「敵を圧倒する力が事態解決への早道、ということですか?」
CV:大塚芳忠
概要
「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」に登場するキャラクター。
『FREEDOM』では世界平和監視機構コンパスに所属しており、新造戦艦ミレニアムの艦長を務めている。階級は大佐。
コンパスには自ら志願(※実際は友人のワルター・ド・ラメントからの依頼による)する形で参加した。
キャラクターアーカイブによると、年齢は42才。
元教師という経歴の持ち主で、軍人らしからぬ穏やかな口調と緊張感に欠けた態度を崩さない人物だが、的確な指示と状況判断能力に優れている。実際、これまでに起きた2度の大戦では優れたリスク管理と合理的な艦の運用によって轟沈した経験は一度も無く、隊員達からは「コノエ艦長の艦に乗ると生きて帰れる」と人気が高いらしい(リンク先の人物と違ってきちんとした人物なので、そこはご安心を)。ヤマト隊の隊長を務めるキラ・ヤマトもコノエの経歴を知った上で信頼を寄せるようになった。また、「よろしいのですかな、お帰りにならなくて?クライン総裁がお待ちなのでは?」とキラに声をかけている事からでも、気配りの上手さも窺える(もっとも、当のキラが新装備の調整にかかり切りになっていた為、あまり効果は無かったが)。
そんなコノエだが、戦場における判断能力の高さは凄まじいものがあり、コンパスがファウンデーション王国の罠に嵌められた際は、
- タイミングの良過ぎる通信遮断
- アルバート・ハインラインの「これはユーラシアでもブルーコスモスでもない」
という“非常に少ない情報”だけで「(ユーラシア連邦・ブルーコスモスとも異なる)第三勢力の介入」を察知。ミレニアム艦内で待機していたルナマリア・ホークに「『有線通信』及び『狙撃用装備で迎撃』」の指示を出しながら離脱準備を整える等々、生存面に関してはマリュー・ラミアスすらも上回っている(前線に居るという事情もあったが、アークエンジェルは罠に気付くのに遅れてしまい、轟沈の憂き目に遭ってしまう)。
「出航準備は終わっていますよ、ラミアス大佐。その物騒な物は必要ありませんな」
物語後半では「アークエンジェルも墜とされてクルーの生存は絶望的」と淡々と報告するハインラインに「どうだろうな?そう簡単に死ぬかな?あの連中が」と返し、彼らがこの艦をハイジャックして来ると予測した上で、発艦体制を整えて待っていた。その後、ハイジャックの為にミレニアムへ突入してきたマリュー達を迎え入れた後は、艦長の座を彼女に譲渡する。
「この船は、今はコンパスでもザフトでもない。反逆者、いわば海賊です。それにふさわしい戦い方を知る者がこの席に座るべきだ」
そして「コノエ大佐には副長をお願いします」とマリューから副長として直々に指名された事で、彼女のサポート役に回った。
マリューが『攻め』に長けた艦長であれば、コノエは二重三重に先を見据えたリスクヘッジ能力を誇る「『守り』の艦長」とでも呼べる存在であり、かつ温和で人当たりも良く人種を問わずクルーから厚い信頼を得ている。そんな彼が頼もしいサポート役としてマリューをサポートする事によって、アーノルド・ノイマンが持つ神業的な操舵技術を思う存分活かせるようになった。
余談
アーサーの受難
上記の通り、終盤戦では敢えてマリューのサポート役に回ったコノエだが、その割を食う形でアーサーが副長の椅子から追いやられてしまった……。
さらに、「ミレニアムの元正操舵手は納得して譲った可能性が高いが、アーサーに関してはただの玉突き人事の被害者なのでは……?」と見る人もいるらしい。
物語の展開上においては仕方がないし、コズミック・イラ全体に関わる危機には些事を拘っている場合ではないのだが、一部の社畜の観客に取ってはまったく笑えないシーンになってしまったようだ……。
