「それでも!守りたい世界があるんだ!」
「覚悟はある…!僕は戦う…!」
「僕は自分の手で、未来を選ぶ!」
プロフィール
英字表記 | Kira Yamato |
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誕生日 | C.E.55年5月18日 |
星座 | 牡牛座 |
血液型 | A型 |
年齢 | 16歳(SEED)→18歳(DESTINY)→19歳(FREEDOM) |
身長 | 165cm (SEED)→170cm (DESTINY) |
体重 | 55kg (SEED)→58kg (DESTINY) |
パーソナルカラー | ブルー |
CV | 保志総一朗 |
人物像
一人称は「ボク」。二人称は親しい人物や同い年以下の人物には「キミ」、年上の人物には「あなた」と呼ぶ。呼称は敵以外の年上の人物には「名前+さん」、それ以外は「名前+呼び捨て」で呼ぶ。
ダークブラウンのシャギーカットと紫色の瞳が特徴の柔和な雰囲気の美少年。趣味はハッキング。
幼少の頃から泣き虫で甘ったれ、だが誰より強情で、こうと決めたら決して引かない強さを併せ持つ。
作中(SEED)ではよく泣き、時には友人とも衝突する、歳相応な少年らしい姿も見られた。
幼少期からの親友であるアスラン・ザラにとっては同年代にもかかわらず、世話のかかる弟のように思われていた。鳥型ロボットのトリィは昔、彼からプレゼントされたもの。
カガリ・ユラ・アスハとは双子の姉弟関係であることが作中で判明する(公式の人物相関図では双子の姉弟と記載されている)。とはいえ、オーブの首長に預けられたカガリと違ってキラは一般家庭で育った身なので、アマギらオーブ兵に「キラ様」と呼ばれた時は動揺していた。
また、育ててくれた両親が健在で更には良好な関係を維持している。これはガンダムシリーズの主人公としては非常に珍しい例である。
パートナーであるラクス・クラインや双子の片割れであるカガリ・ユラ・アスハの身を案じ、彼女たちを守るために行動した。→『憎悪の連鎖を止める』『仲間達を守る(DESTINY41話等の発言)』等を自身の行動原理にしている。
この点に関して福田監督は、「キラは、身近な人たちを守れれば良い。誰が何を言ってもやりたくないものはやりたくない。その意味では、(アスランより)キラこそ独善的かもしれません」と述べている。
理想主義者的にみられることもあるが、実際は(理想は持ちつつも)かなりの現実主義者であり、自分自身が出来る事・出来ない事を把握しつつ、仲間の為に無理をしようとする傾向がある。
アスランらの第二世代コーディネーターと違い、遺伝子調整を直接受けた第一世代コーディネイターにして最高のコーディネイター。その出生にはコーディネイターの根幹に関わる闇が秘められており、「SEED」終盤で明かされたその謎は、続編である「DESTINY」においても問題の一端として作用していく事になる。
キラ自身は「SEED」の時点では自らの出生に関する苦悩をラクスに吐露していたが、「DESTINY」最終話でギルバート・デュランダルに「傲慢だね、流石は最高のコーディネイターだ」と言われた際には「傲慢なのはあなただ!僕はただの、一人の人間だ!どこもみんなと変わらない、ラクスも!でも、だからあなたを撃たなきゃならないんだ!」と毅然とした態度で言い返している。
また、メディアミックス作品では彼と大きな繋がりがあるカナード・パルスとの関連もあり、出生についてピックアップされる事も多く、「この力が誰かに憎まれる呪われた力でも・・・」と心情を吐露していたり、あるキャラに自身の出生を皮肉られた際に「僕は僕。それだけです」と毅然と言い返していたりする。
「DESTINY」(HDリマスター版の)最終話、オーブの慰霊碑からキラ、アスラン、シン・アスカは別々に去っていく。脚本家の両澤千晶氏は「キラは『SEED』で受けた自分の傷をもう一度直視して昇華して、新しい道に目を向け始める。アスランも「アレックス」でも「人から言われたアスラン・ザラ」でも無い、本当に自分が望む自分を取り戻す。シンも、家族を失った事によって大きく変わってしまった何かを、もう一度そこから見つめ直すと言う事になる訳ですね。それが出来るのも、やはり明日と側に居てくれる人があるからで、だからここから又、歩き出しましょうという事です。それは必ずしも皆同じ道では無いかもしれないけど、という事で3方向に分かれて行くんですが。」と解説している。
実際、DESTINY後のドラマCD『イザークの憂鬱』及び『オーブの夜にサイドF』で描写されたキラはドラマCD『トリィ』の頃を彷彿とさせ、メンタルが回復した様子が窺える内容となっている。
温厚で優しい性格の為かシンには慕われているが、旧知の仲であるアスランは「大体はかなりいい加減だが、頑固なとこは徹底して頑固だから。下手をすると、容赦なく切り捨てられるぞ」と警告し、(シンに「セイバーみたいに…って事っすか?」と聞かれて肯定した後)続けて「本っ当に基本何も考えてないから驚くなよ!面倒くさいことは嫌いだし、嫌いなことはまったくやろうとしないし!完全に自分が困らない限り動こうともしないからな!なんだか、遂に准将なんてことになったみたいだが、正式な軍事訓練を受けたことはないし、恐らく今後も受ける気は全く無いだろうから、射撃も体術も戦術もからっきしだし!本っっ当にモビルスーツ戦でしか役に立たないからな!覚えておけよ!ラクスを困らせたり泣かせたり、それこそ害を成そうとする者なんかがいたりしたら、キラは完全に怒るからな!そうなったらもう、手に負えないから覚悟しろよ!」とまくしたてていた。
劇場版で再び主人公に
「映画という枠で、誰を軸として描くのか?」と考えたときに、『SEED』はキラとアスランが物語の中心で、『DESTINY』ではアスランとカガリを中心に様々な物語が展開したという流れも踏まえると、「新キャラを用意するよりも再びキラで行った方が良い」という判断からのスタートでした。ところが困ったことに、あの男は戦いたくないんですよね。本来ならノンポリの普通の学生だったはずで、キラが自ら進んで戦争に身を投じるなんてあり得ないし、そこをどうクリアするかは2年以上かけて必死に考えました。『DESTINY』の最後でキラは「僕は戦う」と言いますが、あの言葉は「戦争に自主的に参加する」という意味ではない。だからキラが戦うまでの段取りを構築するまでには、かなり苦労しました。(映画パンフレットから抜粋)
ちなみに両澤氏は「キラとラクス、アスランとカガリで書くことはもう残ってない」という持論を持っていたが、でも実際映画をやるとなったら、その枠を誰が引っ張れるのかとなったらキラとラクスしかいない。そこは両澤も認めていたんですね。と監督は述べられている。
好物
公式ではおはぎなどの甘いものが好物となっている(『種きゃら劇場』では辛いものも好きであるかのような反応をしているが、ギャグ作品なので信憑性は低い)。
『FREEDOM』で揚げ物好きである事が判明。キラの好物は下記の通り。
「きのこのオニオンスープ」「ゴマ風味の海鮮サラダ」「ヤマト家直伝だし巻き玉子」「黒まめ」「ローストビーフわさびソース」「かぼちゃレンコンの煮物」「ロールキャベツ」「100%ビーフのグリルハンバーグきのこソース」「コロッケ」「えびフライ」「ポテトフライ」
ちなみに量が多い(3人前)のは「ほっとかれているキラへのちょっとした嫌がらせ」であるものの、「(宇宙船勤務で食生活が管理されていたので)好きなものを並べておいて、好きなものをどれでも食べればいいというくらいの鷹揚さですね」とのこと。
また、アニメなどではコーヒーが苦手な描写があったが、マガジンZ版ガンダムSEEDではアンドリュー・バルトフェルドが提供した酸味の強いコーヒーをおいしいと評していたので、単に苦いものが苦手らしい(現に小説版ではコーヒーを飲んだ時に苦いと心の中で言っている)。
能力
作中でSEED(Superior Evolutionary Element Destined-factor=優れた種への進化の要素であることを運命付けられた因子)と呼ばれる概念が登場するが、彼もその因子・能力を持つ者であり、その能力の発動中は瞳のハイライトが消え、目つきが鋭くなる。
また、ドラグーンの操作に必要な空間把握と先読みの力を持った「特殊な空間認識能力」も備えている。劇場版においては終盤、アコードのシュラ・サーペンタインを感知したかのような描写も見られた。
体格が痩せ型であり、(アスランとは違って)軍人としての訓練を行なったわけでもないため、基礎的な身体能力は高いが生身での戦闘力はパイロット技能ほどではない(ゲームでの描写のため公式設定と言えるかはかなり微妙だが、カガリ相手に腕相撲でまともに勝てなかった。逆に本編ではカガリの打撃を容易く受け止めている)。
劇中でその身体能力が垣間見えるシーンでは約7mの高さを容易く飛び降りたり、片手で前方倒立回転をしたりしている他、銃を所持するテロリストに飛びハイキックをかましたり、地球連合軍の軍人を合気道の要領で投げ飛ばして制圧する等の描写があり、サイ・アーガイルとの喧嘩になったときも、彼を簡単にあしらっている。
アスランやカガリと違って拳銃を撃つことは少なく、何度か銃口を向けることはあったが、銃そのものを投げつけて威嚇するなど、人に引き金を引くことは殆どなかった。
コペルニクスでラクスが襲撃された際には、投げられた手榴弾を銃で撃って跳ね返す芸当を見せたため、技量が低いというわけではないのかもしれない。
『FREEDOM』では、攫われたラクスを救出する為にキサカ達と共にアルテミス要塞へ自ら乗り込んでおり、そこでは敵兵に対して容赦なく発砲している(ただし、前述の「撃たない」イメージが強いからか、明確に射殺した描写は無く、イングリットと対峙した場面でも自身はラクスの身を守る事を優先、戦闘はキサカに任せている)。
本人の意図するところか否かにかかわらず「コーディネイター=優れた人間」という図式を成り立たせるほどの活躍をしており、SEED序盤では「(コーディネイターが一般にキラ並みの能力なのであれば)勝てるわけがない」と、AAメンバーもある種の絶望感を匂わせる台詞を発していたが、実際には一般的なコーディネイターよりも大幅に優れた才能を持つ。
