概要
C.E.におけるモビルスーツ(MS)のルーツを紐解くと、C.E.15年の木星探査船「ツィオルコフスキー」に積載されていた宇宙用作業服(その名も「モビル・スーツ」)に行き着く。
この段階では人間が着込む文字通りの宇宙服(スーツ)に過ぎないもので在ったが、外骨格による補助装置で作業をアシストするメカニック機能が採用されていて、既に後々のモビルスーツへの片鱗が見える。
当初は高価だったこの作業服も多用途に用いられる事が解ると民生用にスピンオフ・発展して行き、平和利用の分野では工場作業や搬入作業で使用されるロボット「パワーローダー」、軍事的な進化の例としては戦闘用着用スーツ「パワードスーツ」として普及していく。
他方で、C.E.50年代からプラントが独立戦争の機運を見せ始めると、人型故の運動性を生かし、旧来式のスペースポッドや宇宙用戦闘機を凌駕する新機軸の機動兵器としてMSの開発はスタートする。
不安定なコロニーに居住するプラント市民達で在ったが、プラントが地球圏に対する工業製品のプランテーションで有った為に彼らの多くは技師・学者・工員で占められていたし、世界規格化された工業製品はそのまま転用出来たため戦闘用MSの実用化は難無く行われた。
C.E.65年には工業コロニー・マイウス市の一区を極秘裏に改造し実用一号MS「ザフト」が完成。
以後、これを基本に発展した戦闘用モビルスーツの製造が進行していく。
ザフトのMSの多くは、分類として無重力戦闘機(全領域機種)の機体系統を現す「ZGMF(Zero - Gravity Maneuver Fighter)」を冠する。ザフトの主戦場は主に宇宙空間であり、宇宙用や汎用性の高い機体が開発されるためである。
ザフトで運用する機体群では試作機や局地戦型の区分が明確にされており、それでもなおZGMFを冠する機体は局地戦に特化しながら宇宙空間でも戦える高い汎用性を有する事を意味している。なお、地球連合軍から強奪したGAT-Xシリーズに触発された影響からか、ニュートロンジャマーキャンセラー搭載型核エンジン機体群にはZGMF-Xシリーズという名が与えられる事になる。さらに、後続であるセカンドステージシリーズやニューミレニアムシリーズ等の新世代MSの試作機にも「ZGMF-X」が継承されている。
分類 | 系統 | 主な形式 |
---|---|---|
試作機(実験機) | Y |
|
宙間戦(汎用機) | ZG |
|
空戦 | A |
|
陸戦 | T |
|
水中戦 | U |
|
最初期MS
MS「ザフト」の開発が成功した後、これを更に洗練し、量産型戦闘用MSとしてのフォーマットを構築したのがYMF-01 ジンである。
この時点でも地球連合軍の宇宙用MAに対しては圧倒的な性能を発揮したが、後により洗練し機能を強化したハインライン局製主力量産機ZGMF-1017 ジンがロールアウトされ、区分の為に前型はプロトジンないしはジン・トレーナーと呼称され、第一線を退く。
こうして戦闘用MSの普及に成功したザフトは、MSの持つ運動性を最大限に発揮する環境を作り出す「ニュートロンジャマー」も平行して開発。核兵器・誘導兵器が無効化された状況下による有視界戦闘の復活によって、MSは最強の機動兵器に躍り出た。
基本的に宇宙用戦闘兵器であったジンは汎用性を持たされた全領域兵器でも在った為、独立戦争において重要な降下作戦に参加可能な陸上戦闘能力も付加された巨大な歩兵でも有った。
また、その拡張性の高さからザフトではジンをベースとした水中用、航空用、装甲強化型と言った派生機の開発にも乗り出すが、やがてはジンの基礎設計の流用では局地対応に限界が有る事から、新規設計に機体が開発されていく。
該当機種
第1期MS
ジンの就役後、ザフトでは「ハインライン局」「クラーク局」「アジモフ局」と言った個別の設計局に開発を振り分け、それぞれで局地戦用MSが個別に作られて行く。
