セイバーガンダム
せいばーがんだむ
アスラン・ザラ「お前の力はただ戦場を混乱させるだけだ!」
型式番号 | ZGMF-X23S |
---|---|
所属 | ザフト |
開発 | プラント |
全高 | 18.61m |
重量 | 77.13t |
装甲材質 | ヴァリアブルフェイズシフト装甲 |
動力源 | バッテリー(パワーエクステンダー搭載) |
パイロット | アスラン・ザラ |
ユニウス条約締結後、ザフトが開発した試作MS群「セカンドステージシリーズ」の1機。
型式番号はZGMF-X23S。ちなみに「X」は実験機、「2」は航空機系統、「3」は開発ナンバー、「S」は「Second Stage(セカンドステージ)」を示す。
命名はセイバーだが、表記は「救世主」を表すSaviorが当てられているので、厳密な英語の発音としてはセイヴァーが正しい。
前大戦時に開発されたZGMF-X09A ジャスティスは前駆型ともされており、デザインや兵装類にはその名残もみられる。
モビルアーマー(MA)形態は双胴の戦闘機タイプを採用し、開発コンセプトには空戦能力への特化が選ばれているものの、大気圏内外を問わない優れた機動性も発揮する。多様かつ高火力のビーム兵器での一撃離脱戦法を得意とする。装甲にはヴァリアブルフェイズシフト装甲(VPS装甲)が採用されており、デュートリオンビーム送電システムにより、戦闘継続時間の延長が可能である。可能である。
フリーダムやジャスティスと言ったZGMF-Xシリーズの基本性能やその系譜と成る高火力、防御力を両立している。ビームサーベル・ライフル・シールドという「ガンダム三種の神器」を備えている為、汎用性は決して低いものではない。ジャスティスを思わせる頭のトサカセンサーも漏れなく搭載しているが、プラズマ砲の搭載により砲撃機寄りの高機動全領域型に仕上がったという具合で、武装面を見るとジャスティスよりはフリーダムに近い。
実装された運用
開発の計画順は型式番号からも分かる通り、カオスよりも前であり、インパルスと並行して行われていたが、開発時のトラブルによって開発が遅れている。さらに、実験機のプロトセイバーがテスト中のタイミングでアーモリー・ワンで強奪騒動が起きてしまい、結果としてセカンドステージシリーズの中で(既にロールアウトしていたインパルスを除き)唯一ファントムペインによる奪取を免れた機体と成った。
なお、その穴埋めと言わんばかりに呑気に解体処分を待っていたプロトセイバーは開戦前に奪取されてしまった。
なお、デュートリオンビーム送電システムは一度も使われる事は無く、パワーエクステンダーによる稼働時間の延長だけで前線を乗り切っている。
MA-BAR70 高エネルギービームライフル
マティウス・アーセナリー社製のビームライフル。原型となったのはジャスティスやフリーダムに採用された「MA-M20 ルプス・ビームライフル」で、デュートリオンビーム対応仕様に改良した後継モデル。その技術発展は目覚ましく、核エンジン機のルプスに比べ若干の小型化が為されているが遜色の無い威力を持つ。
MA時は左肩アーマーに固定される。MS形態で使用しない際はリアスカートに装着。
デバイスの基本構造は他のセカンドステージシリーズ用のビームライフルと共通。セカンドステージシリーズのビームライフルはこの「MA-BAR70」をベースに各々の運用形態に適したアレンジが加えられている。
MA-M941 ヴァジュラ・ビームサーベル
両肩アーマーに格納している斬撃武器。マティウス・アーセナリー社製。
原型となったのはジャスティスやフリーダムに採用された「MA-M01 ラケルタ・ビームサーベル」で、デュートリオンビーム対応仕様に改良した後継モデル。その技術発展は目覚ましく、バッテリー機の武装でありながら核エンジン機のラケルタを凌駕する出力を持つ。一方で、ラケルタにあった連結形態の「アンビテクストラス・ハルバード」モードは存在しないので、手数の多さでは少し劣る(一部資料ではアンビデクストラス・ハルバードモードも存在するとされているが不明)他、サーベルのリーチでは劣る。
ユニウス条約の締結によるミラージュコロイド・ステルス技術を応用した従来のビームサーベルの使用禁止になることを踏まえて、その想定で研究が行われていた代替となる新技術を採用する形でセカンドステージシリーズのMS向けに開発されている。なおユニウス条約で禁止されたのはステルス機能に関するものであり、最終的に両陣営へビームサーベル関連技術は許可されている(あまりにも不利益になりすぎるため)。