ヘリオポリスでは偶然逃げる時に乗り込んだストライクのコックピットで、未調整の状態のOSで戦おうとするマリューを見て「どいてください!」と自分から操縦席に座り、その場でストライクのOSを調整・最適化させ、敵を撃退するという離れ業をやってのけている(なお、この時の早口セリフはキラ役の保志総一朗氏の一発取りとのことである)。
他にも、大気圏ギリギリでストライクを運用したり、デュエルに狙われながら宇宙空間でストライクの換装を成功させたり、フリーダムに乗り換えて以降は一対多の状況で一騎当千の活躍を続けた。
「最高」のコーディネイター。「スーパー」コーディネイター。と言った言葉の響きや、ラウ・ル・クルーゼの「知れば誰もが望むだろう。君のようになりたいと、君のようでありたいと」評などから、全てにおいて最高の能力を持っていると誤解している人もいるが、実際には全てにおいて最高の能力を得るための素質の持ち主であるだけに過ぎず、才能を開花・発揮させるためには相応の努力や鍛錬を積まなければならない。
また劇場版において遺伝子操作で人間離れした超能力の類を持たせることができることも判明し、その力を有した者たちの一人、オルフェ・ラム・タオと遺伝子が似ている、オルフェの邪魔なやつ思念をキャッチ、ラクスが二回ほどキラの声を聴いている、オルフェが一回ざわつく感覚を覚えている等の描写を根拠にアコードの力をキラは持っているのではないかといった考察が視聴者から上がっているものの、キラにはそういった能力は一切無く、あくまで人間の範疇における最高の能力となっている。
劇中では趣味のプログラミングや必要に迫られて習得したMSの操縦、MSの設計・開発などでその才能を開花させていくことになる。
特にMSの操縦技術は常に不利な状況かつ限界ギリギリの極限状態で死に物狂いで戦っていたこともあってか急激な成長を見せた。初期の頃は苦戦していたG兵器4機に対しても最終的には味方の援護があったとはいえ、圧倒して善戦するようになり、更にフリーダムに搭乗してからはその性能も相まって神業的な技量を発揮するようになる。
「DESTINY」時代でもその技量は上がり続け、最終的にフリーダムの性能限界を超え、自身専用に造られた超高性能機ストライクフリーダムですらPS装甲製のフレームと装甲分割機構を採用して機動性を極限まで高めていなければ追随出来ていなかった可能性が示唆されているほどの力量に達している。制作スタッフからもSEED世界での最強パイロットとして扱われており、作中でもデュランダルから「あれだけの資質、力だ。モビルスーツで戦わせたら、当代で彼に敵う者は無い。」と評され、一パイロットでありながら、戦略的な影響力を持つラクスと同格の強敵と認識されている。同時に「私は実に彼は不幸だったと思う。気の毒に思っている。彼は本来戦士なのだ。なのに誰一人、彼自身それを知らず、知らぬが故にそう育たず、そう生きず・・・時代に翻弄されて生きてしまった。」などと断じられた。
ある意味これはデスティニープランの問題点そのもので、優しく戦いを嫌うキラの人格や争いを好まないなど、彼の精神的な問題を全て無視して能力だけを見る姿勢と言える。
プログラミングに関しても、開発が頓挫していたオーブ連合首長国のM1アストレイのナチュラル用OS構築に協力し、そのデータが地球圏各国のMSのOSの基となり、またストライクのOS及び戦闘データを基にしたOSが地球連合のMSに搭載されたことから、キラがコズミック・イラのMSに与えた影響は計り知れない。
後に、戦火に焼かれたオーブはモルゲンレーテ社のナチュラル用OSのパテント料をはじめとした数々の特許によって生じた莫大な利益によって復興を遂げた事から、(ファンの間では)後のオーブ軍准将の就任にはOS開発の功績も含まれているのではと言われている。
なお、コペルニクスに在住していた頃のアスランからは「プログラミング能力は高いが、キラ以外の人には扱いづらい組み方をする癖がある」と指摘されているため、当時から才能は開花していたものの、それを一般の人に理解しやすく扱いやすくという方面には無頓着である事がうかがえる。
『FREEDOM』では要塞一つを掌握できる性能を持ったコンピューターウイルスを作り、これでメイリン・ホークがアルテミス要塞をハッキングしている(2024年3月10日の上映後舞台挨拶での監督発言より)。
戦い方について
正規の訓練を受けることなく、MS戦闘の全てを実戦経験のみで培ってきたため、その戦い方は現場叩き上げの我流スタイル。そこにSEED、空間認識能力、そしてスーパーコーディネイターの素質による圧倒的な反応速度、思考速度、操縦技術を最大限に活かした戦闘を得意とし、その能力の高さのあまり、機体に莫大な負荷を強いる整備班泣かせの乗り方となっている。
ストライクに搭乗していた頃は、キックでコクピットを蹴り壊したり、ナイフでコクピットを直接破壊する戦法も多用していたため、特にワイルドな印象が強い。しかしフリーダムへの搭乗以降は、その高機動を活かした戦法を取るようになり、戦場を縦横無尽に飛び回りながらも次々と敵機を戦闘不能にしていくその姿はストライク時代とは一転して、華麗とも評せるものになっている。
また、フリーダムが1対多をコンセプトとする機体であるため、『キラといえば射撃』というイメージが強いが、ほとんどの敵はフルバーストで瞬時に戦闘力を奪っている一方、三馬鹿やクルーゼら強敵相手にはむしろ格闘戦を行うことが多い。
特に、強敵を撃破する際にはビームサーベルやアーマーシュナイダーなどの近接武装を使用するケースが多く、ランチャーパックで出撃した際ですら敵機に格闘戦を仕掛け、アグニで敵をぶん殴っていた。
ネームドキャラではミゲルのジン、バルトフェルドのラゴゥ(イザークのデュエルは未撃墜ながら致命傷を負わせた)をアーマーシュナイダー、モラシムのゾノ、ニコルのブリッツは対艦刀(シュベルトゲベール)、クルーゼのプロヴィデンスは連結ビームサーベルでそれぞれ撃破した。
搭乗した全ての機体で蹴り技=キックを多用するのも特徴で、蹴り技を武装に昇華させた機体を駆るアスランと比べても、というかガンダムシリーズ全体を通してみても、特に顕著に蹴り技を使用した回数が多い。この蹴り技は通称「キラキック」と呼ばれる。
ゲーム作品等でもこれを反映していることが多く、彼の乗ったことのある機体(ストライクやフリーダム等)では高確率で格闘攻撃にキックが存在する。
ちなみにMSで蹴りを入れることは、強い衝撃を与えて体勢を崩させる、衝撃でパイロットにダメージを与える、不利な状況から蹴り飛ばして距離を離すなどの目的で間々用いられる戦術。シリーズ初のキック技は言わずと知れた「シャア・アズナブル」のシャアザクによる、マシンガンの通じないガンダムに対するキック攻撃である。
物理的干渉を激減させるPS装甲が普及しているC.E世界においても、「コックピット周辺を実弾や実体剣、打撃等で重点的に攻撃し、パイロットを気絶させる」という戦法は使えるため、物理攻撃は一定の効果がある(寧ろ、PS装甲がないと蹴った方も壊れるので多用できない)。
その他の特徴としては、他のパイロットなら早々やらないような奇抜な戦法も平然と取ることがある(スラスターで砂を吹き飛ばしてミサイルを錯乱+目くらましにする、シールドを捨ててでもビームサーベルを使用しようとする、飛来するビームをビームサーベルで斬り払ったり、後述するように対艦刀を白刃取りするなど。余談だが、白刃取りは外伝においてキラより先に実行した人物がいる)。これもあってか、キラの操縦は(前述にもある様に)機体への負荷が非常に大きく、オーブでストライクのオーバーホールをした際はモルゲンレーテ社の担当者が文句を言うレベルで機体がボロボロであった。
一見トリッキーな装備を使うが、正規の戦闘訓練を受けており、(ある意味では)正統派な戦闘スタイルのアスランとは好対照をなしているといえる。
性格上攻撃が嫌いな故か、はたまたストライク時代から1対多の徹底的な追撃戦を凌ぎ切った経験もあってか、「生き残るための戦い」に関しては異様な強さを発揮するのもキラの特徴である。1対1であろうが多対1であろうが、とにかく致命傷を回避するのが上手い。ドラグーン兵器が初めて実戦投入されたプロヴィデンス戦でも幾度となく直撃されながらも致命傷だけは回避し続け、完全に撃墜されたように見えるインパルス戦ですら、アークエンジェルが脱出するまで時間を稼ぎ切った上でさらにシールドとサーベルをうまく使ってギリギリで、しかし完全に致命傷を回避しており、計算づくで生き延びたことが見て取れる。
『FREEDOM』では機体性能で勝るブラックナイトスコードシヴァとの初戦では、(最終的に撃破されたが)不意打ちからの1対多数などの徹底的に不利な戦いを強いられながらもエネルギー切れギリギリまで攻撃を凌ぎ、相手の隠し玉の短針砲によるコクピットへの直接攻撃を直感で身を捻って致命傷を避けている。最終盤のブラックナイトスコードカルラとシヴァの2機に加え、大型ドラグーン「ジグラート」による援護砲撃という事実上の3対1という状況の中でも、猛攻を受ける中で各部を損傷しながらもビームシールドを駆使して致命傷となる攻撃は徹底的に防ぎ、更には頭部バルカンを含めた全武装を形振り構わず使用することで相手の猛攻を少しでも抑えようとし、最終的には機体の限界を超えた機動に加えて大量のミサイルの直撃によりVPS装甲が耐衝撃限界を超え、炉心がオーバーヒート寸前になったことによりエネルギー供給が途切れてフェイズシフトダウンを引き起こしてしまうも、彼我の戦力差を考慮すればここまで持ち堪えただけでも奇跡ともいえる驚異的な粘り強さを見せつけた。
キラのセオリーを無視した戦い方も、裏を返せばどんな手段を用いてでも戦場で生き残るという意思の表れであるといえる。
当初からキラの戦う理由は「身近な人を守るため」であったが、フリーダムに乗り換えて以降のキラはそれに加えて「戦争を止めること」も戦う理由となり、敵味方問わずに犠牲者を一人でも減らすために「可能な限り命を奪わない戦い方」をする様になり、徹底してコクピットは狙わずに戦闘力のみを奪うようになる。
