概要
初代宇宙戦艦ヤマト、またはリメイク版の双方において、登場するのが大ガミラス帝国(リメイクでは大ガミラス帝星)である。そして、その帝国の首都として機能している惑星がガミラス星(リメイク版では帝星と呼ぶこともある)。大マゼラン星雲(大マゼラン銀河)や小マゼラン一帯に勢力を伸ばす強大な国家として描かれて登場している。ただし、オリジナルとリメイクでは、大ガミラスの内部事情や設定等が、微妙に異なっている。
オリジナル版では、1作目や2作目では敵対勢力として描かれているが、それ以降は新たな敵対勢力の登場に伴い、ヤマトと共同戦線を張ることも多い。そのために、オリジナルシリーズ後半においては、ヤマトや地球の敵としての役割・印象は薄くなり、寧ろ友軍としての印象が強くなった。
リメイク版でも、物語終盤では、地球(正式には沖田十三が立ち会ったと思われる)とガミラスの間で停戦が取り決められ、ようやく戦争は終結。その後、『2202』では和平条約が締結されているという設定であることから、協力し合える可能性はある(劇場版『星巡る方舟』では一部の軍人とヤマトクルーたちが共闘してガトランティスに立ち向かっている)。
ガミラス人の特徴
いわゆるヒューマノイド型の宇宙人で、肌の色が青い点以外は地球人とそっくりな外見をしており、『2199』ではDNAの情報も地球人とほぼ同じであるという驚くべき結果が得られた(このため、地球人と交配することも可能だと考えられる)。
ちなみにオリジナル版最初期は肌の色も地球人と同じだった(ヒスだけは紫だったが)のだが、しばらくして青い肌という設定に変更になったという経緯がある。序盤に出たシュルツたちは既に死んでいて再登場する予定は無かったので問題なかったが、デスラーだけはどうしようもなく、結局は劇中で長い通路を歩かせ、背景の色と同期して色を少しずつ変えることで「照明の都合で肌の色が違って見えてた」ということにした。
劇場総集編ではデスラーとヒスは修正されたが、シュルツたちはそのままだった。このことが後に『2199』で二等臣民という設定に昇華されることになる(後述)。
ヒューマノイド型の訳
オリジナル版シリーズ以降、何故、他の星の文明人でありながらも、ここまでよく似た姿をしているかは不明であった(ただし劇場版『完結編』では、ディンギル人の祖先が地球人である事が明かされている)。『2199』の劇場版『星巡る方舟』では、ジレル人の祖先アケーリアス文明の人々によって、同じ起源を持つ生命が宇宙の各所に散りばめられた事が明らかにされたことで、オリジナルシリーズにおける不明確な点を解消している。
オリジナル版
概要
大マゼラン星雲のサンザー太陽系第8惑星(第1や第3とする説もある)であるガミラス星を首都星にした、軍事独裁国家である。国家元首はデスラー総統、ナンバー2にヒス副総統。
惑星自体は寿命が尽きようとしている年老いたもので、地層は浸食化が著しく進んだために空洞化している。さらに巨大な穴が幾つか開いており、独特の惑星の姿となっている。その空洞内部には総統府や主要都市、または軍事施設等が建設されている。
さらに空洞外殻(天井)にも総統府や都市を建設しており、空洞化された惑星を有効的に活用している模様。活発な火山活動の結果として、惑星の空洞内部には硫酸が溜まってできた湖が存在し、亜硫酸の大気、希硫酸を含んだ雨が降る。
隣のイスカンダル星とは、双子星の関係にある。
経歴
滅亡への道
マゼラン星雲一帯を支配しているとされている大帝国だったが、母星であるガミラス星の寿命が尽きようとしていた。そこでデスラー総統は、大マゼラン星雲から離れた銀河系にある地球を移住先に定め、侵略を開始。まずは星雲と銀河の中間に浮かぶバラン星を中間基地として建設し、侵攻の足掛かりとする為の橋頭保とした。
侵攻当初はバラン星から太陽系の冥王星まで順調に進み、さらには太陽系内の制圧を順調に進めて行った。太陽系外縁部にある冥王星を前線基地とした後は、地球艦隊を撃滅した上で、遊星爆弾による攻撃を開始、じわじわと人類の首を締め上げて行き、人類の絶滅か降伏の道を突き付けていた。
しかし、人類の希望として誕生した宇宙戦艦ヤマトの反撃が始まる(と言うよりも、目指す先にガミラス本国が重なってしまった為に、ガミラス側は迎撃せざるを得ず、ヤマトは尽くそれを退けた格好となった)。ガミラス帝国は次々とヤマトによって冥王星基地、バラン星基地と侵攻の足掛かりを失っていき、さらに名将と謳われたドメル将軍をも失った。
本土決戦
遂にサンザー星系ヘ辿り着かれてしまったデスラーは、止む無く本国に誘き出して、本土上において撃滅を計画した(なお、艦隊や親衛隊を投入しなかった経緯については不明確である)。その指揮は彼が直接に執ることなる。
まずヤマトを電磁フィラメントを満載したミサイルで攻撃。迎撃された瞬間に放出された大量のフィラメントでヤマトを包み込み、それを電磁光線で強引に牽引して本国の空洞内部へ引きずり込んだ。後は天候を人工的に操る変圧機を用いて硫酸の雨を降らし、内殻と外殻に設置されている爆雷やミサイルで挟撃。そのままよしんば酸の海へ沈めて溶かしてしまおうとした。
だが、ヤマトが決死に挑んだ地殻内部の火山動脈を波動砲で破壊。大噴火を引きこされると、ガミラス星内部は地獄絵図と化した。噴火する山々のマグマが地下都市を呑み込み、天井都市も転落を始める。そこへヤマトが最後の反撃に出てきた。容赦ない砲撃で本格的に崩壊していき、外殻の一部崩壊も始まってしまった程だった。