アビス以外では共通の装備とされており、フォースインパルス(フォースシルエット)・カオス(両腰)・ガイア(両腰)にも採用されている。
M106 アムフォルタス・プラズマ収束ビーム砲
背部に接続された2門の大出力ビーム砲。開発元は不明(型番的にプラントの兵器メーカーではなくザフトの設計局製と思われる)。
フリーダムに装備された「M100 バラエーナ・プラズマ収束ビーム砲」の改良型で、エネルギー変換効率の向上により核動力機と遜色ない威力を持つ。MS形態では両脇に抱える形で使用する。
原種のバラエーナはバッテリー機の火器運用試験型ゲイツ改で試験した際、たった2発でエネルギーが枯渇するという結果に終わり、フリーダムへの核動力搭載決定までは「性能を落として搭載、もしくは廃案」という検討がなされていた武装だった。それだけに、僅か2年でバッテリー機でもエネルギーをあまり気にする必要がなくなった本装備の技術発展は驚嘆のレベルである。
MA-7B スーパーフォルティスビーム砲
アムフォルタス砲身の上部に設置されたビーム砲。マティウス・アーセナリー社製。
ジャスティスの「MA-4B フォルティスビーム砲」をバッテリー動力用に改良した装備で、威力重視のアムフォルタスと対照的に連射性能を重視している。
MMI-GAU2 ピクウス76mm近接防御機関砲
ZGMF-Xシリーズやゲイツと同型の対空機関砲。マイウス・ミリタリー・インダストリー社製。
MA時の機首部分(MS時の頭部後方ブロック)に2門を内蔵する。
重力下における試験を目的として製造されたセイバーのプロトタイプ。
ライブラリアンでは珍しく、最新鋭のセカンドステージシリーズであるセイバーを再設計した改修機。尤もオリジナルのデータをザフトから得られなかった事から、その設計上の原型となったのはプロトセイバーである。
他のセカンドステージシリーズより開発が遅れており、C.E.73年10月に発生したアーモリーワンでのカオス・アビス・ガイア強奪事件の際も未だアプリリウスの開発ドックで開発中だった(これによりロールアウト済のインパルス共々強奪を逃れている)。
起動はそれから2か月後のC.E.73年12月。プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルの計らいにより、ザフトに復隊したアスラン・ザラへFAITHの権限と共に受領される。アスランを乗せて起動した本機はプラントを発進、ミネルバへ合流するためミネルバが入港中のオーブ連合首長国へ向かう。
やがてオーブ近海まで到着。しかしミネルバは既に出港済だった上、大西洋連邦と同盟を結んだオーブにとってザフト所属の本機は今や敵以外の何者でもなかったため、ムラサメ隊による迎撃を受けることとなる。アスランは戦闘の意思がないことを必死に伝えるものの、受け入れられなかったためムラサメを無力化、オーブから離れる。その後ミネルバが入港していたカーペンタリア基地に到着、ようやく合流し着艦する。
インド洋でミネルバ隊としての初陣を飾り、ファントムペインと交戦。最新鋭機としての性能とアスランの技量も相まってスティング・オークレーのカオスやネオ・ロアノークのウィンダムを抑え込みつつ一般機のウィンダムを数機撃破・もしくは無力化している。
ガルナハンではレイ・ザ・バレルのザクファントムとルナマリア・ホークのザクウォーリアを連れて正面からの陽動を担当、インパルスがローエングリンゲートに到達するまでの時間稼ぎを担う。また、インパルスの出現によって生まれた隙を突いてゲート防衛の要だったゲルズゲーの両腕を斬り落とした後、プラズマ砲で無力化している。
ダーダネルス海峡ではファントムペインおよびオーブ派遣軍と会敵し、カオスと再戦。ウィンダムやムラサメを無力化しつつカオスを抑え込むが、フリーダムおよびアークエンジェルの乱入により戦場が混乱。ファントムペインの注意がそちらに向いたこともあって手の空いたアスランはフリーダムに乗るキラ・ヤマトへ通信を試みるが繋がらず、物理的に抑えようと接近する。しかし、フリーダムに注意が向いていたハイネ・ヴェステンフルスのグフイグナイテッドがガイアに撃墜されるのを眼前で目の当たりにしてしまった。
