「話にならん、参謀本部の紹介状を無視するとは!」
cv:土師孝也
概要
『宇宙戦艦ヤマト2202』に登場する新規キャラクターの1人。地球の考古学者で教授と呼ばれ、助手に桂木透子がいる。考古学者らしい細身の体躯に細長い顔、縁の太い眼鏡、天然パーマのかかった焦げ茶色の髪をしている(何処となく某ロボット少年に出てくる博士を彷彿させる)。
アケーリアス人の遺した遺跡調査を指導する教授で、地球連邦防衛軍参謀本部の紹介状を取り付けて辺境の第11番惑星に立ち寄っていた。ところが現地司令官の土方竜に、臨検作業を理由ににべもなく却下され立ち往生する羽目となっていた。そこでガトランティスの襲撃を受けてしまい、後にヤマトに救助されるが‥‥‥。
経歴
第2章
第11番惑星に立ち寄った際に、土方に臨検を理由に出航を拒否されていた。参謀本部の紹介状も意味をなさず、応用の利かない土方の頑な態度に立腹せざるを得ず、「あの偏屈な司令は、一生この辺境な星に居たいらしい」と批判した。ところが、その後になってガトランティス前衛艦隊が来襲、空襲を受けて一時行方不明となってしまった(一方の桂木透子は無事な姿を見せていたが、肝心の教授の姿は見受けられなかった)。
第3章(ネタバレ)
姿が一向に見えなかった故に、あわや犠牲者となっていたかと思われた時だった。戦火で灰燼と化した第11番惑星の街中で調べごとをしていた桂木の前に突如として姿を見せた。しかし、その姿はどう見ても普通の人間の様子ではなく、首が右に傾いたままというゾンビの様な不安定な足取りで会った。
そこへ透子が歩み寄り、教授の首に手を添えてコキリ、と生々しい音を立てて正常の位置へと戻された途端に意識を戻した。その際に透子から「おかえりなさい、教授」と見るからに怪しい情景であった。
やがて教授もヤマトに同乗し、そのまま惑星シュトラバーゼへと向かう。そこにはかねてから調査対象であったアケーリアス遺跡が存在し、それを見た教授は調査できない現状を嘆いた。ところが、そこにまたもや透子が意味深に
「教授、チャンスは自分の手で掴まなきゃ」
とわざとらしく煽ったのである。これに意を決したのか、彼は惑星シュトラバーゼの地表で、救出した民間人をガミラス定期便の艦隊へと移乗させている最中に独断で百式艇を使って単独で遺跡へと飛びだってしまった。それを知った古代進が追ってきたが、遺跡のテレサの壁画に気を取られたところで不意打ちして気絶させた。
そして古代が目を覚ます傍ら、彼は遺跡内部に描かれている壁画を前にして疑問を投げかけていた。
「何故アケーリアス人は、人を己の姿に似せたのだ」
「オスとメスが、愛を育まなければ繁殖も出来ない不合理な存在」
と人間を否定するかのような言動と態度からして、如何にも常軌を逸した雰囲気を放っていた。
そして古代が目覚めると、彼は遺跡を背後にして突然声色を変えると同時に姿形も変貌した。それこそがガトランティスの指導者ことズォーダーのものであった。所謂レドラウズは、遺跡の力を介してズォーダーの意思を伝達させる存在と成り果てていたのである。
そこからは、ほぼズォーダーと古代の対話になるが、その最中に放たれた反ガミラス軍の惑星間弾道弾がシュトラバーゼを直撃、星は不安定となり崩壊へと進み始めていた。そしてその最中に退避中のガミラス艦3隻がいたが、ズォーダーはその3隻の中に蘇生体呼ばれる人間爆弾を1人づつも具込ませていると伝え、1隻だけ選べばその艦のみを助けてやると言い放った。
直後、レドラウズもまた屍から作られた蘇生体であることを明かし、自らの身体を炎に変えて自爆したのである。
小説版
教授の人柄が本人の独白でより深掘りされている。
パンスペルミア説を研究してきた学者だったが、周囲に否定され相手にされないという人生を歩んできた。そして、ガミラスとの接触や古代アケーリアス文明の存在を知ったことで、アケーリアス研究の道に進み始める。アケーリアス文明調査の第一人者と言われているが、それは単に地球外文明など無いと決めつけて誰も研究していなかったからだと嘆いている。
過去の経験のせいかアケーリアス文明の研究にかなり執着しており、自分が地球人ではなくガミラス人だったら人生を半分も無駄にせずに済んだとか、地球はさっさと降伏して二等ガミラス人の地位を持てば良かったとか言っている。惑星シュトラバーゼの調査が順調に進まない事態に対して政府や軍への不平不満を明け透けにするなど、かなり偏屈な性格をしている。
ただ、こういった面が出てくるのはアケーリアスの調査が阻害されることに対してのみであるようで、同じ道を進んでいる桂木からの称賛には素直に喜んでおり、アニメ同様子供たちだけでも脱出させようと考えるなど人として最低限の良識も持ってはいる。
芹沢虎鉄とは縁があり、最初はガミラスの正体究明のための関わりだったが、次第に外宇宙文明関係の話題にも広がっていったとのことで、この時の教授か芹沢に与えられた知識がイズモ計画に後押しをした可能性が示唆されている。惑星シュトラバーゼ調査の許可証を出したのも小説版では芹沢となっている(アニメではトマス・L・クラーク中将なる人物)。
ちなみに古代が月面に潜入する際に使った100式空間偵察機は元々教授の調査に使われるものだったらしい。
また、彼の独白では惑星シュトラバーゼがどういう存在かについても語られており、アニメの圧倒的描写不足を補ってくれている。
レドラウズの裏話
レドラウズが何時から蘇生体であったのかは明らかにされていない。因みにレドラウズという名前の由来はズォーダーのアルファベット読みを逆さにして読んだアナグラム方式から来ている。
REDOROUZ≒ZUORDER
行方不明ではなかった
上記に教授が行方不明になっていたと記述しているが、実は避難民がヤマトに乗り込むシーンでばっちり姿が映っている(桂木透子・イリィと一緒に)。蘇生体だったか否かに拘わらず、一度ヤマトに乗り込んだ後にわざわざ再度降りて都市跡まで来たとは考えにくく、この場面は矛盾となっている。
このシーンは脚本だと教授については描かれていないので、絵コンテでうっかり描いてしまったのだろう。本来こういうのは監督やシリーズ構成が確認・修正してしかるべきだろうが、構成が息をしていないのは本作では日常茶飯事なので仕方がない。
ちなみに脚本では避難所の話し合いまでは映像と同様。その後は首をコキッとするシーンまで出てこないのだが、それとは別に斉藤始がクレーターの中の夥しい死体の山から目覚め、怪しげな雰囲気の桂木に夢現状態で導かれるというシーンがある。この死体の中には避難所の人間もいたと考えられることから、永倉志織の脱出に前後して避難場所が襲撃され、その時に他の人間ともども死亡および蘇生体化処置を施されたのだと思われる。あるいは首コキッのシーンで桂木と教授が最初から一緒にいる(映像のように合流前から既に蘇生体だったという描写が無い)ことから、戦いの後で桂木に殺された可能性もある。
小説版だと永倉脱出後に避難場所が襲撃されて死亡したことが明言されており、桂木の首コキッのタイミングはヤマトが現れる前に変更されている。