これはデスラーが自分で招いた大惨事とはいえ、ガミラス星の首都星としての機能は完全に喪失してしまったのである。デスラー自身は天井都市に模した専用艦(デスラー艦)で脱出したものの、大マゼランにおけるガミラス帝国の影響力は、これを機に無効化されたも同じ事であった。
滅亡以後
ヤマトとの決戦で崩壊したガミラス帝国だったが、瀕死状態だったデスラーがガトランティス帝国に運良く拾われ救われた事で、ガミラス帝国の残存兵力は彼の元に糾合されていく。ガトランティスとの同盟の基で、デスラー率いるガミラス残存勢力はヤマトへの復讐戦に燃える事となった。
しかしデスラーがヤマトへの復讐を終えると、その後はガトランティスと袂を分かって新帝国建設のために放浪の旅に出ることとなった。長大な旅が予想される中、ガミラス本星へ最後の別れを告げんとして一時帰還するも、そこで暗黒星団帝国と接触する。
地下資源ガミラシウムの採掘を目の当たりにしたデスラーが、怒りの鉄槌を下すべく強襲したが、その最中にガミラス星が地下資源のエネルギー誘爆によって大爆発、完全消滅するという悲劇に見舞われた。
その苦難を目の当たりにするも、デスラーは挫けることなくガミラスの生き残り再び糾合、その後に銀河系へと再び舞い戻り、そこで先祖の星であるガルマン星を発見。支配していたボラー連邦からを一掃し、そこを新帝国の中心都市てガルマン・ガミラス帝国を建国するに至った。
支配圏
なお、ガミラス帝国の支配圏がどの辺りまで及んでいたかは、詳しくは述べられていない。少なくとも、大マゼラン星雲と小マゼラン星雲一帯に勢力を伸ばしていることは確実である。植民地星等の詳しい説明はなされてはいないが、その代表格としてビーメラ星が存在している。昆虫型ヒューマノイドの住人で、ガミラス星の庇護を受けているものの、文明レベルは低く、旧式武装でも事足りるものである様子。
また、ドメル将軍が各戦線から空母を引き抜いているのが明らかにはされている。サファイア戦線、ルビー戦線、ダイヤ戦線、オメガ戦線、と4ヶ所で戦争を継続しているようで、この中でサファイア戦線に関しては、PS2版『宇宙戦艦ヤマト イスカンダルの追憶』でステージとして登場しており、マイクロブラックホールを作る為の材料(死に絶えた恒星)があるとされている。
登場人物
デスラー(大ガミラス帝国総統)
ヒス(副総統)
タラン(大マゼラン防衛司令官)
ドメル(銀河方面作戦司令長官)
ゲール(銀河方面副司令)
ハイデルン(戦闘空母艦長)
ゲットー(第1空母艦長)
バーガー(第2空母艦長)
クロイツ(第3空母艦長)
シュルツ(冥王星基地司令)
ガンツ(シュルツの副官)
ヤレタラー(偵察隊)
美男司令(浮遊大陸基地司令)
ガミラスパイロット(ヤマトの捕虜)
タックス(徴収官)
所有艦艇
2199シリーズ
概要
主都星はサレザー恒星系第4惑星に位置している。こちらでの呼び名は大ガミラス帝星。指導者はアベルト・デスラー大ガミラス永世総統。ナンバー2にレドフ・ヒス副総統を置いている。
惑星の状態については、オリジナル版と異なり老いて住みにくい星となっている訳ではない。空洞惑星であり、地下都市が広がっている点は同じではあるが、硫酸の海や希硫酸、亜硫酸と言った有毒物質が広がる環境ではない。湖は害のないもののようで、大気組成も酸素が主体である。
このガミラス帝国は当初、サレザー恒星暦において1000年前にガミラス大公国という国号で建国され、複数の王侯貴族により統治されていた。103年前、アベルト・デスラーの叔父であるエーリク・ヴァム・デスラー大公により、一度は統一された模様である。
しかし、エーリクの死後、内乱状態となった国家を再統一したのが、現総統のアベルト・デスラーであった。統一された後は、ガミラス大公国は解体されて国号を大ガミラス帝星と改称し、デスラーは永世総統の地位に就いたのである。
なお小説版『2199』では、内乱状態にあったガミラス大公国を統一すべく、この頃から軍人として名のあるガル・ディッツや、粗暴な戦い方が目立つが貴族として絶大な発言力を有するヘルム・ゼーリックら陣営に引き入れて動いていたようである。
勢力の拡大と衰退
デスラーは「宇宙恒久の平和を達成させる為にはイスカンダル主義の拡大浸透が必要」であり「他星へ侵攻し武力をもって併合するのが神の意志でありガミラス民族の使命である」と説いて、デスラー・ドクトリンを宣言し、周辺惑星国家への侵攻を開始した。
幾多の星間国家に対して、武力による支配と併合を繰り返していく。その一方で、ガミラスに対して帰順を示した民族や国家に対しては、二等臣民として同化政策を進めて行った。
後に大マゼラン銀河と小マゼラン銀河を完全に統一するという偉業を成し遂げる事に成功。その勢い持って天の川銀河へと進出を開始している。その中では太陽系も含まれており、例によって地球も支配対象として見られ、侵略を受ける事となる。
しかし、この頃からガミラス帝国の内部では綻びが見え隠れしている。原因の一つとして勢力の拡大そのものが挙げられる。拡大する一方で人材はそれを補うのに足りず、または戦争の連続で国家の疲弊も見えていた。応急策としてアンドロイドやクローン兵士の投入、植民星の軍人を登用することで国家を支えて行った。これに関して、ヴォルフ・フラーケン中佐は「拡大政策のツケってやつさ」と皮肉を言っている。