キラ達の真意を確かめるべく、ミリアリア・ハウを通じてコンタクトを取ることができたアスランは待ち合わせ場所に向かうため本機で発進し、彼らに復隊したことを示す材料の1つとなった。
キラ達と口論に発展し解決しないまま帰投するが、ミネルバがロドニアの研究所へ向かっていたためそちらへ急行。この際本機はミネルバに着艦することなく地表に直立していた。しばらく待機状態だったが、ミネルバ隊がロドニアを調べていることを知ったステラ・ルーシェのガイアによる急襲に対しインパルス共々緊急発進。確実に止めるべく冷静に対応し、シン・アスカが無理なくガイアを無力化できるようアシストしている。
クレタ沖では再びファントムペインおよびオーブ派遣軍と会敵。カオスと交戦していたが、またもフリーダムとアークエンジェルが乱入。ブラストインパルスと交戦していたところに割り込み、フリーダムを抑え込む。執拗にフリーダムを追うが、パイロットのアスランがキラにカガリ・ユラ・アスハとの不和を指摘されて動揺。激怒しSEEDを発動したキラのフリーダムが振り下ろしてきたビームサーベルはシールドで防ぐが、サーベルの向きを弾きやすいよう誘導された結果体制を崩し、フリーダムの逆手抜刀による攻撃に反応が間に合わず右前腕を斬り落とされる。右腕の喪失によりすぐさま攻撃に移る手段を失った本機は抵抗できず、フリーダムに頭部・両腕・両脚を斬り落とされて達磨状態にされ撃墜された。機能停止した本機は海面に落下したが、その後何らかの方法でアスランを乗せた胴体部のみミネルバに収容された(ザク2機も大破していた上大気圏内を飛行できないためインパルスが回収したと思われる)。
損傷が激しかった上ザフトの資金難もあって修復はできず、残骸のみがミネルバに残り続けていたところ、何度かアスランがそれを眺めている様子が描写された。その後ジブラルタル基地でアスランが脱走しているが、その後の動向は不明。残っていてもどうしようもないため、ジブラルタル基地で降ろされて解体されたと考えられる。
- カタログスペックにおいてはZGMF-Xシリーズに劣らず、非の打ち所の無い機体である。しかし、パイロットが迷いを持つ事で徐々に弱体化してしまった典型的な例でもある。
- 視聴者の間では「近接武器が少ない為にアスランと相性が良くなかった」と言われる事があるが、イージスは長身のビームライフルと高出力ビーム砲のスキュラを持っている機体で、前機体のジャスティスも実質的な近接武器はラケルタだけであり、多数の機関砲などを考えると射撃武器が多い。
- ジャスティスの戦闘においてハルバードモードのラケルタで近接戦を仕掛けていることが多く、さらに後期機体のインフィニットジャスティスのイメージに引っ張られて近接が得意な印象が強いのも事実である。特に後者はキラが「アスランのために」と設計を決めているので、キラやターミナルからは近接が強い機体を与えるべきと言う認識がある。
- 厳密に言えば、アスランが得意なのは近接と言うよりは寧ろ不意討ち(近接の方が不意討ちはしやすいが)であり、特に顕著なのはジャスティスでのファトゥム-00で敵機を翻弄して隙を突く戦法である。その点で考えると、デュランダル議長がドラグーン・システム搭載のレジェンドをアスランに与えようとしたのも何らおかしな点でもない(ドラグーン・システムが不意討ちに適している)。
- 銃撃戦も生身ではあるものの、空間認識能力が高いレイやザフトの暗殺部隊を何れも一蹴する程の達人である。そもそも、レイやルナマリアが「止まった的」で真ん中に当てられてるのが数発の中で、アスランは「ランダムかつ高速で飛び出す的」の全てでど真ん中に当てている。漫画版『THE EDGE』では、モビルスーツのシミュレーターで一桁多い記録を出しており、少なくともMSの射撃戦・近接戦のどちらにおいても"最強"と言わしめる実力が描写されている。
- その他、『FREEDOM』ではあまりにも近接特化なインフィニットジャスティス弐式に搭乗こそしているが、キラ用にチューニングされているストライクフリーダム弐式も難なく使いこなしており(なお、パイロットのシュラ・サーペンタインには動きからキラではないと看破された)、近接武装が少なかろうが基本的にはどんな機体でもほぼ使いこなせるのがアスランの技量である。
- ただし、イージスやジャスティス系列と比べると手数が少なかったことは否めない。各部に大量に武装を持つインフィニットジャスティスを余すところなく使いこなしているのを見るに、セイバーの場合は模範的な作りであったことが悪く出てしまったものと思われる。