ただし、「殺さず」「不殺」等は作中では一度も言及されておらず、監督もHDリマスターBD 34話映像特典コメンタリーにて「キラは殺さないなんて一度も言ったことない」と明言している(『DESTINY』34話でのシンとの戦闘ですら殺す気はなく、徹底して無力化を図っている)。上記の無力化戦法は出来るからやっている自己防衛行動にすぎない。実際に小説版の『DESTINY』では、ストライクフリーダムの初陣で敵艦隊を壊滅させた際、「いくら殺さないように配慮してもそれは欺瞞でしかない」と、キラ自身も自覚している心情が書かれている。
ただし、明確な主義ではないとはいえ、無力化戦法はたとえ実力が近い相手との戦闘であっても徹底されており、セイバー戦ではコクピットを残して四肢と武装のみを破壊することで無力化し、インパルス戦では撃墜まで追い込まれるもコクピットを狙った攻撃は最後まで行わずに無力化を試み続けた他、オーブでの対デスティニーでは対艦刀を白刃取りで受け止め、そのままビーム砲のカリドゥスを撃てば確実に撃墜できる状況であったが、あえて実弾のレール砲を使用したり(「レール砲の衝撃でパイロットを気絶させて無力化する意図があった」と後に説明されている)、レジェンドとの決戦時も一瞬の隙をついてフルバーストで戦闘力のみを奪ったりしている。
またストライクルージュに搭乗して戦ったエターナル救出時の圧倒的不利な戦況下にあっても戦闘力のみ無力化する手段を狙うなど、その「可能な限り命を奪わない戦い方」という姿勢はかなり徹底している。
キラが敵のコクピットを狙わずに戦うのは、どんな事情であれ、出来る限りは命を喪わせずに済ませる、と言う彼なりの信念を表した戦い方と言える。
一方で、世界を脅かす危険な存在と認識し、命を奪う事も已む無しと言う状況下では、我を通して殺害を無理に躊躇ったりはしていない。
プラントを狙う核ミサイルを迎撃するためにその防衛を担っていたカラミティに対してや、デストロイのような大量殺戮を起こしかねない兵器を持ち出してきた際には、躊躇なくパイロットが死にかねない攻撃を行っている(それでもなお、デストロイ撃墜そのものではステラが大きな怪我をしていないあたり、配慮があった可能性もある。また、ステラ機に対しては攻撃態勢に入っているにもかかわらず目前で棒立ちになっていたインパルスを守るために咄嗟に攻撃したというのもある)。
数少ない例外として『SEED』のプロヴィデンスや『FREEDOM』のカルラの2機だけは明確にコクピットを攻撃して撃墜している。
その他にもオーブ艦隊に向けて陽電子砲を放とうとしていたミネルバの発射直前の砲門を破壊して大きな損害を与えたり、ミーティアで戦艦を真っ二つにしたり(ただし、放置された無人艦と制作側はコメントしている)、メサイア内部でフルバーストしている。
なお、彼の行動はあくまでも可能な限り直接命を奪わないということであり、結果として二次被害的な死傷者が出ることまでは防げる訳ではなく、作中ではキラの武力介入に巻き込まれ死亡した者達の死体袋が描写されたこともある他、上記のミネルバの陽電子砲破壊時やメサイア内部でフルバーストした際には人が巻き込まれる描写もしっかりある。
監督によればキラのこの戦い方は「暴れん坊将軍」がヒントになったとのこと(雑魚は全員峰打ち、悪の元締めは成敗)。
特定の部位のみを狙って攻撃する戦い方は、本体を攻撃して撃墜するより遥かに難易度が高く(当然だが敵機も停まっているわけではない)、それをマルチロックオンシステムを用いて複数の目標に対して同時に行い、かつほぼ外さないというのは、キラの技量の凄まじさを端的に表現している。
ちなみにこれはマルチロックオンシステムを搭載していないストライクルージュの搭乗時にもほぼ同様のことを行っているので、部位を狙った同時攻撃はキラ自身の技量によるものであることが分かる。
アスランや『FREEDOM』でのシンのようにキラと同じ戦い方をしようとする者も居るが、彼らの場合は自発的にそれを行っているのであり、キラ自身は自分のやり方を味方に強制するつもりはないし、味方が自分の信念に反することをやったとしても何か言うということもない。
一方でこの信念のせいで「チームを組んで連係して戦う」ということが非常に困難になっているのか、もしくは元々ずっと一人で戦っていたせいでチームで行動することに慣れていないのか、世界平和監視機構コンパスの結成後に自分の隊を率いるようになって以後も単騎で突撃して問題対処し、他のメンバーには後方支援をやらせるスタイルが定着してしまっている模様。
略歴
SEED
中立国オーブのコロニー、ヘリオポリスに住んでいたが、地球連合軍が極秘裏に開発していた新型モビルスーツ『G兵器(ガンダム)』を狙うザフトの攻撃に巻き込まれ、いくつかの偶然が重なった末にG兵器の一つであるGAT-X105 ストライクに搭乗し、ミリアリア・ハウらカレッジの友人たちと共にアークエンジェルに乗り込み、成り行きでストライクのパイロットを務める事になる。
序盤では友人達を守る為とはいえ、酷く嫌っていた戦争に従事する日々を送る事となり、艦内唯一のコーディネイターとして大小様々な差別と直面したことや、自身が戦わなければ大勢の人が死ぬという極度の重圧に曝され続けたこと、戦争中の避けられない殺人による深い罪悪感などによって次第に精神的に追い詰められていった。
とりわけ連合側に組してしまったためにザフトに所属する幼馴染で親友のアスランと敵対する事となってしまったこと、アークエンジェルに同乗していたフレイと複雑な間柄となってしまったことで深く苦悩する。
また、この間に宇宙で遭難していたラクス・クラインと彼女をアークエンジェルへ保護したことで出会いを果たす。
中盤では執拗なザフトの追撃から逃れる最中、アスランの戦友であるニコル・アマルフィを不本意ながらも殺してしまい、自身も後に親友のトール・ケーニヒをアスランの攻撃で失ったことで両者の対立は決定的となる。
アスランとの決戦では彼の駆るイージスの自爆に巻き込まれて重傷を負うが、とあるジャンク屋に救われ一命を取り留め、マルキオ導師の手によりプラントに帰還していたラクスの元へ運び込まれる。
その後、再会したラクスの元での療養中に、自分の望むこと、成すべきことを整理し、ザフト製の新型MSZGMF-X10A フリーダムを受領(ザフト的には奪取)し、争いや憎しみの連鎖を絶つための戦いを開始する。
終盤ではアスランとも和解し、連合・ザフトという枠に囚われないオーブ主体の三隻同盟のエースパイロットとして活躍するも、コロニー・メンデルでのラウ・ル・クルーゼとの戦いの中で、自分が「実父であるユーレン・ヒビキ博士が開発した人工子宮から生まれた最高のコーディネイター」であるという特別な出生の事実を知り、新たに大きな衝撃を受ける。
最終決戦ではザフト・連合の両軍による殲滅戦を止める為、また呪われた自身の運命の道連れとして人類の滅亡を目論むクルーゼを止めるため、仲間達と共に奮戦した。既に精神的な限界が近かったことや、作中で様々な辛い出来事を実体験していたこともあり、彼との舌戦においては拙いながら反論するも、彼が説く人類の醜悪さや際限なく争う人類の愚かさを完全に否定することは出来なかった。
その後、最後に発射されたジェネシスに巻き込まれかけるが辛くも生存、大破したフリーダムから放り出されて宇宙空間を漂っていた所をトリィの導きで捜索していたアスランとカガリに発見されて回収され、仲間達の元へ帰還する。
「僕たちは…どうして…こんなところへ来てしまったんだろう…」
終戦後は多くの人々を守り切れずに失ってしまったこと、戦時中の体験やクルーゼとの舌戦で人の愚かさや醜さを直視せざる得なかったこと、その他無数の要因から精神が完全に限界を迎えており、世間から離れて隠遁・療養する事になる。
DESTINY
ヤキン・ドゥーエでの最終決戦後、中立国であるオーブで仲間達と共に隠遁生活を送っていた。この頃になると完全に精神が参っており、悟りを開いたかのような達観した言動が多くなっていた(ただし、達観して見えるのはあくまで表面上だけで、実際はSEEDの時と比べると精神的な不安定さはより悪化している)。
オーブの慰霊墓標への墓参りの際、シンと運命の邂逅を果たし、彼と後の展開にも繋がってくる重要な会話を交わす。
隠遁生活の最中、コーディネイターの暗殺部隊に襲われる。緊急事態だったため、キラを戦場に戻すのに躊躇していたラクスを説得し、地下の倉庫に隠されていたフリーダムに搭乗。衰えぬ技量で暗殺部隊を瞬く間に迎撃、無力化に成功するも、暗殺部隊は機密保持のために全員自爆して命を絶った為に、情報を聞き出す事は出来なかった。
その後、カガリが早まってユウナ・ロマ・セイランとの政略結婚に踏み切ってしまったのを妨害するべく、結婚式に乱入してカガリを連れ去り、守りたいものを守るべく、ラクスやアークエンジェルのメンバーと共に、オーブから脱出する事になった。
脱出後はスカンジナビア王国の海底に潜伏していたが、プラントでラクスの影武者がデュランダル議長を支持する形で活躍していたのを見た結果、ラクスの暗殺を仕組んだのは、本人が表舞台に現れる事を最も都合が悪い立場にある彼ではないかと強い不信感を覚える。
この時から、彼が他者と行動や世界情勢について言葉を交わすシーンでは、必ずと言っていいほどデュランダルへの不信と、不信感を抱くきっかけとなったラクス暗殺未遂について言及している。
ザフトに復帰したアスランと再会した時も、議長を信じ切ってる彼にプラントにいるあのラクスはなんなのかと指摘し、さらに本物が殺されかけたことを伝えて「彼女は誰に何で狙われなちゃならないんだ。それがはっきりしないうちは、僕にはプラントも信じられない」と主張。しかしラクスが殺されそうになったことには驚愕したアスランだが、その彼からユニウスセブンのテロリスト犯達のように、デュランダルとは無関係の人間の犯行の可能性があるということや不戦を叫びながら武力介入を行う矛盾を指摘・糾弾され、オーブに戻れと言われた(ただし、この時のアスランの発言は完全にザフト側の目線に沿って自軍を正当化する内容となっており、開戦当初こそ連合が核攻撃などを行ったものの、この時点では積極的自衛権と称して連合の勢力圏に侵攻しているのはザフトである事や、その一環として宇宙艦である筈のミネルバにカーペンタリアからジブラルタルへ向かう命令が下され、ミネルバが連合の勢力圏を横断して進軍を行うことで戦闘を誘発していること等には一切触れていなかった。またユニウスセブンのテロリスト犯についても、デュランダルが事前に詳細を把握しておきながら、実行まで故意に見逃していた事が描写されている)。