さらに同化政策に批判的な旧貴族の一派がおり、その代表格であるゼーリック国家元帥もまた、デスラー政権の転覆と、貴族社会の復帰を目論んでいた。だが、その同化政策にさえ限界が生じていた。いかな二等ガミラス臣民の権利を受けたとはいえ、純潔ガミラス人との権利の差別化が明白となり、植民地星では決起や反乱が起こり始めていたのだ。特に親衛隊の辣腕ぶりも、植民星への不満を蓄積させる要因にもなったと考えられる。
また、デスラー自身が内政への興味を持たず丸投げ状態にしていることも一因とされている(要するに、この丸投げ状態が親衛隊の横暴を許す結果にもなったのだが)。勢力の拡大ばかりで内部の統制が乱れ始めていたころに、その拍車を掛けたのがヤマトの出現であると、ヴェルテ・タランが公言している。
経歴
デスラー政権の崩壊まで
オリジナルでは遷都の為に地球へ侵攻してきたが、『2199』版ではそのような事は口実とされておらず、あくまでも大ガミラス帝国の勢力を広げる為の一環であるとされている。そして銀河方面における地球との戦争では、戦端を開いたのは地球側であり、それを口実にガミラスは攻撃を開始している。とはいえ、対話による解決を選んだとしても、ガミラスからは服従や帰順を求められることに変わりはなく、結果は同じ道を進んだと考えられる。
冥王星に前線基地を築き、地球の軍事力をほぼ無力化し、遊星爆弾で人類を絶滅させる一歩手前まで来たものの、ヤマトの活躍で各基地を失い、さらにはバラン星の中枢ゲートまで破壊されると言う痛手を被った。
一方でデスラー暗殺未遂事件も重なって、政権が一時的に混乱。ゼーリックの横暴を許す形になるも、ミーゼラ・セレステラの策略で阻止。とはいえ、バラン星に主力艦隊を置き去りにされてしまったガミラス本国は、エルク・ドメルを迎撃に差し向けるものの、あと一歩及ばずに敗退。
最終的にはサレザー星系に到達したヤマトに対して、ハイドム・ギムレー率いる親衛隊が母星の防衛に当たったが、それほど役には立たなかった。また、大統合の為に本星の臣民をヤマトごと抹殺しようとしたデスラーもまた、デスラー砲の暴走による第2バレラスの自爆で行方不明となってしまった。これを持って、デスラー政権は事実上の崩壊を辿ったのである。
なお、デスラーが臣民をも巻き込んで攻撃せんとした主な理由はアニメで語られなかったが、小説版では、上記の腐敗した帝国内部の情勢に見切りをつけたうえに、連戦して連勝するガミラスに負け無しと思い込んでいる臣民に対して、今一度、危機感への備えと言うものを教え込む必要があるとして、633工区の落下やデスラー砲の砲撃を狙ったものとしている。
政権崩壊後
デスラー政権が事実上の崩壊を辿った後、レドフ・ヒス副総統や、ガル・ディッツ提督を始めとした首脳部が、分裂しつつあるガミラスの統一に勤しんでおり、そこにスターシャ・イスカンダルとユリーシャ・イスカンダルの支えを受け、国民再統一のために動いていると思われる。
また地球との間に停戦が取り決められ、正式に戦争の終結を迎えたものの、劇場作品『星巡る方舟』の小説版では、閣僚たち(ガデル・タランやレドフ・ヒスなどが中心に)が戦後処理に忙殺されている様子が描写されている。
衛星軌道上で爆散した第二バレラスの破片が、引力に退かれて帝星に降り注いで住宅街等に被害を出しており、それを迎撃するのに手が足りていない。さらにデスラー死亡後に乗じて、クーデターや反乱等が起きないよう、迅速に各戦線や各部隊への停戦命令、招集命令を矢次に飛ばしている。
ガデル・タランも、自分の責務外であることを自覚しつつ、人手が足りず混乱の収拾がつかない状況下では、出来る事は何でもするべきだと考え、激務に追われていた。時には連絡のつかない部隊に対してどうすべきか、と問いかけてきたオペレーターに対して「我々の時は、通信できないなんて体たらくは無かったぞ。通信が出来ないのなら、近辺にいる警務艦隊を向かわせろ!」と融通の利かなさに怒鳴り散らす場面も見られた。
3年後
デスラー政権の崩壊に伴い、地球との正式な和平を結んでいるばかりか、復興支援等で地球に貢献している面もある模様。和平を結んでこそいるが完全な信頼関係を置いているとは言い難い模様で、いまだに戦争での傷痕が民間人の間で残り続けている。
軍事的な共同作戦も展開することもあり、第8浮遊大陸奪還のために地球艦隊と連携を取っている。また大使館を月面に設立しており、ガミラス大使としてローレン・バレルが赴任している。ガトランティスに関して早期から接触しているだけあって、地球よりもデータは多くとっている様子だが、それを開示する時期が遅すぎる事もあるなど、微妙な同盟関係を窺わせている。
またデスラーという巨大なカリスマを失った影響で、国内の統一性を失われているようで、デスラー台頭以前のガミラスへの回帰を目指す反動勢力が正規軍並の武装を整えて暴れているなど不穏な空気が漂っている。(それだけの武装を整えれるのは、政権側に彼らの主張にシンパシーを感じて協力する者が多数いるためと小説版で示唆されている)
支配圏
大マゼラン銀河と小マゼラン銀河を完全に統一された事が、建国記念日にてヒス副総統の口から公言されている。また天の川銀河にも進出している途上で、太陽系以外の各宙域にも、中継基地や補給基地を幾多も建設している様子が劇中で窺える。
また、小マゼランにおいては、外宇宙から侵攻してきた『蛮族』(ガトランティス)と称される国家との戦闘が継続しており、その都度、戦闘を生じて撃退させている。ただし政権崩壊前から、各惑星での蜂起が頻発していることが明かされていることから、政権崩壊後は支配勢力が多少縮小されているようで、作中でガミラスが持てあますようになったいくつかの植民星を地球に譲渡したという話がある。
