「艦長、これまずいですよね?もしこのまま逃げられでもしたら……」
「ええっ!? あれが5機!?」
プロフィール
概要
DESTINY本編
「アーサー、タンホイザー起動。アレとともに左前方の艦隊をなぎ払う」
「ええーッ!?」
「沈みたいの!」.
「あ、はいィ……いいえっ!」
基本このような感じでミネルバ艦長タリア・グラディスとは、漫才のような掛け合いを繰り広げた。
モルゲンレーテ社で整備員として働いていたマリューに見惚れたり、ラクス・クライン(=本当はミーア・キャンベル)のディオキア基地での慰問ライブでノリノリになるなど、人間味のある姿を見せた。
軍人にしてはグロ耐性はあまり無いようで、ロドニアのラボでは耐えきれず嘔吐していた(まあこれは仕方無いが……)。
上官のタリアと同様に、部下であるシン・アスカの度重なるスタンドプレーには頭を抱えており、彼が勝手に捕虜を解放した案件(本来は銃殺刑相当)に何のお咎めも無かった裁定(彼が裏で手を回したと思われる)には、驚愕を隠せずにはいられなかった。
ヘブンズベース攻防戦では、艦長席に座り攻撃命令を行った。
メサイア攻防戦において、アークエンジェルとの交戦により戦闘不能になったミネルバを、艦長のタリアから総員退艦の指揮を一任された。
彼女の〈決意〉を『軍人』として敬礼し見送った選択が、永遠の別れになるとも知らぬまま……。
ドラマCD『選んじゃった未来』
後日談が描かれたドラマCDでは、タリアの息子であるウィリアム・グラディスに彼女の遺品を送っているが、母の死の事情の全てを知っていた彼は「自分は母に捨てられた」と思って自暴自棄になっており、その姿を見兼ねたアーサーは、自らウィリアムの後見人となって彼を支える決意をする。
ウィリアムからは当初「母を(男として)愛していたから自分に執着するのか」と勘繰られて拒絶されていたが、アーサーは恋愛感情は否定しつつも「タリアのことが人間として好きだったから、ウィリアムのことを放っておけないのだ」 と熱弁し、彼の第二後見人として受け入れられる。
DESTINY本編ではそれほど重要な立ち位置でもないアーサーであるが、このエピソードでは実質主役であり、傷心のウィリアムを救った本エピソードのおかげで、かなりのファンを増やした模様。
劇場版SEEDFREEDOM
劇場版『機動戦士ガンダムSEEDFREEDOM』にも出演。世界平和監視機構コンパス所属戦艦ミレニアム副長として、艦長のアレクセイ・コノエをサポートした。ザフトから出向であり、階級は少佐。早生まれの彼は年齢が2歳上がり28歳になっている。
気の抜けた性格は相変わらずで、公式HPにて「いささか頼りない」と書かれてしまった。
艦橋での指示などで声だけ発しているシーンはあったが、本格的な出番があるのは物語中盤から。突然ユーラシア連邦から発射された核ミサイルの2発目に悲鳴を上げるシーンで登場。
自分達コンパスがファウンデーション王国の罠にかけられた旨を話された時に、「ああ、ブラックナイツだけに黒……って、ええ!?」と、しょうもない駄洒落を飛ばした。
物語後半でアークエンジェル組がハイジャックしにきた際には、コノエらの真意に気付いていなかったのか真に受けてしまいそうになった上、コノエがマリューに艦長の座を譲渡し退いた際に、コノエ大佐を副長に指名したマリューの一言でなし崩し的に副長職を解任させられてしまった。……哀れ。
マリュー「では、コノエ大佐には副長をお願いします」
コノエ「喜んで」
アーサー「 えっ?えぇーーーっ!?」
ただし、ミレニアムから降ろされたわけではないので、そのままブリッジクルーとしてファウンデーションとの最終決戦に参加したが、マリューやノイマン達アークエンジェル組の型破りな操艦や戦術に、アーサーは終始絶叫していた。
一応ブリッジクルーとしての勤めは果たしており、副長になったコノエを「艦長」と呼び間違えたりもしたが、真剣に計器を見るシーンなどが描かれている。
小説版ではファウンデーション王国に到着後に「すごいですねぇ! 噂には聞いてましたが」とちょっと大げさなほど手放しで褒めるシーンで登場している。
初期プロット紹介にて
彼がコンパス入りしている理由は特に小説版でも説明が無かったが、故・両澤千晶氏の初期プロット紹介によれば、
「先の戦いの意味、グラディス艦長の死など衝撃的な事態に遭遇したため、一時はデスクワークを希望するか除隊するかと悩んだが、成り行きでタリアの子を引き取る事となったり、シンとルナマリアがコンパスを希望すると知ったりした為、自分流の燃えあがる正義感で自身もミレニアムへ。」と彼がコンパス入りした理由が説明されている。
また「シンとルナにはやはり特に親しみを持っている。シン達は不安なだけだが。キラの事は苦手。」との記載も。
ちなみに故・両澤千晶氏のアグネス・ギーベンラートの初期プロット人物紹介によれば、ヴィーノ・デュプレと共にアーサーは、彼女の事を「凄く優秀でやる気のある良い子」だと思っているようだ……。
