コーディネイター(ガンダムSEED)
こーでぃねいたー
受精卵の段階で遺伝子操作を加えられ、母体から生育・誕生する。
優れた能力は子供への未来の贈り物ですよ。
コズミック・イラにおけるコーディネイターの歴史はまだ浅く、ファーストコーディネイターとされるジョージ・グレン(後述)の誕生(C.E.-16年)から最新時系列のC.E.75年までの91年間となる。さらに言えば、コーディネイター製造が開始されるきっかけとなったジョージ・グレンの告白(後述)がC.E.15年なことを考えると、実質的な歴史は丁度60年となる。
そのため、世代としては3世代目に到達しているものの、作中に登場するキャラクターには第一世代(親がナチュラルで自分はコーディネイター)と第二世代(第一世代同士が成した子供たち)が多い。
なお、2世代以降のコーディネイターの出産率の低さはプラントの社会問題となっている。これを解消しない限り、種族としての未来は無いという現状にプラントのコーディネイターたちは直面している。この原因について、劇中では『遺伝子の型が複雑化した事で生殖可能な相手が限定されてしまい、次世代に進むに連れて型は複雑になる』と語られている。そのため、2世代までなら対策として遺伝子適合者以外とは結婚出来ないという法『婚姻統制』(プラント内での法律の為、他国移住の場合は適用外)を制定することにより一時しのぎできたものの、3世代からは絶望的となり、プラント最高評議会議長(コーディネイターの実質トップ)のシーゲル・クラインはナチュラルとの交配による回帰を計画していた。また、シーゲルの親友であるパトリック・ザラはコーディネイターの英知により解決できるとし、C.E.50年代から研究を行わせていた(これに携わっていた一人が後に議長となるギルバート・デュランダル)。
歴史
全ては「万能の天才」と呼ばれた一人の男、ジョージ・グレンがC.E.15年に木星探査プロジェクトへの出発前に己の出自を公表した事から歴史が始まる(「ジョージ・グレンの告白」)。当時から遺伝子治療は行われていたものの、高い運動能力、免疫・治癒力、長寿命を備え、学習能力も遥かに高いコーディネイターのテクノロジーに一部の人間、特に富裕層が飛び付き、子どもに才能を受け継がせたい、理想とする子どもが欲しいなどといった親達の夢や親心、希望、エゴが入り混じった時代を生む。
その翌年となるC.E.16年に、コーディネイター問題を論じた国際遺伝子資源開発会議において「仁梨乃遺伝子改変に関する議定書」され、人間の遺伝子操作に関する事は一切禁じられた。しかし、一部の富裕層には秘密裏に我が子をコーディネイターとする者も現れた。
また、この翌年となるC.E.17年には秘密裏にコーディネイター生成を行っていたシカゴの病院が焼き討ちに遭い、医師・看護師・入院患者らが虐殺された。この件についてブルーコスモスが関与していると噂されるも真相は不明なままとなった。
C.E.29年にジョージが地球外生物の化石(「Evidence01」)を持ち帰ったことにより、C.E.30年に各宗教界の権威者がパレスティナ公会議を開催して一堂に会するも議論がまとまらず宗教界の権威が失墜する。これにより宗教を論拠とする生命倫理に対する厳格な認識が緩和され、コーディネイター寛容論が世界に蔓延し、第1次コーディネイターブームが到来する。
コレと同年に宇宙ビジネスが活発化して多くのスペースコロニーが建造されるようになり、この際に建造された1基が「遺伝子研究のメッカ」と称されるコロニー・メンデルである。
C.E.40年代に入ると秘密裏に生産されたコーディネイターが成長(最年長で25歳)し、学術・芸術・スポーツ各方面にて活躍するようになる。これによりコーディネイターとナチュラルの「ヒトとして」の差が歴然となる。.E.41年には第二世代(第一世代同士の男女から誕生した者たち)は遺伝子操作を受けずとも優れた能力を継承していると判明したため更なる議論を巻き起こし、ナチュラルを主とするコーディネイター批判勢力が活発化する。これに乗して、過激派宗教勢力やブルーコスモスの末端と目される武装遺伝子差別主義団体が地下にて結束し、ここを境としてコズミック・イラは混迷の色を見せ始める。
その混迷の一端として、C.E.53年に自分がコーディネイターとして生まれなかったことに悲観した少年によりジョージが暗殺される事件が発生する。この事件についてもブルーコスモスの影があると噂されるも真相は闇の中となった。
