概要
オリジナル『宇宙戦艦ヤマト』に登場した三段空母のリメイク艦艇で、「ガイペロン級多層式航宙母艦」としてリデザインされて登場した。
リデザインによって、細部に渡り細かい表現が加えられた。最下層甲板は後部の着艦用甲板と繋がっており吹き抜け状態となっている他、艦橋に回転するレーダー2基が付けられたり、アングルドデッキで発艦する際には左舷側のレーダーが懸架式で折り畳むことが可能、等といった設定も盛り込まれている。
さらにリメイク版の新規設定として、ガミラス艦隊の主力空母として長きに亘って建造されており、建造時期によって外見に若干の差異が生じているとされ、七色星団の戦いに参加した3隻の空母に個性を持たせている。
艦体解説
スペック表
- 艦級・艦種:ガイペロン級多層式航宙母艦
- 全長:410m
- 武装
- 133mm三連装陽電子カノン砲塔×5基
- 33mm四連装陽電子速射砲塔×8基
- 艦載機
- 艦長
- モルド・ヴォック大佐(バルグレイ)
- ルタン・べスター大佐(ランベア ※『2199』)
- ボラン・リッター大佐(シュデルグ)
- フォムト・バーガー中佐(ランベア ※『2205』)
性能
合計4段の飛行甲板を有し、上部の3段(第1、第2、第3甲板)を発艦専用として使用し、最下段(第4甲板)を着艦専用として(緊急時には発艦も可能)で使い分けられている。昇降機は3基あるほか、電磁式カタパルトが各飛行甲板に2基ずつ設置されている。着艦時には第4甲板の後部から進入し、トラクタービームで減速させる仕組みとなっている(劇中で着艦描写は今のところ無いが)。
こういった構造上の関係で格納庫は無く、機体は慣性制御された各甲板上に繋留されている状態である(第2甲板であろうと第3甲板であろうとも、真正面からは駐機した艦載機が丸見えである)。飛行甲板の側端には発艦の可否などが映る表示パネルがあり、カタパルトの後方にはブラストディフレクターが備わっている。
飛行甲板の形状は建造時期によって差異がある。最初期に建造されたシュデルグやバルメスはアングルドデッキを未装備。その後に生産されたランベアなどはアングルドデッキを装備しており、これが本級のスタンダードな姿(細かいところでは第2・第3甲板にあった突起もなくなっている)。さらに索敵能力を強化した後期仕様も存在し、艦首を二つ山形に変更し、その尖った部分の内部に索敵装置を内蔵している。後期仕様はバルグレイが相当する。
攻撃性能において、4枚の飛行甲板につき計8基ものカタパルトを有しており、非常時であれば最高8機までを一度に発艦が可能である。
本艦自身の攻撃力については、陽電子カノン砲塔を5基15門と数はそこそこだが、口径はクリピテラ級航宙駆逐艦の速射砲と同レベルであるため火力としてはやはり戦闘艦より見劣りする。ただし側面に装備しているため射界は前後上下に広い。対空火器は8基32門を艦尾付近の舷側に備え、側面からの航空機に対応する。
防御性能において、艦内部を隔離するようなシステムが無い為、駐機している艦載機は真正面から丸見え状態である。さらに弾薬コンテナ等も真正面から狙われやすく、誘爆のリスクが非常に大きい。『2199』での七色星団海戦ではその構造の脆さが見事なまでに表現されており、当たり所の悪さ(2発が真正面から艦内へ飛び込んでいる)も有ったにせよ、バルグレイが艦載機のミサイル4発で撃沈されてしまう例も見られた。
ただし、側面からショックカノンを2発(しかも片方はエンジンへの直撃)を食らったランベアは持ちこたえて生還しているため、側面から攻撃された場合は多少はもつようである。
航行性能に関しては不明であるが、ガミラスの量産艦艇としては最大級であることに加え、多数の艦載機を抱える都合もあって機動性はさほど高くないと考えられる。