その後は再びフリーダムを駆り、混迷する世界の中で、各地の戦闘に武力介入していく。
オーブ軍が関わる戦闘を自分たちが停止させることで、オーブ軍の人命、そしてオーブの掲げた中立国としての理念や立場を守らんとした行動だった。
しかし、突然武力介入して軍の区別なく手当たり次第に機体を無力化させていく戦闘を行ったため、結果として戦場の混乱を招き、巻き込まれたミネルバ側からはハイネ・ヴェステンフルスを始めとした犠牲者を出したことで反感を買ってしまっている。
この行動について是非が問われる事が多いが、劇中でも小説版などの各媒体でも、自分達の行いが必ずしも正しいとは思っておらず、度々「自分達のデュランダルに対する疑念も誤解では無いのか?」と苦悩し、気にかけていた。中盤のマリュー・ラミアスとの会話は印象的である。
また後述する様に、介入した結果として多数のオーブ軍人とムラサメをオーブへ帰還させることに成功しており、オーブの理念を完全に守り切る事はできなかったものの、そのために発生した犠牲や被害を最小限に食い止めるという成果を得ている。
アスランのセイバーとの戦闘において、一連の行動について「撃ちたくないと言いながら、なんだお前は!?」と叱責された際には、
「君の言う事も分かるけど、でもカガリは今泣いてるんだ!」
「なのにこの戦闘もこの犠牲も、仕方がないことだって、全てオーブとカガリのせいだって、そう言って君は討つのか!今カガリが守ろうとしているものを!」と逆に叱責(小説版ではより強い言葉でアスランに怒りをぶつけている)。
痛い所を突かれて硬直してしまったアスランに突撃し、ビームサーベルの逆手持ちを交えた二刀流によるカウンター攻撃でセイバーを修復不能なまでにバラバラに切り刻んで撃墜した。
その後、アークエンジェルに帰投し、生き残ったオーブの軍人達を回収して撤退。
その後も、自らの進むべき道について迷いながらも、地球軍のGFAS-X1 デストロイによるベルリンへの攻撃に際し、ターミナルからの要請を受け、民間人の救助及びデストロイの停止を目的に戦闘に突入。
全滅したザフト防衛軍に代わり、デストロイを食い止めるべく、単独で奮戦するのだが、ミネルバ隊のインパルスパイロットであるシン・アスカが、デストロイのパイロットであるステラ・ルーシェを救おうとしたため、彼との間にすれ違いが発生。
シンはステラを説得し、デストロイの動きを止めることに成功するが、フリーダム(自分を襲ってくる「怖いモノ」)が視界に入った事でステラは再度混乱し暴走してしまう。
キラは発射口をビームサーベルで貫く形でデストロイを沈黙させるが、行き場を失ったエネルギーの爆発、戦闘による過負荷等の原因によりステラは直後に死亡(ただしこの時、見かけ上ステラは無傷であったので、キラとしては一応パイロットを守ろうと配慮した攻撃だった可能性もある)。
キラからするとステラとシンの関係は当然ながら知る由もないのだが、結果としてはかつて自分がフレイを失ったのと同じ悲しみをシンに与えてしまうという皮肉な事態になり、両者の対立が決定的となる。
度重なる武力介入により、ザフト軍・地球連合軍の双方へ甚大な被害を出した結果として、アークエンジェルはザフトからテロリストと見做され、アークエンジェル討伐を目的としたミネルバ及びウィラード隊を主体とした混成部隊による”エンジェルダウン作戦”を決行される。
開戦当初からウィラード隊による攻撃を受けるも、政治的配慮からムラサメ隊は出撃させず、キラがフリーダム単機でアークエンジェルの護衛と敵MSの無力化を行った。ミネルバ到着後は艦長・タリア・グラディスから投降を呼びかけられるも、ラクス暗殺未遂の件やロゴスの暴露、ベルリン戦の映像改竄等によりデュランダルへの不信感を払拭しきれないアークエンジェル側はこれを拒否。ウィラード隊はアークエンジェルへの猛攻を再開、ミネルバも参戦し、フリーダムはインパルスとの一騎打ちとなる。
長時間の戦闘継続による疲労の蓄積や、常にカガリやマリューの乗る母艦・アークエンジェルに気を配りながら戦っていたこともあり、初見となるインパルスの分離システムや、キラのコクピットを攻撃しない戦闘方法を利用したシンの巧みな戦術に苦戦。遂にはエクスカリバー対艦刀による刺突が直撃(フリーダムにはPS装甲があるため本来は貫通はしないはずなのだが、後に追加された設定によるとエクスカリバー対艦刀は最大出力にすると実体刃の刃先にまでレーザー刃を展開可能とのこと)。
撃墜寸前に核動力のスイッチを切りつつ、シールドとサーベルで攻撃の軌道を胸部から逸らした結果、コックピットブロックまでは失わず、キラは生還に成功した。また、撃墜されながらもキラが命懸けで護衛した結果、アークエンジェルもカガリとムラサメ隊を失うことなくオーブへ帰還できた事でこの戦闘における目標を達成した。
その後、この一件でデュランダルに欺かれていた事を自覚し、スパイ疑惑をかけられ命からがらザフトを脱走してきたアスランと再会し、再び和解を果たす。そんな中でエターナルがザフトに発見されたことを受け、宇宙に上がれる唯一の機体だったストライクルージュをカガリから借り受けて宇宙へ上がり、エターナルや応戦していたバルトフェルドのガイアを援護。
そしてラクスから宇宙でクライン派に密かに開発・製造させていた新型機・ストライクフリーダムを受領、エターナルを襲撃したザフト軍を約2分で全滅させ危機を脱した。
その後は地球に再度降下、第二次オーブ防衛戦より再度戦線復帰。オーブ再建に際し、准将に任命され、正規軍の一員となる。
ロゴス壊滅によるプラント・連合間の戦闘の一時的な終結後にデュランダルから発せられた『デスティニープラン』に対しては、真っ向から反対の姿勢を表明し、彼との決戦に臨む。
デスティニープランとはすなわち、『遺伝子操作による社会の究極形=コーディネイターのコーディネイターによるコーディネイターの為の社会』であり(キラ自身そう発言している)、遺伝子操作の究極形として望まず生み出された彼にとっては、到底許せる物ではなかった。
- ただし、これはあくまでキラ個人のデスティニープランの解釈である。彼はデュランダルの過去は知らないため「デュランダルとタリアの間に起こったコーディネイターであるゆえの不幸」についても知らない。
メサイアへ向かう途中、かつて自らが討ったラウ・ル・クルーゼの近親者で、同じアル・ダ・フラガのクローンでもあったレイ・ザ・バレルのレジェンドと対峙、自らをクルーゼとする彼の考えを否定し、あくまでもその命が彼自身のものである事を叫びながら、ドラグーン・フルバーストによってレジェンドを無力化。
そのままミーティアでメサイアの各施設を破壊し、要塞の機能を停止させた。
最終局面ではデュランダルと直接対峙し、お互いに銃を構えたまま、考えをぶつけ合う。引き金を引く覚悟を決めていたが、彼を撃ったのは意外な人物だった。
ある人物の「決断」を知ったキラは遺言を受け取り、キラは(リマスター版ではアスランと共に)崩壊するメサイアを去った。
- この行動については賛否があるが、小説版ではキラはアスランに「もう、僕らに出来ることはないよ……」といい、“この結末を招いたのは自分たちだ。それも、自ら望んで。”と責任と諦め、苦い思いを感じている。
戦後はオーブにある慰霊碑の前でシンと再会。
彼に共に戦う事を持ちかけ、これを了承して貰い、和解する。
そしてプラントへ渡り、白服(部隊長)待遇でザフトに迎え入れられたようであり、仲間達と共に新たな戦いへと歩き出す姿が描かれた。
FREEDOM
19歳になった姿で登場。
ラクスを初代総裁とする世界平和監視機構コンパスの一員となり、戦艦ミレニアム付きのMS小隊「ヤマト隊」の隊長を務める。シンたち部下や、フリーダムの設計者であるハイライン等、頼れる仲間は多いはずだが、抱え込み癖とワーカホリックぶりは健在。デュランダルを討ち、デスティニープランを否定してしまったことへの責任感を強く感じており、平和のために戦い続けている。
余談
呼ばれ方
劇中では周りから「キラ」「キラ君」と名前で呼ばれることが多い彼だが、コジロー・マードックやムウ・ラ・フラガ(こちらは初期に数回のみだが)からは「坊主」と呼ばれていた。マードックの呼び方はキラの階級が「准将」になっても変わらなかった。もっとも当のキラ本人は特に気に留めることはなかったが。
DESTINY以降はカガリの弟であることからアマギらオーブの軍人には「キラ様」と呼ばれてもいる(出会った当初はラクスも同様の呼び方をしていた)。また、カガリの弟という点を度外視しても、ナチュナル用のOS開発で国内の軍事力の強化に大きく寄与し、更にはその特許料で莫大な収益を国庫に齎していること、幾度もオーブの為に戦場に臨んでは常に最前線で獅子奮迅の働きをしている等、敬称を付けて呼ばれるのも当然といえる程にオーブに貢献している。
劇場版で隊長に就任した後は、ヤマト隊のメンバーやヒルダ達から「隊長」と呼ばれることが増えた。
二つ名としては、ストライク搭乗時代にバルドフェルドから呼ばれた「バーサーカー」や、ヤキン・ドゥーエ攻防戦の活躍から「ヤキン・ドゥーエのフリーダム」等がある(いずれもザフト側からの呼称で、連合やオーブで意図的に二つ名を与えられたことはない)。
軍人としての階級
キラがDESTINYの終盤で就任する准将の地位は、ガンダムシリーズの主人公の地位としては最高位にあたる(フリットは中将になってはいるが、彼が中将だったのは彼が主人公ではないアセム編の時である上に、キラと違って軍属となってから、それなりの年数を経て中将の地位に就いている)。
また、戦後にプラント首脳部からザフトへ招聘された際も、指揮官階級を示す白服を着用している。
劇中で明確な理由は明かされていないが、これらは様々な政治的配慮によるものと考えられ、オーブでは「代表首長であるカガリ様の弟君が下士官では箔が付かない」、プラントでは「オーブ代表の弟であり、オーブ軍の准将たる人物を招聘するにあたって、相応の格式で迎え入れる必要がある」等の理由が考えられている。
また、オーブに関しては正式にアークエンジェルを自国の軍隊に編入するにあたって、「過去に幾度も共闘し国家防衛にも多大な功績があるとはいえ、公的には地球連合軍の脱走兵であるマリューらを同艦における最高階級とする事は、内外を問わず体裁が悪い」という事情も作用した可能性がある。
