土方竜
ひじかたりゅう
「そうだ、宇宙戦艦ヤマトだ。俺の親友の艦・・・・・・そして、地球最期の希望だ」
- 木村幌:『さらば宇宙戦艦ヤマト』、『宇宙戦艦ヤマト2』
- 大塚明夫:『さらば宇宙戦艦ヤマト』(PS版)
- 森山周一郎:特打ヒーローズ 宇宙戦艦ヤマト ~タイピング拡散波動砲~
- 石塚運昇:『2199』、『2202 愛の戦士たち』(第19話まで)
- 楠見尚己:『2202』(第21話以降、石塚の死去に伴い交代)
概要
- 所属:地球防衛軍 第11艦隊⇒ヤマト
- 肩書:第11艦隊司令・兼任・旗艦『ゆうなぎ』艦長⇒ヤマト艦長
- 座乗艦:パトロール艦『ゆうなぎ』⇒ヤマト
劇場版『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』に登場。沖田十三の士官学校での同期で親友の間柄であった。また、古代進の教官を務めた人物である。太陽系外を守るパトロール艦隊に所属しており、第11艦隊の司令並びに旗艦『ゆうなぎ』艦長を務めていた。因みにひおあきら氏の漫画版では、パトロール艦ではなく護衛艦になっている。
ガトランティス軍の先制攻撃を受けた最初の人間となり、艦隊を殲滅させられてしまう。それからと言うもの、敗残の身として屈辱に耐え忍びつつもヤマトの2代目艦長として、ガトランティスとの戦いに身を投じていくこととなる。
性格
古典的な武人とも言える性格の持ち主で、ガトランティス軍の奇襲を受けて艦隊が全滅し、古代達に助け出されようとしたところ、「艦長は艦と運命を共にする!」と言って救出を固持をした程である。
ただしTV版ほどの手厳しさは無く、寧ろ己が敗残者である事を自覚している。この事にヤマトクルーの中には「負けた人間を艦長にするのは縁起が悪い」等と非常に辛辣な声さえ聞かれた。それでも土方は、救助されて以降は常に控えめな態度であった。
しかし、戦闘時になれば冷静な判断力で危機を切り抜け(対ゴーランド戦など)。最終的にはクライマックスで都市帝国との激戦で命を落とすが、その際にも「これで、私もやっと・・・・・・」と、最初に負けた苦い思いと、戦死した兵士らの元へ逝ける事を素直に受け入れていた模様。
人間関係
古代との間柄は悪くなく、寧ろ古代が教官・訓練生の関係で世話になったことからも、一番無難に土方と接していたと言える。その他の乗組員とは折り合いがそれ程に悪いわけではなかったものの、ガトランティス相手に敗北した事実が隔たりを作っていた。しかし、ゴーランド艦隊との戦闘で完勝を納め実力を見せつけて以降はクルーの見る目も変わっていき、彼を艦長として認めていった。
経歴
太陽系外を護る第11艦隊の司令官として、太陽系外をパトロール中に冥王星近傍宙域で白色彗星帝国軍の襲撃を受ける。土方によると、想像を超えた攻撃の前に為す術もなかったとの事であり、最大でもパトロール艦程度の軽艦艇ばかりで構成されていたと思われる(旗艦以外の艦艇は残骸と化していた為艦種は判別不能)第11艦隊は惨敗を喫した。
旗艦「ゆうなぎ」の乗員も土方司令を除き軒並み戦死する中で微弱なSOSを受信したヤマトが救助隊を派遣、その中に居たかつての教え子古代と久々に再会する。土方は生き恥に耐えられないとして救助を拒否するが敵の存在を報告する義務があるとして連れ出されることとなった。
古代からヤマト艦長として指揮してもらいたいと要請されるが古代以外のクルーは「敗将を艦長にするなんて」と否定的な評価を下していた。
テレサのいるテレザート星へ向かった折、ワープアウト地点に広がる宇宙気流を横断せねばならなくなった際気流を横断中にヤマトはゴーランド率いる艦隊から攻撃を受けてしまう。正面から戦っては勝ち目がないヤマトは気流を突っ切ると同時に波動砲で一気に殲滅を狙うが土方は波動砲を発射すればテレザート星を巻き込んでしまう危険性を看破し、わざと流れに飲み込まれることでゴーランド艦隊とテレザート星が重ならない位置まで距離を稼ぐ判断を下す。
