、さらに偽装のために末尾を「S」にしているなど、ドムトルーパーの設計思想からはかけ離れたものとなっている。
武装
MMI-GAU25A 20mmCIWS
両肩部に1門ずつ装備されている機関砲。
JP536X ギガランチャーDR1マルチプレックス
ビームランチャーと一体化した実弾バズーカ。上下連装式で、上の砲身が実弾、下の砲身がビームを発射する。ターミナルでの改修時にナイトウィザードとの連携機能を排除し、小型化して取り回しがしやすいよう変更されている。
MX2351 ソリドゥス・フルゴール ビームシールド発生装置
左右の腕に装備されたビームシールド。ターミナルでの改修時に追加されたもので、名前の通りデスティニーに装備されたものと同型。設置個所や形状が変わっているため、ビームガンとして使用する機能は無いと思われる。
G14X31Z スクリーミングニンバス
左胸部に搭載された特殊兵装。これはミラージュコロイドの技術を応用したアンチビームフィールド形成装置であり、ビームと同属性の電子を含む粒子の散布により、大火力の砲撃すら凌ぐ防御力を可能としたもの。前述の通りビームと同じ属性の電子を含むため、このフィールドに外部から触れてもダメージを受ける。
劇中ではこれを利用した後述する『ジェットストリームアタック』が猛威を振るった。
戦後のユニウス条約締結に伴い、条約締結前の設計だったと考慮しても、代替技術が開発される事無くそのまま搭載していたために、次期主力コンペティションで不採用にされた要因になっている。
ウィザードシステム
劇中では描かれていないが、設定上ザクウォーリアやケルベロスバクゥハウンドと共通のウィザードシステムが使用できる設計であり、必要に応じて各種のウィザードも換装可能である。
イージーウィザード
ドムトルーパー開発の際に製造した簡易装備。下記のビームサーベル1本と小型スラスター2基からなる。
元々ドムトルーパーは後述するオリジナル仕様においてナイトウィザードを装備していたが、クライン派の物資調達ルートでは入手が困難だったため、代替措置としてナイトウィザードを廃止し、ファクトリーが新規で設計・開発した。「イージー」の名が付く通り、簡素で地味な形状をしている。
- MA-X848HD 強化型ビームサーベル
イージーウィザードに搭載されたビームサーベル。
ドムトルーパーの『ジェットストリームアタック』
ヒルダ「まずはあれだ、行くよ!」
マーズ「応!!」
ヘルベルト「行くのかよ」
三人「「「ジェットストリームアタック!!」」」
ただし、このジェットストリームアタックは『機動戦士ガンダム』に登場したような連携攻撃ではなく、スクリーミングニンバスのフィールドを複数機で増幅させるフォーメーションを指す。事実上、ビームサーベルを面で展開しているようなものなので、接近しているだけで対象物は溶解・焼灼される恐ろしいワザである。
また、ドムトルーパー固有の装備を最大限に活かす戦法だからか、後継機では使用されなかった。
……が、最終決戦では即席ジェットストリームアタックとも言える連携攻撃を披露している。
劇中の活躍
PHASE-39でのエターナル緊急発進時は[[ファクトリーによる最終調整が終了しておらず出撃は不可能であったが、エターナルの奮戦とキラ・ヤマトの到着により機体は守られた。
オーブ攻防戦にてようやく実戦投入され、ザフトの降下ポットと同型のもので地球へ降り立つ(エターナルからなのかファクトリーからなのかは明らかになっていない)。その降下方法によってオーブ国防軍はザフト軍かと身構え、降下部隊到着の予定がないザフトも混乱したが、3機は記事冒頭の台詞の後へとザフトMSに攻撃を開始。その間にラクス・クラインがアークエンジェル艦長マリュー・ラミアスとオーブ代表首長カガリ・ユラ・アスハへこの3機が味方であることを伝達したため幸いオーブ軍から勘違いで攻撃されることはなかった。3機の到着によってザフトは更に劣勢となり、デスティニー撤退により手の空いたストライクフリーダムの参戦やオーブ軍の奮戦も相まってザフトの量産機群は次々と蹂躙されていった。戦闘終了後、機体から降りたパイロット3人の背後に鎮座している姿が描かれた。
その後、正式にオーブ軍所属となったアークエンジェルやストライクフリーダム、インフィニットジャスティスと違いこの3機の扱いは不明だが、一旦アークエンジェルへ艦載されたと思われ、宇宙でエターナルに合流後はストライクフリーダム・インフィニットジャスティスと共にそちらへ帰艦している。