ザフトについても戦後に階級制が導入されているのだが、佐官であるイザークですら白服を着用している事を鑑みれば、将官たるキラを迎え入れる際には白服以外の選択肢はなかったように考えられる。
劇場版では同じ白服のイザークは参謀本部の情報将校と高官らしい描写があったにも拘らず、劇中でのキラの行動は全て現場指揮官の範疇であり、実際にどの程度の権力を持っているのかは不明だが、新たに加わったコンパスに所属する軍人としては判明している限りで最高階級であるため、ヤマト隊の隊長と同時に(通常は部隊内における最高階級者が指揮官となるため)同組織における総指揮官も兼任している可能性がある。
パーソナルカラー
フリーダムに乗り換えて以降、キラのパーソナルカラーにはブルーが用いられることが多くなった。これはキャラクターグッズや立体物においても同様である。
フリーダムに青の配色が多いのはフェイズシフト装甲による仕様のため、後に開発されたストライクフリーダムもフェイズシフトが青主体となっており、ライジングフリーダムに至ってはほぼ全面的に青が主体になり、立体物の1/100初回版やMGなどの立体物に付属するスタンドもクリアブルー成形となっているなど「キラ=青」というイメージはかなり盤石なものとなっている(一方アスランはレッドがパーソナルカラーとされることが多いが、キラとの対になるグッズには同じレッドをパーソナルカラーとするシンに譲ってしまうケースも珍しくない)。
ちなみに後発シリーズの主人公も青のパーソナルカラーを引き継いでいる。
ファッションセンス
おそらく自分で選んだであろう私服がユニークであり、ベルトの装飾が多いことから、独特のファッションセンスを持っているとファンから話題にされることがある。ただ現代ではなく未来の世界であるため、あの世界では普通ないしオシャレな服装という可能性もある。
また本編で特徴的な服を着ていたことから、彼が槍玉に上げられる事が多いが、デザイン担当者が同一人物ということもあり、明るいパステルカラーでノースリーブという子供っぽい服や、芸術家が着ていそうなアシンメトリーを効かせすぎたシャツ等、アスランやシンにも妙に悪目立ちしそうなユニークな服を着ている公式絵が複数ある。
なお劇中で着た服にはピンクが入ったものが多く、ファンからは恋人であるラクスの髪色とあわせているのでは?と言われている。
搭乗機
本家
「SEED」PHASE-01にて、難を逃れるためマリューと共に偶然搭乗。その場を切り抜ける為に未完成のOSを自身に最適化し、ジンを撃退した。この調整により、そしてAAにはキラ以外にコーディネイターがいなかったため、なし崩し的に彼の専用機となってしまった。
装備換装により以下の
を使用した。ちなみに、エールが中心とはいえ、意外とバランスよくすべての装備を使っている。
PHASE-30、にて、アスランとの死闘の末、イージスの自爆によって大破。キラが別ルートで救い出された後本機はオーブにて回収・修復された。
この戦いでキラが行方不明になり、帰還後もフリーダムに乗るようになったこともあり、修復以降はOS改良の上でムウの搭乗機となった。
「SEED」PHASE-34にてラクスの手引きで奪取された試作機。三隻同盟の主力として活躍する。同期のジャスティスに比べて実験的な装備が満載されているのが特徴。本来の予定パイロットはイザークとのこと。
最終話でプロヴィデンスとの戦闘で大破しながらもパイロット共々生還し、オーブにて修復される。修復後本機は封印・秘匿されていたが、「DESTINY」PHASE-13にて再起動。アークエンジェルと共に武力介入を開始する。
PHASE-34にてフォースインパルスに撃墜され、海中に没する。
MBF-02+AQM/E-X01(EW454F) ストライクルージュ
「DESTINY」PHASE-39、エターナルの危機を受け、アークエンジェルにある機体の中で唯一宇宙に上がれる機体だった事から、カガリから借り受け使用。
キラの調整により、PS装甲の色は通常のストライクと同様のものに変化している。
本放送版ではエールストライカー、HDリマスター版ではオオトリを装備している。(形式番号の()内はオオトリの形式番号。)
専用に改造したシャトルで宇宙に上がると同時にバルトフェルドのガイアの援護を開始、多数のザクウォーリアやグフイグナイテッド、戦艦を相手取り、機体性能差と数的不利をものともせずに奮戦、本機は大破しつつもストライクフリーダムの出撃準備までの時間をどうにか稼ぎ出し、エターナルに着艦・収容された。その後は修復の後オーブに返還された模様で、劇場版でもカガリの乗機としてルージュカラーのストライクが運用されている。
ターミナル製のMS。元の設計はフリーダムと同期の機体を魔改造でセカンドステージ相当に引き上げた機体。自身初の専用MSでもある。「DESTINY」PHASE-39にてラクスから受領し搭乗。第二次オーブ防衛戦やメサイア攻防戦で活躍、レジェンド撃破など多大な戦果を挙げた。TV本編では無傷だがそれ以降の展開では装甲への損傷が描写されている。戦後はオーブ所属機としてAAに配備されていたそうだが、何者かによって奪取され、ファウンデーションにより撃墜され、失われた模様。
「FREEDOM」にてキラが搭乗する新たなフリーダム。開発はオーブだが、プラントの技術者も開発に関与している。あまりにも実験的要素の多かった初代フリーダムの正統な発展型と言える後継機ともいうべき機体で、新たに可変機構を搭載した。地上、宇宙を行き来しつつ、各地の紛争・テロの鎮圧に励む。
「FREEDOM」後半で搭乗する機体とその強化形態。
宇宙世紀系クロスオーバー
機動戦士ガンダムSEEDのアニメ最終話から3ヶ月後に発売されたSDガンダムGジェネレーションアドバンスで搭乗する機体。
ここまでずっと搭乗していたエールストライクはNT試験用ジム・ジャグラーに乗り続けていたムウ・ラ・フラガに譲った為、乗り換えることになった。
またこの世界線でのフリーダムは地球連邦軍(地球連合)製の機体であり、ザフトを裏切ったラウ・ル・クルーゼに譲渡され、敵として立ちはだかる事になる。
ゲーム内のムウ生存ルートが正史とするならキラはリ・ガズィでアスランの乗るイージスの動力部のみを撃ち抜き爆散させることなく無力化させ、更に続けてクルーゼの乗るフリーダムを撃墜する事になる。
本家外アナザー系クロスオーバー
なし。
メディアミックスでの活躍
SEEDの主人公だけあって、『機動戦士ガンダムSEED』が参加する各種ゲーム作品等には必ず登場しており、劇中の活躍やスーパーコーディネイターという設定からも、パラメータは非常に高く設定されている。そして、原作と同じく主人公だけでなくヤマト隊のリーダーとしても活用可能。
Gジェネレーションシリーズ
「戦え!君達は、ここで死んではならない!」 - トレーズ・クシュリナーダ
「貴方の力に、合わせてみせる………!」 - カリス・ノーティラス
「キラ君の援護を!急いでッ!」 - マリュー・ラミアス
(C.E.71)「蹴散らすぞ!キラ!!」/(C.E.73)「キラ!俺が牽制する!その隙に攻撃をッ!」 - アスラン・ザラ
「自由の翼を、貴方に………!」/(C.E.71)「貴方の決意に、私も応えてみせます………!」/(C.E.73)「キラ………どうか、ご無理をなさらぬよう………!」 - ラクス・クライン
(血縁系)「キラ!支援するから仕留めろよ!」 - カガリ・ユラ・アスハ
「キラ・ヤマト………!今は力を貸してやる!」 - カナード・パルス
「キラさん!俺から行きますよ!」 - シン・アスカ
「刹那といい、ガンダムバカって奴は………!」 - ニール・ディランディ
「まさか、肩を並べる日が来ようとは………!」 - グラハム・エーカー
「トランザムを使えば………!」 - ガンダムエクシア、ダブルオーライザー、ダブルオークアンタ搭乗時
「これなら、ファング!」/「よし!ファング!」/「行ってくれ!ファング!」 - GNファング搭載機搭乗時
~以上、Gジェネクロスレイズでの特殊会話~
初登場は『SEED』。『PORTABLE』からはC.E.73バージョンが参戦。
原作再現重視のためかSEEDシリーズの総合的な主人公として扱われており基本的には終始キラ視点で物語が進んでいく。
『ADVANCE』ではアニメ終了から3ヶ月後の発売という事もあり、原作とは違う流れでフリーダムは地球連邦軍(地球連合)側のクルーゼ機として登場したり、ムウはストライクに乗ってクルーゼのフリーダムと相撃ちになるルートがあるなど、原作とは異なった結末が見られる。
『CROSSRAYS』ではザフトの白服を着たキラも登場する(ちなみに同作でスーパーコーディネイターのスキルを有しているのはC.E.73版とザフト白服版のみ。)
スーパーロボット大戦シリーズ
スーパーロボット大戦シリーズでは性格や行動に改変が加えられることが多く、スパロボ補正を受けるキャラの代表格のひとりとされる。
ストライク時代とフリーダム時代では運用方法が異なり、パイロットとして求められる能力も変わってくるため注意して育成したい。
尚、「スーパーコーディネイター」という出自は原作ではどの程度の人間が知っているのか曖昧だが、スパロボで「DESTINY」名義での参戦は、限定的或いは(何故か)世間に広く知られている場合があり、敵勢力からはその事で一々皮肉や嫌味を言われる事が多い。
第3次α、J、W、X-Ω、DDではSEED名義、その他の作品ではDESTINY名義での参戦となっている。
その立ち位置やあちこちを転戦している経歴からか、自軍への正式参入が遅い作品が多い。
第3次αでは、人類補完計画が発動される中、精神的に負けそうな碇シンジを励まし、原作とは違う結論を出す一因になっている(サイと喧嘩してしまった際に諌めてもらえたこともあってか、他作品のキャラより熱心に応援していた)。
Zシリーズでは武力介入を行い、他作品のキャラ達からも批判されているのだが、地球人vs異星人の戦いにはほぼ介入せず地球人同士の争いにばかり介入するなど、行動にマイナス補正がかかっていると言ってよく、その後の極端な展開もあって、一概に原作通りとは言えない側面も強い。また初代Zにおいてはランド編を選択してもスポット参戦ばかりで終盤に差し掛かったあたりでようやくストライクフリーダムと共に加入する。