アーサーのフォローの為に一応言っておくと、ハイジャック当時のミレニアムはコンパス自体の凍結で政治的に動く事の出来ない状態にあり、かつ核攻撃をファウンデーションの仕業だと証明する手段もなかった。そこで、「海賊(マリュー達)に乗っ取られてやむなく従った」という体裁にする事で、マリューに艦長を譲りつつもコノエが副長に収まり、アーサー達の今後の立場を守る意図もあったと思われる。
もっとも、コノエを副長に指名したのはマリュー本人なので、「マリューさんそこまで考えてないと思うよ」と切り捨てられればそれまでなのだが……。
ただし、ミレニアムクルーが『テロリストの人質兼被害者』の立場に就いていると考えれば、マリューのコノエへの指名は「艦長がテロリストに脅されている以上、クルーも従わざる得ない状況を作った」、コノエの才覚を考慮すると「(『何らかの手段で外部に連絡される可能性からそれを防ぐ』のを名目に)コノエを目の付く所に置いておく」とも見れる。
初期キャラクター設定
小説版などで劇中以前の経歴が明らかになっているキャラが多い中、実は未だに経歴が不明瞭な主要キャラでもある。
後に監督がXにて公表した初期プロットによると
- アレクセイ・コノエ艦長(大佐)(40歳位/一世代目コーディネイター/男)
ミレニアム艦長。常に冷静、温厚な人物。ラメント現最高評議会議長とは旧知の仲 である。いつも一歩下がって観察して面白がっている様な雰囲気がある。元は数学者。押し出しは強くないが理論と感情のコントロール、バランスの良い人。
との情報が明かされた。
ただし、元の職業はプロットから変更されたのか、教師ではなく数学者となっている。これらの情報は両澤氏のプロットからのあくまで初期キャラ設定であるが、大きなブレは無いとの弁。
舞台挨拶
コノエがコンパスに参加したのは、プラント時代からの旧知の仲であるラメント議長にラクスがコンパス総裁に就任することからと頼まれたから。アルバートとは元々一緒にい為に付いてきた。と3月17日の舞台挨拶で明かされた。
声優ネタ
コノエ役の大塚芳忠氏は、過去のガンダム作品においてヤザン・ゲーブル、チボデー・クロケット、ギャバン・グーニーを演じている。そして、ギャバン以外は(コノエを含めて)最後まで生存している。子安キャラほどではないにしろ、「生きて帰れる」設定はここから来ている可能性もある。
更に戦艦の艦長・副長として、宇宙戦艦ヤマト2199・宇宙戦艦ヤマト2202・宇宙戦艦ヤマト2205で真田志郎を演じている(2202で宇宙戦艦ヤマトの副長に、2205で戦闘空母ヒュウガの艦長に就任している)。
インタビュー記事にて
『アニメージュ』2024年4月号のインタビュー記事にて、福田己津央監督はコノエ艦長の性格について「マリューさんと対立しない性格の人にしたい、とは考えていました。『DESTINY』のタリアさんみたいなタイプが来ていたら、二人して前に進むしかなくなってしまいますから。それに軍人って、みんな猪突猛進でどちらかと言えば人命を軽視する人として描かれるじゃないですか。『銀河英雄伝説』のヤン・ウェンリーみたいに、ふわっとしていて知略のある、軍人としてはいささか頼りなく見える人を出したい気持ちもありました。」
「コノエは負けたことがない、積極的に戦わない人なんですよ。負けそうになると巧みに戦場から撤退する、逃げることがとても上手な人。戦場では死ぬことが負けなので、彼は生き残るために逃げ回り、撤退戦の時はきっちり指揮を執って、味方の部隊を連れ帰る。だから、戦果を挙げておらず、作戦成功率は低いけど、部隊損耗率は低く、部下からの信頼は厚いんです。」
コノエ役がが大塚氏に決まったのは「コノエを大塚芳忠さんに演じていただきたいというのは、両澤千晶(脚本)が言っていたことで。」とのこと。
SEED初の男性艦長
本筋とは全く関係ないが、ASTRAYシリーズの男性艦長を除けば、これまでSEEDの主役級の戦艦では女性が艦長を務めており、コノエは途中で艦長席を譲ったとはいえ主役級の戦艦では初の男性艦長でもある。同じ主役級の艦船でもエターナルとクサナギは戦闘指揮官が男性で、便宜上の最高司令官は女性である。