余談
黒服を着用しミネルバの副長を務めている事実から、有能な人物であるのに間違いないのだが、良くも悪くも控え目かつ要領の悪さが目立つせいで登場人物・視聴者を合わせた少数の人から『無能』扱いされている。
特に公式の小説版では上官のタリアから “「少しは自分の頭で考えなさい」「今ここで彼(=アーサー)を絞め殺したら、後任を探すのは大変だろうか?」” などと思われていた描写もある(小説版はタリアの性格がややキツく描かれており、アニメ本編とはまたイメージが異なるのだが)。
小説版では他にも主人公のシン・アスカがアーサーのリアクションの大きさに吹き出しそうになったり、「こんな人が副長で大丈夫なのか?」と不安がっている。部下のメイリンはアーサーのを「かわいい」などと評している。
しかし、実はガルナハン攻略戦のミーティングでは作戦説明をアスランにさせ、彼の指揮官としての能力の高さを見せるように仕向け、ミネルバ内に溶け込めるようにするなどのさりげない気配りを見せたりもしている。
その意図が明らかになったのは小説版のナレーションなので、事情を知らない視聴者やシンの内心では「作戦説明もできないのか?」と辛辣なコメントをされていたが、チームには損な役回りを引き受ける縁の下の力持ちが必要なのである。
また、後日談(ドラマCD)での彼は、大戦で上司を漫然と眺めずそこから様々な情景を感じ取っていた様子や、ウィリアムの荒んだ心に響く言葉を投げかける場面などが描かれており、相変わらず抜けている面は多かれど、決して無能な人物ではない様子が描かれている。
少なくとも「我が子を置いて元恋人と心中してしまった」タリアは、あの世でアーサーに頭が上がらないだろう。
設定ではコーディネイターのはずなのだが、彼のあまりに天然な性格から「彼は実はナチュラルなのでは?」と疑問を持つ視聴者もいる。
アーサーは気配りの才能に特化したコーディネイターなのかもしれない……。
ゲームにて
また、ガンダムゲームであるGジェネレーションでは『副長の役職はSEEDDESTINYが参戦するまでは存在しなかった』。
ゲームのシステムを変えるのはそれこそナタル・バジルールやアンドリュー・バルトフェルドだけでなく、数多のガンダムシリーズの副艦長達が成し遂げられなかった偉業である。
もっとも「アーサー以外にガンダムシリーズで有名な副艦長がいるか?」と聞かれると、疑問視せざるを得ないが……。
しかし、裏を返せばアーサーは実質『ガンダムシリーズにおける戦艦の副艦長の代名詞』であるとも評価できるだろう。
劇場版SEEDFREEDOMにて
劇場版『機動戦士ガンダムSEEDFREEDOM』ではミレニアムでも相変わらずの天然ぶりで、最終的には玉突き人事式に副長の座を降ろされる損な役回りだったものの、新造艦で一度は副長に任命されている姿から、やはり実力を信頼されてはいるようだ。
『アニメージュ』2024年4月号のインタビュー記事にて、福田己津央監督はアーサーの同僚のアルバート・ハインライン大尉は「頭がいい人としか関わろうとしない」と告げた上で「副長のアーサーにはそもそも話しかけていない(笑)。」と語っている。
インタビュアーに「でも、アーサーみたいなムードメーカーは、チームや組織の中では必要ですよね。」と振られて、福田監督は「アーサーはいいキャラですね。彼がいるだけで全員のストレス値が下がりますから。」と、フォロー(?)を入れている。
機動戦士ガンダムSEEDシリーズ グランプリ2024
2024年2月5日(月)~2月25日(日)の期間で投票を受け付けていたキャラクターとモビルスーツの人気投票企画にて、キャラクター部門でアーサー・トラインは最終結果36位。ハロ(35位)の次点であった。
関連タグ
機動戦士ガンダムSEEDDESTINY:テレビシリーズ。
機動戦士ガンダムSEEDFREEDOM:2024年劇場版。
タリア・グラディス:テレビシリーズでの上官。
ウィリアム・グラディス:タリアの息子。ドラマCDにて彼の後見人になる。
アスラン・ザラ:元部下。ドラマCDでも絡みがあった。
オルガ・イツカ:同じくその存在がガンダムシリーズが出るゲームに影響を与えたキャラ。
アーサー・ユング:同じアーサーという名前繋がりで、ガンダムキャラでの先輩キャラでもある少年。しかし序盤に無残にも死んでしまい……。
アーサー・グッドマン:名前が同じガンダムキャラだが、トラインの方であるアーサーが善人であったのに対して、有能でありながら悪辣な軍人として描かれている。
????:上記の通り、能力に反して扱いの悪さからこう見るファンもいる。
コンビタグ
アサタリ:タリア・グラディス艦長とのコンビタグ。ドラマCDにて、アーサーはウィリアムにグラディス艦長の事は異性としてではなく1人の人間として好きだった旨語っている。