C.E.54年にS型インフルエンザが変異し、従来のワクチンを無効化したS2型インフルエンザが流行する。これによりナチュラルには多数の死者が出るものの、コーディネイターへの被害は少なかった。そのため、ナチュラル側ではS2型をコーディネイターによるジョージ暗殺の報復行為ないしナチュラル殲滅作戦であるとする噂が一世を風靡することとなった。
この翌年のC.E.55年にはS2型を「神の鉄槌」と主張することにより息を吹き返した宗教勢力も合わさり世論が遺伝子改変アレルギーを再発させ、結果として「遺伝子操作禁止に関する協定」、通称「トリノ議定書」が採択された。これにより、地球上における遺伝子改変は再び禁じられることとなった。また、この採択に伴い国際的に肯定されたナチュラルの反コーディネイター感情は最高潮に達した。
ちなみに、C.E.55年になってもS2型は被害を拡大しており、同年にコーディネイターが主軸となって設計・開発した大規模生産基地コロニー「プラント」のフェブラリウス市にて、コーディネイター研究者がワクチンの開発に成功し、増産の後に地球への供給を開始する。それでもなお、ナチュラルの反コーディネイター感情は収まることなく、地上にいたコーディネイターの一部も宇宙へ上がり始める。
そのプラントとプラント宗主国(ナチュラル主体)が自治権を巡って争った結果、C.E.70年から国家間戦争にまで発展していく。
名称の由来
前述したジョージ・グレンの告白の一節「今この宇宙空間から地球を見ながら、僕は改めて思う。僕はこの母なる星と、未知の闇が広がる広大な宇宙との架け橋。そして、人の今と未来の間に立つ者。調整者。コーディネイター。このようにあるものなのだと…」における彼の自称が由来となっている。そのため、「遺伝子調整された者(コーディネイテッド)」という実態と名称にズレが生じている。なお、ジョージ自身は遺伝子調整された者を指して「調整者」「コーディネイター」と言ったわけではなく、後に諸事情により復活を果たした際にはナチュラルのロウ・ギュールをその在り方からコーディネイターと認定している。
また、対義語として扱われるナチュラルという名称も、他の一節「僕は、僕の秘密を今明かそう。僕は、人の自然そのままに、ナチュラルにこの世界に生まれ者ではない」が由来となっている。
ジョージ・グレン
歴史上初めて表舞台に現れたコーディネイターであり、「ファーストコーディネイター」とも呼ばれる。彼が世界に配布した情報から各国でコーディネイターが誕生する。
彼が与えられた才能を如何なく発揮した上で遺伝子操作による出生を明らかにした事により、語るも悍ましい人体実験や、嫉妬による人倫にもとる思想、主張が憚る要因と成った為、全ての元凶とも言える存在。
自身も最終的に出生に悲観したナチュラルの少年に暗殺されてしまった。
しかし、彼が取ったメダルが銀メダルである事から分かる通り、彼の視点で見れば「生まれる前から才能を貰った自分でも勝てないナチュラルが居る」=「人間はまだまだ先に行ける」という可能性の塊にしか見えず、「どいつもこいつも金や銀メダル相当=トップクラスの才能を手に入れられる」という市民の視点を想像出来なかった事が、短絡的な暴露に繋がってしまったとも考えられる。
またASTRAYシリーズによると「コーディネイター」という語は元々「今いる人類と新たに現れる新人類の間を取り持つ存在」の為に本人が自称していたもので、遺伝子調整を受けた人類とはまた別である。
ハーフコーディネイター
ナチュラルとコーディネイターの間に生まれた人類。共にホモ・サピエンスな為、制約無く出産が可能。但し未操作のDNAが混入する関係上、世代を経るごとにコーディネイターとしての能力が減少・喪失していく。
大半のコーディネイターには「ナチュラル帰り」としてタブー視され、ナチュラル側からも自分達とは違うと、迫害対象にされやすい。
しかし、出産率低下により消滅危機にあるコーディネイターにとっては存続と言う点で最善の方法でも在り、シーゲルを始めとした穏健派の一部は南米にコーディネイターを移住させる事で種の存続を図る「ナチュラル回帰」を目指している。
スーパーコーディネイター
詳しい事はネタバレなので記載出来ないが、実際に生み出された成功例はコーディネイターの中でも更に傑出した頭脳や肉体、才能を与えられた。
因みにこの用語は本編では一切使われておらず、外伝作品『機動戦士ガンダムSEED X ASTRAY』で初登場した用語であり、いわゆる本編における「最高のコーディネイター」の俗称ないし異称である。