セツコ編では原作通りの傍迷惑な第三勢力として扱われ、終盤までミネルバ隊側からの印象は悪いが、逆にランド編でのアウトサイダー組からは共に行動こそしないが同じ志を持った仲間として扱われている。
条件を満たしてifルートへ進むと、原作では終戦後にようやく直接対面するシンと早期に和解する、ステラが生存していれば確執も完全消滅したりと一概に扱いが悪いとも言い切れない。
名前ネタから『宇宙大帝ゴッドシグマ』の登場人物である吉良謙作(通称キラケン)と仲が良く、「キラと吉良でキラキラコンビじゃ!」と絡みに来るキラケンを、悪しからず思っており、続く第2次Zではランカ・リーが「星間飛行」を歌うシーンに於いて「いい歌だな…キラケンさんにも聞かせたい」などという台詞を漏らしている(これはZの時点で、キラケンが味方部隊の中で一番積極的にキラと打ち解けようと努力していたのも大きい。ただし第3次ではゴッドシグマが未登場な為、このコンビは自然解消されてしまっている。余談だが、『マクロスF』で保志氏はランカの実の兄役で出演している)。
初代Zでは『交響詩篇エウレカセブン』の登場人物・マシューからフリーダム王子なる渾名を付けられていた。
Jでは原作とは打って変わって負の一面が無く、優柔不断な一面もあまり見せず、熱血気味になっている。しかもフレイが殺された際に張本人であるクルーゼに原作以上の殺意と憎悪を抱き、更には彼を明確に否定するような発言までする。
Wでは原作以上に優柔不断な性格となってしまっており、「どうして…」と言っては反論される。
第2部のストーリーがアストレイメインになっている都合上、本格的な参戦が遅く、他作品のキャラクターにセリフを取られてしまったり、見せ場で決めることができなかったりと若干不遇気味(これは、彼を諌めたりしてくれる人物がいなかった弊害と思われる)。
しかしフラグ立てを頑張れば原作では死んでいるキャラが軒並み生存し、原作では自らが殺害してしまったニコルと友人になれる、トールとも再会、更にフレイに至っては無条件で生存して和解するのでその点では優遇されている。
他にも原作ではキラ自身存在すら知らなかった命の恩人であるロウと対面・共闘することになったり、スーパーコーディネイターの失敗作であるカナードとの直接対決が実現する。フラグを立てると一緒に自軍に入り和解する。
なお、K以降の携帯機作品においては何らかの形で優遇されることが多く、Lに至ってはシンとは原作では意見がかみ合わなかった初対面時に意気投合し、ベルリン市街地戦でシンと共にステラ救出に貢献したことから、後に窮地を助けたり助けられたりしている(但し、『L』ではまさかのフリーダムは絶対に使用不可能である)。
とまあ、スパロボにおいては扱いが極端になりがちなキャラクターである。
とは言え近年ではシンとともにダブル主人公としても扱われることが多く、ステータスも彼の愛機共々非常に高いのでファンにとっては嬉しいことでもあるだろう。
スーパーロボット大戦DDではストライク搭乗時期は、別世界のパイロット達と共闘こそするが、最終的に早々に別れる事になると思っていたので、周囲とのコミュニケーションはあまり取らず、基本はフレイと一緒にいる事が多かった。しかし、ゲートは相変わらず繋がったままで、やがてインベーダー等の外敵が侵入する事態が起き、更にゲートを繋げた者達の悪意と、並行世界規模の危機が迫っている事実が判明した為、結局は一蓮托生の間柄となり、フリーダムに乗り換えて以降は改めて共に戦う仲間として絆を深めていく事になる。『W』と同様にフレイ、そしてナタルが救われるのだが、敵であるブルーコスモス側のキャラ達までが何者かの干渉を受けて生き延びる事態が起きる等、良くも悪くも原作とは異なる紆余曲折を経る事になり、隠遁生活を送る暇も無く、「ディバイン・ドゥアーズ」の一員として活動していた最中、遂に『DESTINY』の戦争が勃発してしまい、ブレイク・ザ・ワールドの事件から所属する第3世界の表舞台に復帰するが、異世界の部隊であるディバイン・ドゥアーズとの関係の影響で、世間からは疑惑の目で見られており、シンとの関係に至っては「異世界の部隊に与して戦い、家族を巻き添えにした」という形で既に恨まれてしまっている有様で、かなり苦しい立場にいる。
だが、他の世界で積んだ経験と頼もしい同胞に恵まれている環境もあってか、「戦争を止める」という信念はむしろ原作以上に強くなっている節があり、積極的に仲間達の力を借りている影響で圧倒的な武威を見せつける形になってはいるものの、かなり徹底して自分達の理念を通す戦い方をしている。
しかし、ベルリンでの戦いの際は、ステラを助けたいシンの説得をカミーユとフォウに一任し、何とかステラ救出の為の協力を認めるようにこぎつけたが、戦闘に介入していたムルタ・アズラエルの指揮する第三勢力のディスコード・ディフューザーがキラが攻撃したように見せかけ、ステラの乗るデストロイを撃墜。これにより、原作よりも深い恨みをシンに持たれてしまったが、今回のキラはステラを助けたいシンのサポートに回っており、原作のようにやむを得ず撃墜するような状況にもなっておらず、トドメを刺したのは第3勢力の彼らであり、現状キラ及びディバイン・ドゥアーズはディスコード・ディフューザーの策略に嵌り、絶賛濡れ衣状態である(しかし、シンからは裏切られたも同然の状況で『DD』でのシンの境遇もあって説得はかなり難しい状況になっており、一応、ステラは生存している可能性があり、アキトとルリが生存を匂わせる意味深な会話をしている)。
尚、2024年2月以降は『SEEDFREEDOM』公開後となった影響もあってか、シナリオではそれを意識したやり取りが行われている。
ガンダム無双2
自身のミッションでは「戦いはまた新たな戦いを生む」という矛盾に苦しみながらも、戦いを止めるために戦い続ける。
ガンダムVSシリーズ
ガンダムVS.ガンダム/ガンダムVS.ガンダムNEXT
SEEDからはストライク、DESTINYからはフリーダムと共に参戦。
続編NEXTでは新たにDESTINYからストライクフリーダムと共に参戦。また、フリーダムがSEED枠に移動している。
ストライクフリーダムは隠しボスとして登場した後にプレイアブル化された。
ちなみに、NEXTのストライクのキラは私服バージョンである。
エクストリームバーサスシリーズ/ガンダムバーサス
SEEDからはストライク、DESTINYからはストライクフリーダムと共に参戦。
どちらも熱いセリフや叫びの復活で、ファンを喜ばせた。
ちなみにフリーダムはPS3版で2012年1月26日にDLCとして配信が決定しており、キラ本人の服装はSEEDパイロットスーツである(価格は500円)。
続編のフルブースト以降もストライク、フリーダム、ストライクフリーダム、ライジングフリーダム(OBから追加)に搭乗し続投している。
マキシブースト及びONではハイペリオンが参戦しカナードとの掛け合いが追加。更にボスとしてミーティア装備のストライクフリーダムと、ボス仕様のストライクフリーダムが登場。こちらもプレイアブル仕様にも劣らない熱い叫びを見せている。
その他の外部作品への出演
パズドラ
2023年2月23日に開催されたガンダムコラボに登場。
愛機のストライクやフリーダムのみならず、キラ本人もアシスト向けのモンスターとして参戦している。
なお、参戦したのは『SEED』のキラのため、ストライクフリーダムは未参戦だったが、第2弾でストライクフリーダム、マイティーストライクフリーダムが参戦した。
モンスト
2023年1月14日12時より開催された『ガンダムシリーズ』コラボイベントにて、期間限定ガチャより登場する☆6キャラの一人として、搭乗するモビルスーツと共に実装された(性能についてはこちら)。ちなみに獣神化前のイラストにはストライクガンダム、獣神化後のイラストにはフリーダムガンダムが描かれている。
それから約1年後の2024年2月11日、まだ劇場公開中だった映画『機動戦士ガンダムSEEDFREEDOM』とコラボが発表。主役である彼ももちろん期間限定ガチャより登場する☆6キャラの一人として登場し、映画内で彼が搭乗するこの機体(転送先ネタバレ注意)とヒロインの三者が集合している姿が公開された。
第3弾ではアムロとバナージと共に獣神化・改が実装、機体もストライクフリーダムガンダムになったことでDESTINY仕様になった。
関連イラスト
SEED
SEED DESTINY
ファイナルプラス,スペシャルエディションなど
関連項目
機動戦士ガンダムSEED 機動戦士ガンダムSEED DESTINY 機動戦士ガンダムSEED FREEDOM
フレイ・アルスター サイ・アーガイル ミリアリア・ハウ トール・ケーニヒ カズイ・バスカーク
ラウ・ル・クルーゼ レイ・ザ・バレル ギルバート・デュランダル
ロウ・ギュール:イージスの自爆で大怪我を負ったキラを助けたのが彼であり、ユニウスセブンで危機に陥ったラクスがポッドで脱出する時間を稼いだのも彼。つまり、キラとラクスにとっては共通の命の恩人にして、互いを見つける切っ掛けと再会の機会を作ってくれた縁結びの神の様な人物。ただ、惜しいことに、当人達はその数奇な縁自体を知らない。
カナード・パルス:キラと同じくスーパーコーディネイターとして誕生した少年。だが、基準を満たさなかったためにキラとは違って失敗作の烙印を押され、そのためキラを殺すことで自分が本物になるという事に固執していたがある人物との関わりを機に考えを改めている。失敗作とはいえその能力は後天的な努力もあって非常に高い。
カップリングタグ
NL
腐向け
アスキラ イザキラ フラキラ(ネオキラ) カナキラ ディアキラ ニコキラ
その他関連タグ
ランカ・リーの「キラッ☆」:スパロボやA.C.E.シリーズではこのセリフに反応することが多く、兄がキラと中の人が同じ。
ジノ・ヴァインベルグ、ミハエル・ギャレット:中の人が同じで、スパロボで共演したことがある。
ホシノ・ルリ:スパロボシリーズで幾度も共演。特に『V』ではルリも「スーパーコーディネイターの成功例」という設定を持っている。
ヒビノ・ミライ/ウルトラマンメビウス:コンパチヒーローシリーズでは絡む事が多い。性格も似ている。
表記揺れ
機動戦士ガンダムSEEDFREEDOMにて(ネタバレ注意!!)