旧作と異なる点
大義名分
旧作と同様に地球へ攻め入るが、『2199』ではその理由が異なっている。星の寿命が尽きようとしていたのを理由とした旧作と違い、『2199』では上記に上げたように『イスカンダルに代わって全宇宙を統合し、真の平和を実現するため』とされている。
人種
また新たにな設定として、ガミラスが征服した星の住民が二等臣民として加えられている、と言う設定が加わっており、シュルツ大佐をはじめとする冥王星基地の将兵(ザルツ人)も作中で肌の色が違う二級市民(劣等種族)として、差別されている。
こうした設定が生み出されたのは、原作においてシュルツをはじめとした冥王星基地の兵士たちがガミラス人にもかかわらず青い肌をしていないという矛盾が生じており、それを払しょくするという狙いがあったため。劇中ではザルツ人の他にも、オルタリア人、エルフのような容姿をしたジレル人といった多数の民族が登場している。
なお、多民族国家でありながら一部の民族のみが特権階級として権力を握っているという設定は、『さらば宇宙戦艦ヤマト』や『宇宙戦艦ヤマト2』に登場したガトランティス(白色彗星帝国)と似ている。
国家存続
原作とは異なりガミラスの国家そのものが滅亡しておらず、当時のデスラー政権が消滅したのみにとどまり、国家としては存続している。デスラーが消息不明となった後、本星に残された閣僚たちが国家の再建について語るシーンが挿入されており(特に小説版は詳しく描かれている)、その後は地球とも正式な和平条約を締結し戦争を終結させている。
続編『宇宙戦艦ヤマト2202』では、存続しているガミラスと地球が和平を締結した後に同盟関係にまで進んでいった。復興の影響はガミラスの支援によるところも大きい(地球の一般車両がタイヤ式から、ガミラス製のホバー式に変わっている等)。
登場人物
政府(2199)
アベルト・デスラー(大ガミラス帝星永世総統)
レドフ・ヒス(副総統)
ハイドム・ギムレー(親衛隊長官)
マルド・ヴォッテル大将(官房長)
ミーゼラ・セレステラ(宣伝相)
ヴェルテ・タラン(軍需国防相)
ドラム・ボシュレム(国防次官)
バノム・べッシュ(内務相)
ローグ・モラム(法務相)
ゲラン・モーゲン(国民管理相)
ヒドレ・ザルメ(支配統治相)
トール・トード(労働相)
メドム・ナーキン(財務相)
ゼニス・ダッハ(帝国銀行総裁)
カリス・ノロップ(小マゼラン大管区総督)
ドーテム・ゲルヒン(食糧資源省・食糧生産管理局長)
リベル・ドロッペ(ノルド大管区・惑星オルタリア総督)
政府(2202)
ローレン・バレル(ガミラス大使)
軍上層部
ヘルム・ゼーリック国家元帥(中央軍総監)
ネルン・キーリング上級大将(参謀総長)
ガデル・タラン中将(参謀次長)
ダール・ヒステンバーガー大将(作戦部長)
ガル・ディッツ提督(航宙艦隊総司令)
親衛隊
軍人(2199)
エルク・ドメル上級大将(第6空間機甲師団司令官・銀河方面作戦司令長官)
グレムト・ゲール少将(銀河方面副司令)
イデル・モンク中佐(ゲールの副官)
ヴェム・ハイデルン大佐(旗艦『ドメラーズⅢ世』艦長・先任参謀)
ライル・ゲットー少佐(第4空戦隊隊長)
フォムト・バーガー少佐(第7駆逐戦隊長)
カリス・クライツェ少佐(第3宙雷戦隊長)
ヴォルフ・フラーケン中佐(次元潜航艦『UX―01』艦長)
ゴル・ハイニ大尉(次元潜航艦『UX-01』副長)
ヴァンス・ヴァーレン大尉(臣民突撃兵団、重爆撃機『ガルント』指揮官)
ヴァルケ・シュルツ大佐(ザルツ空間機甲旅団長・地球攻略軍司令)
ゲルフ・ガンツ少佐(ザルツ空間機甲旅団・副司令)
ヴォル・ヤレトラー少佐(ザルツ空間機甲旅団・作戦参謀)
サレルヤ・ラーレタ少佐(浮遊大陸基地司令)
メルダ・ディッツ少尉(ガル・ディッツの娘、707航空団所属)
ミレーネル・リンケ中尉(特務官)
ゲルト・ベルガー少尉(442特務小隊長)
ノラン・オシェット伍長(442特務小隊)
バルシュ・メック曹長(442特務小隊)
ベリス・ライチェ軍曹(442特務小隊)
バシブ・バンデベル准将(戦艦『ゼルグートⅡ世』艦長)
デバルゾ・ボーゼン大佐(収容所惑星レプタポーダ所長)
ニーゲル・ルバッカ少佐(収容所惑星レプタポーダ副所長)
軍人(星巡る方舟)
ネレディア・リッケ大佐(バーガーの旧知、第8警務艦隊司令官、旗艦『ミランガル』艦長)
メリア・リッケ(バーガーの恋人、ネレディアの妹で既に亡き人。桐生美影と瓜二つの容姿の持ち主)
クリム・メルヒ少尉(バーガーの部下、パイロット)
マイゼル・ドラム大佐(クーデター派将校)
軍人(2202)
クラウス・キーマン(ガミラス大使館駐在武官)
ルッツ・カーゼット(ガミラス定期便艦隊司令)
ダス・ルーゲンス(第38辺境任務部隊司令)・・・シナリオ版のみ
民間人
ヒルデ・シュルツ(2199)
エリーサ・ドメル(2199)
ガミラスの少女(2199)
エルダァ(2202)
イリィ(2202)
兵器
艦は大きさ別に項目を分けているが、必ずしも全長順に並んでいない。
超大型艦船
特一等航宙戦闘艦『デウスーラⅡ世』(2199)
・『ゼルグートⅡ世』(2199)
・『デウスーラⅠ世』(2199)
・『ドメラーズⅢ世』(2199)
・装甲突入型ゼルグート級『ケルベロスⅠ~Ⅲ』(2202)
・反乱軍旗艦(2202)
・褐色塗装の艦(艦名不明)(2205)
ノイ・デウスーラ(厳密にはガトランティス製)(2202)
超ゲルバデス級航宙輸送艦(2202、2205)