また、上記の通り格納庫すら無いほど艦の容積の大部分を飛行甲板が占めており、艦体サイズの割に中身は結構がらんどう。『2199』時点で長期作戦時には第三甲板に兵装などを格納したコンテナを搭載すると設定されており、ペイロードは飛行甲板頼り。
そんな構造故に居住スペースについても推して知るべしであり、『2205』の設定資料集での解説で「極めて居住性が悪い」と明言されてしまっている。『星巡る方舟』で一部であるが艦内が描かれた際には、ヤマトと比較してかなり狭い通路となっていた。
重武装ユニット
- 480ミリ三連装陽電子カノン砲塔×2基
- 330ミリ三連装陽電子ビーム副砲塔×6(門?)※外観上砲塔は舷側の2基しか確認できない
- 魚雷発射管×10門
- 魚雷発射管×6門
- 魚雷発射管×8門
- ミサイルランチャー×3
『宇宙戦艦ヤマト2205』で登場する新開発のガイペロン級用火力強化ユニット。外付け式であり、ガイペロン級自体には改装は必要なく、そのまま第2甲板を中心に艦首に被せる形で装着して運用する。
このユニットには480mmカノン砲塔2基をはじめとする多数の武装が備わっており、元々ガイペロン級に備わっていた装備も合わせると、砲火力だけなら並の戦艦を凌ぐ。
武装だけでなくスラスターも複数備わっており、劇中で急速ターンをやってみせるほど機動力を向上させている。
これによりガイペロン級は実質的に戦闘空母と言って遜色ない戦闘能力を得ることになった。
さらにこのユニットの装着により飛行甲板として使えなくなった第2甲板は居住区画とし、長期間の作戦行動に対応できるようにされた。
ただし、飛行甲板を1つ潰しているわけなので、搭載機数はやや下がる。
なお、元の艦体を維持したまま追加で装着する都合上、バルグレイに代表される後期仕様には艦首形状の違いから装着不可能となっている。
ちなみにガイペロン級の拡張ユニットとして登場しているのは今のところこの重武装ユニットだけだが、(現在は非公開になっているが)YouTubeで公開されていたスタッフインタビュー「アラタチのナリタチ」で映った設定稿のメモにて「飛行甲板2段を使った超長期作戦用ユニットなども考えられます」との記載も見られる。
同型艦
バルグレイ
(右端、緑の艦)
後期生産された艦で、艦長はモルド・ヴォック大佐。ドメル機動部隊の1隻として参加しており、戦闘機隊長としてライル・ゲットー少佐を乗艦させた。レーダー索敵能力が強化されている為に、他の空母よりは索敵能力が高い。
ヤマト航空隊に対する陽動のために、単独で突出し行動していた(単独なのは戦力が制限され護衛を担える艦がいなかったため)。これは、物質転送機無しで前線まで航空機隊を出さなければならないことや、疲労しやすい新兵・老兵パイロットが多いためそれらをなるべく早く回収するためと思われる。
しかしヤマト航空隊との空戦エリアに近づいたことで、敵機であるコスモファルコン2機に発見されてしまう。1機は撃墜するものの、その直前に放たれた対艦ミサイル2発に被弾。その隙に正面に回り込んだもう1機のファルコンからさらにミサイル2発が発射される。
真正面から飛び込んできたために、そのまま艦内後部の機関区画にまで被害が及び、大火災を引き起こしてしまった。とどめに機関砲を艦橋に直接撃ち込まれてしまった為に完全にコントロールを失い、最終的に艦体が崩壊し轟沈した。
護衛艦を付けられなかったことが仇となり、たった2機の航宙機によって轟沈するという悲劇を迎えることとなった。
ランベア
(右から2番目、紫の艦)
ドメル機動部隊に参加した空母の1隻。シュデルグより新しくバルグレイより古い、中期型とでも呼べるタイプ。
ドメル機動部隊で唯一生還し、続編にも登場する。
詳細はリンク先を参照。
シュデルグ
(左から2番目、青の艦)
