時に西暦2199年。人類は滅亡の淵に立たされていた。
概要
TVアニメ『宇宙戦艦ヤマト』(以下"旧作"と呼称)のリメイク作品。
宇宙戦艦ヤマトシリーズのアニメ作品としては、2009年公開の劇場版『宇宙戦艦ヤマト復活篇』以来3年ぶりの完全新作となる。
テレビ放送に先駆けて2011年12月よりインターネットでPVが公開され、映画館での先行イベント上映やBlu-ray・DVDの発売、アニメ情報番組『MAG・ネット』等で本作の特集が放映された。
そして2013年4月7日から9月29日にかけて、毎日放送ホスト・TBS系列全28局ネット枠において全26話が放送された。
また、2014年4月にWOWOWにて先行イベント上映版が放送されたほか、TOKYOMXとBS11でテレビシリーズの再放送が行われている。
また、本作は後に製作されるリメイクシリーズの発端ともなった。詳細は「「宇宙戦艦ヤマト2199」シリーズ」を参照のこと。
派生作品
どちらも劇場版であると同時に「宇宙戦艦ヤマトシリーズ」40周年記念作品でもある。
2014年10月11日に公開された本作の総集編。
2014年12月6日に公開された完全新作。本作の第24話と第25話の間の出来事を描いたサイドストーリー。
主な特徴(旧作との相違点)
ストーリーは大筋で旧作をなぞりながらも、航海中に起きる事件の変化などがある。
またCGを使う事により、セル画では難しかった急旋回や回転しながらの戦闘など、映像表現にも大きな変化があるのが特徴。
設定について
・大学教授などの協力により、科学考証をより厳密化。
- 例:大マゼラン星雲との距離が14万8千光年 → 16万8千光年
・旧作では明確にされなかった地球政府の組織形態を国連に定める。
・それに伴いヤマトやそのクルーの所属を「地球防衛軍」から「国連統合軍」の下部組織「国連宇宙軍」に変更。ヤマト:"BBY-01"、きりしま(旧・沖田艦):"BBS-555"など、各艦艇に識別番号を設定。
・現実の自衛隊を参考にした用語に変更
- 操艦用語の「右舷」「左舷」の読み方を「うげん」「さげん」から旧日本海軍・海上自衛隊で(聞き違え防止のために)実際に使われている「みぎげん」「ひだりげん」に修正
- 「○等宙尉(佐)」など、旧作にはなかった階級制度を導入
・旧作における矛盾点や不合理な部分については可能な限り納得の行く説明を付け加えている。
- 古代進や島大介のような20歳前後の若輩者がそれぞれの部門の責任者に大抜擢された経緯
- 冥王星基地勤務のガミラス人が、以降登場する他のガミラス人と違い青い肌をしていない理由
- タランの容姿が途中で変わってしまった理由 など
・ヤマトの艦体は「沈没した戦艦大和を改造したもの」から「沈没地点近傍で残骸に偽装して建造したもの」へと変更。
- 大きな理由は1986年の調査で海中の艦体が大きく損壊していることが判明したためであるが、そもそも1945年に沈んだ船が2191年(作中におけるガミラスとの交戦初期)まで250年近く海水に浸かっているのは変わらないため、旧作通り原型をとどめたまま沈んでいたとしても(タイタニック等の実例を鑑みると)艦体の鋼材のほとんどは腐食して消え去っている可能性が高い。
- なおこれにより設定上は新造扱いとなったことで、冒頭の「CGの活用」も相まって実物同様の詳細な設計図を引けるようになり、結果として造形の矛盾の解消に成功している。ちなみに全長は史実の戦艦大和(265m)より長い333mに延長された。
登場人物について
・旧シリーズにおける続編(『さらば~』『新たなる旅立ち』など)からの登場人物についても、可能な限り「ヤマトのイスカンダル発進当時からいた」ことにして登場させている(後述)。