簡易都市型移民船(2205)
大型艦船
特一等航宙戦闘母艦『デウスーラⅢ世』(2205)
・ガイペロン級多層式航宙母艦(重武装ユニット装備)(2205)
CCCシリーズ(大元は地球製)(2202)
ガミドロメダ(2202)
中型艦船
ゲルバデス級航宙戦闘母艦(2199、2202)
ポルメリア級強襲航宙母艦(2199)
ハイゼラード級航宙戦艦(2199)
移民船各種(2205)
小型艦船
デラメヤ級強襲揚陸艦(2199)
航空機
戦闘攻撃機DWG229メランカ
偵察機FG156スマルヒ
空間駆逐戦闘機DDG110ゼードラーII
空間重爆撃機DBG88ガルント(本来は軍用機ではない)
車輌
サルバーS-Ⅵ型重戦車
メルバーM-Ⅲ型装甲兵員輸送車
スーパーロボット参戦
ネタバレ含み注意
ゲーム作品『スーパーロボット大戦V』にて、初めて登場となった宇宙戦艦ヤマト(厳密には宇宙戦艦ヤマト2199の方だが)の参戦に伴い、スパロボのストーリー構成がヤマトの物語を主軸とする為、当然の事ながら大ガミラス帝星もプレイヤーの敵として登場する。
なおスパロボ大戦における大マゼラン銀河の歴史はゲーム用に改変されており、ガミラスが大マゼランを統一する以前には波動機関を主力にしたイスカンダルと、超文明を謳うガーディムが覇権を相争っていた。
ところが、ガーディムの誇っていたシステム社会体制が原因で内乱が勃発してしまい、外部的な要因ではなく内部的な要因で衰退しやがて消滅することとなった。それと同時にイスカンダルが覇権を手にしたものの、それから今度はイスカンダルそのものが衰退するのと入れ替わる形でガミラスが台頭した、という事になっている。なおデスラー自身もガーディムの伝説は知っており、そのガーディムが内部分裂による国家崩壊から辛うじて逃れたガーディム第8艦隊が、果てしのない放浪の途中で消息を絶ったとされる。
本ゲームで、そのガーディムがヤマトを追う形で現れ、それを知ったデスラーもまたガーディム第8艦隊の消息について調査を行うようになる。ゲーム最終シナリオ(プレイヤーの選択で変化する)で、デスラー率いる残存艦隊と、過去から現れたアールフォルツ司令率いるガーディム第8艦隊、プレイヤー率いる三世界合同艦隊の三つ巴戦となる。
そして、クロス・ボーンX1、真マジンガーZERO、真ゲッターに倒されるガミラス艦隊は凄まじく、特に真ゲッターやマジンガーZEROが相手だと逆にガミラスに同情したくなる程で、相手が悪かったとしか言い様がない。
その強大さ故か、スパロボプレイヤーの間では「バッフ・クラン」や「ゼントラーディ」、「バルマー帝国」や「アンドロメダ流国」、「ゲッター艦隊」等の最強規模の敵勢力とガミラスが戦ったらどうなるか等の議論が交わされている(なお、これはガミラスだけでなく他のヤマトの敵勢力にも言われている)。
関連イラスト
関連項目
宇宙戦艦ヤマト 宇宙戦艦ヤマト2199 宇宙戦艦ヤマト2202 ガルマン・ガミラス帝国 星巡る方舟 スーパーロボット大戦V
----------ここから先、『2202』『2205』のネタバレ注意----------
拡大政策の実情
先述の通り、旧作とは異なりガミラスという国家の存続こそしていたものの、実はその裏では旧作同様ガミラスの惑星としての寿命がつきつつあった。ガミラスの惑星としての寿命は、アベルトの伯父エーリク・ヴァム・デスラー大公の治世の時代(アベルトが少年だった時期と重なる)で残り100年未満と目されており、ガミラス民族存続のためガミラス民族が移住可能な惑星の発見が急務となった。ただしこの「惑星の寿命が間近」という秘密はエーリク以下「誓い」を結んだごく少数の人々にのみ共有されるにとどまっており、その会合の場に偶然居合わせていたアベルトは兄マティウス・デスラーの取りなしで「誓い」を結び、秘密を共有する仲間に加わった。
福井晴敏が初期に用意した設定メモによると、この問題を秘密にした理由は、解決法が見つかっていない段階で事を公にすれば、国民は絶望してパニックになるか無気力になってしまい、最悪その混乱の隙を周辺の敵性国家に付け入れらて侵略される危険性もあったからとされる。また、後述するアベルトの代になった際、秘密を公にして国民一丸になって対処する方法も一考したが、結局先述のリスクの方が大きいと判断して見送っている。
その後、マティウスを戦争で亡くしたアベルトは、エーリクの跡を継ぎデスラー家の当主、そして統一を成し遂げたガミラスの永世総統に就任する。永世総統に就任したアベルトはガミラス民族の移住先の探索という兄から託された使命のカモフラージュとして「イスカンダル主義を掲げた版図拡大政策」を掲げサレザー恒星系を出て外銀河に進出。様々な惑星を占領しガミラスの支配下に置くも、ガミラス民族にとって永久に暮らしていける完全な移住先は見つからなかった。
- 長く移住先が見つからなかったのは、エーリクの仲間の台詞を借りると「サレザー星系の太陽は極めて特殊」(設定メモではそれに加えてガミラス星自体の大気や磁場も言及されている)であり、その特殊な環境下でないとガミラス人は長くは生きていけないという制約があったから。「長くは生きられない」というのは、福井氏の設定メモによると「数年程度なら問題なく過ごせるが、10年以上になると、原住民にはなんてことのない風土病が凶悪に作用し、病死のリスクが跳ね上がる」というもの(少しずつ身体の抵抗力が落ちていく感じだろうか?)。この内容だと要は感染症に罹患しなければいいため、全員が全員必ずしも早死にするわけではなさそうだが、どちらにせよ本星を離れたガミラス民族が単に他の惑星に移住するだけではそう遠くない未来に絶滅してしまうのは避けられない結末だっただろう。