初期型でドメル機動部隊の最古参空母。それでも稼働するには問題ない程度の性能は有している。艦長は設定のみで未登場だがボラン・リッター大佐。雷撃隊長としてカリス・クライツェ少佐も乗艦となった。
雷撃隊を搭載してヤマトに攻撃を慣行したが、いかに物質転送機による奇襲と言えど(ガルント含め)3度目ともなると流石にヤマト側も対応が早くなっており(さらに動きの鈍いドルシーラでは出現後から攻撃開始までのタイムラグが長い)、逆撃に遭って雷撃隊は全滅してしまった。
雷撃隊を失ったことで航空戦力による打撃力をほとんど失ったドメル機動部隊は艦隊による直接攻撃を決定。シュデルグはドメラーズⅢ世の真後ろに隠れるように並んでヤマトまで進撃する。しかし、ヤマトを内側から爆破するために撃ち込んでいた特殊削岩弾を逆に利用され、先頭のダロルドが爆沈。残りの艦は爆発を避けようとするが、右転舵で回避できたドメラーズⅢ世・ランベアと異なり、本艦は咄嗟のことで焦ったのか舵が左へ右へとふらつき、やがて横滑りしながら爆炎の中に突っ込んで爆沈してしまった。
バラン星観艦式参列艦
上記3隻に先立って第18話でのバラン星の観艦式において本艦級の姿が見られる。ほとんどは中期型だが、ごく一部後期型も確認できる。いずれも塗装は緑。
観艦式中にヤマトが乱入し、バラン星の大爆発の巻き添えで多数のガミラス艦が轟沈したが、ガイペロン級はその際の描写が無いためどうなったのかは不明。
バレル艦隊所属艦
『宇宙戦艦ヤマト2202』でのガイペロン級。一応ガミラスの主力空母のはずなのだが本作だと全く出番がなく、第24話でようやく登場。最終決戦時にヤマトの増援として駆け付けたローレン・バレル率いるガミラス艦隊の中にランベアと同タイプが3隻見られる。なぜかランベアと同じ紫色。
ヤマトが都市帝国に突入する間、他の艦と共に地球の守りを担当したのだが、何を血迷ったのか(七色星団海戦時のようにやむを得ない理由があったわけでもないのに)艦隊の最前列に配置している。ゲルバデス級やナスカ級のように直接戦闘能力を持っているならともかく、こいつは小口径砲程度しかないただの空母なのに……
案の定1隻が敵のゴストーク=ジェノサイドスレイブの体当たりを受けて真っ先に轟沈してしまった。残りの2隻もこのシーン以降登場しないため、安否は微妙である。
ちなみに搭載機はノイ・バルグレイと同じ赤いドルシーラ。
バルメス
『宇宙戦艦ヤマト2205』に登場する艦。タイプは初期型で、塗装は緑。本艦によって『2199』で登場した3タイプ全てに緑色が揃った。
艦名はガミラス語で「攻撃する」を意味する単語に由来する(ちなみにこの単語、『2199』第2話でシュルツのセリフとして使われている)。
デスラー政権時代は外洋機動艦隊に所属していた艦で、政権崩壊後も引き続き外洋での任務に就いており、任務によっては艦隊旗艦を務めていたこともある(なお「外洋機動艦隊」という名称は『2199』の時点で設定上だけだが存在している)。同じ初期型のシュデルグがドック入りしていたのに対し、こちらは改修を重ねて現在まで現役を保っていた。そして、『2205』の物語開始直前にデスラー艦隊に派遣された。
艦体には「566」の番号が振られている。ガミラス軍では作戦毎に番号が振られるルールであるとされ、この3桁の番号はデスラー艦隊編入前のものであるとのこと。おそらく作戦直前での編入のため番号を振り直す暇が無かった(あるいは振り直したが艦体に反映する時間が無かった)のだと思われる。
劇中ではデスラー艦隊としてちょくちょく画面内に登場してはいるのだが、小さくしか映らなかったり、フレーム内に入った直後にカットが切り替わったり暗転したり……と画面映りがすこぶる悪い。結局特に目立った活躍も無いまま、第4話のイスカンダル星での戦闘において直上からの敵のビーム砲撃を受けて轟沈した。