再び主人公を務める。
世界平和監視機構コンパスの一員となり、戦艦ミレニアム付きのMS小隊「ヤマト隊」の隊長を務める。階級は准将と若年ながら高位で、組織内では事実上ラクスに次ぐ権限を有している。
戦闘では部下になったシン達に人命救助や拠点防衛などの後方待機を命じ、ライジングフリーダムを駆り単独で敵陣に向かっていくなど、ヘリオポリスで初めて戦争に身を置いた時以上に精神的な余裕がなくなっている様子がうかがえる。
ラクスとは彼女自身も多忙であるため共に過ごせる時間が減っており、1ヶ月ぶりに自宅に帰れる予定だったのに新装備の調整を優先して帰宅が夜遅くになったりとすれ違うようになってしまっていた…。
これらの変化の原因は、「自身がデスティニープランを否定しデュランダルを討ったことで、以降の世界の在り様を決定した」ことによる責任から来る強迫観念によるもの(無論、実際には多くの人物が同じようにプランとデュランダルを否定したのであり、本来キラ一人が責任を背負い込むべきものではない)。
また、何度繰り返そうと終わりが見えない戦いの連鎖を目にする中で、そんな世界を予め予知していたかのようなデュランダルの言葉が脳裏に過り、自身の信じた道が正しかったのか疑念が生じていくことになる。
そんな折、新興国であるファウンデーション王国から、ブルーコスモスの指導者ミケール大佐逮捕に協力したいとの申し出を受けることとなり、招待されたファウンデーション領内にて宰相であるオルフェ・ラム・タオと会合。
夜の庭園で久しく見ていなかった笑顔をオルフェに向けているラクスを目撃してしまい、更にオルフェから 「君は彼女には相応しくない」「デュランダル議長を討って、秩序、平和、争いのない社会を人々から奪った。にも拘らず、君が生み出すのは破壊、憎しみ、そして死、そんなものばかりだ。違うかい?」「私なら彼女の望む世界を創れる。君には出来ない。戦うことしか出来ない君には」 などの自らが心の内で懸念していたことを指摘され、何一つ否定出来なかった……。
中盤ではエルドア地区での合同作戦中にブラックナイツの持つ能力により精神に干渉され、指定されていた軍事境界線を超え暴走。
ラクスが自分への攻撃を許可したのを聞いてショックを受ける。
ファウンデーションの奸計に嵌められた格好となり、ライジングフリーダムを含む主力MS部隊及び母艦のアークエンジェルで編成されたコンパスの主力部隊は壊滅。
ラクスは核攻撃からの避難という形でオルフェ達と宇宙へ。
機体と母艦を失いながらも、秘密裏に行動していたアスランの救援もありキラ達はオーブに生還し窮地を脱していた。
その後、黒幕の正体とその目的を知り、アスランがラクス救出を提案するがキラは投げやりだった。
「だから、ラクスは僕を捨てて彼を選んだ」「僕じゃ駄目なんだ!ラクスの望むものを何一つあげられない。平和どころか彼女を笑わせることも出来ない!僕には幸せに出来ない!だから彼女は僕を裏切ったんだ!」
とまで宣い、その腑抜けた態度に苛立ったアスランに殴られる(この時、アスランは当初の「無駄だよ。どうせ同じだ、僕らが何をやっても。結局また繰り返しだ」「あんなに苦しんで、迷って、戦って、戦って、戦って!でも、何も変わらない……それは僕が間違ってるからなのか?」という吐露には「キラ…」と呟き、同情したような表情を浮かべていた)。
「仕方ないだろ!“君らが弱い”から……!」
と、頭に血が上るあまりいつもなら言わない本音まで吐き出す。
それを聞いたアスランからは「ふざけるな!それで世界を一人で背負った気になって思い通りにならなきゃ放り出すのか!?大したヒーローだな!」と糾弾された。
その言葉に動揺しつつも 「違う!」 と意地を張って殴りかかる。
「僕がやらなきゃ駄目なんだ!嫌だけど……必死でっ!」
反撃するも、軍事訓練も受けていないキラがアスランに敵うはずもなく、一方的に打ちのめされていく(この時にアスランから庇おうと仲裁に入ったシンをアスラン共々一発ずつ殴っている。キラの拳をアスランが後退して避けているのでわざとではない模様)。
一発もやり返すことすら出来ずに殴り倒されたキラは遂にシンプルな本心を口にする。
例え相応しくなかろうとも、無力であろうとも、
ただ 「ラクスに……会いたい……」「ラクス……ただ隣で笑っていて欲しいだけなのに……僕にはもう、どうしたらいいのか分からない……!」 と……
涙とともに抱え込んでいた思いを引き出されたキラは、アスランから差し出された手を掴み再び立ち上がる。
愛する人のため、守りたい世界のために、苦しんで、迷って、それでも戦ってきたが、何も変わらない現実に苦悩し、遂には匙を投げてしまった。
しかし、そこにはただ「ラクスに会いたい」という自分の願いを受け入れ、それだけの為に力を貸してくれる“仲間達”がいた。
キラの戦いに、無駄な事など一つも無かったのだ。
その後、テスト用(という割に装備追加も含むかなり大規模改修)として眠っていたかつての愛機の改修機を受領し、仲間達と共にラクス奪還とファウンデーションとの決戦に向かった。
そして戦闘が始まる。これまでキラはシン達に後方の守備や避難誘導を命じて自分だけ前線で戦っていたが、「シン、ミレニアムを頼むよ」と彼らにミレニアムの護衛を任せ、ストライクフリーダムをアスランに託し囮とすることで敵地に潜入(トリィとブルーは量子ネットワークで繋がっているのでラクスの居場所は特定出来た)。
ラクスにナイフを突きつけ「それ以上近づいたらこの人の眼を潰すわ!喉を切ってもいい!歌えなくなったこの人をそれでも愛しているって言えるの!?」と問うイングリット・トラドールに対し、
「ああ!その目が見えなくなっても、声が失われても、ラクスはラクスだ。僕はその全てを愛している!」
そう躊躇わず言い放つキラへ、感極まったラクスはイングリットの拘束を振り払ってその胸に飛び込み「愛しています!わたくしも!」と言いつつ抱擁を交わした。
脱出後はストライクフリーダムガンダム弐式に搭乗していたアスランとパイロットを交代、奴らは強いから気をつけろとアスランから警告を受ける。
「今度は負けない。僕は一人じゃないから」
シヴァとの戦闘を開始するが、そこにオルフェの駆るブラックナイトスコード カルラも出現、1対2での戦闘になってしまう。機体性能で勝り、且つビームが効かないフェムテク装甲を纏っているため、ビーム兵器主体のストライクフリーダム弐式では相性が非常に悪く、カルラの操る大型ドラグーン『ジグラート』からの、(通信障害等で戦艦の運用効果が激減することを前提に設定が造られるガンダムシリーズとしてはある意味『禁じ手』である)戦艦並みに強力な支援砲撃もあり、徐々に追い詰められるが、ある意味キラの真骨頂である生存能力を見せつけて、核動力MSがフェイズシフトダウンを起こすほどの驚異的な戦闘を行って窮地を凌いだ。
その後、アスランのズゴックがギリギリのタイミングで救援に到着。さらにズゴックの登場で生じた隙を使い、ラクスが乗って駆けつけた新装備「プラウドディフェンダー」とドッキングに成功、ストライクフリーダム弐式が強化されたマイティーストライクフリーダムガンダムで、カルラを圧倒する。そして…
「僕は自分の手で未来を選ぶ!」
そう宣言しつつ、カルラにフツノミタマを突き立て撃破。この戦いに終止符を打った。
戦闘終了後、オーブ首長国アカツキ島の海岸へと降下してラクスと二人きりとなり、口付けを交わす。
たとえ争いの絶えない世界であろうとも、「愛」によって結びつきをより一層強めた2人は、これからも支え合い、幸福な未来を模索しながら懸命に生き続けていくことだろう。
余談2
『DESTINY』では、「仙人みたい」と一部のファンから評される程に悟りきった雰囲気が目立ち、これ以上成長の余地が無いような印象が強かったキラ。
- キラ役の保志氏は劇場版公開後に、『DESTINY』のキラは達観していて、『SEED』初期から比べると「もう大丈夫」と思えるような男になっていました。なのに、本作では昔のキラに戻ったみたいで。アスランたちに弱さを曝け出してるところなんて、特に違和感あったんです。『DESTINY』を経たキラなのに、こんなふうになるのかなって。でも、福田監督と話して、「キラは大人になったわけじゃないよ」「あのころに戻っていいんだよ」と言ってもらえて、すとんと腹落ちしたんです。と述べられている。
実際には自身の決断と行動が本当に正しいのか思い悩む描写もあり(SEED開始時から最も長くの時間を共に戦ってきたマリューには内心抱えている不安や迷いを吐露するかの様に話していた)、またそれによって発生する被害に苦悩することも皆無だった訳ではない。何らかの大きな決断を迫られて迷った際には、逆に自分がアスランから背中を押されることになるなど(ついでにラクスの機嫌を損ねるようなうっかりをやらかしかけたり)、良くも悪くもまだ精神的に未熟な面を多く持つ人物であったが、今作では友情や愛を通して、人間として更なる成長を遂げる彼の姿が描かれることになった。
特にアスランとの殴り合いのシーン、及び、その時の暴言等はファンからも
「(ずっと溜め込んでいたものを)言えたじゃねえか」
など、『一人の人間としての弱さをようやく見せてくれた』と言う点で好意的に評価されている。
また、似たような「みんなが弱いから自分が戦わなきゃいけなくなってるんじゃないか!!」という趣旨の発言として「やめてよね」がある(あっちは「人を殺しても何とも思わないと思ってるならその殺人マシーンにせめてこれ以上ストレスかけないでくれ、放っておいてくれ」という特大の皮肉であるが)ため「やっと砂漠編直前位にまでメンタルが回復してきた」という見方も出来る(なお、この頃のキラはかなり荒れており、力もなく理想論を振り翳して自身の無謀な行動を顧みようとしなかったカガリを叩いて嗜めるなどの行為にも及んでいるため、アスランと殴り合うという行為自体もまた「最低限砂漠編までのメンタルに持ち直してきた」と取れる)。
尚、福田監督は「君らが弱いから!」との台詞は、見た人から怒られるだろうと思っていたらしく、(上記でも解説したように)歓迎されている事が理解できないとコメントしている。
ちなみに『DESTINY』のキラについて福田監督は2024年3月号のアニメージュで「あの頃のキラは達観していたというよりも、相当心が疲れていたんです。だから、元に戻してあげたいという思いがありました。あの子は元々、戦いとは無縁の普通の学生だったわけですから。」
映画のパンフレットでは「DESTINYの時はある意味刹那的で投げやりだったから、「自分は戦いたくなんてないのに、なぜそんなに戦いたいんだ。君たちは!」というスタンスで戦うことができた。でもそれはある意味キラの心が壊れていたからで、そこから2年経って少し癒された状態で改めて世界と向き合ったときに、「自分がやってきたことは、本当に正しかったのか?」という、自分と世界の現状を見つめ直すところからスタートになっています」と語っているので、「仙人の如く枯れた」と言うよりは躁鬱による感情の減少である(かなり不憫だが、裏を返せばそんな状態でも他者を思いやる心を失わず、何だかんだで第2次大戦を戦い抜いたその精神力は驚嘆に値するし、廃人になっても不思議では無い状況に追い込まれても自分を保てたのは仲間達からのフォローが大きく、戦いの中で多くを失いつつも、同時に多くの大切な物を得ている為、かなり恵まれていると言える)。また海外インタビュー記事において監督は『DESTINY』のキラは壊れていたと言ってもいい、ラクスに対する感情は「addiction than love」であり、「ラクスがいなくなったら僕も死ぬ」という精神状態だったと話されている。
こちらのインタビューでは、インタビュアーがフレイの事を触れている。
『DESTINY』の時のキラは、フレイのことだけじゃなく、山程いた亡くなった人たちも含めて心が病んでいたんです。そもそも、あの二人の関係については、恋愛的な好き嫌いとは少し違うんです。キラはフレイを逃げ場にして、フレイもキラを利用しようとして、ひどいことをしてしまったとお互い思っている。よりを戻したかったわけではなく、ゼロから関係を再スタートさせたかったんです。一応、劇場版にもフレイは出ていますね。
――キラの部屋にある写真の一枚に、本当に小さく映っている……。
そう、そこはこだわって入れるようにした部分です。昔の女というわけではないんですが、ラクスはフレイの顔を知っていますから、キラとしては堂々と置いておくわけにはいかないんです。なのでチラッとだけ映っている写真を飾っているんですが、まぁラクスは全部知っていて、しっかりバレていますけどね(笑)。