- 惑星の寿命同様、このガミラス人の体質も公にはされなかった。同設定メモでは「この事実は過去100年の統計で明らかになった」とされ、小説版ではさらに「(実証を得るまでは)二等臣民が撒いた噂という扱いだった」ともされている。
- 『2199』における地球侵略と第二バレラスはこの移住計画に絡んだものとされた。設定メモによると、
- 第二バレラスは一時的な避難先であり、ガミラス本星と同じ軌道上に建設することで環境の問題をとりあえずクリアしたもの。建造は『2199』でデスラーも述べていた「イスカンダルとの大統合」を建前とした。ただし、『2199』で登場した1つだけでは数百万人の収容が限界で、多数のガミラス人を生存させるには増設が必須となる。
- 地球への遊星爆弾投下は、大小マゼラン銀河で移住先が見つからかったことから、環境改造を目的として行われた。あまりにも非人道的な計画なため実行の賛否が分かれており、地球はちょうど先遣部隊といざこざを起こしたことで標的に選ばれたのだった(「二等臣民の部隊に任せておけば十分な辺境の取るに足らない惑星」という対外的な建前もあった)。また、この環境改造自体が成功するかは不確定だったとされる。
- アベルトが拡大政策を推し進める中、コスモリバースシステムという惑星を再生させる力を持ちつつ一向に隣人であるガミラスに対して「救済」の手を差し伸べないイスカンダルに対して不満を持つ一派も存在しており、彼らのうちの過激派があろうことかイスカンダルに向けての脅迫として、帝都に巨大な大砲を建造するという暴挙に出る。無論、アベルトにはなんの断りもなく建造された。
その後、ガトランティスに身を寄せるアベルトだったが、彼の行動原理は「兄マティウスとの約束であるガミラス民族の存続、そしてその実現のための移住先の発見」が第一であった。彼はヤマトに乗り込みデスラー派の内偵を行っていたクラウス・キーマン...もとい、亡き兄マティウスの忘れ形見であるランハルト・デスラーに対しその秘密を明かす。そして、アベルトの真意を知ったランハルトは「戦いの虚しさを知った貴方に、ガミラスの未来を託したい」と語り、兄のみならず甥からもガミラスの命運を預けられたアベルトは再びガミラスに赴くのだった。
希望の発見と突然の破滅
そして『2205』冒頭にて、探索の果てに天の川銀河にてついに移住先となり得る惑星ガルマンを発見。ガルマンを占領していたボラー連邦とはアベルトが自ら赴いた交渉も虚しく敵対することとなってしまったが、ボラー艦隊の不意を突いた波動共鳴反応による破壊工作やガデル・タラン・フォムト・バーガー率いるデスラー艦隊による奇襲作戦によりガルマン解放に成功。ついに兄・甥から引き継いだ宿願であるガミラス民族の大移住計画に着手することになった。『2202』最終話(2203年12月)から実に2年近く経っての出来事だった。
一方、アベルトから「惑星の寿命が迫っている」という事実を公表されたレドフ・ヒス首相以下ガミラス民主政府もガミラス民族存続の観点から彼との協力関係を築き、ガルマンに向けた移民船団の建造や国民の一刻も早い移民を進めていた。だが、移民を進めるヒスの養女であるヒルデ・シュルツですら「本当に来るのかな...星の寿命が」と呟いたことに代表されるように、ガルマンへの移民は遅々として進んでおらず、『2205』冒頭では依然として7割が本星に残ったままという状態だった。この状況を鑑み、ヒスは移民政策促進のため「惑星のコアの融解は加速度的に進んでおり、数ヶ月以内に破滅的な崩壊が起こる可能性がある」という事実の公表を決意する。
だが、民主政府がコア融解の情報公開を決意し、またデスラーが移民船団護衛のためガミラスに舞い戻っている途上、ガミラスに謎の槍状物体が多数飛来。ガミラス艦艇の兵器を一切受け付けず、また何百という圧倒的物量で降り注ぐこの槍状物体の作用で惑星のコアの融解は急激に加速。駆けつけたデスラー艦隊も圧倒的物量の前に槍状物体の除去を諦めると、ヒスからの要請に従い、何が起こってもおかしくない状況の中1人でも多くの国民を助ける方針に変更。だが、デスラー艦隊の奮闘も虚しく、全人口の7割という膨大な国民を残したまま惑星は崩壊。首相であるヒスも崩壊に先立つ溶岩流に飲み込まれ生涯を閉じた。目の前で故郷である星が崩壊した現場を目撃することとなったアベルトはその場に崩れ落ち、惑星崩壊を辛くも生き残った移民船団は双子星であるイスカンダルへと着水したのであった。生き残ったガミラス政府は全宇宙に散らばっているガミラス国民に対し、「ガミラス消失」の連絡を送ることしかできなかった。
そして...
青き肌の秘密と「ガミラス」の意味するもの
星の海は 暗くて冷たい 怖いところ
勇敢で賢い王様は 立派な船で旅に出ました
船は滑る 星の海を越える
醜い氷の星 柔らかくて熱い星
長い長い旅の中で 家来と 女と 子供たちが 大勢死にました
王様は 泣きました
「ああ どうしてこんな旅に出たのか もう帰り道も忘れてしまった」
すると船は 大きく回って 滑り出しました
向かう先には 双子の星
その一つを差し出しながら 女神は王様に言いました
「其方たちに名を与えよう 『ガミラス』と」
「私のそばにいなさい 永遠に繁り栄えなさい」
祝福は星の海に響き みんな幸せに暮らしました...