クルー達は当初これに懐疑的だったが見事に策は当たり波動砲でゴーランド艦隊を殲滅に成功、それによってクルー達も土方を信頼し始める。
続くテレザート星強襲の際にもミサイル攻撃などで地表の航空基地を早々に殲滅せしめ、上陸部隊を掩護するなどの手腕を発揮した。
しかし、さしものデスラーが行ってきた奇襲攻撃には対処しきれず、戦闘不能に陥れられたものの、古代の案であるワープによる奇襲返しを採用し、見事乗り切る。
地球艦隊が全滅した後には白色彗星を波動砲で破壊しようとするが、本体を見せた都市帝国の回転ミサイルの猛攻を受け被弾、都市下部の岩盤部分に逃げ込むも、下部に設置された砲台から苛烈な砲撃を受けた際に土方も負傷。下部岩盤のクレーター内に偽装されていた迎撃機の発進口が唯一の弱点である事を示し古代に指揮権を渡し、直後に息を引き取った。
クライマックスでは超巨大戦艦に最後の突撃を敢行する古代の前に他のヤマトクルーと共に幻影として現れ、彼をやさしく見送った。
概要
TV版として放送された時は、映画版とは大きく変更されて、地球防衛軍連合艦隊司令長官の座に就いていた。同時に最新鋭艦アンドロメダの艦長も兼任。映画版と比べて頑固さや厳しさが目立つようになっているが、決して分からず屋ではなく、公平に言葉を聞こうとする良識のある人物として描かれている(頑固なイメージがあるのは、古代が頑なにしているのが原因でもある)。
手腕
堅物なイメージが強いものの、臨機応変かつ柔軟な思考が出来る。ヤマトが逃亡した折には、アンドロメダの未熟なクルーでは追いつけないと判断するや否や、ルートを変えて先回りをする等の対応を見せた。
予想を上回るガトランティス軍の侵攻速度に対して、緊急事態として連合艦隊司令長官の指揮権をフル活用し、素早い陣地変換等を行ってガトランティス艦隊の来襲に対して万全を期した(結果としては土方が正しかったが、上層部の防衛会議を無視したこともまた事実であり、司令部参謀からも土方の罷免を求める声が上がっていた)。またガトランティス軍の新兵器火炎直撃砲を素早く分析し看破、地の利を生かした自滅へと持ち込むなど、その戦術家としての手腕も侮りがたいものがある。
松本零士氏の漫画版においてはTV版と同様アンドロメダ艦長兼艦隊司令の役職に就いているが、古代の恩師という設定は無いようで(古代は相原から教えられて初めて土方の事を知ったような描写でありその後も「俺が信じるのは沖田艦長だけだ」と命令を拒否し続けた)、TV及び映画版よりかなり気性が荒く護衛艦とのニアミスの際には古代が進路変更の命令に応じないと見るや、直接通信で
「邪魔だどけ!」
と怒鳴りつけ、古代に命令を拒否されるや
「踏み潰せ!」
と叫びながら至近距離を通過しつつ
「バカ者めが!」
と、吐き捨てていた。(ちなみに相原も土方のことを「艦隊司令も兼ねた荒っぽいので有名だ」と説明している。)
ヤマトが逃亡した折にはTV版同様アンドロメダで追撃にあたり火星軌道(TV版のアステロイドベルト追跡は存在しない)で対峙、反航での睨み合いから同航に切り替え全砲門を向けるが最終的にはTV版同様に見逃し(その際他のアンドロメダクルーには「あれはヤマトではない。ヤマトはもっと違う形状の艦だ」とやや苦しい説明をしていた)、去っていくヤマトに発光信号で公開の無事を祈るメッセージを送り、また去り際には「死ぬなよ古代。沖田さんは死ねとは教えなかったはずだ」、と気遣いながらヤマトを見送った。
また直後にはアンドロメダ艦載機だった加藤、山本のコスモタイガー隊を差し向け合流させている。連載がヤマトがテレザート星に向かう場面で終了したため以降は登場しない。
TV版