こうした流れで完成した機体群がシグー、ディン、バクゥ、ザウート、グーンで在り、地球侵攻後の連合国軍の厭戦機運を引き出すべく、宇宙港封鎖作戦「オペレーション・ウロボロス」の発令と共に全世界へ発表された。
該当機種
※1 この中でバクゥハウンドは第1次連合・プラント大戦後にニューミレニアムシリーズの規格統合に基づいて開発された改修機。
ガズウートもやはり、戦後に作られたビーム対応型である。
第2期MS
上述の汎用量産機と局地戦用量産機]の実用化によって地球連合軍に対する大きなアドバンスを得たザフトで在ったが、連合軍がMS開発に乗り出した場合の対処を考慮し、対MS戦を想定した更なる上位機種の開発に着手する。
この流れで生み出された機体群がラゴゥ、ゾノ、ゲイツであり、特にゲイツに至っては個別だった設計局を合同で開発に当たらせる力の入れようだった。カオシュン宇宙港の陥落と共にこれらも世界に発表されるが、その直後のヘリオポリス襲撃によって奪取したGAT-Xの技術を目の当たりにし、連合製MSの性能が予想されていたものよりも強大で有ったことが判明。
幾つかの機体はビーム装備対応型に仕様変更する等、大幅な見直しに迫られる。
該当機種
※1 ゲイツRは第1次連合・プラント大戦後にニューミレニアムシリーズの実用化が決定されていた為、その中継ぎとして作られた改修機で在る。
第1次大戦以降のMS
第1次連合・プラント大戦以降に新たに開発された機体群。バビは空戦型のディン、アッシュは水中戦用のゾノの流れをくむ。汎用機は後述のニューミレニアムシリーズとして開発されている。
該当機種
ニューミレニアムシリーズ
ザフトの次世代汎用量産機として開発されたZGMFシリーズ。ZAFTガンダム目の「セカンドステージシリーズ」と並行して開発されている。
該当機種
ZAFTガンダム目
ZGMF-Xシリーズ
ニュートロンジャマーキャンセラー搭載型核エンジンによる高出力化に加えて、地球連合軍から鹵獲した4機の初期GAT-Xシリーズや鹵獲に失敗したストライクの交戦データによって得た技術を導入した事を皮切りに開発されたモビルスーツ群。詳細は当該記事を参照。
該当機種
セカンドステージシリーズ
ユニウス条約に沿ってNJCの非搭載・MS保有数制限などを加味してザフトが考案した、複数の機能を一機に集約する体系が 採られた次世代試作MS群。詳細は当該記事を参照。
該当機種
サードステージシリーズ
ハイパーデュートリオンエンジンを採用した次世代高性能MS群。詳細は当該記事を参照。
該当機種
戦艦
元々プラントは理事国の工業生産基地で有った事から、往還に必要と成る宇宙用船舶の開発のノウハウが有り、これを軍事転用して開発された。
エンジンはヴェルヌ・ウェルズ宇宙局が手掛ける(後に統合設計局)。
宇宙艦
陸上艦
潜水艦
水上艦
無い。ザフトの海上戦力は、大気圏内で活動可能な宇宙艦であるミネルバ系列が水上戦を行った以外は潜水艦であるボズゴロフ級と艦載MSが担っている (スケイルモーター式陸上艦であるレセップスやピートリーも水上航行可能だが本編では実行されず)。
余談
- ザフトの兵器開発において「ザフトが開発」と「プラントで製造」が混同されやすい。ザフトは開発コンセプトや要求スペックを提示し、その要望に合う機体の設計を担うのはハインライン設計局を始めとするプラントの国策企業である。そして、その国策企業で開発されたものがザフトで正式採用されたと言う形となる。
- そもそもの話をすれば、ZGMF-Xシリーズやセカンドステージシリーズなどの最新鋭機はプラント最高評議会やプラント国防委員長が開発を主導しているので、プラントで開発されたと言う言い回しになることも多い。
- もっとも、これは宇宙世紀で言う「ジオン公国軍が開発」と同じことで、その厳密な開発元はジオニック社、ツィマッド社、MIP社、フラナガン機関などになる。