-----後章「STASHA」冒頭で語られたガミラスの昔話より
『2205』第7話にて、イスカンダルの女王であるスターシャから、イスカンダルとガミラスに関する「秘密」の開示があった。
実はガミラス民族は、全宇宙に散らばる知的生命体・文明を他の文明と争い滅ぶ前に「星の記憶」の結晶という形で記録・保管することで永遠に残すという方法で遍く知的生命体による文明の共存を目指したイスカンダル人が、エレメント化の処理を施し数を減らしつつある自分たちに代わって他の星間文明を滅ぼし、その文明を固定・記録する自らの手足となる種族として惑星ガルマンから拉致してきた人々の末裔であることが判明。つまるところガルマン星がガミラス民族の恒久的な移住先として最適であるのは当然の帰結だった。それどころか、ガミラス星は連れてこられたガルマン民族が生きていけるようコスモリバースシステムで環境が整えられたことも判明したため、ガミラス民族自身が特殊だと思っていた環境自体、イスカンダルの技術によって惑星表面に上書きされた環境でしかなかった。連れてきたガルマン人たちに「青き血・青き肌」という特徴に誇りを持つよう洗脳教育を施し、彼らに新たに「ガミラス」という名を与え繁栄を約束した。
なお、「ガミラス」とは古代イスカンダルの言葉で「ガルマンの人猿」という意味である。
やがてイスカンダルは知的生命体のエレメント化という行為に飽き、外界への干渉を止めてしまった。記憶庫(エレメントの保管庫)の管理人として王族(スターシャ)のみを残し、イスカンダル人は全て記憶庫へと身を移した。その結果、用無しとなったガミラス人は、イスカンダルの代行者としての存在意義を失い、内乱の時代へと突入。数千年のうちにやがて代行者としての立場も忘れ、イスカンダルへの崇拝のみが残ることとなった。
一方、残されたスターシャは、数千年をただただ記憶庫の管理者として過ごす苦痛を受け続けるうちに、それを紛らわすために、かつてのイスカンダルの行いは独善であり贖罪しなければならないのだと考えるようになり、宇宙の星々に大して実を結ばない救済活動を行ったり、ガミラスとの新しい関係性を模索し始めりするが、ガミラス星の寿命問題が現出したことで、デスラー政権下での拡大政策が始まってしまった。スターシャはこれもイスカンダルの罪の結果の一つと考え、地球へと手を差し伸べる。それ以降は『2199』以降の劇中で描かれた通りである。
しかし、この秘密を開示されてもなおアベルトはスターシャへの愛を貫き、その身を捧げて敵の自動惑星ゴルバに特攻し、スターシャに惑星を自爆させまいとした。だが、デスラーやスターシャの犠牲をよしとしない土門竜介らの活躍によりスターシャとその妹ユリーシャはイスカンダルを脱出。アベルトも彼女に促され、ゴルバから乗艦を引き抜くと戦場を後にした。
そしてゴルバがイスカンダルの自爆に巻き込まれ消滅し戦いが終わった後、アベルトは彼が心から愛したスターシャとの対面が叶う。だが、イスカンダル消滅に伴い体を維持できなくなったスターシャたちの肉体は光の粒子と化し消滅を始めてしまう。消え去る最期の瞬間、スターシャはずっと自分を想っててくれたアベルトに感謝の言葉を述べ、アベルトは消え去った彼女を想い涙に暮れるのだった。
その後、アベルトはヤマト艦長の古代進に対し、青い血青い肌に対する誇りがイスカンダルに植え付けられたものであろうと、ガミラス民族は自らを誇りに思い生きていくことを宣言し、移民船団の生き残りを引き連れてガルマン星へと向かっていった。
現段階では、ガミラスとイスカンダルの「秘密」はデスラーと古代のみが知ることであるが、いつかはガミラス民族に明かされることを予期しながら。
『2199』と続編の不整合・疑問点・不明点
『2202』での大幅な方針転換により、ガミラスの設定には『2199』との不連続性が多く発生した。
これらは設定に空白部分も多いため、補完しようと思えばできなくもなく、実際に『2205』でいくらかは補完されている。しかし『2205』で新たに噴出した部分も含めまだ多くの箇所で疑問となる点は残っているが、これらを全て公式で補完する見込みは薄いといえ、視聴者各々が個人で解釈していくしかないだろう。
疑問点や不明点の例としては、
- ガミラス人の利用に関しては「ロボットでいいのでは?」と考える視聴者もいる。これに関しては当時のイスカンダル人のメンタリティーやロボット事情が曖昧な以上、何とも言えない(なお『2199』でイスカンドロイドが登場しているので、当時もロボット自体は存在したと思われる。イスカンドロイドがガミラスからの献上品だったとかでもない限りは)。まあそれを言っちゃったらガトランティス人だってロボットでいいという話になるし、現実的には地上だとナンセンスな巨大人型ロボット然り雑魚武器と端金で勇者を放り出す鬼畜王様然り、そこは物語の都合として「何か事情があった」と解釈するしかないだろう。
- 実際にガミラス人がどの程度の時期からどんな不調が生じ始めるのか、それに個人差はあるのか、また定期的にガミラス星に戻れば問題が無かったりするのか、などといったことは説明されていないため不明。劇中でクラウス・キーマンが「外宇宙勤務が長くなると肌身で分かる」と大雑把に述べている程度。彼以外に不調を訴える者が登場しない、というよりそもそも長期間一切ガミラス星に帰っていないと明言されている純血ガミラス人キャラが登場していない(強いて言えば太陽系十一番惑星の開拓民などはそうかもしれない)ため、検証のしようが無いのである。
- キーマンという例があることから、数千年という期間の中で他のガミラス人にも体調不良が生じる者がいた可能性は高く、さらにそこからガミラス人の体質に気付いていた者がいた可能性も十分あり得るが、劇中には登場しないため、実際にいたのか、いたとして彼らがどのようなアクションを取ったか、それに対して周囲がどのような反応(特にデスラー政権を含む秘密を死守したい者達の対応)をしていたかも描写が無く不明。ちなみに『2202』小説版では、過去のデスラー家は何世代にも亘って警鐘を鳴らしていたが、目先の利益を優先する諸侯はほぼ誰も信じなかったとされている(そのため一旦国内を統一してからという方針に切り替えたが、肝心の統一に時間がかかりすぎ、統一を為した頃には既に当初の想定で進められるような猶予は無くなっていた)。