- 本機の評価を著しく損なう点としては、同じセカンドステージシリーズのカオスとの交戦にも原因がある。このカオスは宇宙空間での運用に特化している機体であり、空力を重要視されていない。一方で、本機は重力下の空中戦に特化している機体であり、機体の特性では圧倒的なアドバンテージがあった。しかし、蓋を開けてみればカオス1機を仕留めることも困難だったのか、ひたすら変形を繰り返してカオスからの攻撃を避けるのみと言う有り様だった。
- 加えて、ブレイク・ザ・ワールド時にはイザーク・ジュールとの連携ありきとはいえアスランは宇宙戦において量産機のザクウォーリアを駆りカオスにダメージを与えているという戦績も相まって、「アスランはセイバーよりザクに乗った方が強い」と揶揄されることも。
立体物においてもMG化もROBOT魂化もしていない機体で、これはアスラン搭乗機では唯一である(厳密にはインフィニットジャスティスもROBOT魂化されていないが、その上級モデルのMETAL ROBOT魂ではされている)。
ガンプラはコレクションシリーズ1/144、HG1/144、1/100、アクションフィギュアはMS IN ACTION!!、ガシャポンSDガンダムフルカラーでラインナップされている。
中でも1/100の製品はチーフメカ作画監督の重田智氏や阿久津潤一氏の監修が加わり中々にシャープな造形に仕上がった一品である。
劇中ではフリーダムやインパルスのようにライフルをリアスカートにマウント出来るが、MA形態とハードポイント(右肩アーマー)が異なる為かいずれの立体物でも再現されていない。
スーパーロボット大戦シリーズではスーパーロボット大戦Zが初登場。移動後に使用可能なALL武器のアムフォルタスが優秀で性能に問題はないものの、パイロットのアスランが格闘中心でALL武器の無いインフィニットジャスティスに乗り換える為セイバー用の育成をするとしんどく成るという不遇要素がある。SEED DESTINYは複数回参戦しているのにもかかわらず、何故かセイバーが使用出来るのはZだけであり原作と異なりフリーダムに撃墜された後も修復されてしばらく使用できるが結局アスランのザフト脱走時にはシンのデスティニーに撃墜されて永久離脱してしまう。
GジェネレーションシリーズではSEED DESTINYのセカンドシリーズの機体としてはオーソドックスな性能でやはり長射程のアムフォルタスが優秀。オーバーワールドでは変形機能がオミットされており戦闘演出のみでの登場となっている。
連合VSZAFTでは家庭版にて参戦。参戦したセカンドシリーズの中では唯一のコスト560。判定の優秀な前格闘や便利なサブ射撃などを活用した援護能力や高機動などの長所を持つ一方で、変形機特有の癖の強い挙動や火力が同コストの機体の中では爆発力に欠ける等の問題面もある。続編のⅡではコスト450になりシステム的に可変機が使い易く成っており、攻撃面に問題は無いが機体の耐久値が非常に低く設定されており、一度捉えられるとピンチに成る上級者向けの機体と成ってしまった。EXTREME vs.シリーズではアスランが乗ったガンダムの中で唯一プレイアブル機体になっておらず、アシストでの参戦に留まっているがインパルスのアシストとして登場したガンダムvs.ガンダムからどれも性能はあまり良くない。特にマキオンではガナーザクウォーリアのグレネードが特殊格闘に移動してセイバーのアシストが追加されたのだが、グレネードの相手の覚醒時に自爆してダメージを安く済ませるという便利な戦法を咄嗟に取る事ができなくなったので不満の声が多かった。例外としてグフイグナイテッドのアシストでは射撃の手段に欠けるグフの弱点を埋めてくれるので使用率は高い。
所属(組織・分類)
関連機体
兄弟機(セカンドステージシリーズ)
- ZGMF-X23S セイバー
- ZGMF-X24S カオス
- ZGMF-X31S アビス
- ZGMF-X56S インパルス
- ZGMF-X88S ガイア
バリエーション機
参考機
- ZGMF-X09A ジャスティス:前駆型とされる。
その他
- STTS-808 イモータルジャスティス:接点は不明だが類似点多数。
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