・時代背景を反映してか、非モブ女性乗組員の数を大幅に増加。それに伴って旧作では仕事量が明らかに多かった森雪の役割が分散され、彼女自身は「船務長」と「主任レーダー手」に専念することになった。
- なお旧シリーズでも多数の女性クルーが乗船していることが第1作の赤道祭などで確認されているが、ヒロインである森雪をクローズアップするという目的から描写を極力避ける方向だった。
- 本作でもメインヒロインは森雪ではあるが、新規女性キャラについても、旧作におけるヤマト艦載機隊副隊長「山本明」が女性化された山本玲(名前は同じ"あきら")は準ヒロインとして活躍し、森雪の役職を引き継いだ1人・桐生美影は『星巡る方舟』で事実上のメインヒロインを務めるなど、それぞれ重要な役どころを演じている。
- これに関しては出渕監督が「(前述の仕事量の多さが)現実的ではない」「作品に華が欲しかった」という2点を挙げている(NHKの『MAG・ネット』より)。
・女性クルーばかりクローズアップされるが、役職が細分化されたことに伴い、保安部長の伊東真也と部下の星名透、掌帆長の榎本勇、航空隊副隊長(前述の山本明の役回り)の篠原弘樹など男性クルーも新規キャラクターが登場している。特に伊東と星名は作中でも重要な出番がある。
・アナライザーが最初からクルーになっている。また(これも時代背景故か)女性クルーに対して問題行動を取らなくなっている。
・ガミラスやガトランティスといった敵サイドにも新規キャラクターが多数追加。また引き続き登場するキャラも含めて、旧シリーズにはなかったファーストネームが設定された。
登場人物
地球
ガミラス
|
イスカンダル
|
※ガトランティスなど、『星巡る方舟』が初出のキャラについては当該記事へ
スタッフ
原作 | 西﨑義展 |
---|---|
総監督・シリーズ構成 | 出渕裕 |
キャラクターデザイン | 結城信輝 |
ゲストキャラクター・プロップデザイン | 山岡信一 |
チーフディレクター | 複本明広 |
チーフメカニカルディレクター | 西井正典 |
CGディレクター | 今西隆志 |
メカニカルデザイン | 玉盛順一朗・石津泰志・山根公利・出渕裕 |
セットデザイン | 高倉武史・小林誠・渡部隆 |
コンセプトデザイン協力 | 宮武一貴 |
撮影監督 | 青木隆 |
美術監督 | 前田実 |
色彩設計 | 鈴城るみ子 |
音響監督 | 吉田知弘 |
音響効果 | 西村睦弘 |
音楽 | 宮川彬良・宮川泰 |
CG制作協力 | SUNRISE D.I.D. |
アニメーション制作 | XEBEC |
製作 | 宇宙戦艦ヤマト2199製作委員会 |
主題歌
先行上映版
OP
- 宇宙戦艦ヤマト
歌:ささきいさお、バックコーラス:東京混声合唱団・Yucca、作詞:阿久悠、作曲:宮川泰、編曲:宮川彬良
ED
- 星が永遠を照らしてる(第一章 / 再放送:第8話~第13話)
- 美しい地球(ほし)を知る者よ(第二章 / 再放送:第3話~第6話)
歌:美郷あき、作詞:畑亜貴、作曲・編曲:増田武史
- 真赤なスカーフ(第三章 / 再放送:第7話)
歌:ささきいさお、作詞:阿久悠、作曲:宮川泰、編曲:宮川彬良
- 記憶の光(第四章 / 再放送:第14話)
歌・作詞・作曲:KOKIA、編曲:伊藤真澄
- ヨーソロー ~星の海を越えて~(第五章 / 再放送:第15話~第20話)
歌・作詞・作曲:影山ヒロノブ、編曲:須藤賢一
- R.I.P ~友よ静かに眠れ~(第六章 / 再放送:第21話~第26話)