- 『2199』ではデスラー政権下で惑星オルタリアなどに積極的な入植政策を行っていたが、本国から派遣された総督や軍人などはともかく、永住目的であろう移住者達は遠くない将来に生命の危険がある(もしも上記のように定期的にガミラスに一時期間すれば問題ない設定だったならば、そのように法なりなんなりを定めることで対応はできなくもないだろうが…)。民間人の移住政策と言うのはデスラーの本来の目的からすると意味が薄く(『2202』設定でのガミラスの侵略行為の実態は、移住可能そうな惑星を侵略→適さなかったらその星を足掛かりにさらに広い範囲で移住可能そうな惑星を侵略という繰り返しであり、真の目的からすると移住に適さないと判明した時点でその星は次の侵略の橋頭保としての役割しかない。と言ってもオルタリアが適さないと判明した時期は不明だが)、どのような意図があったかは疑問点となっている。一応、表向きは「ガミラスの繁栄と宇宙の恒久平和」という建前を取っていたため、その建前を守るうえで何かしらの理由で移住政策という手段が必要になった可能性はあるが、劇中描写や説明は無い以上、推論の域は出ない。
- あるいは、邪魔になる旧貴族勢力を定住に適さない星に総督として差し向けることで排除しようとしたのかもしれない。
- 『2199』でデスラーが版図拡大に進んだのはスターシャの代わりにイスカンダルの理想を実現するためとされたが、『2202』は動機が上記の通り完全に変わっており、『2199』での理由は(スターシャへの想いという部分こそ残しているものの)完全に建前扱いとなった。『2199』での回想でデスラーがスターシャに語った夢も偽りということになってしまい、特に『2199』でのデスラーの今際の際の独白さえも真の目的と異なる格好となった。
- ギムレー曰く、バレラスを吹き飛ばそうとしたのはイスカンダルを攻撃しようとしていた軍部を粛清するためだったとのことだが、その兵器の動力源であるデウスーラⅡ世コアシップは(明言されてはいないが少なくともヤマトとの本土決戦の時点では)国防軍ではなく親衛隊管理下である。国防軍と親衛隊の政治的および軍事的パワーバランスは不明だが、第19話以降は亜空間ゲートの破損により本土の国防軍戦力は激減し、虎の子の本土防衛艦隊すらゼーリックの死亡により親衛隊が抑えていたため、悪あがきで反乱などをされる危険性は薄く、軍部の裏切り者を穏便に始末しようと思えばできなくもなかったとは想像に難くない(ちなみに裏切り者が誰なのか・何人いたのかは明かされていないため不明)。なので、バレラスごと裏切り者を葬るという所業はやり過ぎ感がある。ただ、この行為は粛清目的以外にもいくつか要因が絡んでいるうえ、この時のデスラーは移住先が見つからない焦りから正気ではなく、後に「あの時私は何を滅ぼそうとしたのか…」と述懐するほど近視眼になっているため、ここの整合性は総統閣下の精神衛生上あまり追及してあげない方がよいかもしれない。
- いくらガミラス民族の存続を賭けていたとはいえ、『2199』で首都と臣民ごと殺されかけた閣僚たちが『2202』で旧デスラー体制派に与するのは少々考え難い部分がある(ましてや首魁のギムレーは『2199』当時から他の閣僚に睨まれる程度には好かれていない)。『2202』当時はこの部分は全くフォローされておらず、視聴者の多くはモヤモヤを抱えることになった(ガデル・タランがデスラーの元に戻った理由についてあれこれ考察が行われるくらいには)。後にタランに関しては『2205』にて「デスラーの真意を知ったから」と公式HPで補完され、忠義者であるという元々の設定と合わせて一応の落としどころは得たが、他の閣僚がどういう経緯でデスラー体制派になったかは依然不明である(なお余談だが『2202』でデスラー体制派だったキーリング参謀総長は『2205』でしれっと民主政権の会議にいる)。
- 遊星爆弾投下は旧作同様ガミラス人が生存可能とするための環境改造だとされた。しかし『2199』の視聴者ならご存じのとおり、地球人とガミラス人の生存環境は大差ない。『2202』以降でもその設定は変わらず、あくまでガミラス人が環境適応力の低いだけとされ、むしろ生存できる環境の範囲としてはガミラス人<地球人であり、地球人が生きられない環境ならガミラス人も生きられないということになる。なので、当然ながら赤く干上がった地球ではガミラス人も生きてはいけないだろう。もしかすると遊星爆弾はあくまで下地作りに過ぎず、その後さらに別工程があるのかもしれないが、公式からそういった解説はない。というかそもそも『2199』設定での遊星爆弾は本国ではなく現場で立案された兵器である。
- 地球を暫定的な移住先として攻めに来たのなら戦力があまりにも少ない。移住候補という理由を隠しており、下手な注目を避けるためか否か「二線級戦力で事足りる辺境の弱小惑星の征伐」と銘打っていたので、あまり不自然な戦力の大規模投入はできなかったという解釈もできるが、それでも二等ガミラスの一個旅団しかないというのは流石に少ない。そしてあろうことかそんな重要な攻略部隊の指揮官の名前をデスラーは忘れてしまっており(表向きの理由もあって惚けていただけの可能性もあるが)、さらにその上官は(ゼーリックが捻じ込んだ人事とはいえ)あのゲール君である。なおバラン星観艦式には一万を超える艦艇が参加する程度の余裕があったわけだから、「他の戦線に戦力を割いていた」は言い訳にならない。
- ただし、デスラーは「ガルマン星はガミラス人の故郷であるという説もある」と述べており、また上記の昔話の通り「ガミラス人は他の星から来た」という事実そのものは一応伝わっているため、天の川銀河への進出(=ガルマン星探索)がもっと以前からなされていた可能性はある。だとすればボラー連邦との接触は避けられず(※)、しかし大小マゼラン内の版図維持やガトランティス対策も並行している状況でボラー連邦と全面戦争できるほどには大規模な戦力を向けることはできない。そうなると天の川銀河に拠点を築く必要が生じる。ボラーの勢力圏から離れており、かつ制圧が二線級戦力で事足りるというのが地球だったという推測は十分成り立つ。
- (※)シュルツらが以前はドメル麾下だったと語っている、そのドメルはゲールよりバラン星の遺跡に詳しいなどドメルが本編以前にも銀河方面軍の指揮を執っていた形跡が見られる。ドメルほどの人物が差し向けられるような相手は既知の勢力ではボラーくらいしか考えられない。