メサイア攻防戦にも投入され、エターナルの護衛を担う。接近するザクやグフを次々と撃退、フォースインパルスをも窮地に追い込む。戦乱の中でヒルダ・ハーケン機は右脚に被弾するが、その後は3機とも大きな損傷なく停戦を迎えている。
続編の『機動戦士ガンダムSEEDFREEDOM』ではパイロットだったヒルダ、マーズ、ヘルベルトの3人はギャンシュトロームとゲルググメナースに乗り換えたためドムトルーパーはお役御免となった。
劇中でもドムトルーパーは一切登場せず、大半の機体や戦艦のC.E.75年現在の姿が次々と明かされていった本作でガイアガンダムと共にその後が不明な数少ない機体となっている。
関連動画
オリジナル仕様
『機動戦士ガンダムSEED DESTINY MSV』に登場。
本来のZGMF-XX09Tドムトルーパー。
カラーリングはドム・トローペンを彷彿とさせるサンドブラウンとなっており、専用ウィザード「ナイトウィザード」を装備している。
ファクトリー仕様とは異なりウィザードからベルトリンクで給弾された弾頭を分間100発の速度で連射できるギガランチャーとスクリーミングニンバスの他に、白兵戦用兵器のドリルランスMA-SX628フォーディオ(敵に突き刺してドリル部分を切り離し、その状態でドリル部分を爆破することでダメージを与えることも可能)、対ビーム微細トレッド処理を施された実体シールドを装備。
共通の武装はともかく専用ウィザードの「ナイトウィザード」は決まれば高い破壊力を得られるが既存の兵器と設計思想が違ううえにそもそも切り離してから次のドリルをセットするまでほぼ無防備状態となってしまうなど扱いに難点があり、「奇想兵器」という扱いを受けていた。
そもそもナイトウィザード自体かなり大型で重量があり、そのくせバックパックの役割がほとんど弾薬入れ程度しかなかったために兵器として少々無駄が多すぎた。PS装甲を持たないダガーLやウィンダムには有効かもしれないが、PS装甲やTP装甲を持つであろうガンダムタイプのエース機相手にドリルランスが効くのかも謎ではある。
コンペディションで不採用となった原因にはクライン派の裏工作があったともいわれているが、ただでさえ操縦感覚を共有できないピーキーな機体なのに、更に実用性に疑問符が付く奇想兵器までセットになっていたら流石に敬遠されただろう。
あるいはFREEDOMにて猛威を振るったビーム射撃無効の耐久性があるフェムテク装甲を有するブラックナイトスコードにはドリルランスが通用する可能性はあり得たのかもしれない。
余談
- 尚、プラント内では「そもそものコンペティション落選までがクライン派の謀略」だとする説が存在するが、真相は不明である。イラストストーリー「SEED RGB DESTINY」ではこの経過が若干語られており、操作性の問題によってマスプロダクトから落選したのは事実で、設計局とクライン派はそもそも交流を有していたとされる(マーズ・シメオンにいたってはテストパイロットと顔見知りだった)。そんなこんなで設計を入手したターミナルであるが、製造においては各地の製造地にパーツ単位で発注したものを使用している。
- 混沌の戦場
- ザフト軍の優勢の侵攻とオーブ軍の劣勢の防衛に、突如出現するザフト軍制式の降下ポッド。オーブ兵は降下ポッドから「ザフトの降下部隊か!」と敵の新手だと誤認し、増援が宇宙から降下してくる予定の無いザフト兵の方からすれば「何だ!?」と疑問で、両軍が大いに混乱する羽目になったのは言うまでもない。実際、ラクスから「降下ポッドのMSは敵ではありません」と言われなければ、オーブ軍が誤射してしまった可能性は否めない。
- 量産機ながらビームシールドを装備しているが、原点のドムが存在した宇宙世紀においては、同じくこれを装備した機体としてシャルル専用ゲルググが知られる。ジオン系モビルスーツとしては、唯一にして最後のビームシールド搭載モデルとして活躍。オールズモビルという最後のジオンを引き連れて、一年戦争敗北から四十年にわたって受け継がれた誇りを、宇宙に描き出したのであった。
立体物
ガンプラでは1/144スケールが存在。グフイグナイテッドもそうだが、コレクションモデルでは販売されず、HGガンダムSEEDのみである。
ギガランチャー、ビームシールド、ビームサーベルが付属している。サーベルのクリアパーツの成型色がビームシールドと共用のため(クリアブルー)、原作を再現するにはクリアレッドで塗装する必要がある。
また、イージーウィザードは別売りのザクウォーリアにも装着可能で、ザクウォーリアの各種ウィザードも装着可能。