作中で登場したラクスとツーリングで乗っていたキラの愛車『GoldWing』には自動車大手メーカーHONDAが関与(バイク協力としてクレジット)がしておりバイクのチョイスは監督とホンダの広報の推し。ちなみに通常価格350万円以上はする超高級車。サイズも大型なだけあってかなりの重量で400㎏ぐらいある。倒れたら一人じゃ引き起こしできないほど重いのだが、コーディネイターなので重いバイクも楽勝とのこと。
監督:バイクって自由の象徴だと思っているんです。まさに映画のタイトルなんですけど(笑)。キラとラクスって若いにもかかわらず人類の命運を担う重大な任務に就いていて、落ち着いたカップルのような感じに見えますが、本当は2人とも個人の自由というものを大事にしています。クルマだと安定とか……イメージするものが違うと思うんです。クルマは一軸的というか平面的な動きに感じますが、バイクはロール方向の動きもあるから、より解き放たれたフィーリングがある。キラとラクス、2人が渇望する自由を象徴する意味で、バイクはふさわしい乗り物だと思っています。
なおオーブ・オノゴロの海辺で二人が乗ってた車は、デスティニーでアスランが乗ってたものであり本来の所有者はカガリであるとのこと。
監督が明かした没となったネタでは、冒頭での家でのシーンで悪夢に魘されるキラがラクスと無理矢理してしまうといったものや、作中では2日程だったファウンデーション王国の滞在も当初は4日位であり、その間にラクスと修羅場になって泣かせるという、あまりにも救いのない鬱展開も考えられていた模様。
花見デートしている時、ヘリがラクスを迎えに来てラクスは仕事に行って、ぽつんと置いていかれるキラ。というシーンがあったがカットそうな。(2024年3月9日舞台挨拶)
因みに作画ミスなのかズゴッグが脱皮する際アスランの名前を呼ぶ時一瞬SEEDが解除されている。
雑誌インタビュー
キラとラクスが愛の言葉や口づけを交わす様が明確に描写されたのは今作が初めてである。
監督は『月刊アニメージュ』2024年4月号でこのように語られている。
───今作でとても印象的だったのが、キラとラクスの関係の描写です。『SEED』『DESTINY』だと名前をつけづらい関係だったというか。
キラとラクスはその性質に細かな変化はありますが、想い合っているのは変わっていません。具体的な言葉は言わせていませんでしたが。
───つまり、二人の関係性がこれまでと変わったわけではないと。
はい、変わってはいません。というか、最上の気持ちだからこそ「好き」って言わせなかったんです。でも、今の時代的に、言葉でないと伝わらないのかなと。作品でもアスランが言っていますが、「言葉にしないと伝えられないこともある」と思ったんです。ならば、「好きです」というんじゃなく、「愛しています」にしようとスタッフに話しました。
「本当に好きな気持ちは、もっと違う形で伝えたり、お互いの関係性の中で感じ合ったりすることだろうと僕は考えていたんです。ただ、今回きちんと言葉にしたことで、お客さんにも伝わったようで、「そうなんだ」となりました(中略)現実でも作劇においても言葉は大事だと、今回身に沁みてわかりました」
2024年5月号の『月刊ガンダムエース』でも「実は二人の関係性が、この映画の前後で特に変わったわけではないんです。EDの最後のシーンも、今まで自分たちが背負っていた余計なものを全部捨てましたということで。紆余曲折して、ようやく元の二人に戻れた。わかりやすいようにテレビではさせなかったキスシーンだけは入れましたけれど(笑)。」と語られている。
保志氏は『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM Special Edition 運命に抗う意志』にて、「確かに言葉でお互い伝え合ったのは、これが初めてでした。『ガンダムSEED DESTINY』では、そういうところをある種超越した絆が完成していたところがあったので、キラとラクスに関しては恋愛的な要素を描かなくても「みんなわかってるよね」って、暗黙の了解というか安心感がありました。それが今回、オルフェをはじめとした新キャラたちが絡むことで、キラとラクスの間にすれ違いが起きます。そういうシーンを描くことで、「ちゃんとケジメをつける」じゃないけど、観ているみんなの前で宣言することができました、きっと観てる人も、キラとラクスのちゃんとした気持ちが聞きたいと思っていたと思います。明確にお互いがお互いをどう思っているかという部分をちゃんと聞けたのは、僕自身もいち視聴者としてもすごくうれしかったです」と返答され、MOVIE WALKER PRESSでは、「『DESTINY』までのラクスの愛は、ともすれば『ガンダムSEEDシリーズ』全体を包み込むような大きさでしたが、今回は明確にキラに対しての愛を描いてくれていて、そこはスッキリしたと言うか、僕としても観たかったものが観られてよかったです」と語られた。
機動戦士ガンダムSEED FREEDOM キャラクターアーカイブ
監督のインタビューとコメントから抜粋。
───中でも、ふたりの愛情にスポットが当たっています。
「愛情はね、ふたりの間には昔からあります。ただ、いろいろ心に抱えているものが互いに多すぎて、それに縛り付けられている。そこからどうやって彼らが自由を獲得していくのか、その「資格」と「価値」を探るのが今回の物語です」
「あの家は、そもそもキラとラクスっぽくないでしょう?見晴らしの良い邸宅だけど、ああいう場所を好む人たちではない。」
───確かに、マルキオ導師とともに身を隠していたときの家の方がイメージに合いますね。
「環境的にも自然の中にいたほうがいいし、あそこに住んでいるならそもそもバイクには乗らない。つまり、ふたりは自分の適した場所に軸足を置けていない。そんな居心地の悪さや違和感から生じた隙を、ファウンデーションに狙られるのが本作の前半ですね。」
「まず、ファウンデーションまで行ってしまったのが隙だらけですね。最初、ラクスは警戒していたけれど、キラが「いいんじゃない」と言ってしまった。それが間違いだったわけです」
「ふたりとも、静かに暮らしたい人たちなので。だけどいろいろなものを背負わされて、やりたくないことをやらされている。貧乏ではないけれど、心は満たされていない生活でしょうね。」
「キラは誰も信用していないので、部下であるシンにもアグネスにも出撃許可を出さない。シンはそのことにフラストレーションを抱えています。」
「キラとラクスは、この戦いを通じてようやく他人に託す道をひとつ作ることができたのかなと思います。」
また本誌において後藤氏はキラの心情を書くうえで大切にしたことは「デスティニープランを否定したことで世界に対してすごく責任を感じています。その重圧でラクスにさえも心を閉ざし、結果的に独善的になってしまう。そういうやりきれなさを表現するよう心がけました」
小説版には「僕にはもう、どうしたらいいかわからない!」と吐露した際に、何もかも自分一人で背負っているつもりだった。そうしなければいけないと思った。デュランダルを討ったことで世界から奪った平穏を、何とか取り戻そうと必死にあがいていた。その間、ラクスがどんな思いでいたか、ほかのみんながどんな気持ちでいたか、考えることもできずに。自分勝手な思いばかりにとらわれていた。ラクスだって同じように苦しかったはずなのに……。と独白している。
舞台挨拶
キラとラクスは同じ第一世代同士なのでキラとラクスの間で子供を授かることは可能。
オルフェとは遺伝子的に似通っているキラだが「生まれたのはオルフェの方が早いため、オルフェがキラが似ているのではなく、キラがオルフェに似ている」「だからオルフェとは無条件で惹かれあうようになってるラクスは初対面からキラに惹かれたのかもしれない」とのこと。
もっとも、きっかけはどうであれ今のラクスはキラそのものを愛している。「最終的にオルフェではなくキラを選んだ」とも言われていて、劇中で描かれている通りである。
「失敗作」は両澤氏発案の台詞。分別としてアコードはESP、ムウはニュータイプ的なもの、一般のコーディネイターがいる。キラはアコード程の能力がない普通のコーディネイターという意味だったと思う。ユーレンはキラをコーディネイターとしては成功だったと思っています。(2024年4月18日のティーチイン上映会より)
3月10日の舞台挨拶
アスランにボコボコにされたし、ラクスも暗殺の危険があるしこの後キラは体鎩えたりとか射撃訓練するんじゃない?拳銃とか訓練するんじゃないかな。射撃はアスランが教えにくるよ。それかマリューさん。
2024年3月17日の舞台挨拶
ラクスとカガリが敵対することになったら、キラはラクス、アスランはカガリにつく。
ラストシーンは2、3日くらいかけて来ている。最初に戦いが終わった後処理をするのにオーブと大西洋とプラントで話し合いをして。二人の処遇を決めるまで姿を隠している。休暇ですね。アカツキ島はアスハの島ですから。今回はオーブの一人勝ちだからカガリの言うことが通りそう。
今後がどうなるのかは不明だが、いつか二人に平穏無事な日常を送れる日々が来ることを願うばかりである。
ちなみに福田監督は2月のラジオだと「ラクスがアコードって判ったらアイツ大変だよ。殺されかけるよ」「とっとと地球帰っちゃったのは生死不明にしようと思って」と言及しており、映画のラストシーンでキラが仲間たちの元ではなく二人でオーブに向かったのはそういった事情や意図があったようだ。
小説版
キラとラクスの完全隠居(公式には戦闘中行方不明)を漂わせるエピローグ(アスランが「これから世界は彼ら抜きでやっていかなきゃならないんだ」と、元々戦いなど望まぬ二人が心をすり減らしながらやってきた結果ボロボロになって互いを思いやる気持ちすら失いかけてた彼らをまた戦いに引き戻すことなど決して望まぬ一方、「ラクスに導いてもらいたがってる人々を、自分の足で立つよう、うながしていけるものだろうか。キラの力を借りずに、争い合う人々を止めることができるだろうか」など彼らの力に無き今後に不安を抱いている)が物議を呼んだ。監督はその後Xで「この後二人は、とりあえず引退とかはないだろうけど(何を引退?)、少しだけ休ませてあげたいなとは思いました。ただ多分またフリーダムはアカツキ島地下で修理と改修を受けるだろうし、孤児院とは別にあるアスハの別荘とかで二人で静かに羽を休ませていそう。」との現状の構想が述べられた。
特別編第1弾のエピローグカットではほぼこの構想のままの内容が実現されている。
2024年5月号の『ガンダムエース』で後藤氏は、「ノベライズに関しては福田監督と何かお話をされたのでしょうか?」との質問に、監督にはときどき「こういうオリジナルシーン入れます」とお話しすることはありましたが、「いいんじゃない?」とだいたい自由にやらせて頂きました。ただ、「アスランが(映画では)恰好よすぎるから、ちょっと落としておいて」とは言われたかも(笑)。
またメインキャラについて「キラがとにかく難しいですね。ラクスも難しいのですが、今回は普段と違うブチ切れたラクスなのでなんとか……。カガリは今回、成長して強めで。かっこよく。シンは「変わった」と言われますが、え、そうなの?という感じです。(中略)アスランは、前回ひどい目にあってますので、今回は帳尻が合ったのでは(以下略)」
特別版のエピローグカット
9月20日からの特別版上映でエピローグカット第1弾が公開された。
・日時は5月30日の夜。
・BGM「キラ ~愛のテーマ」からの「静かな夜に」。
・しばらくはオーブでカガリの別荘に住む。そこなら地下の格納庫にもすぐ行けるし、マリューたちが近くにいるから安心(実際、DESTINYでのラクス暗殺部隊の襲撃を受けた時、地下まで全員が無事に避難できたのはマリューとバルトフェルドが暗殺者らを蹴散らしてくれたおかげ)できる。
・アコードの力について「いいんだ別に。ラクスに嘘はつけないし、君は君だし、どんな力があっても」と全然気にしていない。
・みんなで話しアコードの力は秘密に。アレクセイ・コノエとアルバート・ハインラインが色々策を講じて、カガリとアスランが関係国をまとめる手筈であるけどそれでも分かってくれない方々とはラクスが話をする(能力的な意味で。ラクス「冗談です」)。
・ラクスの「ええ。伝えるべきことは、きちんと言葉で伝えます」発言の直後に「愛してるよ、ラクス」と伝え、ラクスも「私もです。愛してますわ、キラ」と答えた。
・キラ、ラクスのパイロットスーツが気になっていたことが判明。
11月1日の記念舞台挨拶にて、福田監督は時系列について「エンディングの4時間後」「入場者特典アフターカットポストカードの前」だと言及された。
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