ヤマト第1作目のリメイクに際して、『ヤマト2』と『さらば』に土方が登場した事を踏まえた故の登場と思われる。リメイク版では、国連宇宙軍の防空隊を指揮する立場にあり、本土防空隊や、各惑星の艦隊を統括していた模様。沖田の親友であり、古代と島大介の教官を務めていた事もある(古代守とも面識はあった模様)。雰囲気としては『ヤマト2』版に準えている。
また親友の沖田の身体が病に侵されている事を知っており、ヤマト艦長には自分が代わりに務めようとするなど、心遣いも見て取れる。また、漫画版ではヤマト発進時に、損傷から回復していないキリシマに乗り込んで、惑星間弾道弾ミサイルの迎撃に努めようとするなど、気骨ある場面が描かれている。
星巡る方舟
劇場作品でも、冒頭と終盤に登場。冒頭では、ヤマトを見送った後に月基地の空間騎兵隊の生存者を救出に向かった。その際、空間騎兵の斎藤始から救出対応に送れたことに対して非難の声を受けるも動じず、「特務艦護衛の為に立ち寄った、救助はそのついでにすぎない」とハッキリと言い返す(実際に国連軍には救助できる余力すらなかった)。
終盤では帰還を待ち続ける藤堂兵九郎と共に中央指令室におり、暴徒鎮圧に嫌気の差した斎藤から意見具申を受ける。無論誰もが苦しい事は理解しており、そんな中でも沖田十三の帰りを信じ続け、「俺の親友は帰ってくると言った・・・・・・必ずだ!」と言い放った。その直後、太陽系外縁部からのヤマトからの通信によって彼らの帰還を知ることとなる。
概要
- 所属:地球連坊防衛軍 外洋防衛師団
- 階級:宙将
- 肩書:外洋防衛師団司令官
- 年齢:60歳
古代達の波動砲に対する意思を代弁し、地球連邦政府の政策へ反対意見を主張した。ところが、それが上層部の不興を買ってしまい、地球を離れて第11番惑星の外洋防衛師団司令官へと左遷されてしまった。
臨機応変で柔軟、されど諦め悪く勝利の道を探り続ける一面のあった旧作に比べ、頑固一徹で融通の利かない性格に描かれている(上層部への反発とも考えられる)。また第11番惑星で敗北した後、自身は「俺は負けた男だ」と、『愛の戦士たち』におけるパトロール艦隊司令官だった土方と同じく、敗北により気落ちしている面がある。
ガトランティス前衛艦隊の襲撃を受けてしまい大敗、後にヤマトに救出されると、沖田の乗っていた艦であるとしてテレザート星への旅に同行することを決意する。また、空間騎兵隊の斉藤始からは、月面基地で救出した縁から「親仁さん」と敬意の念を込めて呼ばれている。
経歴
第2章
波動砲艦隊構想に強く反発した為に上層部の不興を買い、太陽系最果ての星である第11番惑星に外洋防衛師団司令という役職で配属されていた。そこへ参謀本部の紹介状を持って来た調査団の責任者ロバート・レドラウズ教授の要請に対して、調査船の臨検作業が終わるまでは絶対に動かせないと「規則ですから」の一言で拒否してしまう。
その後にガトランティス第8機動艦隊前衛艦隊の奇襲を受けてしまった。真面な防衛力は空間騎兵隊が殆どと思われ、軍艦は旧型の改磯風型突撃宇宙駆逐艦くらいとされ(画面上では1隻のみ破壊された状態で確認)、飛び立つ前に激しい空襲で大破していた。民間人問わぬ激しい無差別爆撃や、無人兵器ニードルスレイブの攻撃によって都市は壊滅し、2,000人余りの民間が犠牲になってしまう。
これ以上の戦闘は無意味だと悟りつつも、土方は「まだ我々には戦う方法は幾らでも残されている」と悪あがきをしつつも、降伏を選択して停戦を望んだ。ところが、当の前衛艦隊司令官コズモダートは降伏を受け入れず、
「戦って死ね。さすればこの星にも安寧が訪れるであろう」
と死刑宣告を布告。これには土方も
「こいつらは本物の悪魔だ」
今までにない焦りを見せたところで、瓦礫の下敷きになってしまう。
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