歌:JAM Project、作詞:影山ヒロノブ、作曲:福山芳樹、編曲:須藤賢一
- 愛の星(第七章)
歌:水樹奈々、作詞:水樹奈々・吉木絵里子、作曲:吉木絵里子、編曲:藤間仁(Elements Garden)
TV放送版
第1期OP以外は全てアニプレックス(但しソニー・ミュージック名義)関連の歌手が担当。
このため、同社がスポンサーでない再放送版では一切使用されていない。
OP
- 宇宙戦艦ヤマト(第3話~第14話 / 再放送:第3話~第14話、第16話~)
歌:Project Yamato 2199、作詞:阿久悠、作曲:宮川泰、編曲:須藤賢一、監修:宮川彬良
- Fight For Liberty(第16話~最終話)
歌:UVERworld、作詞・作曲:TAKUYA∞、編曲:UVERworld・平出悟
ED
- 愛詞(第2話~第8話)
歌:中島美嘉、作詞・作曲:中島みゆき、編曲:瀬尾一三
- Best of my Love(第9話~第17話)
歌:安田レイ、作詞:田中秀典、作曲:楠野功太郎・玉井健二、編曲:玉井健二・百田留衣
- Distance(第18話~最終話)
歌:JUJU、作詞・作曲:高木洋一郎、編曲:坂本昌之
- BLUE(総集編『追憶の航海』)
歌・作詞:水樹奈々、作曲:吉木絵里子、編曲:藤間仁(Elements Garden)
関連イラスト
クロスオーバー
『スーパーロボット大戦』において、ヤマトの参戦はヤマトファンとスパロボファンなどで「ストーリー的にイスカンダルに行くので、地球が舞台の作品とどう絡めるの?」や「ロボットアニメじゃないから絶対に参戦は無理だよね」など古くからネタ込みで議論され尽くされていた。
が、ついにスパロボ25周年作品『V』にて、この『2199』の正式参戦が決まった。
大半が「ネタか」と思ったのだが、まさかの公式発表であることに多くのヤマトファンが驚愕した模様。
しかも本作における関わり方はネタでもゲストでもなく、
- 恒例のバンプレストオリジナル主人公らはヤマトのクルーらと同じ世界出身で、かれらもガミラスと因縁がある。
- イスカンダルへの旅の途中、ヤマトは時空転移に巻き込まれ、3つの平行世界を巻き込んだ争乱に巻きこまれる。
- 3つの平行世界の危機を救うにはコスモリバースシステムが必要ということが判明し、イスカンダルへ向かう為にヤマトを旗艦とした『地球艦隊・天駆』が結成。
- オリジナル敵勢力はかつてイスカンダルと大マゼラン銀河の覇権を賭けて争っていた『超文明ガーディム』。
と、むしろ世界観の根幹を担う作品の一つであるレベル。更に敵味方同士の特殊戦闘台詞も豊富で、これまで以上に聴く楽しみもあるなど、総じて破格な扱いとなっている。
ロボットの登場しない本作品だがスパロボシリーズではいつもの事・・・というわけでもなく、寺田プロデューサーもさすがに悩んだが、本作品に関わる某声優から「『ヤマト』はまだ参戦しないのか?」と問われたことや、「バンダイナムコエンターテインメントから(スパロボに対して)新たなクロスオーバーを求められた」ことから参戦が決定したという。
以降、ヤマトの活躍(?)を受け、ロボ兵器が出ず戦艦を主体とした作品が参戦した際、ファンから「戦艦枠」と呼ばれるようになった。現時点では
- 『X』:N-ノーチラス号(『ふしぎの海のナディア』)
- 『T』:アルカディア号(『わが青春のアルカディア 無限軌道SSX』)
が該当する。
関連タグ
腐宙戦艦ヤマト801(腐向け隔離タグ) スーパーロボット大戦V
マギ(ファーストシーズン)(2012年秋、2013年冬)→本作(2013年春夏)→マギ(セカンドシーズン)(2013年秋、2014年冬)