戦闘用コーディネイター
最初期のコーディネイター技術を元に、戦闘面に特化して誕生。
プラント側では無く地球連合軍側のコーディネイターであるが命令に従わない等、制御に難があり、のちにそれよりも扱いやすい別の強化人間が成功したため、開発は中止された。
ソキウス
グゥド・ヴェイアの遺伝子をベースに改良を加えられた戦闘用コーディネイター。
服従遺伝子に「ナチュラルに危害を加えない」と言うマインドコントロールを施して制御下に置いた形となる。
しかし、連合軍の上層部はソキウスシリーズに危機を感じて彼らの処分を決定し、ソキウスシリーズの製造コストを回収したいムルタ・アズラエルによって一部が薬剤による自我の破壊と言う処置に留められた。
この方針に対して連合軍に残っていたセブン・ソキウス、イレブン・ソキウスは「有用性を示そう」と行動を起こし、脱走にも近い行動を起こして叢雲劾と交戦。
1対1を装いながら2機のロングダガーでブルーフレームを撃破し、ブルーフレームの頭部を持ち帰る。
ブルーフレームがセカンドLに改修されて再戦した際に敗北し、「ナチュラルの為になる」ことが別にある事を知る。
その後も、彼らはコーディネイターもナチュラルのためになるなら必要な存在である事と、ナチュラルに危害を加えているのはコーディネイターではなく地球連合軍の上層部にあるという考えに至り、ナチュラルに直接危害が加えられない自分たちは人々に警鐘を鳴らす対抗策で、ナチュラルによる理想郷を目指している。
『SEED』ではアスラン・ザラやイザーク・ジュール、ラクス・クライン達の年代のコーディネイターが第二世代として強調されている為に誤解されるが、コーディネイターは世代と年齢には何の関係もない。
C.E.55年には再度コーディネイター出生の禁止を定めた「トリノ議定書」が採択されており、この年より後にに生まれたコーディネイターは違法な存在ということになる。キラ・ヤマトの出生日がC.E.55年5月18日である為、合法な第一世代コーディネイターとしては最後の年に生まれている。
国際法でコーディネイターの出産は禁じられたにもかかわらず、違法に生まれ続けるコーディネイターに不満を覚えた一部のブルーコスモスが過激派と化し、コーディネイターに対する迫害やテロを行うようになっていった。
アスランやラクスと同年代のキラ・ヤマトは、アスランやラクスの両親と同じ第一世代コーディネイターに該当する。
また、『DESTINY』ではギルバート・デュランダルとタリア・グラディスが第二世代コーディネイターであり、婚姻統制によってプラント内での婚姻が出来ず別れており、タリアの息子のウィリアム・グラディスは第三世代コーディネイターに該当する。
パトリック・ザラが48歳でアスラン・ザラが16歳、シーゲル・クラインが49歳でラクス・クラインが17歳の為おおよそ30代の頃に子供を作ったと計算できる。
因みに、タリア・グラディスが29歳でウィリアム・グラディスが10歳と判明しているため、タリアは19歳でウィリアムを出産している計算となる。
制作秘話
設定を担当した森田繁氏によれば、『SEED』放送当時に毎日放送でプロデューサーを務めていた竹田青滋氏の「プラント対地球という基本的な対立構造は、単なる人間同士の争いではないのではないか」という意見に端を発し、人間の差別意識や階級意識を扱う舞台装置としてコーディネイターの設定が作られていったらしい。当時の森田氏は理化学研究所で遺伝子を研究している研究者とゲノムについて話す機会が多く、それがアイデアに繋がったと語っている。
また、監督の福田己津央氏によれば、「コーディネイター(デザイナーベビー)」の概念を出してきたのは脚本を担当していた両澤千晶氏だったらしい。なお、制作当初は「当時、遺伝子操作をして生まれてくる生物がけっこういて、これからはそういう時代になるんじゃないか?という危機感をもっていた」という理由から「ニューエイジ」という名称だった。
ちなみに森田氏によれば、『SEED』の初期案の一つにはコーディネイターが調整者として地球外生命体とファーストコンタクトを行うというものもあったとのこと。このイメージソースとして『神の目の小さな塵』に登場したミディエーター(仲介者)が選ばれており、同作の終盤においてモート人が取った選択の真逆を行ったのが『SEED』終盤のクルーゼという面白い関係がある。
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